告白編 -梶井の場合-
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それなのに………
何故……私は、彼に電話を掛けてしまったのか……
あの、真綿のように白い…彼の心を―
黒く、塗りつぶしてしまうかもしれないのに…………
【宮沢】
「あの…、もしもし。
梶井さん―ですよね?
もしかして事故でも―!?」
私がかけた電話に、慌てた様子で出た宮沢さんは……
連絡なしにレッスンを休もうとしていた私を、責めもせず…
【宮沢】
「そんなのいいんです!
梶井さんのお身体が最優先なんですから!」
【宮沢】
「俺…!今からそちらに伺いますから…!
ご自宅にいらっしゃいますか!?」
ただひたすらに、私の身体だけを心配してくれた
【梶井】
「………………」
【梶井】
「…………本当に、いらしていただけるのですか?」
思わず、そんな言葉が口を突いた
決して会ってはいけないと……
分かっていながら………
―電話を切ってから、30分後
……ピンポーン
【宮沢】
「はぁっ、はぁ…
か…梶井さん、具合…いかが、ですか…!?」
通話を終えた後、すぐに準備をして走って来たのだろう…
荒い呼吸が整うのも待たずに
宮沢さんは、私の身を案じる言葉を口にした―
―第2話―
『違和感』
第2話―違和感―
玄関まで出て、俺を迎え入れてくれた梶井さんは―、
そのまま…無言で俺を促して、ベッドルームへと入っていった
真っ暗な廊下を歩き、梶井さんの後へと続く…
【宮沢】
(こっちの部屋も…、カーテンまで閉め切って―真っ暗だ)
しかし、部屋の暗さよりも、まずは梶井さんだ
【宮沢】
「熱はないですか?
もし、朝から何も召し上がられてないなら、俺…何か作ります」
寝室のドアを閉めながら、梶井さんに呼びかける
俺の声がうまく届かなかったのか―
ベッドの端に腰かけていた梶井さんは……
何だか奇妙なものを前にして、
どうして良いか分からず、途方に暮れているような…、そんな顔をした
【宮沢】
(いつも穏やかな笑顔で、場を柔らげてくれる梶井さんが…こんな表情をするなんて……)
【宮沢】
「あの…、起きているの、辛いんじゃないですか?」
【宮沢】
「もし心細いようでしたら…
俺…ずっと隣に居ますから、とにかくお休みになってください」
熱を出したり、体調が悪くなると…、何だか世界に自分一人みたいな…、そんな寂寞感に駆られる事がある
そういう時は―、身近な誰かに手を握って貰ったりすると…、何となく安心して眠りにつけるものだから……
梶井さんの傍に歩み寄り、ベッドの手前の床に膝をつく
―そして、梶井さんの手を…そっと両手で包み込んだ
ピクリと、梶井さんの手が震える
……梶井さんは、最近さらに各メディアから注目を浴びていて……
連日、なにかの取材やインタビューに追われている
―つい先週などは、俺との個人レッスン中に、ゴシップ誌の記者に隠し撮りまでされる始末だった
【宮沢】
(あのときは…潤司が気付いて、データを取り上げてくれたけど…)
【宮沢】
(そういう事が日常的に起こる日々じゃ、なかなか心も体も休まらないよな……)
【宮沢】
「ご迷惑でなければ…、梶井さんが眠れるまで…俺、こうして、手を握っています」
【宮沢】
「いつもお忙しくて、お疲れだったりするなら…。どうか、今日くらいは…ゆっくり休まれて下さい」
【梶井】
「………っ!」
梶井さんの瞳が、微かに熱を帯びたように感じた
【梶井】
「……たが」
【宮沢】
「……え?」
【梶井】
「貴方が、私を…癒して下さるのですか?」
