告白編 -井伏の場合-
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【宮沢】
「あはは、チケットでお願いします」
そんなやりとりをしながら、俺たちは入場口をくぐった
―第3話―
『揺らぎ』
【井伏】
「今の後方連続3回転はなかなかキたな?」
【井伏】
「お、次コレにしよーぜ!フラッシュピストンマッハコースター!」
【宮沢】
「井伏さん、めちゃめちゃ元気ですね。こんなに連続で乗って、具合悪くなったりしないんですか?」
既に7連続、俺たちは絶叫マシーン縛りで、アトラクションに乗り続けていた
【井伏】
「俺、戦闘機とか飛行機とか好きでさ。重力消える感覚の乗り物乗ると、気分が昂揚するっつーか…」
【井伏】
「童心に帰るってヤツ?
なんかワクワクするんだよな!」
珍しく頬を紅潮させて話す井伏さんは、本当に嬉しそうに、瞳を輝かせている
【宮沢】
「あはは、井伏さんて普段クールな感じに見えるから、ちょっと意外です」
俺から見た井伏さんは、あまり何かに固執したり、夢中になっている印象がなかったので、思わずそう口に出す
【井伏】
「クールって、俺が?
俺、『コレだ!』って思ったら、すっげーのめり込むぜ?」
【井伏】
「まあ、そこまで気に入るもの自体が少ないし…。それ以外に対しては、確かに人より関心薄いかもな」
【宮沢】
「ちなみに、他にもあるんですか?井伏さんがそこまで気に入ってるものって……」
【井伏】
「………」
【宮沢】
「………」
突如として流れる沈黙……
…何か、聞いてはいけないことを聞いてしまったのかと、不安になった、そのとき―
【井伏】
「……あるぜ?
あと2つ………な」
ドクン―…
まただ…。朝…待ち合わせのときに感じた、心臓が跳ねるような感覚が再び起こる
どうして今日は、井伏さんの何気ない表情に…こうも心が揺り動かされるのだろう
【井伏】
「ところでさ、宮沢くんこそ体調は大丈夫なのか?」
【宮沢】
「………え?」
【井伏】
「これだけ絶叫マシン乗り倒したの、初めてだろ?
疲れたらすぐ言えよ?休憩すっから」
【宮沢】
「……実は、少しだけ頭がクラクラしてまして…」
【宮沢】
「もし宜しかったら、ちょっとだけインターバル開けませんか?」
俺は、井伏さんに素直にそう打ち明けた
絶叫系のアトラクションは、決して苦手ではないのだが…、朝から立て続けだと、やっぱり多少負担がかかる
【井伏】
「あー悪ぃ、無理させちまったか。
飲み物買ってくるから、ここ座って休んどけよ」
心配そうに俺の顔を覗き込みながら、優しい声を掛けてくれる井伏さん
【宮沢】
「いえ、そんな!全然大丈夫ですから」
せっかく井伏さんも楽しんでくれているのに、こんな事で水を差してしまうのが、申し訳なくて…
それに楽しい時が途切れるのが勿体なくて……、俺は慌てて首を左右に振った
【宮沢】
「そうだ!ここ、絶叫マシン以外にも、色々アトラクションがあるみたいですよ!」
【宮沢】
「せっかくだから、そういうのも入ってみませんか?
例えばこの『俺アリスの館』とか…」
俺がそう言いかけたときだった……
【井伏】
「そういうことならさ、俺いっこ行ってみたいトコあんだけど」
【宮沢】
「じゃあソコいきましょう!
なんていうアトラクションです?ここから近いですかね」
園内地図を広げながら、井伏さんに説明を促す
【井伏】
「えーと……
お、ここだ! この『臨死!死兆星が見える館』!」
【井伏】
「得意先の人に聞いたんだけどさ、日本一恐いお化け屋敷らしいぜ。
1回入ってみたかったんだよな?」
【宮沢】
「……え
……………
……………………」
笑顔のまま、俺は凍りついた
【井伏】
「ん?どうした、宮沢くん」
【宮沢】
「は…ははは……
俺、実はお化け系苦手で……」
かつて、文化祭のお化け屋敷ですら…、恐怖のあまりパニックに陥った過去が甦る
【井伏】
「怖いのか?
