井伏と交際一年目
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【谷崎】
「ああ。頼もしいな」
潤司の手を握ってブンブン振る俺を、12年間変わらない優しい瞳で、潤司
が見つめ返してくれた
【井伏】
「でも、アンタのナンバーワン騎士の座は俺を任命してくれよな」
【宮沢】
「い、井伏さん……!?」
驚いて振り向くと、いつの間にか井伏さんが微笑みながら立っていたのだった
―第3話―
『焦燥』
【井伏】
(レッスンの時間にはまだ時間あるし、大学まで宮沢くんを迎えに
いくか)
俺は腕時計を確認して、宮沢くんの大学の方へと歩き出す
今日は営業先からそのまま直帰になっているので、シンクロのレッスンをすることになっているのだ
突然行って、驚く宮沢くんの
顔も見たいし
……―それに
【井伏】
(ちょっと他人に見せつけときたいってのも、なくもないしな)
昨日の宮沢くんは、明らかに
なにか悩んでいる様子だったのに
傍にいる俺には相談せずに話を逸らした…
【井伏】
(どう考えても、大学で谷崎くんに相談してるんだろうな)
チリ…と、胸の奥が微かに痛んだ
【井伏】
(はは…。嫉妬で焦るとか、かっこ悪ィ)
無意識に逸る自分に心の中でツッコミを入れる
しかし俺は最近、実際に焦っているのだ
宮沢くんは優しくて、非常に
仲間想いだ
チームの誰かが、ほん少しでも悲しんだり苦しんだりしていると、いつも自分の事のように心を痛めている
【井伏】
(いつも自分の事は二の次だし、見返りを求めたりも一切しないしさ)
―そんな宮沢くんに対して
チームの他のメンバーも、恋心のような感情を抱いているという事に、俺は気付いていた
気づいていたから、他の誰が行動を起こすより早く、俺は宮沢くん
にアプローチをかけた
【井伏】
(そんな俺に応えてくれたのは、本当に俺が好きだからなのか…ね)
宮沢はただ、俺を悲しませた
くない一心で、俺を受け入れたのかもしれない
だからもし、俺より先に他の奴が告白していたら
今宮沢くんの隣にいるのは、
そいつだったのかもしれない
【井伏】
(はは……まさか、この俺が恋愛でこんなに弱気になるとはな)
相手に困らず、いつでも自分のペースで、浅い恋愛ばかり繰り返してきた
俺に悪態を吐いて去っていく恋人もいたが、なに1つ傷つくことなどなかっ
た
【井伏】
(それだけ、宮沢くんに夢中
になってるってことか)
自分の想いの大きさに改めて驚いていると、前の方から見慣れた姿が歩いてくるのが見えた
【井伏】
(宮沢くんと……あれは、谷
崎くん?)
宮沢くんは暗い顔で谷崎くん
に何かを打ち明けているようだ
そんな宮沢くんのことを、谷
崎くんはとても愛おしそうな目で見つめている
【井伏】
(12年来の親友…な)
あの2人に出会ってほんのわずかで、俺は谷崎くんの宮沢くんに対
する想いに気付いた
谷崎君は明らかに、宮沢くん
に友情以上の感情を抱いている
だけど、10年以上も続いた関係を壊すのが怖くて、その気持ちに鍵をかけ続けていたのだろう
気付いていて、俺は横から
宮沢くんをかっさらった
【井伏】
(まるで態度には出されてないけどさ。谷崎くん、俺の事恨んでるよな)
全てを包み込むような瞳で
宮沢くんを見つめる谷崎くんを、
ぼんやりと眺める
すると暫くして、宮沢くんが
弾けるような笑顔で、谷崎くんの手を握りしめた
谷崎君が宮沢くんの悩みを綺
麗に解決してくれたようだ
―お似合いの2人
―深い絆
そんなキーワードが瞬時に頭をよぎった
……次の瞬間、俺は無意識に2人の間に割って入っていた
【井伏】
「でも、アンタのナンバーワン騎士の座は俺を任命してくれよな」
かろうじて働いた、俺の天性とも言うべき社交術が、何とか冗談交じりのセリフを口から紡ぎ出した
そうでなかったら、俺は谷崎くんを弾き飛ばして、宮沢くんを腕の
中へ抱きすくめていたかもしれない
【宮沢】
「い、井伏さん……!?」
宮沢くんの目が驚きで見開ら
かれる
【井伏】
