[本編] 赤屋 竜次 編
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リュウと入れ替わりに、今度は和服の男性が出てくる。
白髪混じりだがそこまで老け込んだ感じはなく、着物をきっちりと着こなしていてかっこいい。
……こういうのを粋、って言うんだろうな。
しかしその人は、なんとも言えない威圧感を放っている。
リュウみたいに大柄で体格が良いわけでもない。見た目は決して怖くないが、どこか、声をかけ難い雰囲気を纏っている。
【ハク】
(この人も怖い人なんだろうか……)
俺がびくびくしながら見ていると、視線に気づいたのかその人が話しかけてきた。
【久々津】
「君、赤屋の高校時代の仲間だってな?」
【ハク】
「えっ!は、はい……」
【久々津】
「俺は久々津だ。」
【久々津】
「ハクって、君のことだろう?」
最初の怖そうな顔つきからは想像できない笑顔で、俺に問いかけてくる。
【ハク】
「はい……ハク白と言います」
【久々津】
「君のことは赤屋からよく聞いてるよ」
【ハク】
「よく……ですか」
急に話しかけられて身構えた俺とは裏腹に、和服の男性の口調は軽い。
俺は少しほっとした。
でも、またすぐに余計なことを考えてしまう。
【ハク】
(久々津さん、か)
【ハク】
(ヤクザには見えないけど、でもこの屋敷にいるってことは……)
【ハク】
(そういうことなんだろうな……)
口を開くと先ほどの威圧感はどこへやら、むしろ明るい雰囲気だ。
でもヤクザだ。でも、ヤクザ……。
リュウから聞いてるってことは、リュウとは親しいんだろうか。見たところ俺よりも結構年上だけど……。
【久々津】
「俺も赤屋には目をかけていてね」
【久々津】
「そうだ、何か赤屋の高校時代の面白い話とかあったら聞かせてくれよ」
【ハク】
「おもしろい話……ですか、ええと……」
久々津さん……はリュウの上司か何かなのか?
というか、この人に俺が何か話して良いものなんだろうか。
どう返していいものか。
俺がしどろもどろになって答えに困っていると、リュウが屋敷の前に車を横付けして俺を呼ぶ。
【赤屋】
「ハク、待たせたな……って」
【赤屋】
「組長!」
【ハク】
(ええっ組長!この人が!?)
【赤屋】
「ちょっと、変なこと聞いてないでしょうね!?」
焦った様子のリュウが車を降りて向かってくるが、俺は頭の処理がついていかない。
組長って言ったら、ヤクザのトップじゃないか……!
【赤屋】
「ハク、ほら早く車乗っちまえ」
【ハク】
「し、失礼します……」
【久々津】
「なんだよ赤屋、お前がそんなに焦るなんて珍しいな」
リュウの様子とは反対にその組長さんはなんだかニヤニヤしているが……。
とにかく、俺は組長……もとい、久々津さんに会釈をして逃げるようにリュウの車の助手席におさまる。
【赤屋】
「……ホラ、素人さんがビビってるじゃないですか」
【久々津】
「へいへい、後は若いもんでごゆっくり、な」
【赤屋】
「何を……!」
【久々津】
「じゃ、俺は引っ込むけど、赤屋と仲良くしてやってくれよな」
【ハク】
「は……はい!」
最後のほうは俺に向けて言うと、久々津さんはひらひらと手を振りながら屋敷の中へ戻って行った。
リュウも久々津さんが見えなくなるまで見送ると、車に乗り込む。キーを回してエンジンをかけながら、リュウが口を開いた。
【赤屋】
「なぁ………組長と…」
【赤屋】
「何、……話してたんだ?」
運転席のリュウを見ると、ほんの少し動揺しているのがわかる。
ほんの少しだけど。
【ハク】
「え、別に、高校時代の仲間だってだけ……」
【赤屋】
「そうか。ならいい」
そうぶっきらぼうに言った後、ほんのわずかにほっとした表情を見せる。
【ハク】
(昔からかわらないなぁ…)
そう、不器用な昔の赤屋の姿を思い出した。
【赤屋】
「とりあえず警察署に行けばいいんだよな」
【ハク】
「う、うん」
【ハク】
「あのさ、リュウ……」
【赤屋】
「なんだ」
【ハク】
「……ありがとうな、本当に」
