[本編] 銀 夏生 編
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【銀】
「……大丈夫か?」
【ハク】
「う……ン…?」
次に目が覚めた時、目の前にはナツの姿があった。
上体を持ち上げて周囲を見回すと、どうやら倉庫の外にいるらしい。いつの間にか服も着せられている。
【ハク】
「お…俺、どうしたんだ……?」
【銀】
「大丈夫。少し眠っていただけだ」
【ハク】
「眠って……?………あいつ、は……?」
【銀】
「……黒木はもう捕まえた。オレと藍建がパトカーで倉庫にかけつけたんだ」
【ハク】
「そう…か……」
しばらくすると、倉庫の中から3人の男たちが、警察に捕えられて出てきた。その内の一人は。
…………あの黒木だった。
【ハク】
「黒木…………」
その姿を目にした俺は、思わず顔を歪めてしまった。
黒木は顔をボコボコに殴られ、すでに抵抗できない状態にあった。
生きてるか死んでるか分からない半殺しの状態だ。
いかにも痛々しい………。
【黒木】
「……ぅ……ぁ………」
黒木は俺の姿を見つけると、その痛々しい格好で嬉しそうに微笑んでくる。
口をもごもごと動かしていたが、何を言っているのかわからない。
【ハク】
(喋れないのか……?)
見れば、黒木の口のまわりは血だらけだった。
半開きの口から、舌にガラスのようなものが刺さっているのが見える。
黒木は口の中にガラスをしこまれて殴られたのだ。
【ハク】
「っ……」
俺は思わず言葉をなくしてしまった。
黒木のことは、散々遊ばれて憎々しいと思ったし、怖くて仕方なかった。
でも、その痛々しい外見と、それでも俺に笑いかける黒木を見ると………
俺は何をどう思えば良いのかわからなくて………。
【銀】
「ハク」
【ハク】
「え……ン、んんッ…!」
その時、突然ナツが俺に口づけてきた。
ナツはわざと黒木に見せつけるようにして俺の唇を貪ってくる。
公衆の面前なのに……そう思って俺は抵抗したが、ナツは一向にやめようとはしなかった。
むしろ、エスカレートしていく……。
【ハク】
「ふ、う……ンっ……っ」
俺は、ナツの巧みな技にぼーっとしてしまった。
こんな時なのに、とろけそうになってしまう………。
そんな俺の視界の端には、遠い目をした黒木が映っていた。
黒木は、パトカーに乗せられ、警察に連行されていく―――。
【銀】
「これでお前も安心して俺の傍にいられるな」
【ハク】
「っ……。………う、ん………」
黒木が去ったその場で、俺を抱きしめながらナツが言う。
俺はその言葉に戸惑いながらも頷いた。
………本当のことを思い返しながら。
【ハク】
(…………あの時……黒木とナツが、話していたこと…………)
朦朧とする意識の中で聞いた二人の会話……
俺はそれを、覚えている……。
黒木は言っていた……ナツが、俺をクビにして、自分の傍においているのだ、と……。
俺はあの写真のことを思い出した。
ナツが元上司と話している、例の写真―――
ナツが教えてくれなかった本当のこと……。
【ハク】
(………………黒幕は、ナツなんだ………)
俺は、もう、そのことに気づいてしまった。それはすでに確信だった。
俺の人生を狂わせたのは、全部ナツだったんだ―――――。
【ハク】
(………でも俺は…それでも、ナツのこと……………好き、だ………)
胸が苦しかった。
悔しいのに、嬉しい。許せないのに、愛おしい。
………ぐちゃぐちゃだった。
【銀】
「ハク。家に帰ろう」
【ハク】
「……ああ」
―――その後。
警察があの倉庫を隅から隅まで捜索した結果、データが入っていそうなパソコンやメディアが発見され、それらは全て処分された。
俺はナツからその報告を受けると、心底ホッとして力が抜けてしまった。
安心した俺の顔を見て、ナツもそっと微笑んだ。
【銀】
「これでもう怖いことは何もないだろう?…ハク」
【ハク】
「……そうだな」
車は、まっすぐ自宅へと向かっていく。
ナツの用意した俺たちの場所へと……
