[本編] 銀 夏生 編
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【ハク】
「そんなこと今はどうだって良いだろ!なあ、ちゃんと話してくれよ、ナツ!」
俺はナツに食い下がった。
ナツの両腕をつかんで、真正面からぶつかる。
俺は必至だった。本当のことが知りたかった。どんな真実が飛び出してこようと、ナツの口からそれを教えてほしかった。
【銀】
「しつこい。オレはお前の昔の上司なんて知らない。これで満足か?」
【ハク】
「そんなはずない!だって俺、見たんだ。この目でハッキリ!ナツがその上司と話してる写真…!」
【銀】
「くどい。知らないものは知らない。他人の空似だろう」
【ハク】
「ナツ…!!!」
【銀】
「仕事をしろ、ハク。社長命令だ」
【ハク】
「な…っ」
ナツは、それきり口を閉ざしてしまった。
俺はどうにもならないこの状況に、仕事中もイライラが止まらなかった。
ナツが話しかけてくることは仕事上の最低限のことだけで、さっきの会話はまるで最初から無かったかのような空気が流れていく………。
【ハク】
(何で本当のこと、言ってくれないんだ?)
【ハク】
(だって、写真があるんだぞ?それを知らないなんて……)
俺のイライラは、だんだんと落胆に変わっていった。
ナツが「知らない」の一点張りなのは―――俺にウソをついてる、ってことだ。
俺は、ウソをつかれたんだ、ナツに………。
そして……本当のことは、話してもらえないんだ………。
【ハク】
(……ナツにとって俺は、その程度なのかよ……?)
【ハク】
(本当のことなんて話さなくて良いって……そのくらいどうでもいい存在なのか、俺……?)
俺は、ナツが信じられなくなっていた。
こんなふうにウソをつくのだから、きっとナツにとっては、他にどれだけウソを並べ立てたって、どうってことないんだろう……。
心が痛んだりなんか、しないんだ、きっと。
【ハク】
(もう良い……ナツなんて…………)
―――その夜。俺は繁華街にある飲み屋に、ふらふらと一人で入った。
自暴自棄になった俺は、次から次へとあびるほど酒を飲んでやった。
隣の客がヒソヒソと話しているのが分かったが、それすらどうでも良かった。
店主だけは泥酔した俺を気にかけてくれている。…まあ、問題を起こしたくないからだろう。
【店主】
「お客さん、大丈夫ですか?さすがにちょっと飲みすぎなんじゃ…」
【ハク】
「大丈夫です…っ!つか!これ、おかわり…っ!」
【店主】
「ええ?まだ飲むんですかい…」
【ハク】
「俺は…っ、客なんだぞ~!?金払ってんだぞ~!」
【店主】
「わ、わかりましたよ。………ちっ、ったく…しようがねえな……」
【ハク】
「もういいよ……どうにでもなれ…………!」
散々飲んだ後、俺は繁華街を無気力な状態で歩いていた。
千鳥足でよろよろしていた俺を、通行人が避けて通っていく。
【ハク】
(そりゃそうだ、かかわりたくないよな……はは……)
【ハク】
(どうにでもなればいいんだよ………)
店の看板に派手にぶつかったり、ガードレールにもたれかかったりしながら、俺はとめどなく歩く。
行くあてなんてどこもなかった。
でもナツのいる家には帰りたくなくて…………。
【ハク】
(どこか……なにか……ないかな)
夜でもネオンの光で明るい繁華街…行くところには不自由しない。
どこかに行きたいけど、どこに行きたいわけでもない……。
今の俺の心を埋めてくれるものがあればいいのに……でも、そんなものは見つからなくて………。
【通行人1】
「なんだよ、この酔っ払い!」
【ハク】
「うっ!」
よろけた拍子に通行人にぶつかる。
ドン、と軽く押されただけで、泥酔していた俺はガードレール脇に停められていた自転車の群れに突っ込んだ。
【ハク】
「いって…ぇ……」
ぶつけた身体が痛い。起き上がるのがしんどい。
どうせならこのままここで眠ってしまおうか――――そんなことを考えていたときだった。
【???】
「あれぇ?久しぶりだねぇ?なに、こんなところでおねんねしてるの?」
【ハク】
「え……?」
突然、俺の目の前に男が一人、立ち止まった。
多分、俺と同じくらいの年齢の男だ。
ソイツは俺に手を差し伸べると、立つように促してきた。
仕方なくその手を取った俺は、だるい身体を奮い立たせる。
