告白編 -梶井の場合-
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―痛そうだ
チュプリ、チウゥ……
【宮沢】
「ひ…ッ」
縄の食い込みに舌を這わせて、滲んだ血を舐めとってあげると、宮沢さんは短く悲鳴を上げた
【梶井】
「…私が、怖いのですか?
……なんて、そんな筈はないですよね?」
【梶井】
「だって、貴方は私の全てを受け入れて、何でもして下さるのでしょう?」
【宮沢】
「…ッ!」宮沢さんの腰が、ピクンと震える
【梶井】
「ああ、すみません。
そちらをお留守にしてしまいましたね」
【梶井】
「愛しい貴方を焦らしてしまうなんて…。私としたことが、申し訳ありません」
四つ這いになった宮沢さんの、剥き出しの腰に手を伸ばす
【宮沢】
「…うぁ…っ!」
私の手に、ニチュリとした湿った感触が広がる
【梶井】
「良かった。喜んでいただけていたのですね……」
その、快楽の証を指に絡め取り…
ニッチュニッチュ、ヌチュッ…ニッチュ……
温かく、可愛らしい昂りを、慈しむように柔らかく握って扱きあげる
【宮沢】
「お願……やめ…、やめて…下さ…ぁッ…梶、井さ…ンッ!」
またも、己と結びつけられたベッドの柵を、ギシギシと軋ませる宮沢さん
【宮沢】
「これ…解いて……くぁッ、解いて下…さい…ぃん」
恥ずかしい格好で…全身を弄ばれながらも、
痛むであろう手首を揺らし…、必死で懇願する様に……
空洞な筈の、胸の内側で……コトリと、何かが音を立てた気がした
【梶井】
「………解いたら、どうされるおつもりですか?」
【宮沢】
「……え?」
【梶井】
「縛(いまし)めが解けたら、行ってしまうのでしょう?」
【梶井】
「真綿のような貴方であっても、
こんな私を、受け入れては下さらないのでしょう?」
【梶井】
「父のように!母のように!施設に居た彼らのように…」
【梶井】
「私の見た目に惑わされて、甘い言葉を吐いては裏切る、彼らのように………」
【梶井】
「私を殴って…、突き飛ばして、眠っている間に……、居なくなってしまうのでしょう?」
―みんな、居なくなるのだ
気が付いたら居なかった父も
散々手を上げた挙句、知らない男性と消えた母も
『同じ境遇だから仲間だよ』―と笑いかけてくれた、施設の仲間も
私の容姿や、立場に惹かれて集まる、大勢の男や女も―
【宮沢】
「―梶井さん」
―いつも、プールサイドで私に呼びかけてくれる…優しい声が、ベッドの上から聞こえてくる
よろよろと目線を上げた私に…
その声の主は、言った
【宮沢】
「梶井さん…
コレ、解いてください」
【宮沢】
「俺、梶井さんが癒されるまで、手を繋いでるって…約束しました」
【宮沢】
「この状態じゃ、梶井さんの手…握れないでしょう?」
……そうして彼は、いつもの雪のような笑顔で…私に微笑みかけた
―第4話―
『告白』
【梶井】
「ときどき―、身体に空洞ができるのです」
ルームランプの薄明かりの中、私は静かに告白を始めた
―宮沢さんは、ベッドの上で私の手を握り締めたまま…静かに、私の声に耳を傾けてくれている
【梶井】
「大体、ふた月に1度か2度…。
目が覚めたときに、それは起こります」
覚醒と同時に…、身体が内側からパラパラと剥がれ落ちていく……あの感覚
体内に徐々に空洞が広がっていき…、しまいには、身体の表面を残して全てがなくなってしまう
私が、誰にも必要とされない…空(うつ)ろな存在だと、実感させるように……
空洞を埋めるために、アルコールや他人の肌を求めたこともあった。
……でも、それらは摂取した後に、
余計に穴が広がるばかりで……
【梶井】
「それに気付いてからは―、決して…他人の隣で眠りに落ちることは、しなくなりました」
【梶井】
