[本編] 黒木 忠生 編
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【水野】
「いつまでも澄ましてんじゃねぇぞ…っ!」
【香月】
「水野ぁ、顔は殴っちゃダメだからね?売り物にならなくなったら困るし」
水野は黒木をいたぶる手を休めずに罵倒する。
その光景を後ろでくつろいで見ていたスーツ姿の男・香月が、ケラケラと可笑しそうに笑った。
【ハク】
(くそ……っ。黒木………っ)
何もできないことが悔しい―――そう思い唇を噛む。
そんな俺の姿を目に留めた香月が、また可笑しそうな声を出した。
【香月】
「んー?…あれぇ?この子、こないだ拉致ってきた子じゃない?」
【香月】
「頭にバレたらマズいんじゃないの?」
【水野】
「そっちのには手は加えません。今回用があるのはコッチのほうだけなんで」
【香月】
「あ、そう?注意してよね。俺がどやされるのはカンベンだから」
【水野】
「はい、分かってます」
水野は香月の言葉に一瞬不機嫌そうな顔をしたが、素直に了承し、また黒木を痛めつけ始めた。
黒木は必死に痛みを耐えている……その姿が痛々しい……。
それなのに俺は、そんな黒木の姿を見守ることしかできない…………。
【水野】
「どこまで耐えられるかやってみるか…っ!?この…っ!」
【黒木】
「うっ!ぐっ!……はぁ…はぁ…ぐ…ふっ…!」
【香月】
「あはははは。痛みぐらいじゃ懲りないかなぁ?」
香月は面白そうに笑いながら、水野の暴力を娯楽か何かのように眺めている。
黒木への殴る蹴るの暴行はそのまま何度も何度も繰り返され、黒木の口からは血が吹き出した。
息が荒く、目が虚ろになっている。
【香月】
「こんなんじゃ物足りないよなぁ?じゃあさー、コイツをお見舞いしてやろっかなぁ!」
香月は部下が手に持っていた鉄パイプを取り上げると、黒木の右足膝めがけて思い切り振りおろした。
次の瞬間、鈍い音が反響する。
【黒木】
「ぐ、あああああああっ……!!!」
【ハク】
「…っ!」
【ハク】
(黒木…っ!)
激痛にもだえる黒木が、口から泡を吹いた。
もはや痛々しいなんてものじゃない。
…惨い。あまりに惨すぎる……。
とてもじゃないが見ていられなくて、俺は思わず目を伏せてしまった。
【香月】
「そうだなぁ、片足じゃまだ動けちゃうよね…」
【ハク】
(ま、まさか………)
香月は薄笑いを浮かべると、今度は鉄パイプを2度3度、左足膝に振りおろした。
鈍い音と、黒木の絶叫が交じり合う。
【黒木】
「あ、がっああああ、ああ……っ!!……っ……」
黒木は激痛に耐えられなかったのか、白目を向いてがっくりとうなだれた。
【香月】
「あははは!コイツ、気絶してやんの」
【香月】
「ちぇ。つまんないなぁ」
【ハク】
「…っ………」
想像を絶する痛みに気絶した黒木は、まるでゴミのように足蹴にされ、床に転がされた。
もうボロボロだ………。
そんな黒木の姿を見て、俺の目からは涙が流れた…………。
まだどこか物足りない様子の香月を見て、俺はくぐもった声で香月に訴えた。
これ以上やられたら、黒木は死んでしまう……。
【ハク】
(……もう、やめてくれ………)
俺は、香月に向かって、やめてくれと懇願した。
【香月】
「はぁ?なにか言った、そこのおまけクン?」
【ハク】
「もう…もう、いいだろう……?」
【ハク】
「両膝の骨が砕けてるはずだ……」
【香月】
「ああ、そうだねぇ。可哀相だけど、歩くこともままならないだろうねぇ」
【香月】
「ちゃんと歩くようになるまでに何年かかるか……」
【香月】
「……それとも歩けないか……ククク…」
香月は軽い調子でそう言い放つと、楽しそうに笑った。
そして、俺の言葉など無視して、まだ黒木を痛めつけようと顔を醜く歪ませる。
―――そんな時だった。
バタン!
