告白編 -井上の場合-
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─プロローグ─
─チームの夜練習が終わって皆が帰った、閉館間際
【宮沢】
「よし!清掃も点検も終わって、施錠確認もしたし…全て終了だな!」
全ての閉館作業を終え、暗いエントランスでほっと一息つく
いつもならオーナーと…不在のときは正規スタッフの太宰さんや永井さんと一緒に行う閉館作業なのだが…
【宮沢】
「なんだか今日は、会食とか本部出向とか…みんなバタバタした一日だったな…」
そんなこんなで1人で最後を任された俺は、23時近くに全ての作業を終えたのだった
従業員出口から出て、最後の施錠を終える
―駅近な施設とはいえ、営業終了から1時間近く経った敷地内には人の気配はなく……
【宮沢】
(すっかり遅くなっちゃったな。
あ…、潤司からメール入ってる)
【宮沢】
(『バイト終わったよ?!ちょっと眠いや(p_-)、帰ったらスカイプでね!』…と)
潤司とは寝る前の時間を利用して、チームの状況報告や新練習メニューの話し合いを頻繁に行っている
【宮沢】
(!?…志賀助教からも来てる)
【宮沢】
(うう……
メール開くの恐いなぁ……)
また無茶な呼び出し命令かと、恐る恐るメールを開こうとした……その時
タッタッタッタッタ……
【???】
「宮沢先輩!!」
【宮沢】
「ひぃやあああッ!!!」
誰も居ないと思っていたところでの突然の呼びかけに、思わず心臓が飛び跳ねる
【井上】
「ビックリさせちゃってすみません
まさかこんなに驚かれると思わなくて…」
【宮沢】
「い、い、い…井上」
バクバクする心臓を抑えて振り向くと、井上が申し訳なさそうな顔をして立っていた
【宮沢】
(ハー…、ご…強盗かお化けかと思った
けど…よく考えたら『先輩』って言ってたもんな、井上だよな…)
【宮沢】
「俺こそ…大声出してごめん…俺、暗がりとかお化け屋敷とか苦手でさ…」
【宮沢】
(それに何でかしょっちゅう知らない男の人に声掛けられるから…、警戒しちゃうんだよな…)
潤司にはいつも…「気にするな」と言われているけど、俺には少し…男らしさが足りないのかもしれない
【井上】
「……先輩?」
心配そうに掛けられた井上の声に、ハッと我に返る
【宮沢】
「あ、悪い。ちょっと考え事を…
って、それよりどうしたんだよ井上…何か忘れ物か?」
【宮沢】
「練習終って帰ったの、2時間も前だろ。それに、こんな時間に帰ってないなんて…ご両親も心配するぞ?」
少したしなめるような口調でそう言うと、井上はさらにシュンとうなだれて…言った
【井上】
「ごめんなさい、先輩。
でも俺、どうしても宮沢先輩に伝えたいことがあって……」
【井上】
「……家のことなら、ちゃんと一度帰って全部片して…、先輩のとこ行くって伝えてきましたから…」
【宮沢】
「………」
よく見たら、家に戻ったというのに制服のままで…、いかにも急いできたらしく肩で息をしている
閉館して俺が帰ってしまったら大変だと、慌てて出てきたのだろう
―井上の家は両親共働きで…、しかも井上は5人兄弟の長男だから、いつも家庭の事情に追われている
その井上が、こんな時間に出てきたのだから
よっぽどの訳があるに違いない―
【宮沢】
「わかったよ。
で?ご両親にはなんて伝えてきたの?」
【井上】
「…どちらもまだ帰って来てなかったので、メールで先輩に会いに行くことを伝えただけで…」
どんどんうなだれる井上
【宮沢】
「仕方ないな。…両親には後で俺が電話で伝えるから、今日は俺の部屋に泊まっていけよ」
【井上】
「………宮沢先輩…!」
【宮沢】
「ほら、電車なくなっちゃうから、もう行くぞ?」
【井上】
「はい!