もう離れることは許されないとでもいうように――――。
続く…
「……大丈夫か?」
【ハク】
「う……ン…?」
次に目が覚めた時、目の前にはナツの姿があった。
上体を持ち上げて周囲を見回すと、どうやら倉庫の外にいるらしい。いつの間にか服も着せられている。
【ハク】
「お…俺、どうしたんだ……?」
【銀】
「大丈夫。少し眠っていただけだ」
【ハク】
「眠って……?………あいつ、は……?」
【銀】
「……黒木はもう捕まえた。オレと藍建がパトカーで倉庫にかけつけたんだ」
【ハク】
「そう…か……」
しばらくすると、倉庫の中から3人の男たちが、警察に捕えられて出てきた。その内の一人は。
…………あの黒木だった。
【ハク】
「黒木…………」
その姿を目にした俺は、思わず顔を歪めてしまった。
黒木は顔をボコボコに殴られ、すでに抵抗できない状態にあった。
生きてるか死んでるか分からない半殺しの状態だ。
いかにも痛々しい………。
【黒木】
「……ぅ……ぁ………」
黒木は俺の姿を見つけると、その痛々しい格好で嬉しそうに微笑んでくる。
口をもごもごと動かしていたが、何を言っているのかわからない。
【ハク】
(喋れないのか……?)
見れば、黒木の口のまわりは血だらけだった。
半開きの口から、舌にガラスのようなものが刺さっているのが見える。
黒木は口の中にガラスをしこまれて殴られたのだ。
【ハク】
「っ……」
俺は思わず言葉をなくしてしまった。
黒木のことは、散々遊ばれて憎々しいと思ったし、怖くて仕方なかった。
でも、その痛々しい外見と、それでも俺に笑いかける黒木を見ると………
俺は何をどう思えば良いのかわからなくて………。
【銀】
「ハク」
【ハク】
「え……ン、んんッ…!」
その時、突然ナツが俺に口づけてきた。
ナツはわざと黒木に見せつけるようにして俺の唇を貪ってくる。
公衆の面前なのに……そう思って俺は抵抗したが、ナツは一向にやめようとはしなかった。
むしろ、エスカレートしていく……。
【ハク】
「ふ、う……ンっ……っ」
俺は、ナツの巧みな技にぼーっとしてしまった。
こんな時なのに、とろけそうになってしまう………。
そんな俺の視界の端には、遠い目をした黒木が映っていた。
黒木は、パトカーに乗せられ、警察に連行されていく―――。
【銀】
「これでお前も安心して俺の傍にいられるな」
【ハク】
「っ……。………う、ん………」
黒木が去ったその場で、俺を抱きしめながらナツが言う。
俺はその言葉に戸惑いながらも頷いた。
………本当のことを思い返しながら。
【ハク】
(…………あの時……黒木とナツが、話していたこと…………)
朦朧とする意識の中で聞いた二人の会話……
俺はそれを、覚えている……。
黒木は言っていた……ナツが、俺をクビにして、自分の傍においているのだ、と……。
俺はあの写真のことを思い出した。
ナツが元上司と話している、例の写真―――
ナツが教えてくれなかった本当のこと……。
【ハク】
(………………黒幕は、ナツなんだ………)
俺は、もう、そのことに気づいてしまった。それはすでに確信だった。
俺の人生を狂わせたのは、全部ナツだったんだ―――――。
【ハク】
(………でも俺は…それでも、ナツのこと……………好き、だ………)
胸が苦しかった。
悔しいのに、嬉しい。許せないのに、愛おしい。
………ぐちゃぐちゃだった。
【銀】
「ハク。家に帰ろう」
【ハク】
「……ああ」
―――その後。
警察があの倉庫を隅から隅まで捜索した結果、データが入っていそうなパソコンやメディアが発見され、それらは全て処分された。
俺はナツからその報告を受けると、心底ホッとして力が抜けてしまった。
安心した俺の顔を見て、ナツもそっと微笑んだ。
【銀】
「これでもう怖いことは何もないだろう?…ハク」
【ハク】
「……そうだな」
車は、まっすぐ自宅へと向かっていく。
ナツの用意した俺たちの場所へと……
もう離れることは許されないとでもいうように――――。
続く…