[本編] 柊木 郁哉 編
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【亘】
「嗅覚はどう?」
【柊木】
「ばっちりだ」
【亘】
「じゃあaドロップの匂いを……」
【柊木】
「……この部屋に残ってるのはさっき俺が持ってたやつだよな?」
【亘】
「たぶん」
【柊木】
「……じゃあ、こっちに香りが残ってる」
【亘】
「本当に!?」
aドロップ使用者は本当に学園内にいたんだ……!
【柊木】
「行くぞ、亘」
【亘】
「あっ待って! ていうか郁哉足速い!」
【柊木】
「オオカミだからな!」
【亘】
「このへん……?」
【柊木】
「ああ……」
そこは、何の変哲もない2年の教室前の廊下。
【亘】
「2年生にaドロップを使ってるヤツが……?」
【柊木】
「わからない……あ、でも」
【亘】
「どうした?」
【柊木】
「……これ、残り香だ」
【亘】
「えっ? どういうこと」
【柊木】
「この教室にaドロップがあったことは間違いないと思う。でも、それは…きっともう舐められてるものだ」
【亘】
「なんでわかるんだ?」
【柊木】
「ここ……ここだ」
くん、と匂いを嗅いだ郁哉が廊下のある地点で立ち止まる。
【柊木】
「ここで、食べたな」
【亘】
「ええ!?」
【柊木】
「それも、さっきだ」
【亘】
「じゃあ今けも耳のヤツが……」
【柊木】
「……ムリだろ、外見てみろよ」
【亘】
「えっ……」
オレたちはその教室に入って、窓から校庭を見る。
【亘】
「さっきより増えてる……!」
おどろくべきけも耳カチューシャの生徒数。
【柊木】
「ったく……一長一短だな、この作戦は」
【亘】
「……誰かはさすがにわからないな……」
ぞろぞろと歩くけも耳生徒たちを呆然とした顔で眺めた。
【亘】
「アラさんの作戦、いけるって思ったのになー」
【亘】
「なんか今一気にどっと疲れた」
そう言ってオレは笑いつつへなへなとその場に座り込んだ。
隣に郁哉も座る。
【柊木】
「……けも耳、戻るまでもうちょっとかかりそうだ」
【亘】
「じゃあしばらくここで休む?」
【柊木】
「……そうだな」
【柊木】
「だな…これが取れないと戻るに戻れない」
【亘】
(郁哉のけも耳……さわってみたいな)
【柊木】
「……そんな見つめるな」
【亘】
「なんか、郁哉のオオカミ姿……見慣れてきたかも」
【柊木】
「なっ…!? そんなこと言うなよ」
【亘】
「だってなぁー」
【柊木】
「そんなこと言うと……こうするぞ」
【亘】
「えっ……」
今まで茶化した雰囲気だったのに、郁哉が一気に距離を狭めてくる。
【亘】
「な、何っ」
【柊木】
「今の俺はオオカミだぞ?」
そう言ってクンクンと匂いを嗅ぐように鼻先を擦り付けてこようとする。
【柊木】
(んっ……くすぐったい…っ)
大きなけも耳の、ふさふさした毛が頬をくすぐる。なんか、ヘンな感じ……っ。
【亘】
「っ……、ちょ…郁哉っ」
【亘】
「……あ」
【柊木】
「どうしたんだ?」
【亘】
「いいもの見っけ」
【柊木】
「……え?」
オレは教室の隅に転がる小さなテニスボールを手に取った。
【亘】
「オオカミの本能に迫ってやる」
【柊木】
「何言って……」
【亘】
「えいっ!」
オレはそのテニスボールを軽く投げる。
【柊木】
「なっ……無意識に身体がっ!」
郁哉はオオカミの本能で、そのボールをキャッチしに走った。
【柊木】
「とうっ!」
無事に口でボールをキャッチした郁哉は、それをオレに持ってくる。
【亘】
「こんなことまでできるんだね。えらいえらい」
そう言ってオレは郁哉のけも耳をもふもふ撫でた。
【亘】
「すごい、フサフサだね」
【柊木】
「仕方ないだろ、オオカミなんだから……」
そう言って感触に任せてオレはずっと郁哉のけも耳をもふもふし続けた。
もふもふ。
もふもふもふ。
もふもふもふもふ。
【柊木】
「……」
【亘】
「郁哉?」
【柊木】
「……~~~いい加減にしろっ!」
真っ赤になった郁哉がオレの手を振り払った。
【柊木】
「立場が逆だろっ……」
【亘】
「え?」
【柊木】
「いい! 俺……顔洗ってくる!」
【亘】
「郁哉!?」
郁哉は真っ赤な顔のまま、廊下に出て行ってしまった―――。
「嗅覚はどう?」
【柊木】
「ばっちりだ」
【亘】
「じゃあaドロップの匂いを……」
【柊木】
「……この部屋に残ってるのはさっき俺が持ってたやつだよな?」
【亘】
「たぶん」
【柊木】
「……じゃあ、こっちに香りが残ってる」
【亘】
「本当に!?」
aドロップ使用者は本当に学園内にいたんだ……!