「ちょうど宮沢くんを迎えに
行こうと思ってたんだ。今日はシンクロレッスンだろ?」
さりげなさを装って宮沢くん
の手を取り、にっこりと笑みを浮かべる
【宮沢】
「も、もしかしてお待たせしちゃってましたか!?」
【宮沢】
「すみません!潤司と話したいことがあって、遅くなっちゃって…」
【井伏】
「違うって、ちょっと早く片付いたからさ」
【井伏】
「フィットネス行くまでの道、プチデートでもしようかなってな♪」
「デート」という単語を敢えて使った頭のいい谷崎君は、そんな俺の態度で瞬時に悟ったのだろう
【谷崎】
「それなら、俺は書店へ寄りたいので、ここで失礼させていただきます」
【谷崎】
「宮沢、俺は後から行くから
、またフィットネスでな」
【宮沢】
「うん。ありがとう潤司、用事があるのに付き合ってくれてありがとう!それに、ごめんね」
【谷崎】
「お前、ありがとうを2回も言ってるぞ。それに、どうせ方向は同じだったん
だから構わない」
愛おしそうに瞳を細めて微笑みかけた後、谷崎くんは軽く手を振って去っていった
【井伏】
(谷崎くんにも、それに宮沢くんに対しても、俺は残酷な事をした
のかもな…)
【井伏】
(だけど、誰を傷付けてでも、俺はどうしても宮沢くんが欲しくて
、仕方なかった)
【宮沢】
「………伏さん?
どうされたんですか?井伏さん」
気付くと、宮沢くんの心配そ
うな瞳が、俺の顔を覗き込んでいた
【井伏】
「―ん?ああ、昨日の宮沢く
んを思い出してたらムラっときてさ」
醜い嫉妬や迷いを知られたくなくて、そんな軽口を返す
「ああ。頼もしいな」
潤司の手を握ってブンブン振る俺を、12年間変わらない優しい瞳で、潤司
が見つめ返してくれた
【井伏】
「でも、アンタのナンバーワン騎士の座は俺を任命してくれよな」
【宮沢】
「い、井伏さん……!?」
驚いて振り向くと、いつの間にか井伏さんが微笑みながら立っていたのだった
―第3話―
『焦燥』
【井伏】
(レッスンの時間にはまだ時間あるし、大学まで宮沢くんを迎えに
いくか)
俺は腕時計を確認して、宮沢くんの大学の方へと歩き出す
今日は営業先からそのまま直帰になっているので、シンクロのレッスンをすることになっているのだ
突然行って、驚く宮沢くんの
顔も見たいし
……―それに
【井伏】
(ちょっと他人に見せつけときたいってのも、なくもないしな)
昨日の宮沢くんは、明らかに
なにか悩んでいる様子だったのに
傍にいる俺には相談せずに話を逸らした…
【井伏】
(どう考えても、大学で谷崎くんに相談してるんだろうな)
チリ…と、胸の奥が微かに痛んだ
【井伏】
(はは…。嫉妬で焦るとか、かっこ悪ィ)
無意識に逸る自分に心の中でツッコミを入れる
しかし俺は最近、実際に焦っているのだ
宮沢くんは優しくて、非常に
仲間想いだ
チームの誰かが、ほん少しでも悲しんだり苦しんだりしていると、いつも自分の事のように心を痛めている
【井伏】
(いつも自分の事は二の次だし、見返りを求めたりも一切しないしさ)
―そんな宮沢くんに対して
チームの他のメンバーも、恋心のような感情を抱いているという事に、俺は気付いていた
気づいていたから、他の誰が行動を起こすより早く、俺は宮沢くん
にアプローチをかけた
【井伏】
(そんな俺に応えてくれたのは、本当に俺が好きだからなのか…ね)
宮沢はただ、俺を悲しませた
くない一心で、俺を受け入れたのかもしれない
だからもし、俺より先に他の奴が告白していたら
今宮沢くんの隣にいるのは、
そいつだったのかもしれない
【井伏】
(はは……まさか、この俺が恋愛でこんなに弱気になるとはな)
相手に困らず、いつでも自分のペースで、浅い恋愛ばかり繰り返してきた
俺に悪態を吐いて去っていく恋人もいたが、なに1つ傷つくことなどなかっ
た
【井伏】
(それだけ、宮沢くんに夢中
になってるってことか)
自分の想いの大きさに改めて驚いていると、前の方から見慣れた姿が歩いてくるのが見えた
【井伏】
(宮沢くんと……あれは、谷
崎くん?)