唐突に部屋のドアが開き、威圧的な声が響き渡る。
【赤屋】
「―――もうやめろ。それでオトシマエはついただろう」
それは―――――――赤屋だった。
声を聞きつけて部屋にやってきたらしい赤屋は、床に転がる黒木に目をやると、その後俺の方をチラッと見てくる。
どこか切なげなその視線が、俺を捕らえた。
【赤屋】
「……本来ならば、ウチのシマを荒らした時点で命まで取られても仕方ないところだが……」
【赤屋】
「今回はアイツのために……俺に免じて、許してやってくれ」
【香月】
「何だよー。いきなり出てきて、それ?」
【香月】
「ちょっと虫がよすぎるんじゃない?」
【赤屋】
「―――頼む」
赤屋は香月に対して軽く頭を下げた。
それを見た香月はバツの悪そうな顔をして言う。
【香月】
「……ちぇ。赤屋がそう言うならしょうがないか……」
【香月】
「……だってさ、水野。あと、よろしくね」
【水野】
「…はい」
香月は残念そうな顔をしながらも、赤屋の言うことに従い、俺たちを解放した。
その場から去っていく香月の姿を見て、俺はホッとしてしまう。
【ハク】
(本当はホッとなんてできないけど………)
【ハク】
(でも、あれ以上やられなくて、まだ良かった……そう思わなきゃ………)
その後、赤屋の指示で、俺と黒木は帰ることになった。
黒木は水野の手によって組の門の前まで運ばれ、俺はそれについていく。
赤屋は隣についてきていたが、ずっと無言だった。それが、本当の別れ際になってようやく口を開く。
【赤屋】
「……ハク、すまなかったな。この間、あんなことがあったばかりなのに……またお前をこんな目に遭わせた…」
【ハク】
「そんな……赤屋が謝ることじゃないよ」
【赤屋】
「……。……お前、これから大丈夫か」
【ハク】
「…ああ、大丈夫。…あのさ、ありがとう……赤屋」
【ハク】
「あの時、赤屋がきてくれなかったら、俺たち、どうなってたか………」
【赤屋】
「…………」
もしかしたら、黒木は死んでいたかもしれない。そう思うとゾッとする………。
あのタイミングだったからこそ黒木は一命を取り留めたのだ………。
【赤屋】
「……本当に、それでいいのか」
【ハク】
「え……?」
【赤屋】
「こいつは……黒木は、詐欺師だ。裏社会に手を染めている」
【赤屋】
「……今ならば、お前はこいつの元から去ることもできる」
【ハク】
「何、言って………」
【赤屋】
「……こいつの側にいて、お前まで巻き添えを食らう必要なんてない。まっとうな道に戻るチャンスじゃないのか?」
【ハク】
「………」
【赤屋】
「もしお前にその気があるならば………職や住居なら、俺が斡旋してもいい」
【ハク】
「……赤屋…どうして、そこまで………?」
【赤屋】
「………」
赤屋は答えなかった。
ただ、黙って俺の回答を待っている……。
まっとうな道に戻る―――その言葉が心に響く。
そんな道もまだあるのかと、そう思った。
【ハク】
(でも俺は……黒木の側を離れるわけにはいかない……)
俺はここ数日の黒木のことを思い出した。
俺を傷つけまいとして、脅えながらすごしていた黒木のことを………。
その黒木は今、身体をだらんとさせ、俺に支えられている。
【ハク】
「……ありがとう、赤屋。でも俺…今のままでいいんだ。……いや、今のままがいいんだ」
【赤屋】
「……本当にそれで良いのか。後悔しないんだな…?」
【ハク】
「……ああ」
【赤屋】
「―――分かった」
俺は、赤屋の申し出を辞退し、黒木を支えながらその場を後にする。
これで良いんだ……だって俺は、黒木を信じると決めたんだから――――。
【ハク】
「帰ろう、黒木。俺たちの家に。俺がちゃんと―――――支えてるから……」
