[本編] 赤屋 竜次 編
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【赤屋】
「あっ、アンタは!!」
応接室に藍建さんが入ってくるなり、リュウが立ち上がって半ば叫ぶように言った。
【ハク】
(あれ?リュウ、藍建さんと知り合いなのか?)
【赤屋】
「おい、ハクも覚えてるだろ?昨日のバーにいた……」
リュウがそこまで言うと、藍建さんも覚えがあるらしく、頷く。
【藍建】
「あぁ、そういえば確かに昨晩……」
【藍建】
「やけに体格のいい人がいるなと思って……覚えているよ」
その言葉に俺は少し、引っかかるものを感じた。
藍建さんの言葉はリュウのことにしか触れていないからだ。
この際、俺が藍建さんを覚えていないことについては棚上げしよう。
それに、ただの一般市民の俺に比べれば刑事である彼のほうが記憶力は優れているべきだと思う。
【ハク】
「……俺も、その場にいたんですけどね」
【藍建】
「え?ええと……いたっけ?」
藍建さんの目が泳ぐ。
どうやら心当たりがないらしい。
なんだか、だんだんとイライラのようなものが顔を出す。
だって、藍建さんが覚えていればアリバイを証明するためにわざわざこうやって来る必要もなかったんじゃないか!
【ハク】
「どうせ俺なんて、存在感ないですよ」
俺の存在感って一体…
藍建さんに聞こえないように、リュウに向かって愚痴ってみる。
確かにリュウみたいに背も高くないしガタイが良いわけでもない。
顔だって十人並みで目立った特徴もないので、むしろ人から忘れられがちな方だ。
こんなことは別に今回に限ったことじゃないけど、だからと言って気分が良いわけじゃない。
【ハク】
「はぁ……」
【赤屋】
「そんなことねぇ!」
【ハク】
「!?」
ため息を吐く俺を見て、落ち込んでると思ったのか隣のリュウが声を大きくして主張する。
【赤屋】
「お前には立派な存在感がある。もっと自信を持て」
リュウは首を振ってそう言うが、そもそも存在感がないから藍建さんが覚えていないんじゃないか。
【ハク】
「リュウはいいよなぁ……逞しくて、存在感があって」
【ハク】
「俺なんか地味だしさ……」
【赤屋】
「『なんか』なんて言うな!地味でも、俺はハクのこと好きだ」
リュウは、俺の両肩を掴んで言い放った。
一瞬、時間が止まる。
【ハク】
「そ、それは……えっと……アリガトウ」
【赤屋】
「あ……違っ、そういう意味じゃねーから!」
【ハク】
「うん、大丈夫……」
リュウは慌てて俺の肩から手を離した。
そりゃあフォローのつもりで言ってくれてるってわかっちゃいるけど、こんな文句を目を見て言われると……さすがに照れる。
【藍建】
「えっと……そろそろいいですかね」
【ハク】
「えっ、ハイ!すみません」
【藍建】
「それじゃ、さっそくだけど」
た、助かった……。
この妙な空気を気にもしないようにそう前置きすると、藍建さんは本題に入った。
【藍建】
「犯行時刻――放火のあった時間ですね――は、今日の朝方4時ごろ」
【藍建】
「その時間帯、どこで何をしていたか聞かせてくれるかな?」
藍建さんは刑事らしく手帳を開きながら問いかける。
その問いを受け、リュウは頷いて話し出した。
【赤屋】
「昨夜はバーでこのハク……ハクと2時過ぎまで飲んだ後、そのままタクシーで俺の家まで一緒に帰った」
【赤屋】
「それからは、朝の8時ごろにハクが帰るまで一緒にいた」
【藍建】
「なるほど。2時過ぎから8時ごろまではずっと自宅に?」
【赤屋】
「ああ」
【藍建】
「……間違いないかい?」
藍建さんはなにやらメモを取りながらリュウの話を聞き、最後は俺に確認を求めた。
【ハク】
「はい……間違いありません」
【藍建】
「……確かにアリバイは問題ないようだな」
【藍建】
「じゃあ逆に、犯人に心当たりはないかな?」
藍建さんは俺に向き直ると、今度は質問を変えた。
俺は一瞬意味が呑み込めず、そのまま訊き返してしまった。
【ハク】
「心当たり……ですか」
【ハク】
(俺の家に放火なんてするほど恨んでいる人か……)
一体誰が…?
【ハク】
「もしかして…元の会社の上司?」
【藍建】
「可能性がない訳じゃないな…」
【ハク】
「元の会社の上司……くらいですかね」
【藍建】
「元上司……?」
【藍建】
「詳しく聞かせてくれるかい」
【ハク】
「はい……」
藍建さんの言葉に、俺は思い出しながら言葉を紡ぐ。本当はあまり思い出したくないことだが……。
【ハク】
「実は……以前勤めていた会社の上司に目の敵にされていて……」
【ハク】
「同僚の不正をその上司に報告したことがあったんですが」
【ハク】
「逆に俺が濡れ衣を着せられて、会社も解雇されて……」
「あっ、アンタは!!」
応接室に藍建さんが入ってくるなり、リュウが立ち上がって半ば叫ぶように言った。
【ハク】
(あれ?リュウ、藍建さんと知り合いなのか?)
