[本編] 黒木 忠生 編
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黒木の家を出てきた俺は、ヤケ酒が飲みたくて、例のバーに足を向けた。
カウンター席に腰を下ろすと、少し強めの酒をオーダーする。
【ハク】
(……何も考えたくない………)
俺は、何杯か立て続けに酒を飲み干し、酔いが回り始めた頃にもう一杯追加のオーダーをした。
バーテンダーの和久井が、その酒を出すと同時に話しかけてくる。
【和久井】
「どうしたんです?随分と荒れているみたいですけど……何か嫌なことでも?」
【ハク】
「あ……いや、別に何も……」
【和久井】
「別に、って顔じゃないんだけどなー。良かったら、聞きますよ?こう見えてもそういうのは得意なんです」
和久井は独特の人懐っこい雰囲気で接してくる。
俺は、酔っていたことも手伝ってか、辛い胸の内をぽつぽつと話し始めていた。
もちろん、あの狂気的な黒木のことは言えなかったが……
仕事をクビになったことや、家が火事になったことなどをポツリポツリと話す。
【和久井】
「それは大変でしたね……軽く聞いてはいけない話だったかな……」
【ハク】
「いや、いいんです。思えば俺、今日からもう行くあてもないんですよね。…どうしよっかなあ……」
【和久井】
「………」
【ハク】
「…あ、すみませんっ。なんだか暗くなっちゃって」
【和久井】
「いや、大丈夫。少し考えていたことがあって―――うん、そうだな。もしよければ、うちのボーイにならないかな?」
【ハク】
「……ボーイ?」
【和久井】
「このバーは違う顔も持ってるんですよ。まあ……もちろん普通のお客様には内緒だけど。実は――――」
―――――和久井は、このバーで男を斡旋しているのだと言った。
つまり……ウリができるのだ。
俺が誘われたのはそのボーイのことで、ウェイターのようなものかと軽く思っていた俺は驚いてしまった。
【和久井】
「けっこう可愛い顔してるから、多分お客さんもすぐにつくだろうし」
【ハク】
「ちょ…ちょっと待って下さい…っ。俺、そんな……っ」
【和久井】
「もちろん、ボーイになれば住む場所も提供しますよ。ちょうど良いんじゃないですか?悪い話じゃないと思うんだけどなー」
【ハク】
「でも……」
俺は反論しながらも、和久井のその誘いに揺れていた。
仕事も寝る場所もない今の俺にとっては、確かにいい話には違いない。
【ハク】
(そうだよな…ちょうど良いじゃないか…どうせ、もう何もないんだし、どうにでもなれば良いや………)
………結局、俺はその場の勢いで、その誘いに乗ることにした。
【ハク】
「わかりました――――俺、やります……」
【和久井】
「了解」
和久井はにっこりと笑うと、さっそく客に俺のことを紹介するからと言った。
酔っていた俺は適当に返事をすると、その後完全に酔いつぶれてしまった……
そして、そのままバーでの一夜が明ける………。
―――――その翌日。
【和久井】
「良いお知らせですよ。さっそくお客さんがつきました。しかも上客!すごいなー、やっぱり思った通りだった。夜、バーに来て貰えますか?」
【ハク】
「あっ、はい…っ」
和久井からかかってきた電話は、俺の初仕事を知らせる電話だった。
客がついた――――つまり俺は、その客と関係を持つということだ……。
【ハク】
(どうしよう……今更不安になってきた……昨日は酔ってたし、実感もなかったけど……)
その夜、俺は不安をそのままにバーのドアを開けた。
待っていた和久井に声をかけられ、客はまだ来ていないことを告げられる。
【ハク】
「やばい……緊張してきた……」
【ハク】
(心臓がドクドクいってる……)
【和久井】
「まあまあ、そんなに緊張しないで。これでも飲んで、心を落ち着かせて」
【ハク】
「あ、ありがとうございます……」
緊張している俺に和久井が差し出してくれたのは、一杯の酒だった。
俺は、緊張を和らげるのと、渇き始めていた咽喉を潤すために、それを一気にゴクゴクと飲み干す。
そして――――しばらくした後……。
【和久井】
「ああ、いらっしゃったみたいですね」
【ハク】
「えっ!?」
和久井の言葉に、ドキリとして慌ててドアの方を振り返る―――――……と。
【ハク】
「……っ!?」
【ハク】
(…う、うそだろ……!?な、なんで……!?)