「そして―、ソレが起こったときは…外との関りを一切絶ち、再び身体が構築されるのを待つのです」
【梶井】
「暗闇と同化したり、薬に頼ったりしながら……ね」
【宮沢】
「梶井さん……」
私の手を握る宮沢さんの手に、きゅ…と力がこもる
【梶井】
「それでも、貴方にシンクロを教えていただくようになってから」
【梶井】
「随分と、回数も持続時間も…減っていたのですよ?」
―そう、宮沢さんと過ごすようになって、気がつくと……暫くソレが訪れていない自分に気がついた
きっと、宮沢さんの優しさや温かさ…、強さや純真さが……
日々少しずつ、私の隙間を埋めていてくれていたから…
なのに……
【梶井】
「先週、私との個人レッスン中に―、盗撮事件があったでしょう?」
【宮沢】
「あ、潤司が気付いて捕まえてくれたヤツ……」
【梶井】
「あの件で…、きっと私は……」
【梶井】
「貴方との平穏が崩されることへの恐怖を、無意識に…深く……抱いてしまったのでしょうね」
だから…今日という日に、アレが訪れてしまったのだ
―今の私の、最も大事な時間
宮沢さんとの、個人レッスンの日に……
【梶井】
「……………」
【梶井】
「…………宮沢さん」
そこまで思い巡らせてから、私は宮沢さんの方へ向き直り……口を開いた
【梶井】
「私は、自分の心や、過去の傷すら制御できずに…大切な貴方まで傷つけてしまいました……」
【梶井】
「ですが私は…
貴方を、再び傷つけてしまう恐れがあるにも関わらず……」
【梶井】
「それでもまだ…、これからも……貴方と、共に居られることを望んでしまいます」
【梶井】
「貴方が、好きなのです」
【梶井】
「貴方の事が……誰よりも…」
【梶井】
「どうか、こんな私を…受け入れては、いただけないでしょうか」
天鵞絨(ビロード)に抱かれる硝子細工のように…
シルクの布でくるまれる水晶のように…
貴方という綿で、私を包んで欲しい……
―そんな思いを込めて
私は、宮沢さんの瞳を……一心に見つめた
チュプリ、チウゥ……
【宮沢】
「ひ…ッ」
縄の食い込みに舌を這わせて、滲んだ血を舐めとってあげると、宮沢さんは短く悲鳴を上げた
【梶井】
「…私が、怖いのですか?
……なんて、そんな筈はないですよね?」
【梶井】
「だって、貴方は私の全てを受け入れて、何でもして下さるのでしょう?」
【宮沢】
「…ッ!」宮沢さんの腰が、ピクンと震える
【梶井】
「ああ、すみません。
そちらをお留守にしてしまいましたね」
【梶井】
「愛しい貴方を焦らしてしまうなんて…。私としたことが、申し訳ありません」
四つ這いになった宮沢さんの、剥き出しの腰に手を伸ばす
【宮沢】
「…うぁ…っ!」
私の手に、ニチュリとした湿った感触が広がる
【梶井】
「良かった。喜んでいただけていたのですね……」
その、快楽の証を指に絡め取り…
ニッチュニッチュ、ヌチュッ…ニッチュ……
温かく、可愛らしい昂りを、慈しむように柔らかく握って扱きあげる
【宮沢】
「お願……やめ…、やめて…下さ…ぁッ…梶、井さ…ンッ!」
またも、己と結びつけられたベッドの柵を、ギシギシと軋ませる宮沢さん
【宮沢】
「これ…解いて……くぁッ、解いて下…さい…ぃん」
恥ずかしい格好で…全身を弄ばれながらも、
痛むであろう手首を揺らし…、必死で懇願する様に……
空洞な筈の、胸の内側で……コトリと、何かが音を立てた気がした
【梶井】
「………解いたら、どうされるおつもりですか?」
【宮沢】
「……え?」
【梶井】
「縛(いまし)めが解けたら、行ってしまうのでしょう?」
【梶井】
「真綿のような貴方であっても、
こんな私を、受け入れては下さらないのでしょう?」
【梶井】
「父のように!母のように!施設に居た彼らのように…」
【梶井】
「私の見た目に惑わされて、甘い言葉を吐いては裏切る、彼らのように………」