宮沢くんは暗い顔で谷崎くん
に何かを打ち明けているようだ
そんな宮沢くんのことを、谷
崎くんはとても愛おしそうな目で見つめている
【井伏】
(12年来の親友…な)
あの2人に出会ってほんのわずかで、俺は谷崎くんの宮沢くんに対
する想いに気付いた
谷崎君は明らかに、宮沢くん
に友情以上の感情を抱いている
だけど、10年以上も続いた関係を壊すのが怖くて、その気持ちに鍵をかけ続けていたのだろう
気付いていて、俺は横から
宮沢くんをかっさらった
【井伏】
(まるで態度には出されてないけどさ。谷崎くん、俺の事恨んでるよな)
全てを包み込むような瞳で
宮沢くんを見つめる谷崎くんを、
ぼんやりと眺める
すると暫くして、宮沢くんが
弾けるような笑顔で、谷崎くんの手を握りしめた
谷崎君が宮沢くんの悩みを綺
麗に解決してくれたようだ
―お似合いの2人
―深い絆
そんなキーワードが瞬時に頭をよぎった
……次の瞬間、俺は無意識に2人の間に割って入っていた
【井伏】
「でも、アンタのナンバーワン騎士の座は俺を任命してくれよな」
かろうじて働いた、俺の天性とも言うべき社交術が、何とか冗談交じりのセリフを口から紡ぎ出した
そうでなかったら、俺は谷崎くんを弾き飛ばして、宮沢くんを腕の
中へ抱きすくめていたかもしれない
【宮沢】
「い、井伏さん……!?」
宮沢くんの目が驚きで見開ら
かれる
【井伏】
「ちょうど宮沢くんを迎えに
行こうと思ってたんだ。今日はシンクロレッスンだろ?」
さりげなさを装って宮沢くん
の手を取り、にっこりと笑みを浮かべる
【宮沢】
「も、もしかしてお待たせしちゃってましたか!?」
【宮沢】
「すみません!潤司と話したいことがあって、遅くなっちゃって…」
【井伏】
「違うって、ちょっと早く片付いたからさ」
【井伏】
「フィットネス行くまでの道、プチデートでもしようかなってな♪」
「デート」という単語を敢えて使った頭のいい谷崎君は、そんな俺の態度で瞬時に悟ったのだろう
【谷崎】
「それなら、俺は書店へ寄りたいので、ここで失礼させていただきます」
【谷崎】
「宮沢、俺は後から行くから
、またフィットネスでな」
【宮沢】
「うん。ありがとう潤司、用事があるのに付き合ってくれてありがとう!それに、ごめんね」
【谷崎】
「お前、ありがとうを2回も言ってるぞ。それに、どうせ方向は同じだったん
だから構わない」
愛おしそうに瞳を細めて微笑みかけた後、谷崎くんは軽く手を振って去っていった
【井伏】
(谷崎くんにも、それに宮沢くんに対しても、俺は残酷な事をした
のかもな…)
【井伏】
(だけど、誰を傷付けてでも、俺はどうしても宮沢くんが欲しくて
、仕方なかった)
【宮沢】
「………伏さん?
どうされたんですか?井伏さん」
気付くと、宮沢くんの心配そ
うな瞳が、俺の顔を覗き込んでいた
【井伏】
「―ん?ああ、昨日の宮沢く
んを思い出してたらムラっときてさ」
醜い嫉妬や迷いを知られたくなくて、そんな軽口を返す