【柊木】
「行くぞ、亘」
【亘】
「あっ待って! ていうか郁哉足速い!」
【柊木】
「オオカミだからな!」
【亘】
「このへん……?」
【柊木】
「ああ……」
そこは、何の変哲もない2年の教室前の廊下。
【亘】
「2年生にaドロップを使ってるヤツが……?」
【柊木】
「わからない……あ、でも」
【亘】
「どうした?」
【柊木】
「……これ、残り香だ」
【亘】
「えっ? どういうこと」
【柊木】
「この教室にaドロップがあったことは間違いないと思う。でも、それは…きっともう舐められてるものだ」
【亘】
「なんでわかるんだ?」
【柊木】
「ここ……ここだ」
くん、と匂いを嗅いだ郁哉が廊下のある地点で立ち止まる。
【柊木】
「ここで、食べたな」
【亘】
「ええ!?」
【柊木】
「それも、さっきだ」
【亘】
「じゃあ今けも耳のヤツが……」
【柊木】
「……ムリだろ、外見てみろよ」
【亘】
「えっ……」
オレたちはその教室に入って、窓から校庭を見る。
【亘】
「さっきより増えてる……!」
おどろくべきけも耳カチューシャの生徒数。
【柊木】
「ったく……一長一短だな、この作戦は」
【亘】
「……誰かはさすがにわからないな……」
ぞろぞろと歩くけも耳生徒たちを呆然とした顔で眺めた。
【亘】
「アラさんの作戦、いけるって思ったのになー」
【亘】
「なんか今一気にどっと疲れた」
そう言ってオレは笑いつつへなへなとその場に座り込んだ。
隣に郁哉も座る。
【柊木】
「……けも耳、戻るまでもうちょっとかかりそうだ」
【亘】
「じゃあしばらくここで休む?」
【柊木】
「……そうだな」
【柊木】
「だな…これが取れないと戻るに戻れない」
【亘】
(郁哉のけも耳……さわってみたいな)
【柊木】
「……そんな見つめるな」
【亘】
「なんか、郁哉のオオカミ姿……見慣れてきたかも」
【柊木】
「なっ…!? そんなこと言うなよ」
【亘】
「だってなぁー」
【柊木】
「そんなこと言うと……こうするぞ」
【亘】
「えっ……」
今まで茶化した雰囲気だったのに、郁哉が一気に距離を狭めてくる。
【亘】
「な、何っ」
【柊木】
「今の俺はオオカミだぞ?」
そう言ってクンクンと匂いを嗅ぐように鼻先を擦り付けてこようとする。
【柊木】
(んっ……くすぐったい…っ)
大きなけも耳の、ふさふさした毛が頬をくすぐる。なんか、ヘンな感じ……っ。
【亘】
「っ……、ちょ…郁哉っ」
【亘】
「……あ」
【柊木】
「どうしたんだ?」
【亘】
「いいもの見っけ」
【柊木】
「……え?」
オレは教室の隅に転がる小さなテニスボールを手に取った。
【亘】
「オオカミの本能に迫ってやる」
【柊木】
「何言って……」
【亘】
「えいっ!」
オレはそのテニスボールを軽く投げる。
【柊木】
「なっ……無意識に身体がっ!」
郁哉はオオカミの本能で、そのボールをキャッチしに走った。
【柊木】
「とうっ!」
無事に口でボールをキャッチした郁哉は、それをオレに持ってくる。
【亘】
「こんなことまでできるんだね。えらいえらい」
そう言ってオレは郁哉のけも耳をもふもふ撫でた。
【亘】
「すごい、フサフサだね」
【柊木】
「仕方ないだろ、オオカミなんだから……」
そう言って感触に任せてオレはずっと郁哉のけも耳をもふもふし続けた。
もふもふ。
もふもふもふ。
もふもふもふもふ。
【柊木】
「……」
【亘】
「郁哉?」
【柊木】
「……~~~いい加減にしろっ!」
真っ赤になった郁哉がオレの手を振り払った。
【柊木】
「立場が逆だろっ……」
【亘】
「え?」
【柊木】
「いい! 俺……顔洗ってくる!」
【亘】
「郁哉!?」
郁哉は真っ赤な顔のまま、廊下に出て行ってしまった―――。
