[本編] 銀 夏生 編
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【ハク】
「…!?」
【黒木】
「ん……?」
突如、耳に衝撃的な音が飛び込んでくる。
それは―――――ガラスの割れる音だった………。
俺と黒木は、咄嗟にそのガラスの割れた音に反応した。
ここに拘束されてから、今までこんなハプニングは起こったことがなかった……。
【黒木】
「何だよ、面倒くさいな……」
【ハク】
「ぐ、う、……ふ、ぅ……っ!」
黒木は俺の後頭部を鷲掴むと、グイッ、と無遠慮に引っ張った。
さっきとは正反対に、自分の身体から俺を引きはがす。途端、俺の口は自由になる。
さっきのガラスの割れる音が引き金になったのか、黒木の身体は急激に萎えていた。それを、黒木は面白く思っていないらしい。
【黒木】
「くそ、良いところだったのに……」
【ハク】
「ごほっ、ごほっ……う、う……」
俺は咳込みながら、黒木を見た。
黒木は既にズボンをはき、ベルトをしめ、完璧に身支度を整えていた。
拘束されて身体が自由に動かせない俺は、この惨めな格好のままでいるしかない……。
【黒木】
「あーあ、どこのどいつだ……」
ガラスが割れた音…………ということは、誰かがここに不法侵入したということだろう。
この場所は、黒木のテリトリーだった。
つまり、普通ならば黒木以外はここには入れないようになっている。
【ハク】
(………誰かが、ここにきたんだ――――)
俺は疲れ切った身体をそのままに、ドアの方をじっと見つめていた。
黒木は、ゆっくりとそのドアに近づいている。
―――――その時。
【黒木】
「……!」
【ハク】
「あ………!」
バタン―――!!!
激しい音がして、ドアが蹴破られた。
と同時に、二つの影が走り込んでくる。
周囲が薄暗かったのと、距離が離れていたせいで、俺にはそれが誰なのか分からなかった。
でも、黒木の監禁から俺を解いてくれるなら………それほどありがたいことはないと思った。
二つの影は、声を荒げながら近づいてくる。
そして、その姿がだんだんとハッキリとしていく。
それは――――俺の知った人だった。
【ハク】
(藍建刑事!?それに………ナツ!?)
ナツの姿が見えたことに、俺は驚きをかくせなかった。
あの暗闇の中で何度も何度も後悔して、泣いた………そのことを思い出す。
【ハク】
(………俺は、もう一度ナツと、会えたんだ………)
ナツともう一度会えたら…そのときはきっと謝ろうと思っていた。
でも、黒木の拘束監禁からは逃れられないと思っていた。だから諦めていたけれど……。
【黒木】
「あーらら…派手に来たもんだ……面倒くさい」
【銀】
「黒木……貴様…」
ナツは、俺の方をチラッと見てきた。
そして一瞬、苦々しい表情を見せる。
まるで何か言いたそうな顔………。
でも、すぐに黒木に向きなおると、冷徹な表情で黒木を見据えた。
【銀】
「――――アイツはオレのものだ。誰にも邪魔させない」
【黒木】
「へえ?」
冷静な口調のナツに、ニヤニヤした口調の黒木。
拘束されたままの俺は、その緊迫した状況を見守るほかない……。
【銀】
「……藍建、黒木を捕まえろ」
【藍建】
「わかってますよ」
ナツが、隣に控えていた藍建にそう指示した。
藍建は、その指示に従って黒木に―――――銃を向ける。
カチャ、という音が部屋に響いた。
安全装置が外れた音だ。
一気に緊迫した空気が流れる。
でも、その空気をかき消すように、黒木は短く笑った。
【黒木】
「あはは!ああ、そう。そうきちゃうんだ?」
【藍建】
「観念しろ、黒木!」
【黒木】
「うざいオッサン……こっちはイイトコだったってのにさ……あんたら二人のせいで台無しだよ」
【黒木】
「これからもっともっと楽しくなるはずだったのに……」
【藍建】
「ごちゃごちゃうっさいぞ!黙れ!」
【黒木】
「……ま。でも今回はいろいろ楽しませてもらったからいいか……」
黒木はナツを見て意味深な一言を放つと、隙をついたようにサッ、と身を翻した。
あっという間に黒木の姿が小さくなる。
