[本編] 黒木 忠生 編
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俺と黒木は、再度病院に出向いた。
改めていろいろな検査をして医者の問診を受けると、ようやく治るまでの目処が見えてくる。
【医者】
「黒木さんのケガは…………全治半年、ですね」
【ハク】
「半年……!?」
【黒木】
「…………」
黒木のとなりで話を聞いていた俺は、黒木本人よりも驚いていた。
黒木は黙って問診を受けている。
【医者】
「そうです、半年。黒木さんの両足の膝は完全に砕けていました」
【ハク】
「そう……ですか」
【ハク】
(やっぱり……そうだと思った……)
ヤクザの事務所で、香月が鉄パイプを振り下ろしたとき………
あのときから、そうは思っていた……。
【医者】
「例え傷が治ったとしても、相当の覚悟のリハビリをしない限りは……」
【医者】
「残念ですが、元のように歩けるようになるのは難しいでしょうね」
【ハク】
「相当の覚悟の…リハビリ、ですか………」
【医者】
「そうですね。リハビリされる黒木さんご本人の、強い意志が必要になってくることです」
【ハク】
「本人の……」
俺は黒木を見た。
黒木は目を伏せてずっと黙っている。
【ハク】
「俺も応援するからさ、一緒にがんばろうな?」
俺は黒木の顔を見て、努めて明るく話しかけた。
【黒木】
「…………」
【ハク】
「黒木……?」
沈黙を守る黒木を前に、俺はどうしていいかわからなくなってしまった。
【医者】
「まあまずは治癒する必要がありますから。リハビリはその後ですし、焦らずいきましょう」
【ハク】
「あ、はい…っ」
【黒木】
「………」
医者からは手術をしなければならないと言われ、まずは手術を受けることになった。
黒木は相変わらず渋い顔をしていたが、足の痛みが激化するときもあり、最後には素直に従った。
――――手術は、問題なく成功する。
手術中、外で待っていた俺は、その知らせを受けてホッとした。
黒木は車椅子姿で俺の前に現れると、少し照れたような顔をする。
【黒木】
「こんな姿をハクに見せちゃうなんて……なんだか情けないよ……」
【ハク】
「なに言ってるんだよ。黒木はケガ人なんだぞ、仕方ないじゃないか」
【黒木】
「ケガ人か………」
【ハク】
「でも、大丈夫。ほら、俺が車椅子おしてやるからさ……っ」
俺は黒木の車椅子を押して歩いた。
まるで俺が黒木の保護者か何かになったみたいで、不思議な気分だ。
【黒木】
「…………」
【ハク】
「どうした、黒木……?」
【黒木】
「ハク……ごめん……」
【ハク】
「え?」
【黒木】
「……こんな世話までしてもらって………」
【ハク】
「ああ……いや、そんなの別に気にするなよ」
【ハク】
「それに……さ、俺自身がこうしたいんだよ」
【ハク】
「……黒木の世話をしたいんだ」
【黒木】
「ハク……」
【ハク】
(思えばおかしな話だよな……もともとは俺が黒木に世話になってたんだもんな)
【ハク】
(……それが逆になっちゃうなんて……)
まあ、それももともとは黒木の仕組んだことだったわけだけど―――
それでも、関係が逆転したみたいで何だか少し可笑しかった。
【ハク】
(でも……やっぱり俺、黒木の側にいて良かったな………)
俺は車椅子を押しながら、赤屋の誘いを受けたときのことを思い出した。
あのとき俺は、まっとうな道を提示されながらも黒木と一緒にいることを選んだのだ。
傍にいると、そう決心したのだ。
【ハク】
(あの時、俺が赤屋の誘いに乗っていたら……こんなふうに車椅子を押してあげることもできなかったんだもんな………)
【ハク】
(黒木の傍にいるって決めたこと……間違いじゃなかったんだ………)
俺は、自分の決断が間違いじゃなかったことが嬉しかった。
