井伏と初お泊り
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
【宮沢】
「わあ、すごいですね!
これが貸し切りなんて、すごく贅沢です!」
貸し切り用の鍵で扉を開いた直後、
広がる空間に感嘆の声を上げる
【井伏】
「初めての2人旅が他人のキャンセルプランなんてわりーね。次はちゃんと、計画立てて連れてくからさ」
【宮沢】
「そんな!
俺、こんなに立派な温泉初めてです!」
トタトタと畳を踏んで歩き回り
太い天井の梁や、風流な行燈の灯りを眺める
【井伏】
「はは。はしゃいでるのも可愛いけど、転ぶなよ?アンタそそっかしからさ」
入口の戸を閉めながら、井伏さんがこちらに笑顔を向ける
旧家の離れを改築したというプライベート温泉は、この温泉宿の名物で…
日4組限定の2時間貸切プランは、本来であれば予約1年待ちという超人気コースらしい
【井伏】
「取引先の部長が行けなくなったとかで権利譲ってくれてさ」
【井伏】
「せっかくだから一緒にどうよ?」
―そんなふうに誘って貰ったのが1週間前
………あの告白から3ヶ月
俺たちは、初めての…2人きりの1泊旅行に来ていた
【宮沢】
「脱衣所もすごかったですけど、温泉もすっごく素敵ですね!」
【井伏】
「宮沢くん、さっきからずっとスゴいスゴい言ってんな」
【宮沢】
「だって!ホントにすごいんですもん」
幻想的な燈火(ともしび)と湯気で霞む情景を目の前に、とても感動を伝えずにはいられない
【井伏】
「ま、それだけ喜んで貰えると嬉しいけどさ」
【井伏】
「ほら、突っ立ってると風邪ひくぜ?」
井伏さんが、備え付けの檜の桶を手渡してくれつつ、洗い場の方へと俺を促す
【宮沢】
「ありがとうございます。
えへへ、早く洗って温泉に浸かりたいですもんね」
【井伏】
「ん?……ああ」
井伏さんの返事が一瞬遅れたなと感じた直後……
【井伏】
「それに、あんま無防備に裸晒してっと、部屋着く前に襲っちまうぜ?」
【宮沢】
「もー。井伏さんはまたそういう―」
いつもの爽やかな笑顔で言われたその言葉に、俺も笑顔で切り返す
―でも
【宮沢】
(……俺たちって、やっぱり付き合ってることになるのかな)
未だ確信の持てないその問いを、頭の中に浮かべるのは、これで何度目だろうか……
…3ヶ月前の遊園地での告白以来、井伏さんは本当に優しくて……
毎日メールをくれたり、個人レッスンを遅い時間に入れてバイト帰りに送ってくれたりと…
それまで以上に一緒にいる時間や会話が増えていた
【宮沢】
(…でも、井伏さんは女の人が好きなんだよね?)
【宮沢】
(それに俺も、男の人とは付き合ったことないから、よく分かんないし……)
……井伏さんのことはすごく好きだ
一緒にいて面白くて、それに…俺にだけじゃなく、いつも周囲に自然と気を使っていて…
【宮沢】
(セクハラぎりぎりの言動も、いつもサラっとしていて、いやらしさがないんだよね…)
…俺は何故か、小さい頃から男の人におかしなことをされる事が多かった
電車やバスの中で身体を触られたり…、同級生や先輩に、急に押し倒されたりキスされそうになったり…
見た目が頼りないから、面白半分に悪戯したくなるのかもしれないと、筋トレを頑張ったこともあった
【宮沢】
(いつも潤司が助けてくれて、気にするなって…言ってくれてたけど……)
……それでも
成長に伴って、女性と見まごう筈のない容姿になってからも、決して減ることのないそれらの行為が
多少なりともコンプレックスになっていない訳ではなかった
―なのに
【宮沢】
(井伏さんから『愛してる』って言われて、キスされて…、ちっとも嫌じゃなかった…)
【宮沢】
「………」
隣で身体を洗う井伏さんに、チラリと視線を移す
【宮沢】
(……やっぱり、格好良いなあ)
顔もさることながら
井伏さんの身体は、すごく綺麗なのだ
男らしく広い肩幅、程よい厚みのある胸板、引き締まった腹筋、長い手脚―
【宮沢】
(選手として理想的だけど…、女の人から見たら…別の意味で魅力的なんだろうなあ…)
【井伏】
「………」
【井伏】
「欲しそうな顔で見つめてくれんのは嬉しいけどさ、身体冷えるぜ?」
【宮沢】
「え…っ!?