俺は思わず息を飲んだ。一気に緊張感が増す。
そこにいたのは――――――黒木だった。
俺の顔が、みるみる青ざめていく。黒木はそれを察したのか、和久井に満面の笑みで話しかける。
【黒木】
「どうも、お待たせしちゃってすみません。――――彼、ですよね?」
【和久井】
「ええ、そうです」
【和久井】
「新人君なのに気に入って頂けて嬉しいですよ」
【和久井】
「ほら…挨拶して」
和久井に促されて俺は黒木へ挨拶をする。
【ハク】
「あ………は、はい……ハクです。宜しくお願いします。」
【黒木】
「黒木です。どうぞ宜しく」
黒木はそう余所余所しく挨拶をすると、和久井に話を振った。
【黒木】
「恥ずかしいけど一目ぼれしちゃって…だってほら、彼、あんまり可愛いから」
【黒木】
「じゃあさっそく……良いですか?」
【和久井】
「はい、もちろん」
和久井は俺に目配せをして同行を促すと、俺の耳元でそっと囁いた。
【和久井】
「とりあえず前金で3日分もらってるから、あとは宜しくお願いしますね」
【ハク】
「あ………は、はい……」
【ハク】
(だめだ…和久井さんに迷惑はかけられない………)
俺は、体裁良くふるまっている黒木の後ろについて、バーを出た。
そして、黒木の言うままタクシーに乗り込む。
行き先は――――黒木の家、だった………。
しばらくして、タクシーが黒木のマンションについた。
黒木は俺を先に部屋に入れると、後ろ手でガチャリと部屋の鍵を閉める。
よく見ると、内側からも鍵で閉めるタイプのものが設置してあり、勝手には外に出られないようになっていた。
ゾッとしてしまう………。
【黒木】
「…ハク…残念だよ…。俺以外の男と寝ようとするなんて……」
【ハク】
「…ひ…、っ……」
【黒木】
「俺はもうどうしようかと思ったよ…ハクがそんなはしたないことをしようとするから……」
【ハク】
「く、くろき……」
【黒木】
「でも許してあげるよ、ハク。だって、こうやって俺の元に戻って来てくれたんだ……ハク……」
悲しそうに嘆いたかと思えば、今度は唐突に歓喜の顔になったりする……まるで感情が壊れているみたいだ。狂ってる……。
俺は、背筋が凍るほどの恐怖を感じていた。
カウンター席に腰を下ろすと、少し強めの酒をオーダーする。
【ハク】
(……何も考えたくない………)
俺は、何杯か立て続けに酒を飲み干し、酔いが回り始めた頃にもう一杯追加のオーダーをした。
バーテンダーの和久井が、その酒を出すと同時に話しかけてくる。
【和久井】
「どうしたんです?随分と荒れているみたいですけど……何か嫌なことでも?」
【ハク】
「あ……いや、別に何も……」
【和久井】
「別に、って顔じゃないんだけどなー。良かったら、聞きますよ?こう見えてもそういうのは得意なんです」
和久井は独特の人懐っこい雰囲気で接してくる。
俺は、酔っていたことも手伝ってか、辛い胸の内をぽつぽつと話し始めていた。
もちろん、あの狂気的な黒木のことは言えなかったが……
仕事をクビになったことや、家が火事になったことなどをポツリポツリと話す。
【和久井】
「それは大変でしたね……軽く聞いてはいけない話だったかな……」
【ハク】
「いや、いいんです。思えば俺、今日からもう行くあてもないんですよね。…どうしよっかなあ……」
【和久井】
「………」
【ハク】
「…あ、すみませんっ。なんだか暗くなっちゃって」
【和久井】
「いや、大丈夫。少し考えていたことがあって―――うん、そうだな。もしよければ、うちのボーイにならないかな?」
【ハク】
「……ボーイ?」
【和久井】
「このバーは違う顔も持ってるんですよ。まあ……もちろん普通のお客様には内緒だけど。実は――――」
―――――和久井は、このバーで男を斡旋しているのだと言った。
つまり……ウリができるのだ。
俺が誘われたのはそのボーイのことで、ウェイターのようなものかと軽く思っていた俺は驚いてしまった。
【和久井】
「けっこう可愛い顔してるから、多分お客さんもすぐにつくだろうし」
【ハク】
「ちょ…ちょっと待って下さい…っ。俺、そんな……っ」
【和久井】
「もちろん、ボーイになれば住む場所も提供しますよ。ちょうど良いんじゃないですか?悪い話じゃないと思うんだけどなー」
【ハク】