【藍建】
「こ…のっ!待て!黒木!!!」
それに気づいた藍建が、声を荒げてその後ろ姿を追いかけていく。
派手な足音がこだまする………でもそれは、すぐに消え去っていった。
――――正に、一瞬の出来事。
今さっきまで、まるでドラマのワンシーンのような緊張に包まれたやりとりが俺の目の前で起きていた。
本物の銃だって、初めて目にした。
でも………思えば俺が監禁されたこと自体、既に信じられない展開だったのだ………。
【銀】
「…………ハク」
黒木と藍建がいなくなって、この空間にいるのは俺とナツだけになった。
ナツが、小走りに俺に近づいてくる。
そして、俺の前で腰を落とすと、俺の身体を抱きかかえるようにした。
俺は思わず…ナツをじっと見つめた。
【ハク】
「……………」
【銀】
「ハク………」
ナツの顔を間近で見たら、なんだか安心してしまって、涙がぼろぼろと溢れ出た。
【ハク】
(なんて情けない姿をさらしてるんだろう………格好だって…黒木にいたぶられたまんまで……こんな姿、ナツには知られたくなかったのに………)
そう思ったが、それよりも緊張の糸がほどけた方が大きかった。
ただでさえ力が入らない身体から、完全に力が抜ける。
俺は、ナツの身体にぐったりと寄りかかっていた。
【ハク】
「ナツ…ごめん、俺……俺がナツのこと、信じなかった、から……」
【銀】
「ハク………」
聞きなれた声が俺の名前を呼ぶ。
この体温も、なんだかすごく気持ちいい。
安心する………。
【ハク】
「だから……こんなこと…なって……ごめん、ナツ………」
【銀】
「………そうだな」
ナツは、俺の言葉を聞いているのかいないのか、くぐもった声でそう頷いた。
ナツの腕が、ぎゅっと俺の身体を抱きしめてくる。
【銀】
「…………オレがお前を大事にしなかったからこうなったんだ」
俺の視界には、眼を細め、自己嫌悪に満ちた表情のナツがいた。
何か決心したようなその瞳は、黒木が俺をもてあそんだ床にじっと注がれていた―――――。
続く…
「…!?」
【黒木】
「ん……?」
突如、耳に衝撃的な音が飛び込んでくる。
それは―――――ガラスの割れる音だった………。
俺と黒木は、咄嗟にそのガラスの割れた音に反応した。
ここに拘束されてから、今までこんなハプニングは起こったことがなかった……。
【黒木】
「何だよ、面倒くさいな……」
【ハク】
「ぐ、う、……ふ、ぅ……っ!」
黒木は俺の後頭部を鷲掴むと、グイッ、と無遠慮に引っ張った。
さっきとは正反対に、自分の身体から俺を引きはがす。途端、俺の口は自由になる。
さっきのガラスの割れる音が引き金になったのか、黒木の身体は急激に萎えていた。それを、黒木は面白く思っていないらしい。
【黒木】
「くそ、良いところだったのに……」
【ハク】
「ごほっ、ごほっ……う、う……」
俺は咳込みながら、黒木を見た。
黒木は既にズボンをはき、ベルトをしめ、完璧に身支度を整えていた。
拘束されて身体が自由に動かせない俺は、この惨めな格好のままでいるしかない……。
【黒木】
「あーあ、どこのどいつだ……」
ガラスが割れた音…………ということは、誰かがここに不法侵入したということだろう。
この場所は、黒木のテリトリーだった。
つまり、普通ならば黒木以外はここには入れないようになっている。
【ハク】
(………誰かが、ここにきたんだ――――)
俺は疲れ切った身体をそのままに、ドアの方をじっと見つめていた。
黒木は、ゆっくりとそのドアに近づいている。
―――――その時。
【黒木】
「……!」
【ハク】
「あ………!」
バタン―――!!!
激しい音がして、ドアが蹴破られた。
と同時に、二つの影が走り込んでくる。
周囲が薄暗かったのと、距離が離れていたせいで、俺にはそれが誰なのか分からなかった。
でも、黒木の監禁から俺を解いてくれるなら………それほどありがたいことはないと思った。
二つの影は、声を荒げながら近づいてくる。
そして、その姿がだんだんとハッキリとしていく。
それは――――俺の知った人だった。
【ハク】
(藍建刑事!?それに………ナツ!?)