―まるで、子が親にすがるような……
哀願の眼差し
【宮沢】
(やっぱり…、梶井さんは心細いんだ……)
………改めてベッドルームを見渡す
広い部屋には、クイーンサイズのベッドとサイドボード以外、無駄なものは何1つなく…
【宮沢】
(こんなに、広くて綺麗な寝室なのに…、
なんだか…寂しい感じがする……)
俺は、改めて梶井さんの手を握り直し…言った
【宮沢】
「俺に、できる事があるなら…
それで…梶井さんが少しでも楽になるなら、何でもします」
【宮沢】
「…治療、とかはできないから、根本的なお役には立てないですけど……」
【梶井】
「…………本当、ですか?」
【宮沢】
「はい」
【梶井】
「……本当に、ずっと…居て下さるのですか?」
【宮沢】
「はい、居ます」
梶井さんを安心させるよう…、肯定の返事を繰り返す
【梶井】
「…………それなら」
【梶井】
「……貴方はもう、私のものなのですね」
―ヒヤリとした空気が
室内を満たした気がした
―第3話―
『呪縛』
「はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁ……」
「う……うぁっ、ど…して……」
―私の寝室に、誰のモノともつかない喘ぎ声が響いている
【宮沢】
「俺…ずっと隣に居ますから」
【宮沢】
「俺に、できる事があるなら…
それで…梶井さんが少しでも楽になるなら、何でもします」
……彼は確かにそう言ってくれた
―『彼』?
【宮沢】
「…梶…いさ……、梶井さ……ぁッ!どう…し、て……ぅ…ぁあ…」
―そう、彼だ。
私は先程宮沢さんを手に入れたのだった
この喘ぎ声は、愛しい彼のものではないか
【梶井】
「どうして―だなんて。
貴方が言って下さったのではないですか」
【梶井】
「ずっと私と居て下さるんでしょう?
私を、癒して下さるのでしょう?」
【宮沢】
「だからって…、こんな…
あぅ…ッ、くぁ…あ……」
ギシギシと、宮沢さんの手首を縛った縄と…ベッドの柵が音を立てる
ああ…、手首に縄が食い込んで……擦れて血が滲んでいる。
何故……私は、彼に電話を掛けてしまったのか……
あの、真綿のように白い…彼の心を―
黒く、塗りつぶしてしまうかもしれないのに…………
【宮沢】
「あの…、もしもし。
梶井さん―ですよね?
もしかして事故でも―!?」
私がかけた電話に、慌てた様子で出た宮沢さんは……
連絡なしにレッスンを休もうとしていた私を、責めもせず…
【宮沢】
「そんなのいいんです!
梶井さんのお身体が最優先なんですから!」
【宮沢】
「俺…!今からそちらに伺いますから…!
ご自宅にいらっしゃいますか!?」
ただひたすらに、私の身体だけを心配してくれた
【梶井】
「………………」
【梶井】
「…………本当に、いらしていただけるのですか?」
思わず、そんな言葉が口を突いた
決して会ってはいけないと……
分かっていながら………
―電話を切ってから、30分後
……ピンポーン
【宮沢】
「はぁっ、はぁ…
か…梶井さん、具合…いかが、ですか…!?」
通話を終えた後、すぐに準備をして走って来たのだろう…
荒い呼吸が整うのも待たずに
宮沢さんは、私の身を案じる言葉を口にした―
―第2話―
『違和感』
第2話―違和感―
玄関まで出て、俺を迎え入れてくれた梶井さんは―、
そのまま…無言で俺を促して、ベッドルームへと入っていった
真っ暗な廊下を歩き、梶井さんの後へと続く…
【宮沢】
(こっちの部屋も…、カーテンまで閉め切って―真っ暗だ)
しかし、部屋の暗さよりも、まずは梶井さんだ
【宮沢】
「熱はないですか?
