[本編] 柊木 郁哉 編
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【亘】
「あれ……」
―――確かこっちに来たはず。
そう思いながらやってきたのは、特別教室があるあたり。
こっちの校舎はほとんど使われない為、全く人の気配が無い。
【亘】
(あつ…確かこっちに来たと思ったんだけどな……)
【亘】
(aドロップの密売人は学園の外の人間で)
【亘】
(こうやって放課後とかに、人気がないのを見計らって)
【亘】
(こっそりaドロップを売りに来てたのか……?)
【亘】
(……可能性としては、あり得るな)
【亘】
(……でもそうするとアラさんの話と変わってくるよなぁ?)
【亘】
(アラさんの話だと、学園の中に内通者がいるみたいな話だったけど)
【亘】
(学園のヤツらはただ飴を買ってただけで)
【亘】
(aドロップの密売人は他にいたってことか……?)
様々な可能性を考えながら、きょろきょろと教室を見回してみる。
……変な人を見たせいだろうか。
ただの教室なのに、なんだか寒気がして、ぞくぞくしてしまう。
【亘】
(……何でもないといいな)
【亘】
(いや……学校関係者じゃない男が校内をうろついてる時点でなんでもなくないか……)
【亘】
(……守衛さん、呼んでくればよかったかな……)
【亘】
(それか、他の誰かに…郁哉に相談するか)
【亘】
(いや、迷惑はかけられない)
なんだか怖くなってしまい、そんな弱気なことを考えてしまう。
【亘】
(じゃあ……まあ、こっちの方が可能性は高いんだけど)
【亘】
(あの人がaドロップ関係なしに、学園に侵入してたとしたら……目的はなんだろう……)
【亘】
(お金? ……いや、お金目当てだったら寮の方に忍びこむはずだ)
【亘】
(考えたくないけど、泥棒とか?)
【亘】
(高校生相手に泥棒なんてたかが知れてるし)
【亘】
(カードとか現金とか入ってる財布は持ち歩いてるから、こっちで盗めるものなんて持ち込んだゲーム機くらい……)
【亘】
(あと泥棒が……校内で盗みたくなるようなモノ……)
教科書や備品をわざわざ盗みに来るってのも考えにくい。
それにうちの学校は何かと金をかけているから、すべてに校章を模したロゴが付いている。
どこかに売り払えば一発でバレてしまう。
【亘】
(もうあと盗めるものなんて生徒ぐらいしか……)
【亘】
(はっ……生徒!!)
生徒を盗む。
つまり……誘拐。
【亘】
(うちに来てるのはみんな金持ちのご子息ばっかりだし……)
【亘】
(身代金目当ての誘拐!?)
【亘】
(それとも着てた制服をオークションで売り払うとか!?)
【亘】
(男子高校生ナマ肌着用Yシャツマニア垂涎……って)
【亘】
(オレ何考えてるんだ……)
静かな空間で見知らぬ人を探すと妄想が逞しくなってしまい怖い。
変な人じゃないといいけど……。
【亘】
「となりの教室行ってみよ」
同じところにいたってしょうがない。
オレは近くの教室も探してみることにした。
―――ガラッ。
ドアを開ける音がやけに響く。
【亘】
(誰もいないんだろうな……?)
だったら探すなという話だけど。
オレは先ほどの不審人物にどうか見つからないでくれと祈りながら辺りを探してみる。
―――すると。
【亘】
「―――ん……?」
教卓の後ろに、うずくまっている人影を見つけた。
【亘】
(もしかして、さっきの……?)
【亘】
(でもうずくまってる……もしかして体調が悪いのか?)
年齢はオレと同じか少し上ぐらい。
たぶん高校生だ。外部の人間じゃなかったのか……。
……身代金目当ての誘拐をするようには見えない。
オレは意を決して声をかけてみることにした……。
すると……
『彼』がキッと振り向いた。
【亘】
「……!」
【亘】
(動物……!?)