もちろん――――黒木が回復するまでのことを現実的に考えれば、そんなふうに喜んでいる場合などではなかったけれど……。
【黒木】
「ハク……ありがとう」
【ハク】
「うん…」
―――――そこから、黒木の車椅子での生活がスタートした。
しばらくの入院が要され、俺はそれに伴う準備をする。
【ハク】
「それにしても……今ではすっかり黒木の家にも慣れたなあ……」
黒木の服やらタオルやらをかき集めながら、俺はしみじみそんなことを思う。
思えば、俺の服なんて黒木が毎度新しいものを買ってきていたのだ……
黒木が盗んでいた古い服がどこにいったのかは未だに謎だけど……。
【ハク】
「あとは……ちょっと買い出しにいかないとな……」
俺はその他の必要なものを買い出しすると、そのまま病院に向かった。
病院は明るくクリーンな雰囲気で、詐欺師の黒木が入院しているだなんて何だか変な感じがしてしまう。
俺が病室に着くと、黒木は看護婦さんと話しているところだった。
【黒木】
「……あぁ、ハク!」
【看護婦】
「…あら、お見舞いですね。それでは私はこれで。何かあったらナースコールしてくださいね、黒木さん」
【黒木】
「はい」
看護婦さんは、俺に小さく頭を下げて、にこにこした顔をして去っていく。
俺はそれを見送ってから、黒木をいじった。もちろん、冗談でだ。
【ハク】
「なんだよ、黒木。可愛い看護婦さんと楽しく話しちゃって。俺なんか、こなくても良かったかなあ…」
【黒木】
「そんなこと言わないでよ、ハク……」
【ハク】
「…って、冗談だよ。そんなこと思うわけないだろ?」
【黒木】
「なんだ…驚かせないでよ。心臓に悪いなぁ」
黒木が本当に困ったような顔をしたりするから、俺は思わずおかしくなってしまった。
病室ではそんなとりとめのない話をして過ごし、病院の中庭では車椅子での散歩をする。
【黒木】
「なんだか身体がなまりそうだよ」
【ハク】
「じゃあ早く治して、リハビリしないとな」
【黒木】
「……そうかな」
改めていろいろな検査をして医者の問診を受けると、ようやく治るまでの目処が見えてくる。
【医者】
「黒木さんのケガは…………全治半年、ですね」
【ハク】
「半年……!?」
【黒木】
「…………」
黒木のとなりで話を聞いていた俺は、黒木本人よりも驚いていた。
黒木は黙って問診を受けている。
【医者】
「そうです、半年。黒木さんの両足の膝は完全に砕けていました」
【ハク】
「そう……ですか」
【ハク】
(やっぱり……そうだと思った……)
ヤクザの事務所で、香月が鉄パイプを振り下ろしたとき………
あのときから、そうは思っていた……。
【医者】
「例え傷が治ったとしても、相当の覚悟のリハビリをしない限りは……」
【医者】
「残念ですが、元のように歩けるようになるのは難しいでしょうね」
【ハク】
「相当の覚悟の…リハビリ、ですか………」
【医者】
「そうですね。リハビリされる黒木さんご本人の、強い意志が必要になってくることです」
【ハク】
「本人の……」
俺は黒木を見た。
黒木は目を伏せてずっと黙っている。
【ハク】
「俺も応援するからさ、一緒にがんばろうな?」
俺は黒木の顔を見て、努めて明るく話しかけた。
【黒木】
「…………」
【ハク】
「黒木……?」
沈黙を守る黒木を前に、俺はどうしていいかわからなくなってしまった。
【医者】
「まあまずは治癒する必要がありますから。リハビリはその後ですし、焦らずいきましょう」
【ハク】
「あ、はい…っ」
【黒木】
「………」
医者からは手術をしなければならないと言われ、まずは手術を受けることになった。
黒木は相変わらず渋い顔をしていたが、足の痛みが激化するときもあり、最後には素直に従った。
――――手術は、問題なく成功する。
手術中、外で待っていた俺は、その知らせを受けてホッとした。