【赤屋】
「ああ」
こうして俺たちを載せた車は、警察署に向けて走り出した。
続く…
白髪混じりだがそこまで老け込んだ感じはなく、着物をきっちりと着こなしていてかっこいい。
……こういうのを粋、って言うんだろうな。
しかしその人は、なんとも言えない威圧感を放っている。
リュウみたいに大柄で体格が良いわけでもない。見た目は決して怖くないが、どこか、声をかけ難い雰囲気を纏っている。
【ハク】
(この人も怖い人なんだろうか……)
俺がびくびくしながら見ていると、視線に気づいたのかその人が話しかけてきた。
【久々津】
「君、赤屋の高校時代の仲間だってな?」
【ハク】
「えっ!は、はい……」
【久々津】
「俺は久々津だ。」
【久々津】
「ハクって、君のことだろう?」
最初の怖そうな顔つきからは想像できない笑顔で、俺に問いかけてくる。
【ハク】
「はい……ハク白と言います」
【久々津】
「君のことは赤屋からよく聞いてるよ」
【ハク】
「よく……ですか」
急に話しかけられて身構えた俺とは裏腹に、和服の男性の口調は軽い。
俺は少しほっとした。
でも、またすぐに余計なことを考えてしまう。
【ハク】
(久々津さん、か)
【ハク】
(ヤクザには見えないけど、でもこの屋敷にいるってことは……)
【ハク】
(そういうことなんだろうな……)
口を開くと先ほどの威圧感はどこへやら、むしろ明るい雰囲気だ。
でもヤクザだ。でも、ヤクザ……。
リュウから聞いてるってことは、リュウとは親しいんだろうか。見たところ俺よりも結構年上だけど……。
【久々津】
「俺も赤屋には目をかけていてね」
【久々津】
「そうだ、何か赤屋の高校時代の面白い話とかあったら聞かせてくれよ」
【ハク】
「おもしろい話……ですか、ええと……」
久々津さん……はリュウの上司か何かなのか?
というか、この人に俺が何か話して良いものなんだろうか。
どう返していいものか。
俺がしどろもどろになって答えに困っていると、リュウが屋敷の前に車を横付けして俺を呼ぶ。
【赤屋】
「ハク、待たせたな……って」
【赤屋】
「組長!」
【ハク】
(ええっ組長!この人が!?)
【赤屋】
「ちょっと、変なこと聞いてないでしょうね!?」
焦った様子のリュウが車を降りて向かってくるが、俺は頭の処理がついていかない。
組長って言ったら、ヤクザのトップじゃないか……!
【赤屋】
「ハク、ほら早く車乗っちまえ」
【ハク】
「し、失礼します……」
【久々津】
「なんだよ赤屋、お前がそんなに焦るなんて珍しいな」
リュウの様子とは反対にその組長さんはなんだかニヤニヤしているが……。
とにかく、俺は組長……もとい、久々津さんに会釈をして逃げるようにリュウの車の助手席におさまる。
【赤屋】
「……ホラ、素人さんがビビってるじゃないですか」
【久々津】
「へいへい、後は若いもんでごゆっくり、な」
【赤屋】
「何を……!」
【久々津】
「じゃ、俺は引っ込むけど、赤屋と仲良くしてやってくれよな」
【ハク】
「は……はい!」
最後のほうは俺に向けて言うと、久々津さんはひらひらと手を振りながら屋敷の中へ戻って行った。
リュウも久々津さんが見えなくなるまで見送ると、車に乗り込む。キーを回してエンジンをかけながら、リュウが口を開いた。
【赤屋】
「なぁ………組長と…」
【赤屋】
「何、……話してたんだ?」
運転席のリュウを見ると、ほんの少し動揺しているのがわかる。
ほんの少しだけど。
【ハク】
「え、別に、高校時代の仲間だってだけ……」
【赤屋】
「そうか。ならいい」
そうぶっきらぼうに言った後、ほんのわずかにほっとした表情を見せる。
【ハク】
(昔からかわらないなぁ…)
そう、不器用な昔の赤屋の姿を思い出した。
【赤屋】
「とりあえず警察署に行けばいいんだよな」
【ハク】
「う、うん」
【ハク】
「あのさ、リュウ……」
【赤屋】
「なんだ」
【ハク】
「……ありがとうな、本当に」
【赤屋】
「ああ」
こうして俺たちを載せた車は、警察署に向けて走り出した。
続く…