【梶井】
「私を殴って…、突き飛ばして、眠っている間に……、居なくなってしまうのでしょう?」
―みんな、居なくなるのだ
気が付いたら居なかった父も
散々手を上げた挙句、知らない男性と消えた母も
『同じ境遇だから仲間だよ』―と笑いかけてくれた、施設の仲間も
私の容姿や、立場に惹かれて集まる、大勢の男や女も―
【宮沢】
「―梶井さん」
―いつも、プールサイドで私に呼びかけてくれる…優しい声が、ベッドの上から聞こえてくる
よろよろと目線を上げた私に…
その声の主は、言った
【宮沢】
「梶井さん…
コレ、解いてください」
【宮沢】
「俺、梶井さんが癒されるまで、手を繋いでるって…約束しました」
【宮沢】
「この状態じゃ、梶井さんの手…握れないでしょう?」
……そうして彼は、いつもの雪のような笑顔で…私に微笑みかけた
―第4話―
『告白』
【梶井】
「ときどき―、身体に空洞ができるのです」
ルームランプの薄明かりの中、私は静かに告白を始めた
―宮沢さんは、ベッドの上で私の手を握り締めたまま…静かに、私の声に耳を傾けてくれている
【梶井】
「大体、ふた月に1度か2度…。
目が覚めたときに、それは起こります」
覚醒と同時に…、身体が内側からパラパラと剥がれ落ちていく……あの感覚
体内に徐々に空洞が広がっていき…、しまいには、身体の表面を残して全てがなくなってしまう
私が、誰にも必要とされない…空(うつ)ろな存在だと、実感させるように……
空洞を埋めるために、アルコールや他人の肌を求めたこともあった。
……でも、それらは摂取した後に、
余計に穴が広がるばかりで……
【梶井】
「それに気付いてからは―、決して…他人の隣で眠りに落ちることは、しなくなりました」
【梶井】
「そして―、ソレが起こったときは…外との関りを一切絶ち、再び身体が構築されるのを待つのです」
【梶井】
「暗闇と同化したり、薬に頼ったりしながら……ね」
【宮沢】
「梶井さん……」
私の手を握る宮沢さんの手に、きゅ…と力がこもる
【梶井】
「それでも、貴方にシンクロを教えていただくようになってから」
【梶井】
「随分と、回数も持続時間も…減っていたのですよ?」
―そう、宮沢さんと過ごすようになって、気がつくと……暫くソレが訪れていない自分に気がついた
きっと、宮沢さんの優しさや温かさ…、強さや純真さが……
日々少しずつ、私の隙間を埋めていてくれていたから…
なのに……
【梶井】
「先週、私との個人レッスン中に―、盗撮事件があったでしょう?」
【宮沢】
「あ、潤司が気付いて捕まえてくれたヤツ……」
【梶井】
「あの件で…、きっと私は……」
【梶井】
「貴方との平穏が崩されることへの恐怖を、無意識に…深く……抱いてしまったのでしょうね」
だから…今日という日に、アレが訪れてしまったのだ
―今の私の、最も大事な時間
宮沢さんとの、個人レッスンの日に……
【梶井】
「……………」
【梶井】
「…………宮沢さん」
そこまで思い巡らせてから、私は宮沢さんの方へ向き直り……口を開いた
【梶井】
「私は、自分の心や、過去の傷すら制御できずに…大切な貴方まで傷つけてしまいました……」
【梶井】
「ですが私は…
貴方を、再び傷つけてしまう恐れがあるにも関わらず……」
【梶井】
「それでもまだ…、これからも……貴方と、共に居られることを望んでしまいます」
【梶井】
「貴方が、好きなのです」
【梶井】
「貴方の事が……誰よりも…」
【梶井】
「どうか、こんな私を…受け入れては、いただけないでしょうか」
天鵞絨(ビロード)に抱かれる硝子細工のように…
シルクの布でくるまれる水晶のように…
貴方という綿で、私を包んで欲しい……
―そんな思いを込めて
私は、宮沢さんの瞳を……一心に見つめた