続く…
「いつまでも澄ましてんじゃねぇぞ…っ!」
【香月】
「水野ぁ、顔は殴っちゃダメだからね?売り物にならなくなったら困るし」
水野は黒木をいたぶる手を休めずに罵倒する。
その光景を後ろでくつろいで見ていたスーツ姿の男・香月が、ケラケラと可笑しそうに笑った。
【ハク】
(くそ……っ。黒木………っ)
何もできないことが悔しい―――そう思い唇を噛む。
そんな俺の姿を目に留めた香月が、また可笑しそうな声を出した。
【香月】
「んー?…あれぇ?この子、こないだ拉致ってきた子じゃない?」
【香月】
「頭にバレたらマズいんじゃないの?」
【水野】
「そっちのには手は加えません。今回用があるのはコッチのほうだけなんで」
【香月】
「あ、そう?注意してよね。俺がどやされるのはカンベンだから」
【水野】
「はい、分かってます」
水野は香月の言葉に一瞬不機嫌そうな顔をしたが、素直に了承し、また黒木を痛めつけ始めた。
黒木は必死に痛みを耐えている……その姿が痛々しい……。
それなのに俺は、そんな黒木の姿を見守ることしかできない…………。
【水野】
「どこまで耐えられるかやってみるか…っ!?この…っ!」
【黒木】
「うっ!ぐっ!……はぁ…はぁ…ぐ…ふっ…!」
【香月】
「あはははは。痛みぐらいじゃ懲りないかなぁ?」
香月は面白そうに笑いながら、水野の暴力を娯楽か何かのように眺めている。
黒木への殴る蹴るの暴行はそのまま何度も何度も繰り返され、黒木の口からは血が吹き出した。
息が荒く、目が虚ろになっている。
【香月】
「こんなんじゃ物足りないよなぁ?じゃあさー、コイツをお見舞いしてやろっかなぁ!」
香月は部下が手に持っていた鉄パイプを取り上げると、黒木の右足膝めがけて思い切り振りおろした。
次の瞬間、鈍い音が反響する。
【黒木】
「ぐ、あああああああっ……!!!」
【ハク】
「…っ!」
【ハク】
(黒木…っ!)
激痛にもだえる黒木が、口から泡を吹いた。
もはや痛々しいなんてものじゃない。
…惨い。あまりに惨すぎる……。
とてもじゃないが見ていられなくて、俺は思わず目を伏せてしまった。
【香月】
「そうだなぁ、片足じゃまだ動けちゃうよね…」
【ハク】
(ま、まさか………)
香月は薄笑いを浮かべると、今度は鉄パイプを2度3度、左足膝に振りおろした。
鈍い音と、黒木の絶叫が交じり合う。
【黒木】
「あ、がっああああ、ああ……っ!!……っ……」
黒木は激痛に耐えられなかったのか、白目を向いてがっくりとうなだれた。
【香月】
「あははは!コイツ、気絶してやんの」
【香月】
「ちぇ。つまんないなぁ」
【ハク】
「…っ………」
想像を絶する痛みに気絶した黒木は、まるでゴミのように足蹴にされ、床に転がされた。
もうボロボロだ………。
そんな黒木の姿を見て、俺の目からは涙が流れた…………。
まだどこか物足りない様子の香月を見て、俺はくぐもった声で香月に訴えた。
これ以上やられたら、黒木は死んでしまう……。
【ハク】
(……もう、やめてくれ………)
俺は、香月に向かって、やめてくれと懇願した。
【香月】
「はぁ?なにか言った、そこのおまけクン?」
【ハク】
「もう…もう、いいだろう……?」
【ハク】
「両膝の骨が砕けてるはずだ……」
【香月】
「ああ、そうだねぇ。可哀相だけど、歩くこともままならないだろうねぇ」
【香月】
「ちゃんと歩くようになるまでに何年かかるか……」
【香月】
「……それとも歩けないか……ククク…」
香月は軽い調子でそう言い放つと、楽しそうに笑った。
そして、俺の言葉など無視して、まだ黒木を痛めつけようと顔を醜く歪ませる。
―――そんな時だった。
バタン!