ナツの姿が見えたことに、俺は驚きをかくせなかった。
あの暗闇の中で何度も何度も後悔して、泣いた………そのことを思い出す。
【ハク】
(………俺は、もう一度ナツと、会えたんだ………)
ナツともう一度会えたら…そのときはきっと謝ろうと思っていた。
でも、黒木の拘束監禁からは逃れられないと思っていた。だから諦めていたけれど……。
【黒木】
「あーらら…派手に来たもんだ……面倒くさい」
【銀】
「黒木……貴様…」
ナツは、俺の方をチラッと見てきた。
そして一瞬、苦々しい表情を見せる。
まるで何か言いたそうな顔………。
でも、すぐに黒木に向きなおると、冷徹な表情で黒木を見据えた。
【銀】
「――――アイツはオレのものだ。誰にも邪魔させない」
【黒木】
「へえ?」
冷静な口調のナツに、ニヤニヤした口調の黒木。
拘束されたままの俺は、その緊迫した状況を見守るほかない……。
【銀】
「……藍建、黒木を捕まえろ」
【藍建】
「わかってますよ」
ナツが、隣に控えていた藍建にそう指示した。
藍建は、その指示に従って黒木に―――――銃を向ける。
カチャ、という音が部屋に響いた。
安全装置が外れた音だ。
一気に緊迫した空気が流れる。
でも、その空気をかき消すように、黒木は短く笑った。
【黒木】
「あはは!ああ、そう。そうきちゃうんだ?」
【藍建】
「観念しろ、黒木!」
【黒木】
「うざいオッサン……こっちはイイトコだったってのにさ……あんたら二人のせいで台無しだよ」
【黒木】
「これからもっともっと楽しくなるはずだったのに……」
【藍建】
「ごちゃごちゃうっさいぞ!黙れ!」
【黒木】
「……ま。でも今回はいろいろ楽しませてもらったからいいか……」
黒木はナツを見て意味深な一言を放つと、隙をついたようにサッ、と身を翻した。
あっという間に黒木の姿が小さくなる。
【藍建】
「こ…のっ!待て!黒木!!!」
それに気づいた藍建が、声を荒げてその後ろ姿を追いかけていく。
派手な足音がこだまする………でもそれは、すぐに消え去っていった。
――――正に、一瞬の出来事。
今さっきまで、まるでドラマのワンシーンのような緊張に包まれたやりとりが俺の目の前で起きていた。
本物の銃だって、初めて目にした。
でも………思えば俺が監禁されたこと自体、既に信じられない展開だったのだ………。
【銀】
「…………ハク」
黒木と藍建がいなくなって、この空間にいるのは俺とナツだけになった。
ナツが、小走りに俺に近づいてくる。
そして、俺の前で腰を落とすと、俺の身体を抱きかかえるようにした。
俺は思わず…ナツをじっと見つめた。
【ハク】
「……………」
【銀】
「ハク………」
ナツの顔を間近で見たら、なんだか安心してしまって、涙がぼろぼろと溢れ出た。
【ハク】
(なんて情けない姿をさらしてるんだろう………格好だって…黒木にいたぶられたまんまで……こんな姿、ナツには知られたくなかったのに………)
そう思ったが、それよりも緊張の糸がほどけた方が大きかった。
ただでさえ力が入らない身体から、完全に力が抜ける。
俺は、ナツの身体にぐったりと寄りかかっていた。
【ハク】
「ナツ…ごめん、俺……俺がナツのこと、信じなかった、から……」
【銀】
「ハク………」
聞きなれた声が俺の名前を呼ぶ。
この体温も、なんだかすごく気持ちいい。
安心する………。
【ハク】
「だから……こんなこと…なって……ごめん、ナツ………」
【銀】
「………そうだな」
ナツは、俺の言葉を聞いているのかいないのか、くぐもった声でそう頷いた。
ナツの腕が、ぎゅっと俺の身体を抱きしめてくる。
【銀】
「…………オレがお前を大事にしなかったからこうなったんだ」
俺の視界には、眼を細め、自己嫌悪に満ちた表情のナツがいた。
何か決心したようなその瞳は、黒木が俺をもてあそんだ床にじっと注がれていた―――――。
続く…