そんな風に感じられる視線だった。
でも、見た目は普通の人間。
【亘】
(もしかしてaドロップを舐めて動物になってるから人間でも雰囲気が違うのか……?)
【亘】
(でもけも耳もしっぽもなさそうだし……)
すると『彼』が無言のまま立ち上がった。
【???】
「……」
【亘】
「あ、あの……」
【???】
「……」
―――にやり
まさにそんな風に口元が微笑んだ。
【亘】
「……!?」
【亘】
(笑ってるのか? でも……)
気付けば『彼』の瞳からはぼろぼろと涙のようなものが零れている。
いや……涙なのか?
なにか粘液のようなものにも見えるような……。
涙のようにさらりと流れず、粘り気をもってゆっくりと彼の頬を垂れていく……。
―――何者なんだ―――!?
【亘】
「あ、あの……」
【???】
「……!」
―――赤くて、長い。
……舌だ。
【亘】
「!!??」
人間のそれとはまったく形の異なるものが、口の中で蠢いていた。
口元から伸びてきたからと思えば、くるくると先端を器用に巻く。
まるで……そう、蛇のような舌。
―――蛇の、ような。
【亘】
「なっ……!?」
そういえば目も蛇みたいだ、と気づいたのが遅かった。
―――蛇に、けも耳はない。
【亘】
「わあああっ!」
オレは絶叫しながらその場を逃げ出した。
―――蛇だ。『彼』は、蛇だ。
【亘】
「どっちに逃げればっ……!」
教室を飛び出して、二股になっている廊下で一瞬悩む。
しかし悩んでいる間にも、蛇のように足音も立てず『彼』は追いかけてくる。
【亘】
「あっちだ!」
そう言って走ろうと……走ろうと、したら。
【亘】
「……!」
掴まれていた。
振りほどけないほどの強い、強い力で。
まるで巻きつかれているように……『彼』に……腕を掴まれてしまった。
【亘】
(どうしようっ……)
【亘】
(大人しくなんて、してられるかっ)
【亘】
(……やらなきゃ)
「あれ……」
―――確かこっちに来たはず。
そう思いながらやってきたのは、特別教室があるあたり。
こっちの校舎はほとんど使われない為、全く人の気配が無い。
【亘】
(あつ…確かこっちに来たと思ったんだけどな……)
【亘】
(aドロップの密売人は学園の外の人間で)
【亘】
(こうやって放課後とかに、人気がないのを見計らって)
【亘】
(こっそりaドロップを売りに来てたのか……?)
【亘】
(……可能性としては、あり得るな)
【亘】
(……でもそうするとアラさんの話と変わってくるよなぁ?)
【亘】
(アラさんの話だと、学園の中に内通者がいるみたいな話だったけど)
【亘】
(学園のヤツらはただ飴を買ってただけで)
【亘】
(aドロップの密売人は他にいたってことか……?)
様々な可能性を考えながら、きょろきょろと教室を見回してみる。
……変な人を見たせいだろうか。
ただの教室なのに、なんだか寒気がして、ぞくぞくしてしまう。
【亘】
(……何でもないといいな)
【亘】
(いや……学校関係者じゃない男が校内をうろついてる時点でなんでもなくないか……)
【亘】
(……守衛さん、呼んでくればよかったかな……)
【亘】
(それか、他の誰かに…郁哉に相談するか)
【亘】
(いや、迷惑はかけられない)
なんだか怖くなってしまい、そんな弱気なことを考えてしまう。
【亘】
(じゃあ……まあ、こっちの方が可能性は高いんだけど)
【亘】
(あの人がaドロップ関係なしに、学園に侵入してたとしたら……目的はなんだろう……)
【亘】
(お金? ……いや、お金目当てだったら寮の方に忍びこむはずだ)
【亘】
(考えたくないけど、泥棒とか?)