唐突に部屋のドアが開き、威圧的な声が響き渡る。
【赤屋】
「―――もうやめろ。それでオトシマエはついただろう」
それは―――――――赤屋だった。
声を聞きつけて部屋にやってきたらしい赤屋は、床に転がる黒木に目をやると、その後俺の方をチラッと見てくる。
どこか切なげなその視線が、俺を捕らえた。
【赤屋】
「……本来ならば、ウチのシマを荒らした時点で命まで取られても仕方ないところだが……」
【赤屋】
「今回はアイツのために……俺に免じて、許してやってくれ」
【香月】
「何だよー。いきなり出てきて、それ?」
【香月】
「ちょっと虫がよすぎるんじゃない?」
【赤屋】
「―――頼む」
赤屋は香月に対して軽く頭を下げた。
それを見た香月はバツの悪そうな顔をして言う。
【香月】
「……ちぇ。赤屋がそう言うならしょうがないか……」
【香月】
「……だってさ、水野。あと、よろしくね」
【水野】
「…はい」
香月は残念そうな顔をしながらも、赤屋の言うことに従い、俺たちを解放した。
その場から去っていく香月の姿を見て、俺はホッとしてしまう。
【ハク】
(本当はホッとなんてできないけど………)
【ハク】
(でも、あれ以上やられなくて、まだ良かった……そう思わなきゃ………)
その後、赤屋の指示で、俺と黒木は帰ることになった。
黒木は水野の手によって組の門の前まで運ばれ、俺はそれについていく。
赤屋は隣についてきていたが、ずっと無言だった。それが、本当の別れ際になってようやく口を開く。
【赤屋】
「……ハク、すまなかったな。この間、あんなことがあったばかりなのに……またお前をこんな目に遭わせた…」
【ハク】
「そんな……赤屋が謝ることじゃないよ」
【赤屋】
「……。……お前、これから大丈夫か」
【ハク】
「…ああ、大丈夫。…あのさ、ありがとう……赤屋」
【ハク】
「あの時、赤屋がきてくれなかったら、俺たち、どうなってたか………」
【赤屋】
「…………」
もしかしたら、黒木は死んでいたかもしれない。そう思うとゾッとする………。
あのタイミングだったからこそ黒木は一命を取り留めたのだ………。
【赤屋】
「……本当に、それでいいのか」
【ハク】
「え……?」
【赤屋】
「こいつは……黒木は、詐欺師だ。裏社会に手を染めている」
【赤屋】
「……今ならば、お前はこいつの元から去ることもできる」
【ハク】
「何、言って………」
【赤屋】
「……こいつの側にいて、お前まで巻き添えを食らう必要なんてない。まっとうな道に戻るチャンスじゃないのか?」
【ハク】
「………」
【赤屋】
「もしお前にその気があるならば………職や住居なら、俺が斡旋してもいい」
【ハク】
「……赤屋…どうして、そこまで………?」
【赤屋】
「………」
赤屋は答えなかった。
ただ、黙って俺の回答を待っている……。
まっとうな道に戻る―――その言葉が心に響く。
そんな道もまだあるのかと、そう思った。
【ハク】
(でも俺は……黒木の側を離れるわけにはいかない……)
俺はここ数日の黒木のことを思い出した。
俺を傷つけまいとして、脅えながらすごしていた黒木のことを………。
その黒木は今、身体をだらんとさせ、俺に支えられている。
【ハク】
「……ありがとう、赤屋。でも俺…今のままでいいんだ。……いや、今のままがいいんだ」
【赤屋】
「……本当にそれで良いのか。後悔しないんだな…?」
【ハク】
「……ああ」
【赤屋】
「―――分かった」
俺は、赤屋の申し出を辞退し、黒木を支えながらその場を後にする。
これで良いんだ……だって俺は、黒木を信じると決めたんだから――――。
【ハク】
「帰ろう、黒木。俺たちの家に。俺がちゃんと―――――支えてるから……」
続く…
