交際半年 梶井編
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【梶井】
「それに、大葉はビタミンKが豊富で、鬱血痕なども早く消えやすいですから…」
【宮沢】
「!!梶井さん…!」
【梶井】
「ここ数日、貴方がプールに入れないのは、私が痣をつけてしまったからでしょう…?」
【梶井】
「貴方の大事なものを奪ってしまって、本当に…申し訳ありません……」
『お疲れ様です。今日はビタミンKが豊富なお食事を作って差し上げますね』
夕方貰ったあのメールに、そんな意味が込められていたなんて…
【宮沢】
「そんな!気になさらないで下さい」
【宮沢】
「元はといえばあの日、俺が途中で意識を飛ばしたせいですから…」
そんな俺の答えに、梶井さんは悲しそうに目を伏せて、ふるふると首を横に振った
【梶井】
「傷を隠さなければいけない辛さは、身に染みて…知っていますのに……」
【梶井】
「同じ苦しみを、愛しい貴方に与えてしまうなんて、まるで暴力の螺旋ですね…」
―第3話―
『懺悔』
【梶井】
「母であった女性は、私によく痣をつくりました」
【梶井】
「愛しい相手に去られた悲しみを、他者への暴力に転嫁したのです」
シチューを掻き回しながら、ポツリポツリと言葉を紡ぐ
―何故私は、宮沢さんにこんな事を話しているのだろう
【梶井】
「フフ、それにしては私の身体…、虐待されたような痕はないでしょう?」
【梶井】
「幸いなことに、彼女は血を見るのが嫌いでして―
…臆病な人だったのでしょうね」
【梶井】
「刃物で刺せば傷は残るし、死の危険性も、公になる可能性も高い。火傷をさせても然り―…」
【梶井】
「リスクを負うことを何よりも恐れる彼女は、激情に任せて振る舞う事も出来ず…」
【梶井】
「ただポコポコと、私を叩き続けたのです」
【梶井】
「痣ならば、時間が経てば消えますし、余程何度も強く叩かなければ、死にませんからね…」
―くすくす
懐かしく昔を思い出し、自然に笑みが漏れる
【梶井】
「今にして思えば、そういう惰弱な部分が、男に軽んじられる原因の1つだったのでしょうが」
子どもの頃の脅威も、こうして歳を経て冷静に振り返ると、何とも憐れなものだ
宮沢さんは、黙って私の話に耳を傾けてくれている
【梶井】
「まあそれでも、別の男を掴まえて、恨めしい男の子供を人生から消すことができたのですから…」
【梶井】
「女というのは、随分としたたかに出来ているものです」
【梶井】
「私は―といえば
痣を隠すのにプールを見学したり、
年中長袖を着ていたお蔭で…」
【梶井】
「…………フフ」
【梶井】
「色白で華奢で…大人しそうな少年は、特定の人種から見ると堪らない。……分かるでしょう?」
【宮沢】
「………あ」
―そう、宮沢さんも経験がある筈だ
彼は天性で、『その手の輩』を惹きつける色香を放っているのだから
だけど、宮沢さんには家族や、谷崎さんが居た
『護られた子供』と『護られなかった子供』
―2人の違いは、ただそれだけ
【梶井】
「だけど、そんな外因など関係なく、私は元々…穢れた人間でしたから」
【梶井】
「―だって私は担任教師やアパートの大家、そして施設の院長とまで、関係を持っていたのですから」
【梶井】
「居なくなった父親の面影を重ねて、慕っていただけの筈だったのですけどね…」
【梶井】
「きっと、私の中の空洞は、彼らによって穿たれた疵(きず)なのでしょう」
【梶井】
「そして私は、母親だった女性と同じく、他者への破壊衝動へと…その疵を転嫁したのです」
……ああ、そうなのだ
私は話しながら、気付いてしまった
【梶井】
「私が宮沢さんに行っている行動は―全てあの、下衆な男達と……同じ行
為なのです」
【梶井】