先輩、ありがとうございます!」
こうして俺は、井上を連れて
終電間際の駅へと急いだのだった
―プロローグ終了
―第1話―
『思春期の逡巡』
【井伏】
「いやー、仕事あがりのひと泳ぎはやっぱ気持ちいーわ
よく眠れそうだぜ!」
【梶井】
「フフ…、そうですね。
ですが、今日もこれから…女性とお約束なのではないですか?」
【井伏】
「梶井さん鋭すぎるってー」
【井伏】
「ま、お誘いがあったのは事実だけどさ。俺いま宮沢くん一筋だからさ、な?宮沢くん」
【宮沢】
「―知りません」
【井伏】
「相変わらずつれないなー、宮沢くんは」
【吉川】
「お前、今日はこんな時間から1人で閉館作業なんだろ、大丈夫か?」
【宮沢】
「はい、もう慣れた作業ですし。あとは簡単な点検だけですから」
【吉川】
「こんな時間に1人でなど…、帰りに何かあったらどうする。
俺が直接送るか、SPを…」
【宮沢】
「……お気持ちだけいただいておきます」
夜の合同練習が終わっての帰り―
この時間はもう、チームメンバー以外は誰もいない
いつものようにエントランスまで見送りに出てくれている宮沢先輩は、皆と談笑している
―ただ今日は、夏目さんが外せない会食があるとかで、珍しく練習に不参加だった
【井上】
(夏目さんが、不在………)
【井上】
「………」
【宮沢】
「………井上?
どうした?元気ないみたいだけど…」
【井上】
「あ!な、なんでもないです。
朝作ってきたカレー、弟たちがちゃんと食べてるかなーって…」
【宮沢】
「ふふ、井上はいつも家族思いだね」
ドクン
心臓が、大きく音を立てる
最近この笑顔を向けられると……すぐに身体が熱くなってしまう
大好きな先輩の―
綺麗な―
華みたいな…笑顔
【井上】
「そ…それじゃ俺、失礼します!」
じりじり後ずさって先輩との距離をとり、そのまま自動ドアへと駆け出す
【宮沢】
「井上ー、転ぶなよーっ!」
そんな先輩の声を背中に受けながら、俺はぐるぐるした欲情を抱えて、駅へとひた走ったのだった
─チームの夜練習が終わって皆が帰った、閉館間際
【宮沢】
「よし!清掃も点検も終わって、施錠確認もしたし…全て終了だな!」
全ての閉館作業を終え、暗いエントランスでほっと一息つく
いつもならオーナーと…不在のときは正規スタッフの太宰さんや永井さんと一緒に行う閉館作業なのだが…
【宮沢】
「なんだか今日は、会食とか本部出向とか…みんなバタバタした一日だったな…」
そんなこんなで1人で最後を任された俺は、23時近くに全ての作業を終えたのだった
従業員出口から出て、最後の施錠を終える
―駅近な施設とはいえ、営業終了から1時間近く経った敷地内には人の気配はなく……
【宮沢】
(すっかり遅くなっちゃったな。
あ…、潤司からメール入ってる)
【宮沢】
(『バイト終わったよ?!ちょっと眠いや(p_-)、帰ったらスカイプでね!』…と)
潤司とは寝る前の時間を利用して、チームの状況報告や新練習メニューの話し合いを頻繁に行っている
【宮沢】
(!?…志賀助教からも来てる)
【宮沢】
(うう……
メール開くの恐いなぁ……)
また無茶な呼び出し命令かと、恐る恐るメールを開こうとした……その時
タッタッタッタッタ……
【???】
「宮沢先輩!!」
【宮沢】
「ひぃやあああッ!!!」
誰も居ないと思っていたところでの突然の呼びかけに、思わず心臓が飛び跳ねる
【井上】
「ビックリさせちゃってすみません
まさかこんなに驚かれると思わなくて…」
【宮沢】
「い、い、い…井上」
バクバクする心臓を抑えて振り向くと、井上が申し訳なさそうな顔をして立っていた
【宮沢】
(ハー…、ご…強盗かお化けかと思った
けど…よく考えたら『先輩』って言ってたもんな、井上だよな…)
【宮沢】
「俺こそ…大声出してごめん…俺、暗がりとかお化け屋敷とか苦手でさ…」
【宮沢】
