[本編] 柊木 郁哉 編
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【亘】
(しかし、またとんでもないことになったな……)
さっきまでは“平凡”な“今までと変わらない”学園生活が続いていくと思ってた。
【亘】
「オレ、動物に対してはあんまりいい思い出ないんだよ……」
【アラさん】
「なんでだ?」
【亘】
「いや、あのさあ……さっき話したマタタビ体質のせいで……」
【アラさん】
「そんなに困ったのか?」
【亘】
「困ったに決まってるだろ! 動物園出禁になったりしたんだって!」
【アラさん】
「マジでか。動物園出禁って…ぷぷ」
【亘】
「笑うなよ。犬飼ってる家を一軒一軒リサーチして家の前通らないようにしてたんだぞ……」
【アラさん】
「そりゃあ大変だったな」
【亘】
「……本当に思ってんの?」
【アラさん】
「思ってる思ってる。めちゃくちゃ思ってる。マジで骨の髄からそう思ってる」
【亘】
「……ウソくさ」
【アラさん】
「ひどぉ!」
【亘】
「本当にアライグマなんだよな? 化けてるタヌキとかじゃなく?」
【アラさん】
「なっ!? 失礼だな! こんなイタイケなアライグマをつかまえて!」
【亘】
「でも本当はオッサンなんでしょ?」
【アラさん】
「オッサン言うな!」
【アラさん】
「アラさんなだけにアラサー……んなだけだ!」
【亘】
「……つまんな」
【アラさん】
「つまんない言うなァ!」
【アラさん】
「その顔結構傷つくからね? ねっ?」
【アラさん】
「だいたいこういうのはツマンナイ言うやつがいるからつまんなくなるんだよ!」
【亘】
「事実じゃん」
【アラさん】
「うるさい! さっさと相談相手連れてきな!」
【亘】
「連れてこいって言っても……」
真っ先に思い浮かんだのは―
郁哉だった。
【亘】
(でも…こんなよくわからないことに、郁哉を巻き込めるかよ…)
【亘】
(…郁哉なら信じてくれるとは思うけど……)
拾ったアライグマと喋れるようになった、なんて言い出したら……。
他のヤツらはオレの頭がついにおかしくなったと思うに違いない。
そもそも“人間マタタビ体質”のせいで、子どもの頃はさんざん変人扱いされてるんだ。
エスカレーターの悲しいトコだよな。この体質のことは学年中のヤツらは全員知ってる。
【亘】
(でも……マタタビのことも最初に相談した郁哉は全部信じてくれたし)
【亘】
(一番相談に乗ってくれたのも郁哉だったよな)
【亘】
(とりあえず、頼む頼まないはともかく、話だけでも聞いてもらおう)
オレはメールを打ちながら、子どもの頃郁哉と一緒に“犬飼ってる家マップ”を作ったことを思い出していた。
【亘】
(なんでオレがー、とか無愛想な顔するけど、最後はいつも優しくしてくれるし)
【亘】
(きっと、信じてくれるだろ……)
【亘】
(でもなんで……もうひとり連れてこないとダメって言ったんだ……?)
メールを送り終える。
不思議に思っていたがほどなく郁哉がオレの部屋をノックした。
【柊木】
「どうしたんだ、亘。さっきも様子がおかしかったし……」
【亘】
「郁哉!」
【柊木】
「何かあったのか?」
【亘】
「それが……」
オレが説明するより早く、アラさんがひょっこり郁哉の前に顔を見せた。
【アラさん】
「いやー、どうもどーも!」
【柊木】
「なっ!?」
さすがに日本語をしゃべるタヌ……アライグマに郁哉も驚いていた。
【柊木】
「……亘……昔から動物にだけはモテると思っていたが……」
【柊木】
「ついにこんなゲテモノまで引っかけるようになったのか……?」
【アラさん】
「ゲテモノ言うなァ!」
【アラさん】
「ったく最近の若いモンは人のことタヌキだのゲテモノだの……」
【柊木】
「でも人じゃないだろ?」
【アラさん】
「本当は人なんだよ! ワケあって今はこのようなキューーーゥトなアライグマになってるけどな」
【柊木】
「……はあ……」
呆然としながらも、郁哉はどうにか現実を受け止めようとしてくれているみたいだ。
ごめんな、こんなことに巻き込んで……。
【柊木】
「で……なんでこの……アラ……アライさんにお前は……」
【アラさん】
「アラさんって呼んでくれていいんだぜ?」
【柊木】
「いや……万が一の時にこんなのと知り合いと思われたら困る。俺はアライさんと呼ばせてもらう」
【アラさん】
「そんなのなんかただのオッサンみたいじゃないか……」
【亘】
「で、郁哉連れてきたけど。もうひとり呼んでくれば見せてくれるんだよな?」
【柊木】
「何をだ?」
【亘】
「なんか、学園内で裏取引されてるドロップがあるらしい」
【柊木】
「ドロップ……?」
【亘】
「それについて調べるために来たらしいんだけど」
【柊木】
「麻薬とかその類なのか?」
【アラさん】
「限りなくそれに近いものだな。でも麻薬じゃあない」
【アラさん】
「そいつを見つけてくれりゃあ、人間マタタビ体質を治すっていう交換条件だ。中々いいだろ?」
【柊木】
「治るものなのか? あれだけいろいろやって治らなかったのに?」
【アラさん】
「あのな、神様なめんなよ」
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