[本編] 黒木 忠生 編
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キッカケは……イライラが目にみえて分かるようになっていた黒木を、ただ励ましただけ………。
でも黒木は、俺の励ましの言葉を遮るように叫んだ。
それは、頑張ってきた今までを白紙に戻してしまうような一言だった――――。
【黒木】
「もうリハビリなんてやめる……」
【黒木】
「もう、これ以上、なにもしたくない……!」
――――黒木がリハビリを止めると宣言してから数日………。
黒木は、家のベッドの中から出てこなくなってしまった。
ずっとベッドの中にいて、俺がどんなに呼びかけても、出てくる気配すらない。
俺はその状況に、なんだか切なくなってしまった………。
【ハク】
(……なにがいけなかったんだろう……過酷だと言われたリハビリだって、あんなに順調にいっていたのに………)
今までちゃんとリハビリに行っていた分、病院からはどうしたのかと問われた。
でも、俺には本当のことなど答えようがない……
俺にも、黒木がなぜそんなふうになったのか分からなかったのだから……。
【ハク】
「ただいまー……」
黒木のリハビリへの付き添いがないため、俺は夕飯の買い物などの用件のみを済ませて家に帰ってくる。
もちろん、返事はない。
ベッドを覗いてみると、どうやらちゃんとそこに黒木がいるらしいことは分かった。
【ハク】
「………黒木、ただいま」
【黒木】
「…………」
【ハク】
「……黒木の好きなもの、買ってきたよ。用意するから、食べよう?」
【黒木】
「…………」
夕飯を用意すれば、とりあえずベッドから出て、食べにきてはくれる。
でも、それに乗じてリハビリについて話そうとすると、黒木はやはり不機嫌になった。
どんなに優しい言葉をかけてもダメだ……。
【ハク】
「頼むよ黒木、返事してくれよ…」
【ハク】
(……せっかくあんなに頑張ってきたのに……)
【ハク】
(こんなところでやめてしまったら黒木が苦しくなるだけだ………)
俺は、黒木と一緒にこの家にいるのに、まるで一人きりみたいだった。
このままこんな状態がずっと続くのだろうか………?
せっかくこうして一緒にいて、いままで一緒に頑張ってきたのに………
そう思うと涙が出そうになる………。
【ハク】
(………明日…無理やりにでも黒木を連れていこう……)
【ハク】
(もう、そうするしかない……)
【ハク】
(やっぱり俺は、黒木には元のように元気になってもらいたい……)
そう決意した―――――
その翌日。
俺は、黒木をベッドから引き剥がすと、無理やり車椅子に乗せた。
なんとしてでも、病院へと連れていきたかったのだ。
【黒木】
「や、めろ……っ!」
【ハク】
「黒木…っ!わかってくれよ!こんなことしてたら…っ、せっかくここまできたのが台無しになるんだぞ……っ!」
【黒木】
「そんなのどうでも良いって言っただろ!勝手なことするな!」
【ハク】
「くろ、き……っ!!」
黒木は車椅子を蹴飛ばすと、俺の手をパシッとはねのけた。
そのせいでバランスを崩しよろめいた俺を、黒木がものすごい力で押さえ込んでくる。
気づいたときには、俺は黒木に押し倒されていた。
【黒木】
「物分かり悪いよ、ハク…いつからそんなになっちゃったの?俺の言うこと聞けよ…!」
【ハク】
「黒木………」
【黒木】
「そんなハクにはお仕置きしなきゃ…そうだよねぇ…!?」
俺は、呆然と黒木を見つめる。
黒木は息が荒く興奮している……俺を無理やり犯そうとしているのは確実だった。
【黒木】
「なぁ、ハク…俺のモノだって証明してくれよ…良いだろ?」
【ハク】
「く…ろき………」
【黒木】
「ほら、好きだろ、ハク。俺にこうされるの、大好きだよな…?」
【ハク】
「………………」
【黒木】
「………な…んだよ、ハク……」
【ハク】
「………………」
【黒木】
「…………抵抗もなにも…しないつもり…か…?」
…………抵抗なんて、する気が起きなかった…。
俺はただ、悲しかった。
それだけしか、感情が沸き起こらなかった………。
【黒木】
「………ハク…………」
黒木の手の動きが止まる。
俺は黙ってそれを見つめている。
俺の視界の中で、黒木が、目を見開いた。
【黒木】
「お……おれ、は………」
【ハク】
「……………」
【黒木】