黒木は車椅子姿で俺の前に現れると、少し照れたような顔をする。
【黒木】
「こんな姿をハクに見せちゃうなんて……なんだか情けないよ……」
【ハク】
「なに言ってるんだよ。黒木はケガ人なんだぞ、仕方ないじゃないか」
【黒木】
「ケガ人か………」
【ハク】
「でも、大丈夫。ほら、俺が車椅子おしてやるからさ……っ」
俺は黒木の車椅子を押して歩いた。
まるで俺が黒木の保護者か何かになったみたいで、不思議な気分だ。
【黒木】
「…………」
【ハク】
「どうした、黒木……?」
【黒木】
「ハク……ごめん……」
【ハク】
「え?」
【黒木】
「……こんな世話までしてもらって………」
【ハク】
「ああ……いや、そんなの別に気にするなよ」
【ハク】
「それに……さ、俺自身がこうしたいんだよ」
【ハク】
「……黒木の世話をしたいんだ」
【黒木】
「ハク……」
【ハク】
(思えばおかしな話だよな……もともとは俺が黒木に世話になってたんだもんな)
【ハク】
(……それが逆になっちゃうなんて……)
まあ、それももともとは黒木の仕組んだことだったわけだけど―――
それでも、関係が逆転したみたいで何だか少し可笑しかった。
【ハク】
(でも……やっぱり俺、黒木の側にいて良かったな………)
俺は車椅子を押しながら、赤屋の誘いを受けたときのことを思い出した。
あのとき俺は、まっとうな道を提示されながらも黒木と一緒にいることを選んだのだ。
傍にいると、そう決心したのだ。
【ハク】
(あの時、俺が赤屋の誘いに乗っていたら……こんなふうに車椅子を押してあげることもできなかったんだもんな………)
【ハク】
(黒木の傍にいるって決めたこと……間違いじゃなかったんだ………)
俺は、自分の決断が間違いじゃなかったことが嬉しかった。
もちろん――――黒木が回復するまでのことを現実的に考えれば、そんなふうに喜んでいる場合などではなかったけれど……。
【黒木】
「ハク……ありがとう」
【ハク】
「うん…」
―――――そこから、黒木の車椅子での生活がスタートした。
しばらくの入院が要され、俺はそれに伴う準備をする。
【ハク】
「それにしても……今ではすっかり黒木の家にも慣れたなあ……」
黒木の服やらタオルやらをかき集めながら、俺はしみじみそんなことを思う。
思えば、俺の服なんて黒木が毎度新しいものを買ってきていたのだ……
黒木が盗んでいた古い服がどこにいったのかは未だに謎だけど……。
【ハク】
「あとは……ちょっと買い出しにいかないとな……」
俺はその他の必要なものを買い出しすると、そのまま病院に向かった。
病院は明るくクリーンな雰囲気で、詐欺師の黒木が入院しているだなんて何だか変な感じがしてしまう。
俺が病室に着くと、黒木は看護婦さんと話しているところだった。
【黒木】
「……あぁ、ハク!」
【看護婦】
「…あら、お見舞いですね。それでは私はこれで。何かあったらナースコールしてくださいね、黒木さん」
【黒木】
「はい」
看護婦さんは、俺に小さく頭を下げて、にこにこした顔をして去っていく。
俺はそれを見送ってから、黒木をいじった。もちろん、冗談でだ。
【ハク】
「なんだよ、黒木。可愛い看護婦さんと楽しく話しちゃって。俺なんか、こなくても良かったかなあ…」
【黒木】
「そんなこと言わないでよ、ハク……」
【ハク】
「…って、冗談だよ。そんなこと思うわけないだろ?」
【黒木】
「なんだ…驚かせないでよ。心臓に悪いなぁ」
黒木が本当に困ったような顔をしたりするから、俺は思わずおかしくなってしまった。
病室ではそんなとりとめのない話をして過ごし、病院の中庭では車椅子での散歩をする。
【黒木】
「なんだか身体がなまりそうだよ」
【ハク】
「じゃあ早く治して、リハビリしないとな」
【黒木】
「……そうかな」