【赤屋】
「おい、ハクも覚えてるだろ?昨日のバーにいた……」
リュウがそこまで言うと、藍建さんも覚えがあるらしく、頷く。
【藍建】
「あぁ、そういえば確かに昨晩……」
【藍建】
「やけに体格のいい人がいるなと思って……覚えているよ」
その言葉に俺は少し、引っかかるものを感じた。
藍建さんの言葉はリュウのことにしか触れていないからだ。
この際、俺が藍建さんを覚えていないことについては棚上げしよう。
それに、ただの一般市民の俺に比べれば刑事である彼のほうが記憶力は優れているべきだと思う。
【ハク】
「……俺も、その場にいたんですけどね」
【藍建】
「え?ええと……いたっけ?」
藍建さんの目が泳ぐ。
どうやら心当たりがないらしい。
なんだか、だんだんとイライラのようなものが顔を出す。
だって、藍建さんが覚えていればアリバイを証明するためにわざわざこうやって来る必要もなかったんじゃないか!
【ハク】
「どうせ俺なんて、存在感ないですよ」
俺の存在感って一体…
藍建さんに聞こえないように、リュウに向かって愚痴ってみる。
確かにリュウみたいに背も高くないしガタイが良いわけでもない。
顔だって十人並みで目立った特徴もないので、むしろ人から忘れられがちな方だ。
こんなことは別に今回に限ったことじゃないけど、だからと言って気分が良いわけじゃない。
【ハク】
「はぁ……」
【赤屋】
「そんなことねぇ!」
【ハク】
「!?」
ため息を吐く俺を見て、落ち込んでると思ったのか隣のリュウが声を大きくして主張する。
【赤屋】
「お前には立派な存在感がある。もっと自信を持て」
リュウは首を振ってそう言うが、そもそも存在感がないから藍建さんが覚えていないんじゃないか。
【ハク】
「リュウはいいよなぁ……逞しくて、存在感があって」
【ハク】
「俺なんか地味だしさ……」
【赤屋】
「『なんか』なんて言うな!地味でも、俺はハクのこと好きだ」
リュウは、俺の両肩を掴んで言い放った。
一瞬、時間が止まる。
【ハク】
「そ、それは……えっと……アリガトウ」
【赤屋】
「あ……違っ、そういう意味じゃねーから!」
【ハク】
「うん、大丈夫……」
リュウは慌てて俺の肩から手を離した。
そりゃあフォローのつもりで言ってくれてるってわかっちゃいるけど、こんな文句を目を見て言われると……さすがに照れる。
【藍建】
「えっと……そろそろいいですかね」
【ハク】
「えっ、ハイ!すみません」
【藍建】
「それじゃ、さっそくだけど」
た、助かった……。
この妙な空気を気にもしないようにそう前置きすると、藍建さんは本題に入った。
【藍建】
「犯行時刻――放火のあった時間ですね――は、今日の朝方4時ごろ」
【藍建】
「その時間帯、どこで何をしていたか聞かせてくれるかな?」
藍建さんは刑事らしく手帳を開きながら問いかける。
その問いを受け、リュウは頷いて話し出した。
【赤屋】
「昨夜はバーでこのハク……ハクと2時過ぎまで飲んだ後、そのままタクシーで俺の家まで一緒に帰った」
【赤屋】
「それからは、朝の8時ごろにハクが帰るまで一緒にいた」
【藍建】
「なるほど。2時過ぎから8時ごろまではずっと自宅に?」
【赤屋】
「ああ」
【藍建】
「……間違いないかい?」
藍建さんはなにやらメモを取りながらリュウの話を聞き、最後は俺に確認を求めた。
【ハク】
「はい……間違いありません」
【藍建】
「……確かにアリバイは問題ないようだな」
【藍建】
「じゃあ逆に、犯人に心当たりはないかな?」
藍建さんは俺に向き直ると、今度は質問を変えた。
俺は一瞬意味が呑み込めず、そのまま訊き返してしまった。
【ハク】
「心当たり……ですか」
【ハク】
(俺の家に放火なんてするほど恨んでいる人か……)
一体誰が…?
【ハク】
「もしかして…元の会社の上司?」
【藍建】
「可能性がない訳じゃないな…」
【ハク】
「元の会社の上司……くらいですかね」
【藍建】
「元上司……?」
【藍建】
「詳しく聞かせてくれるかい」
【ハク】
「はい……」
藍建さんの言葉に、俺は思い出しながら言葉を紡ぐ。本当はあまり思い出したくないことだが……。
【ハク】
「実は……以前勤めていた会社の上司に目の敵にされていて……」
【ハク】
「同僚の不正をその上司に報告したことがあったんですが」
【ハク】
「逆に俺が濡れ衣を着せられて、会社も解雇されて……」