【亘】
(高校生相手に泥棒なんてたかが知れてるし)
【亘】
(カードとか現金とか入ってる財布は持ち歩いてるから、こっちで盗めるものなんて持ち込んだゲーム機くらい……)
【亘】
(あと泥棒が……校内で盗みたくなるようなモノ……)
教科書や備品をわざわざ盗みに来るってのも考えにくい。
それにうちの学校は何かと金をかけているから、すべてに校章を模したロゴが付いている。
どこかに売り払えば一発でバレてしまう。
【亘】
(もうあと盗めるものなんて生徒ぐらいしか……)
【亘】
(はっ……生徒!!)
生徒を盗む。
つまり……誘拐。
【亘】
(うちに来てるのはみんな金持ちのご子息ばっかりだし……)
【亘】
(身代金目当ての誘拐!?)
【亘】
(それとも着てた制服をオークションで売り払うとか!?)
【亘】
(男子高校生ナマ肌着用Yシャツマニア垂涎……って)
【亘】
(オレ何考えてるんだ……)
静かな空間で見知らぬ人を探すと妄想が逞しくなってしまい怖い。
変な人じゃないといいけど……。
【亘】
「となりの教室行ってみよ」
同じところにいたってしょうがない。
オレは近くの教室も探してみることにした。
―――ガラッ。
ドアを開ける音がやけに響く。
【亘】
(誰もいないんだろうな……?)
だったら探すなという話だけど。
オレは先ほどの不審人物にどうか見つからないでくれと祈りながら辺りを探してみる。
―――すると。
【亘】
「―――ん……?」
教卓の後ろに、うずくまっている人影を見つけた。
【亘】
(もしかして、さっきの……?)
【亘】
(でもうずくまってる……もしかして体調が悪いのか?)
年齢はオレと同じか少し上ぐらい。
たぶん高校生だ。外部の人間じゃなかったのか……。
……身代金目当ての誘拐をするようには見えない。
オレは意を決して声をかけてみることにした……。
すると……
『彼』がキッと振り向いた。
【亘】
「……!」
【亘】
(動物……!?)
そんな風に感じられる視線だった。
でも、見た目は普通の人間。
【亘】
(もしかしてaドロップを舐めて動物になってるから人間でも雰囲気が違うのか……?)
【亘】
(でもけも耳もしっぽもなさそうだし……)
すると『彼』が無言のまま立ち上がった。
【???】
「……」
【亘】
「あ、あの……」
【???】
「……」
―――にやり
まさにそんな風に口元が微笑んだ。
【亘】
「……!?」
【亘】
(笑ってるのか? でも……)
気付けば『彼』の瞳からはぼろぼろと涙のようなものが零れている。
いや……涙なのか?
なにか粘液のようなものにも見えるような……。
涙のようにさらりと流れず、粘り気をもってゆっくりと彼の頬を垂れていく……。
―――何者なんだ―――!?
【亘】
「あ、あの……」
【???】
「……!」
―――赤くて、長い。
……舌だ。
【亘】
「!!??」
人間のそれとはまったく形の異なるものが、口の中で蠢いていた。
口元から伸びてきたからと思えば、くるくると先端を器用に巻く。
まるで……そう、蛇のような舌。
―――蛇の、ような。
【亘】
「なっ……!?」
そういえば目も蛇みたいだ、と気づいたのが遅かった。
―――蛇に、けも耳はない。
【亘】
「わあああっ!」
オレは絶叫しながらその場を逃げ出した。
―――蛇だ。『彼』は、蛇だ。
【亘】
「どっちに逃げればっ……!」
教室を飛び出して、二股になっている廊下で一瞬悩む。
しかし悩んでいる間にも、蛇のように足音も立てず『彼』は追いかけてくる。
【亘】
「あっちだ!」
そう言って走ろうと……走ろうと、したら。
【亘】
「……!」
掴まれていた。
振りほどけないほどの強い、強い力で。
まるで巻きつかれているように……『彼』に……腕を掴まれてしまった。
【亘】
(どうしようっ……)
【亘】
(大人しくなんて、してられるかっ)
【亘】
(……やらなきゃ)