「純粋で真っ白な貴方の中を抉(えぐ)って、宮沢さんに…私と同じ穴を……空けようと……」
【梶井】
「…貴方の事を、誰よりも愛しいと…思っている筈ですのに……私、は………わた…し…」
【梶井】
「…………
…私と、したことが」
シチューをかき混ぜる手は、いつの間にか止まっていた
【梶井】
「………おたまは
何処にいったの
でしょう…」
それどころか、私の手にはおたますらも握られていない
ああ、このままではせっかくのビタミンKが豊富なシチューが焦げ付いてしまう
私が付けてしまった、宮沢さんの痣を早く治すための…大事なシチューが……
―しかし
……くるくる
【梶井】
「……あ」
私の手を離れた筈のおたまが、シチューをかき混ぜている
……そして、その柄を握っているのは
【宮沢】
「梶井さんとその人たちは、全然違います」
【宮沢】
「それに、俺たちは恋人どうしだから…ちゃんと、合意の上の行為でしょう?」
宮沢さんが、シチューを掻き回しながら、私ににっこりと微笑みかけていた
【宮沢】
「今日は、縛ったり、道具を使ったりせずに…しませんか?」
夕食後、宮沢さんは自ら衣服を脱ぎ去り、そう言って私の手を握った
【梶井】
「……ですが」
心と同じく真っ白で、穢れのない躰、穢れのない瞳
この清浄な身体を、欠陥だらけで穢れきった私が、そのまま抱いても良いのだろうか……
せめて何かを損なった状態でないと
それでも釣り合いはとれないけれど、それでも…
そんな葛藤が、私の心を嵐のように掻き乱す
【宮沢】
「―梶井さん」
―ピクン
呼びかけに反応して、筋肉が跳ねた
【宮沢】
「梶井さんは綺麗で優しくて、俺の憧れです」
【宮沢】
「それにお料理が出来て、気配り上手で、チームに居て下さって…とても助かってます」
【宮沢】
「大会でも、梶井さんが水上にジャンプすると、観客席から感嘆の溜息がたくさん聞こえてくるんです」
【宮沢】
「俺もいつも見惚れちゃいます!
本当に誰よりも綺麗なんですよ!」
「それに、大葉はビタミンKが豊富で、鬱血痕なども早く消えやすいですから…」
【宮沢】
「!!梶井さん…!」
【梶井】
「ここ数日、貴方がプールに入れないのは、私が痣をつけてしまったからでしょう…?」
【梶井】
「貴方の大事なものを奪ってしまって、本当に…申し訳ありません……」
『お疲れ様です。今日はビタミンKが豊富なお食事を作って差し上げますね』
夕方貰ったあのメールに、そんな意味が込められていたなんて…
【宮沢】
「そんな!気になさらないで下さい」
【宮沢】
「元はといえばあの日、俺が途中で意識を飛ばしたせいですから…」
そんな俺の答えに、梶井さんは悲しそうに目を伏せて、ふるふると首を横に振った
【梶井】
「傷を隠さなければいけない辛さは、身に染みて…知っていますのに……」
【梶井】
「同じ苦しみを、愛しい貴方に与えてしまうなんて、まるで暴力の螺旋ですね…」
―第3話―
『懺悔』
【梶井】
「母であった女性は、私によく痣をつくりました」
【梶井】
「愛しい相手に去られた悲しみを、他者への暴力に転嫁したのです」
シチューを掻き回しながら、ポツリポツリと言葉を紡ぐ
―何故私は、宮沢さんにこんな事を話しているのだろう
【梶井】
「フフ、それにしては私の身体…、虐待されたような痕はないでしょう?」
【梶井】
「幸いなことに、彼女は血を見るのが嫌いでして―
…臆病な人だったのでしょうね」
【梶井】
「刃物で刺せば傷は残るし、死の危険性も、公になる可能性も高い。火傷をさせても然り―…」
【梶井】
「リスクを負うことを何よりも恐れる彼女は、激情に任せて振る舞う事も出来ず…」
【梶井】
「ただポコポコと、私を叩き続けたのです」
【梶井】
「痣ならば、時間が経てば消えますし、余程何度も強く叩かなければ、死にませんからね…」