あっ!そ…そんなんじゃないです!」
ザバ――ッ
うっかり身体を洗う手を止めて、井伏さんをぼんやり見つめていたことに気づき、慌てて頭から桶のお湯を被る
【宮沢】
「ぷあっ!」
【井伏】
「ははは、宮沢くん面白れー」
―トクン
お湯の滴る前髪を左右に分けてくれる井伏さんの指が、額に触れて……
俺の心臓が、音を立てて揺れた
―初お泊り編・井伏第1話―
『意識』
【宮沢】
「え?温泉ですか?」
【宮沢】
「いいですね!俺、中学のときの家族旅行以来、行ったことなくて」
【井伏】
「お、んじゃ決まりだな
一応言っとくけど、2人で泊まりだぜ?」
【宮沢】
「はい!けっこう遠いですもんね
わあ、今から楽しみです」
何の屈託もない、いつもの笑顔
【井伏】
(まあ、本気にされてないのは、今に始まったことじゃないけど…な)
俺との1泊旅行をあっさりと承諾した宮沢くんを目の前にして、頭の中でそう呟く
あの日の告白で、ようやく俺の気持ちが本気だって事は理解してくれたらしい宮沢くんだったが
どうも付き合うとか、そういう実感はないらしい
【宮沢】
「えへへ、早く洗って温泉に浸かりたいですもんね」
裸の宮沢くんが、無警戒な笑顔をこちらへ向けている
【井伏】
「ん?……ああ」
その笑顔と肢体に一瞬目を奪われて、返事が遅れる
正直―
男の身体に欲情する日が来るとは、
自分でも想像もしていなかったというのに…
【井伏】
「あんま無防備に裸晒してっと、部屋着く前に襲っちまうぜ?」
【宮沢】
「もー。井伏さんはまたそういう―」
ずっと繰り返されてきた、定番のやりとり
……しかし
出会った頃は冗談だったそんな台詞も、今では―
「わあ、すごいですね!
これが貸し切りなんて、すごく贅沢です!」
貸し切り用の鍵で扉を開いた直後、
広がる空間に感嘆の声を上げる
【井伏】
「初めての2人旅が他人のキャンセルプランなんてわりーね。次はちゃんと、計画立てて連れてくからさ」
【宮沢】
「そんな!
俺、こんなに立派な温泉初めてです!」
トタトタと畳を踏んで歩き回り
太い天井の梁や、風流な行燈の灯りを眺める
【井伏】
「はは。はしゃいでるのも可愛いけど、転ぶなよ?アンタそそっかしからさ」
入口の戸を閉めながら、井伏さんがこちらに笑顔を向ける
旧家の離れを改築したというプライベート温泉は、この温泉宿の名物で…
日4組限定の2時間貸切プランは、本来であれば予約1年待ちという超人気コースらしい
【井伏】
「取引先の部長が行けなくなったとかで権利譲ってくれてさ」
【井伏】
「せっかくだから一緒にどうよ?」
―そんなふうに誘って貰ったのが1週間前
………あの告白から3ヶ月
俺たちは、初めての…2人きりの1泊旅行に来ていた
【宮沢】
「脱衣所もすごかったですけど、温泉もすっごく素敵ですね!」
【井伏】
「宮沢くん、さっきからずっとスゴいスゴい言ってんな」
【宮沢】
「だって!ホントにすごいんですもん」
幻想的な燈火(ともしび)と湯気で霞む情景を目の前に、とても感動を伝えずにはいられない
【井伏】
「ま、それだけ喜んで貰えると嬉しいけどさ」
【井伏】
「ほら、突っ立ってると風邪ひくぜ?」
井伏さんが、備え付けの檜の桶を手渡してくれつつ、洗い場の方へと俺を促す
【宮沢】
「ありがとうございます。
えへへ、早く洗って温泉に浸かりたいですもんね」
【井伏】
「ん?……ああ」
井伏さんの返事が一瞬遅れたなと感じた直後……
【井伏】
「それに、あんま無防備に裸晒してっと、部屋着く前に襲っちまうぜ?」
【宮沢】
「もー。井伏さんはまたそういう―」
いつもの爽やかな笑顔で言われたその言葉に、俺も笑顔で切り返す
―でも
【宮沢】
(……俺たちって、やっぱり付き合ってることになるのかな)
未だ確信の持てないその問いを、頭の中に浮かべるのは、これで何度目だろうか……
…3ヶ月前の遊園地での告白以来、井伏さんは本当に優しくて……
毎日メールをくれたり、個人レッスンを遅い時間に入れてバイト帰りに送ってくれたりと…
それまで以上に一緒にいる時間や会話が増えていた
【宮沢】
(…でも、井伏さんは女の人が好きなんだよね?)