(それに何でかしょっちゅう知らない男の人に声掛けられるから…、警戒しちゃうんだよな…)
潤司にはいつも…「気にするな」と言われているけど、俺には少し…男らしさが足りないのかもしれない
【井上】
「……先輩?」
心配そうに掛けられた井上の声に、ハッと我に返る
【宮沢】
「あ、悪い。ちょっと考え事を…
って、それよりどうしたんだよ井上…何か忘れ物か?」
【宮沢】
「練習終って帰ったの、2時間も前だろ。それに、こんな時間に帰ってないなんて…ご両親も心配するぞ?」
少したしなめるような口調でそう言うと、井上はさらにシュンとうなだれて…言った
【井上】
「ごめんなさい、先輩。
でも俺、どうしても宮沢先輩に伝えたいことがあって……」
【井上】
「……家のことなら、ちゃんと一度帰って全部片して…、先輩のとこ行くって伝えてきましたから…」
【宮沢】
「………」
よく見たら、家に戻ったというのに制服のままで…、いかにも急いできたらしく肩で息をしている
閉館して俺が帰ってしまったら大変だと、慌てて出てきたのだろう
―井上の家は両親共働きで…、しかも井上は5人兄弟の長男だから、いつも家庭の事情に追われている
その井上が、こんな時間に出てきたのだから
よっぽどの訳があるに違いない―
【宮沢】
「わかったよ。
で?ご両親にはなんて伝えてきたの?」
【井上】
「…どちらもまだ帰って来てなかったので、メールで先輩に会いに行くことを伝えただけで…」
どんどんうなだれる井上
【宮沢】
「仕方ないな。…両親には後で俺が電話で伝えるから、今日は俺の部屋に泊まっていけよ」
【井上】
「………宮沢先輩…!」
【宮沢】
「ほら、電車なくなっちゃうから、もう行くぞ?」
【井上】
「はい!
先輩、ありがとうございます!」
こうして俺は、井上を連れて
終電間際の駅へと急いだのだった
―プロローグ終了
―第1話―
『思春期の逡巡』
【井伏】
「いやー、仕事あがりのひと泳ぎはやっぱ気持ちいーわ
よく眠れそうだぜ!」
【梶井】
「フフ…、そうですね。
ですが、今日もこれから…女性とお約束なのではないですか?」
【井伏】
「梶井さん鋭すぎるってー」
【井伏】
「ま、お誘いがあったのは事実だけどさ。俺いま宮沢くん一筋だからさ、な?宮沢くん」
【宮沢】
「―知りません」
【井伏】
「相変わらずつれないなー、宮沢くんは」
【吉川】
「お前、今日はこんな時間から1人で閉館作業なんだろ、大丈夫か?」
【宮沢】
「はい、もう慣れた作業ですし。あとは簡単な点検だけですから」
【吉川】
「こんな時間に1人でなど…、帰りに何かあったらどうする。
俺が直接送るか、SPを…」
【宮沢】
「……お気持ちだけいただいておきます」
夜の合同練習が終わっての帰り―
この時間はもう、チームメンバー以外は誰もいない
いつものようにエントランスまで見送りに出てくれている宮沢先輩は、皆と談笑している
―ただ今日は、夏目さんが外せない会食があるとかで、珍しく練習に不参加だった
【井上】
(夏目さんが、不在………)
【井上】
「………」
【宮沢】
「………井上?
どうした?元気ないみたいだけど…」
【井上】
「あ!な、なんでもないです。
朝作ってきたカレー、弟たちがちゃんと食べてるかなーって…」
【宮沢】
「ふふ、井上はいつも家族思いだね」
ドクン
心臓が、大きく音を立てる
最近この笑顔を向けられると……すぐに身体が熱くなってしまう
大好きな先輩の―
綺麗な―
華みたいな…笑顔
【井上】
「そ…それじゃ俺、失礼します!」
じりじり後ずさって先輩との距離をとり、そのまま自動ドアへと駆け出す
【宮沢】
「井上ー、転ぶなよーっ!」
そんな先輩の声を背中に受けながら、俺はぐるぐるした欲情を抱えて、駅へとひた走ったのだった
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