「……………ハク……ハクは、泣いてくれたよね……?」
【黒木】
「あの日……俺が暴行を受けた日……タクシーの中で…俺の為に、泣いてくれたよね………?」
黒木は、自問自答しているようだった。
瞳が激しく動揺し、感情が混濁するようにぐるぐると表情が変化していく。
【黒木】
「お…………俺は……俺は…………」
【ハク】
「……黒木………」
【黒木】
「ご…めん……ハク、俺……どうかしてた………ごめん…………」
黒木は、ようやく自分を取り戻したかのように、その言葉を口にした。
俺はそっと黒木の頬に手を伸ばす。
すると、黒木は俺の手をギュッと握り締めた。
【黒木】
「俺は……足を治して、もう二度とハクに悲しい顔をさせないって……」
【黒木】
「そう誓ったのに………それなのに………」
【ハク】
「黒木………いいんだ、もう……」
【黒木】
「ハク……俺は、ずっと不安だったんだ……」
【黒木】
「俺の足が治って…元通り一人で歩けるようになったら……」
【黒木】
「そうしたら、ハクが離れていってしまうんじゃないかって……」
【ハク】
「…そんな………」
【黒木】
「不安ばっかり増えて…イライラしちゃって………ゴメンね、ハク……」
【ハク】
「………そんなこと、あるわけないだろ、バカ……」
【黒木】
「そう…だよな…ぁ……ハクは、いつでも傍にいてくれたのにな……?」
あのイライラの原因がまさか俺だったなんて…………そう思い、俺は驚く。
でも黒木は、それほど俺のことを気にしていたということなんだろう………。
【ハク】
(そういえば俺はいつも言ってた……)
【ハク】
(早く一人で歩けるようになればいいのにな、って)
【ハク】
(……俺の手助けなんか必要なくなれば良いのになって………)
俺の何気ないそんな言葉にさえ、きっと黒木は不安の要素を見つけ出していたのだろう……。
【黒木】
「…………ハク。俺、行くよ」
【ハク】
「え……っ?」
黒木は表情を改めると、俺の上からふっと姿を消した。
そして、自分の力だけで車椅子に乗り込み、病院へ向かっていく。
俺はその黒木の行動にしばらく呆然としてしまったが、少しして、嬉しくなって、ベッドからガバッと飛び起きた。
【ハク】
「………待ってくれよ、黒木…っ!」
俺は、必要最低限のものを掴み取ると、笑顔で家を飛び出した。
新たな一歩を踏み出した、そんな黒木の後ろ姿を追いかけて――――――。
続く…
でも黒木は、俺の励ましの言葉を遮るように叫んだ。
それは、頑張ってきた今までを白紙に戻してしまうような一言だった――――。
【黒木】
「もうリハビリなんてやめる……」
【黒木】
「もう、これ以上、なにもしたくない……!」
――――黒木がリハビリを止めると宣言してから数日………。
黒木は、家のベッドの中から出てこなくなってしまった。
ずっとベッドの中にいて、俺がどんなに呼びかけても、出てくる気配すらない。
俺はその状況に、なんだか切なくなってしまった………。
【ハク】
(……なにがいけなかったんだろう……過酷だと言われたリハビリだって、あんなに順調にいっていたのに………)
今までちゃんとリハビリに行っていた分、病院からはどうしたのかと問われた。
でも、俺には本当のことなど答えようがない……
俺にも、黒木がなぜそんなふうになったのか分からなかったのだから……。
【ハク】
「ただいまー……」
黒木のリハビリへの付き添いがないため、俺は夕飯の買い物などの用件のみを済ませて家に帰ってくる。
もちろん、返事はない。
ベッドを覗いてみると、どうやらちゃんとそこに黒木がいるらしいことは分かった。
【ハク】
「………黒木、ただいま」
【黒木】
「…………」
【ハク】
「……黒木の好きなもの、買ってきたよ。用意するから、食べよう?」
【黒木】
「…………」
夕飯を用意すれば、とりあえずベッドから出て、食べにきてはくれる。
でも、それに乗じてリハビリについて話そうとすると、黒木はやはり不機嫌になった。
どんなに優しい言葉をかけてもダメだ……。
【ハク】
「頼むよ黒木、返事してくれよ…」
【ハク】
(……せっかくあんなに頑張ってきたのに……)
【ハク】
(こんなところでやめてしまったら黒木が苦しくなるだけだ………)
俺は、黒木と一緒にこの家にいるのに、まるで一人きりみたいだった。
このままこんな状態がずっと続くのだろうか………?