もし、朝から何も召し上がられてないなら、俺…何か作ります」
寝室のドアを閉めながら、梶井さんに呼びかける
俺の声がうまく届かなかったのか―
ベッドの端に腰かけていた梶井さんは……
何だか奇妙なものを前にして、
どうして良いか分からず、途方に暮れているような…、そんな顔をした
【宮沢】
(いつも穏やかな笑顔で、場を柔らげてくれる梶井さんが…こんな表情をするなんて……)
【宮沢】
「あの…、起きているの、辛いんじゃないですか?」
【宮沢】
「もし心細いようでしたら…
俺…ずっと隣に居ますから、とにかくお休みになってください」
熱を出したり、体調が悪くなると…、何だか世界に自分一人みたいな…、そんな寂寞感に駆られる事がある
そういう時は―、身近な誰かに手を握って貰ったりすると…、何となく安心して眠りにつけるものだから……
梶井さんの傍に歩み寄り、ベッドの手前の床に膝をつく
―そして、梶井さんの手を…そっと両手で包み込んだ
ピクリと、梶井さんの手が震える
……梶井さんは、最近さらに各メディアから注目を浴びていて……
連日、なにかの取材やインタビューに追われている
―つい先週などは、俺との個人レッスン中に、ゴシップ誌の記者に隠し撮りまでされる始末だった
【宮沢】
(あのときは…潤司が気付いて、データを取り上げてくれたけど…)
【宮沢】
(そういう事が日常的に起こる日々じゃ、なかなか心も体も休まらないよな……)
【宮沢】
「ご迷惑でなければ…、梶井さんが眠れるまで…俺、こうして、手を握っています」
【宮沢】
「いつもお忙しくて、お疲れだったりするなら…。どうか、今日くらいは…ゆっくり休まれて下さい」
【梶井】
「………っ!」
梶井さんの瞳が、微かに熱を帯びたように感じた
【梶井】
「……たが」
【宮沢】
「……え?」
【梶井】
「貴方が、私を…癒して下さるのですか?」
―まるで、子が親にすがるような……
哀願の眼差し
【宮沢】
(やっぱり…、梶井さんは心細いんだ……)
………改めてベッドルームを見渡す
広い部屋には、クイーンサイズのベッドとサイドボード以外、無駄なものは何1つなく…
【宮沢】
(こんなに、広くて綺麗な寝室なのに…、
なんだか…寂しい感じがする……)
俺は、改めて梶井さんの手を握り直し…言った
【宮沢】
「俺に、できる事があるなら…
それで…梶井さんが少しでも楽になるなら、何でもします」
【宮沢】
「…治療、とかはできないから、根本的なお役には立てないですけど……」
【梶井】
「…………本当、ですか?」
【宮沢】
「はい」
【梶井】
「……本当に、ずっと…居て下さるのですか?」
【宮沢】
「はい、居ます」
梶井さんを安心させるよう…、肯定の返事を繰り返す
【梶井】
「…………それなら」
【梶井】
「……貴方はもう、私のものなのですね」
―ヒヤリとした空気が
室内を満たした気がした
―第3話―
『呪縛』
「はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁ……」
「う……うぁっ、ど…して……」
―私の寝室に、誰のモノともつかない喘ぎ声が響いている
【宮沢】
「俺…ずっと隣に居ますから」
【宮沢】
「俺に、できる事があるなら…
それで…梶井さんが少しでも楽になるなら、何でもします」
……彼は確かにそう言ってくれた
―『彼』?
【宮沢】
「…梶…いさ……、梶井さ……ぁッ!どう…し、て……ぅ…ぁあ…」
―そう、彼だ。
私は先程宮沢さんを手に入れたのだった
この喘ぎ声は、愛しい彼のものではないか
【梶井】
「どうして―だなんて。
貴方が言って下さったのではないですか」
【梶井】
「ずっと私と居て下さるんでしょう?
私を、癒して下さるのでしょう?」
【宮沢】
「だからって…、こんな…
あぅ…ッ、くぁ…あ……」
ギシギシと、宮沢さんの手首を縛った縄と…ベッドの柵が音を立てる
ああ…、手首に縄が食い込んで……擦れて血が滲んでいる。