【宮沢】
(それに俺も、男の人とは付き合ったことないから、よく分かんないし……)
……井伏さんのことはすごく好きだ
一緒にいて面白くて、それに…俺にだけじゃなく、いつも周囲に自然と気を使っていて…
【宮沢】
(セクハラぎりぎりの言動も、いつもサラっとしていて、いやらしさがないんだよね…)
…俺は何故か、小さい頃から男の人におかしなことをされる事が多かった
電車やバスの中で身体を触られたり…、同級生や先輩に、急に押し倒されたりキスされそうになったり…
見た目が頼りないから、面白半分に悪戯したくなるのかもしれないと、筋トレを頑張ったこともあった
【宮沢】
(いつも潤司が助けてくれて、気にするなって…言ってくれてたけど……)
……それでも
成長に伴って、女性と見まごう筈のない容姿になってからも、決して減ることのないそれらの行為が
多少なりともコンプレックスになっていない訳ではなかった
―なのに
【宮沢】
(井伏さんから『愛してる』って言われて、キスされて…、ちっとも嫌じゃなかった…)
【宮沢】
「………」
隣で身体を洗う井伏さんに、チラリと視線を移す
【宮沢】
(……やっぱり、格好良いなあ)
顔もさることながら
井伏さんの身体は、すごく綺麗なのだ
男らしく広い肩幅、程よい厚みのある胸板、引き締まった腹筋、長い手脚―
【宮沢】
(選手として理想的だけど…、女の人から見たら…別の意味で魅力的なんだろうなあ…)
【井伏】
「………」
【井伏】
「欲しそうな顔で見つめてくれんのは嬉しいけどさ、身体冷えるぜ?」
【宮沢】
「え…っ!?
あっ!そ…そんなんじゃないです!」
ザバ――ッ
うっかり身体を洗う手を止めて、井伏さんをぼんやり見つめていたことに気づき、慌てて頭から桶のお湯を被る
【宮沢】
「ぷあっ!」
【井伏】
「ははは、宮沢くん面白れー」
―トクン
お湯の滴る前髪を左右に分けてくれる井伏さんの指が、額に触れて……
俺の心臓が、音を立てて揺れた
―初お泊り編・井伏第1話―
『意識』
【宮沢】
「え?温泉ですか?」
【宮沢】
「いいですね!俺、中学のときの家族旅行以来、行ったことなくて」
【井伏】
「お、んじゃ決まりだな
一応言っとくけど、2人で泊まりだぜ?」
【宮沢】
「はい!けっこう遠いですもんね
わあ、今から楽しみです」
何の屈託もない、いつもの笑顔
【井伏】
(まあ、本気にされてないのは、今に始まったことじゃないけど…な)
俺との1泊旅行をあっさりと承諾した宮沢くんを目の前にして、頭の中でそう呟く
あの日の告白で、ようやく俺の気持ちが本気だって事は理解してくれたらしい宮沢くんだったが
どうも付き合うとか、そういう実感はないらしい
【宮沢】
「えへへ、早く洗って温泉に浸かりたいですもんね」
裸の宮沢くんが、無警戒な笑顔をこちらへ向けている
【井伏】
「ん?……ああ」
その笑顔と肢体に一瞬目を奪われて、返事が遅れる
正直―
男の身体に欲情する日が来るとは、
自分でも想像もしていなかったというのに…
【井伏】
「あんま無防備に裸晒してっと、部屋着く前に襲っちまうぜ?」
【宮沢】
「もー。井伏さんはまたそういう―」
ずっと繰り返されてきた、定番のやりとり
……しかし
出会った頃は冗談だったそんな台詞も、今では―