大丈夫だって、しょせん皆作りモンだぜ?」
【井伏】
「暗いのが苦手なら、俺がずっと手ェ握っててやるよ」
【宮沢】
「…ぜ、……絶対ですか?」
【井伏】
「信用しろって。
俺が宮沢くんの手を離す訳ないだろ?」
【宮沢】
「……絶対ぜったいゼッタイですね……?」
【井伏】
「任しとけって」
【宮沢】
「……………分かりました。
い…行きましょう」
俺は……、心の底からお化けや心霊のたぐいが苦手なのだ
でも、今日は…せっかく井伏さんがチケットを奢ってくれたし、こんなに楽しんでくれている…
【宮沢】
(ここは1つ覚悟を決めないと…!
…………大丈夫、死ぬわけじゃない……死ぬわけじゃない…)
そんな言葉を念仏のように繰り返しながら、
俺は…井伏さんの後に続いて、件(くだん)のアトラクションへと歩みを進めたのだった
―第4話―
『告白』
俺たちは、『臨死!死兆星が見える館』に足を踏み入れていた
館の入り口に、ご丁寧に『話題騒然! 国内最恐!!』の文字がデカデカと踊っていたそこは……
―おどろおどろしい石壁と、どこまでも続く暗闇が……、先の見えない恐怖を物語っていた
【井伏】
「おおー。やべーな、さすが国内最恐……」
そうは言っても、まあ娯楽施設なのは確かだ
どこか好奇心が勝る気持ちで、壮大な迷宮のセットを見渡していると……
【宮沢】
「……………」
既に宮沢くんは……、言葉を発することもできない状態に陥っていて…
―ぎゅ
(…………はぐれたら、死ぬ)
そう言わんばかりに、俺の手と服の裾を…左右それぞれの手に、キツく握り締めている
【井伏】
「あー、よしよし。宮沢くんは俺が守ってやるからさ。ほら、進もうぜ?」
【宮沢】
「あ………あいっ」
空いた方の手で頭を撫でてやると、完全に裏返った声の返事が返ってきた
「あはは、チケットでお願いします」
そんなやりとりをしながら、俺たちは入場口をくぐった
―第3話―
『揺らぎ』
【井伏】
「今の後方連続3回転はなかなかキたな?」
【井伏】
「お、次コレにしよーぜ!フラッシュピストンマッハコースター!」
【宮沢】
「井伏さん、めちゃめちゃ元気ですね。こんなに連続で乗って、具合悪くなったりしないんですか?」
既に7連続、俺たちは絶叫マシーン縛りで、アトラクションに乗り続けていた
【井伏】
「俺、戦闘機とか飛行機とか好きでさ。重力消える感覚の乗り物乗ると、気分が昂揚するっつーか…」
【井伏】
「童心に帰るってヤツ?
なんかワクワクするんだよな!」
珍しく頬を紅潮させて話す井伏さんは、本当に嬉しそうに、瞳を輝かせている
【宮沢】
「あはは、井伏さんて普段クールな感じに見えるから、ちょっと意外です」
俺から見た井伏さんは、あまり何かに固執したり、夢中になっている印象がなかったので、思わずそう口に出す
【井伏】
「クールって、俺が?
俺、『コレだ!』って思ったら、すっげーのめり込むぜ?」
【井伏】
「まあ、そこまで気に入るもの自体が少ないし…。それ以外に対しては、確かに人より関心薄いかもな」
【宮沢】
「ちなみに、他にもあるんですか?井伏さんがそこまで気に入ってるものって……」
【井伏】
「………」
【宮沢】
「………」
突如として流れる沈黙……
…何か、聞いてはいけないことを聞いてしまったのかと、不安になった、そのとき―
【井伏】
「……あるぜ?
あと2つ………な」
ドクン―…
まただ…。朝…待ち合わせのときに感じた、心臓が跳ねるような感覚が再び起こる
どうして今日は、井伏さんの何気ない表情に…こうも心が揺り動かされるのだろう
【井伏】
「ところでさ、宮沢くんこそ体調は大丈夫なのか?」
【宮沢】
「………え?」
【井伏】
「これだけ絶叫マシン乗り倒したの、初めてだろ?