せっかくこうして一緒にいて、いままで一緒に頑張ってきたのに………
そう思うと涙が出そうになる………。
【ハク】
(………明日…無理やりにでも黒木を連れていこう……)
【ハク】
(もう、そうするしかない……)
【ハク】
(やっぱり俺は、黒木には元のように元気になってもらいたい……)
そう決意した―――――
その翌日。
俺は、黒木をベッドから引き剥がすと、無理やり車椅子に乗せた。
なんとしてでも、病院へと連れていきたかったのだ。
【黒木】
「や、めろ……っ!」
【ハク】
「黒木…っ!わかってくれよ!こんなことしてたら…っ、せっかくここまできたのが台無しになるんだぞ……っ!」
【黒木】
「そんなのどうでも良いって言っただろ!勝手なことするな!」
【ハク】
「くろ、き……っ!!」
黒木は車椅子を蹴飛ばすと、俺の手をパシッとはねのけた。
そのせいでバランスを崩しよろめいた俺を、黒木がものすごい力で押さえ込んでくる。
気づいたときには、俺は黒木に押し倒されていた。
【黒木】
「物分かり悪いよ、ハク…いつからそんなになっちゃったの?俺の言うこと聞けよ…!」
【ハク】
「黒木………」
【黒木】
「そんなハクにはお仕置きしなきゃ…そうだよねぇ…!?」
俺は、呆然と黒木を見つめる。
黒木は息が荒く興奮している……俺を無理やり犯そうとしているのは確実だった。
【黒木】
「なぁ、ハク…俺のモノだって証明してくれよ…良いだろ?」
【ハク】
「く…ろき………」
【黒木】
「ほら、好きだろ、ハク。俺にこうされるの、大好きだよな…?」
【ハク】
「………………」
【黒木】
「………な…んだよ、ハク……」
【ハク】
「………………」
【黒木】
「…………抵抗もなにも…しないつもり…か…?」
…………抵抗なんて、する気が起きなかった…。
俺はただ、悲しかった。
それだけしか、感情が沸き起こらなかった………。
【黒木】
「………ハク…………」
黒木の手の動きが止まる。
俺は黙ってそれを見つめている。
俺の視界の中で、黒木が、目を見開いた。
【黒木】
「お……おれ、は………」
【ハク】
「……………」
【黒木】
「……………ハク……ハクは、泣いてくれたよね……?」
【黒木】
「あの日……俺が暴行を受けた日……タクシーの中で…俺の為に、泣いてくれたよね………?」
黒木は、自問自答しているようだった。
瞳が激しく動揺し、感情が混濁するようにぐるぐると表情が変化していく。
【黒木】
「お…………俺は……俺は…………」
【ハク】
「……黒木………」
【黒木】
「ご…めん……ハク、俺……どうかしてた………ごめん…………」
黒木は、ようやく自分を取り戻したかのように、その言葉を口にした。
俺はそっと黒木の頬に手を伸ばす。
すると、黒木は俺の手をギュッと握り締めた。
【黒木】
「俺は……足を治して、もう二度とハクに悲しい顔をさせないって……」
【黒木】
「そう誓ったのに………それなのに………」
【ハク】
「黒木………いいんだ、もう……」
【黒木】
「ハク……俺は、ずっと不安だったんだ……」
【黒木】
「俺の足が治って…元通り一人で歩けるようになったら……」
【黒木】
「そうしたら、ハクが離れていってしまうんじゃないかって……」
【ハク】
「…そんな………」
【黒木】
「不安ばっかり増えて…イライラしちゃって………ゴメンね、ハク……」
【ハク】
「………そんなこと、あるわけないだろ、バカ……」
【黒木】
「そう…だよな…ぁ……ハクは、いつでも傍にいてくれたのにな……?」
あのイライラの原因がまさか俺だったなんて…………そう思い、俺は驚く。
でも黒木は、それほど俺のことを気にしていたということなんだろう………。
【ハク】
(そういえば俺はいつも言ってた……)
【ハク】
(早く一人で歩けるようになればいいのにな、って)
【ハク】
(……俺の手助けなんか必要なくなれば良いのになって………)
俺の何気ないそんな言葉にさえ、きっと黒木は不安の要素を見つけ出していたのだろう……。
【黒木】
「…………ハク。俺、行くよ」
【ハク】
「え……っ?」
黒木は表情を改めると、俺の上からふっと姿を消した。
そして、自分の力だけで車椅子に乗り込み、病院へ向かっていく。
俺はその黒木の行動にしばらく呆然としてしまったが、少しして、嬉しくなって、ベッドからガバッと飛び起きた。
【ハク】
「………待ってくれよ、黒木…っ!」
俺は、必要最低限のものを掴み取ると、笑顔で家を飛び出した。
新たな一歩を踏み出した、そんな黒木の後ろ姿を追いかけて――――――。
続く…