―くすくす
懐かしく昔を思い出し、自然に笑みが漏れる
【梶井】
「今にして思えば、そういう惰弱な部分が、男に軽んじられる原因の1つだったのでしょうが」
子どもの頃の脅威も、こうして歳を経て冷静に振り返ると、何とも憐れなものだ
宮沢さんは、黙って私の話に耳を傾けてくれている
【梶井】
「まあそれでも、別の男を掴まえて、恨めしい男の子供を人生から消すことができたのですから…」
【梶井】
「女というのは、随分としたたかに出来ているものです」
【梶井】
「私は―といえば
痣を隠すのにプールを見学したり、
年中長袖を着ていたお蔭で…」
【梶井】
「…………フフ」
【梶井】
「色白で華奢で…大人しそうな少年は、特定の人種から見ると堪らない。……分かるでしょう?」
【宮沢】
「………あ」
―そう、宮沢さんも経験がある筈だ
彼は天性で、『その手の輩』を惹きつける色香を放っているのだから
だけど、宮沢さんには家族や、谷崎さんが居た
『護られた子供』と『護られなかった子供』
―2人の違いは、ただそれだけ
【梶井】
「だけど、そんな外因など関係なく、私は元々…穢れた人間でしたから」
【梶井】
「―だって私は担任教師やアパートの大家、そして施設の院長とまで、関係を持っていたのですから」
【梶井】
「居なくなった父親の面影を重ねて、慕っていただけの筈だったのですけどね…」
【梶井】
「きっと、私の中の空洞は、彼らによって穿たれた疵(きず)なのでしょう」
【梶井】
「そして私は、母親だった女性と同じく、他者への破壊衝動へと…その疵を転嫁したのです」
……ああ、そうなのだ
私は話しながら、気付いてしまった
【梶井】
「私が宮沢さんに行っている行動は―全てあの、下衆な男達と……同じ行
為なのです」
【梶井】
「純粋で真っ白な貴方の中を抉(えぐ)って、宮沢さんに…私と同じ穴を……空けようと……」
【梶井】
「…貴方の事を、誰よりも愛しいと…思っている筈ですのに……私、は………わた…し…」
【梶井】
「…………
…私と、したことが」
シチューをかき混ぜる手は、いつの間にか止まっていた
【梶井】
「………おたまは
何処にいったの
でしょう…」
それどころか、私の手にはおたますらも握られていない
ああ、このままではせっかくのビタミンKが豊富なシチューが焦げ付いてしまう
私が付けてしまった、宮沢さんの痣を早く治すための…大事なシチューが……
―しかし
……くるくる
【梶井】
「……あ」
私の手を離れた筈のおたまが、シチューをかき混ぜている
……そして、その柄を握っているのは
【宮沢】
「梶井さんとその人たちは、全然違います」
【宮沢】
「それに、俺たちは恋人どうしだから…ちゃんと、合意の上の行為でしょう?」
宮沢さんが、シチューを掻き回しながら、私ににっこりと微笑みかけていた
【宮沢】
「今日は、縛ったり、道具を使ったりせずに…しませんか?」
夕食後、宮沢さんは自ら衣服を脱ぎ去り、そう言って私の手を握った
【梶井】
「……ですが」
心と同じく真っ白で、穢れのない躰、穢れのない瞳
この清浄な身体を、欠陥だらけで穢れきった私が、そのまま抱いても良いのだろうか……
せめて何かを損なった状態でないと
それでも釣り合いはとれないけれど、それでも…
そんな葛藤が、私の心を嵐のように掻き乱す
【宮沢】
「―梶井さん」
―ピクン
呼びかけに反応して、筋肉が跳ねた
【宮沢】
「梶井さんは綺麗で優しくて、俺の憧れです」
【宮沢】
「それにお料理が出来て、気配り上手で、チームに居て下さって…とても助かってます」
【宮沢】
「大会でも、梶井さんが水上にジャンプすると、観客席から感嘆の溜息がたくさん聞こえてくるんです」
【宮沢】
「俺もいつも見惚れちゃいます!
本当に誰よりも綺麗なんですよ!」