「でも……」
俺は反論しながらも、和久井のその誘いに揺れていた。
仕事も寝る場所もない今の俺にとっては、確かにいい話には違いない。
【ハク】
(そうだよな…ちょうど良いじゃないか…どうせ、もう何もないんだし、どうにでもなれば良いや………)
………結局、俺はその場の勢いで、その誘いに乗ることにした。
【ハク】
「わかりました――――俺、やります……」
【和久井】
「了解」
和久井はにっこりと笑うと、さっそく客に俺のことを紹介するからと言った。
酔っていた俺は適当に返事をすると、その後完全に酔いつぶれてしまった……
そして、そのままバーでの一夜が明ける………。
―――――その翌日。
【和久井】
「良いお知らせですよ。さっそくお客さんがつきました。しかも上客!すごいなー、やっぱり思った通りだった。夜、バーに来て貰えますか?」
【ハク】
「あっ、はい…っ」
和久井からかかってきた電話は、俺の初仕事を知らせる電話だった。
客がついた――――つまり俺は、その客と関係を持つということだ……。
【ハク】
(どうしよう……今更不安になってきた……昨日は酔ってたし、実感もなかったけど……)
その夜、俺は不安をそのままにバーのドアを開けた。
待っていた和久井に声をかけられ、客はまだ来ていないことを告げられる。
【ハク】
「やばい……緊張してきた……」
【ハク】
(心臓がドクドクいってる……)
【和久井】
「まあまあ、そんなに緊張しないで。これでも飲んで、心を落ち着かせて」
【ハク】
「あ、ありがとうございます……」
緊張している俺に和久井が差し出してくれたのは、一杯の酒だった。
俺は、緊張を和らげるのと、渇き始めていた咽喉を潤すために、それを一気にゴクゴクと飲み干す。
そして――――しばらくした後……。
【和久井】
「ああ、いらっしゃったみたいですね」
【ハク】
「えっ!?」
和久井の言葉に、ドキリとして慌ててドアの方を振り返る―――――……と。
【ハク】
「……っ!?」
【ハク】
(…う、うそだろ……!?な、なんで……!?)
俺は思わず息を飲んだ。一気に緊張感が増す。
そこにいたのは――――――黒木だった。
俺の顔が、みるみる青ざめていく。黒木はそれを察したのか、和久井に満面の笑みで話しかける。
【黒木】
「どうも、お待たせしちゃってすみません。――――彼、ですよね?」
【和久井】
「ええ、そうです」
【和久井】
「新人君なのに気に入って頂けて嬉しいですよ」
【和久井】
「ほら…挨拶して」
和久井に促されて俺は黒木へ挨拶をする。
【ハク】
「あ………は、はい……ハクです。宜しくお願いします。」
【黒木】
「黒木です。どうぞ宜しく」
黒木はそう余所余所しく挨拶をすると、和久井に話を振った。
【黒木】
「恥ずかしいけど一目ぼれしちゃって…だってほら、彼、あんまり可愛いから」
【黒木】
「じゃあさっそく……良いですか?」
【和久井】
「はい、もちろん」
和久井は俺に目配せをして同行を促すと、俺の耳元でそっと囁いた。
【和久井】
「とりあえず前金で3日分もらってるから、あとは宜しくお願いしますね」
【ハク】
「あ………は、はい……」
【ハク】
(だめだ…和久井さんに迷惑はかけられない………)
俺は、体裁良くふるまっている黒木の後ろについて、バーを出た。
そして、黒木の言うままタクシーに乗り込む。
行き先は――――黒木の家、だった………。
しばらくして、タクシーが黒木のマンションについた。
黒木は俺を先に部屋に入れると、後ろ手でガチャリと部屋の鍵を閉める。
よく見ると、内側からも鍵で閉めるタイプのものが設置してあり、勝手には外に出られないようになっていた。
ゾッとしてしまう………。
【黒木】
「…ハク…残念だよ…。俺以外の男と寝ようとするなんて……」
【ハク】
「…ひ…、っ……」
【黒木】
「俺はもうどうしようかと思ったよ…ハクがそんなはしたないことをしようとするから……」
【ハク】
「く、くろき……」
【黒木】
「でも許してあげるよ、ハク。だって、こうやって俺の元に戻って来てくれたんだ……ハク……」
悲しそうに嘆いたかと思えば、今度は唐突に歓喜の顔になったりする……まるで感情が壊れているみたいだ。狂ってる……。
俺は、背筋が凍るほどの恐怖を感じていた。