疲れたらすぐ言えよ?休憩すっから」
【宮沢】
「……実は、少しだけ頭がクラクラしてまして…」
【宮沢】
「もし宜しかったら、ちょっとだけインターバル開けませんか?」
俺は、井伏さんに素直にそう打ち明けた
絶叫系のアトラクションは、決して苦手ではないのだが…、朝から立て続けだと、やっぱり多少負担がかかる
【井伏】
「あー悪ぃ、無理させちまったか。
飲み物買ってくるから、ここ座って休んどけよ」
心配そうに俺の顔を覗き込みながら、優しい声を掛けてくれる井伏さん
【宮沢】
「いえ、そんな!全然大丈夫ですから」
せっかく井伏さんも楽しんでくれているのに、こんな事で水を差してしまうのが、申し訳なくて…
それに楽しい時が途切れるのが勿体なくて……、俺は慌てて首を左右に振った
【宮沢】
「そうだ!ここ、絶叫マシン以外にも、色々アトラクションがあるみたいですよ!」
【宮沢】
「せっかくだから、そういうのも入ってみませんか?
例えばこの『俺アリスの館』とか…」
俺がそう言いかけたときだった……
【井伏】
「そういうことならさ、俺いっこ行ってみたいトコあんだけど」
【宮沢】
「じゃあソコいきましょう!
なんていうアトラクションです?ここから近いですかね」
園内地図を広げながら、井伏さんに説明を促す
【井伏】
「えーと……
お、ここだ! この『臨死!死兆星が見える館』!」
【井伏】
「得意先の人に聞いたんだけどさ、日本一恐いお化け屋敷らしいぜ。
1回入ってみたかったんだよな?」
【宮沢】
「……え
……………
……………………」
笑顔のまま、俺は凍りついた
【井伏】
「ん?どうした、宮沢くん」
【宮沢】
「は…ははは……
俺、実はお化け系苦手で……」
かつて、文化祭のお化け屋敷ですら…、恐怖のあまりパニックに陥った過去が甦る
【井伏】
「怖いのか?
大丈夫だって、しょせん皆作りモンだぜ?」
【井伏】
「暗いのが苦手なら、俺がずっと手ェ握っててやるよ」
【宮沢】
「…ぜ、……絶対ですか?」
【井伏】
「信用しろって。
俺が宮沢くんの手を離す訳ないだろ?」
【宮沢】
「……絶対ぜったいゼッタイですね……?」
【井伏】
「任しとけって」
【宮沢】
「……………分かりました。
い…行きましょう」
俺は……、心の底からお化けや心霊のたぐいが苦手なのだ
でも、今日は…せっかく井伏さんがチケットを奢ってくれたし、こんなに楽しんでくれている…
【宮沢】
(ここは1つ覚悟を決めないと…!
…………大丈夫、死ぬわけじゃない……死ぬわけじゃない…)
そんな言葉を念仏のように繰り返しながら、
俺は…井伏さんの後に続いて、件(くだん)のアトラクションへと歩みを進めたのだった
―第4話―
『告白』
俺たちは、『臨死!死兆星が見える館』に足を踏み入れていた
館の入り口に、ご丁寧に『話題騒然! 国内最恐!!』の文字がデカデカと踊っていたそこは……
―おどろおどろしい石壁と、どこまでも続く暗闇が……、先の見えない恐怖を物語っていた
【井伏】
「おおー。やべーな、さすが国内最恐……」
そうは言っても、まあ娯楽施設なのは確かだ
どこか好奇心が勝る気持ちで、壮大な迷宮のセットを見渡していると……
【宮沢】
「……………」
既に宮沢くんは……、言葉を発することもできない状態に陥っていて…
―ぎゅ
(…………はぐれたら、死ぬ)
そう言わんばかりに、俺の手と服の裾を…左右それぞれの手に、キツく握り締めている
【井伏】
「あー、よしよし。宮沢くんは俺が守ってやるからさ。ほら、進もうぜ?」
【宮沢】
「あ………あいっ」
空いた方の手で頭を撫でてやると、完全に裏返った声の返事が返ってきた