【???】
「なぁ、暇なんでしょ?暇だよねぇ、こんなとこで一人でチャリにつっこんでんだもんなぁ。これからどっか行かない?」
【ハク】
「どっか、って…」
【ハク】
(そもそもお前、誰だよ?会っていきなりどっか行こうとか……ナンパかよ…)
【ハク】
(俺、男だぞ……)
その男は、勝手に俺の肩に手をまわしてきた。
なんというか、馴れ馴れしい。
それでも泥酔していた俺は、何の気なしに、その男が行く方に一緒に歩いていた。
どうにでもなれと思っていたし、だったらこの男についていっても同じか
……なんて思っていた。
【???】
「それにしてもさっきから他人行儀だなぁ」
【???】
「もしかして…俺のこと忘れちゃった?」
【ハク】
「は…?何言ってんだ……さっき会ったばっかりだろ」
【???】
「あれれ?本当に覚えてないんだ。さびしいなぁ。俺だよ、俺」
【???】
「ホラ、高校時代同じクラスだった黒木。黒木だよ。覚えてないかなぁ…………ハク?」
【ハク】
「あ…っ」
俺はハッとした。
黒木―――――黒木忠生。
高校時代の仲間で、俺のことを唯一「ハク」と呼ぶヤツ―――。
【ハク】
「黒木…お前、あの黒木か?」
【黒木】
「そうだよ!あ~やっと思い出してくれた?」
【黒木】
「ハクはあの頃と全然かわらないね…」
【ハク】
「そ…っか。そうだったんだ」
だから最初からあんなに慣れ慣れしかったのか……
俺はやっと納得すると、一気に安心感を覚えた。
どうにでもなれと思っていたとはいえ、今日出会ったばかりのやつと、昔の馴染みのやつとでは、ワケが違う。
【黒木】
「この先に車停めてあんだよ。車出すからどっか行こうぜ」
【ハク】
「ああ、わかった」
俺は、疑うこともなく黒木に誘導されるがまま、路駐してあった黒いワンボックスカーに乗り込んだ。
どこに向かうつもりなのかな?くらいにしか思っていなかった。
そして、安心してドアをしめた…………その瞬間。
【ハク】
「うっ……!?」
俺は突然口を塞がれて、意識を失った…………。
続く…
「そんなこと今はどうだって良いだろ!なあ、ちゃんと話してくれよ、ナツ!」
俺はナツに食い下がった。
ナツの両腕をつかんで、真正面からぶつかる。
俺は必至だった。本当のことが知りたかった。どんな真実が飛び出してこようと、ナツの口からそれを教えてほしかった。
【銀】
「しつこい。オレはお前の昔の上司なんて知らない。これで満足か?」
【ハク】
「そんなはずない!だって俺、見たんだ。この目でハッキリ!ナツがその上司と話してる写真…!」
【銀】
「くどい。知らないものは知らない。他人の空似だろう」
【ハク】
「ナツ…!!!」
【銀】
「仕事をしろ、ハク。社長命令だ」
【ハク】
「な…っ」
ナツは、それきり口を閉ざしてしまった。
俺はどうにもならないこの状況に、仕事中もイライラが止まらなかった。
ナツが話しかけてくることは仕事上の最低限のことだけで、さっきの会話はまるで最初から無かったかのような空気が流れていく………。
【ハク】
(何で本当のこと、言ってくれないんだ?)
【ハク】
(だって、写真があるんだぞ?それを知らないなんて……)
俺のイライラは、だんだんと落胆に変わっていった。
ナツが「知らない」の一点張りなのは―――俺にウソをついてる、ってことだ。
俺は、ウソをつかれたんだ、ナツに………。
そして……本当のことは、話してもらえないんだ………。
【ハク】
(……ナツにとって俺は、その程度なのかよ……?)
【ハク】
(本当のことなんて話さなくて良いって……そのくらいどうでもいい存在なのか、俺……?)
俺は、ナツが信じられなくなっていた。
こんなふうにウソをつくのだから、きっとナツにとっては、他にどれだけウソを並べ立てたって、どうってことないんだろう……。
心が痛んだりなんか、しないんだ、きっと。
【ハク】
(もう良い……ナツなんて…………)
―――その夜。俺は繁華街にある飲み屋に、ふらふらと一人で入った。
自暴自棄になった俺は、次から次へとあびるほど酒を飲んでやった。
隣の客がヒソヒソと話しているのが分かったが、それすらどうでも良かった。
店主だけは泥酔した俺を気にかけてくれている。…まあ、問題を起こしたくないからだろう。
【店主】
「お客さん、大丈夫ですか?さすがにちょっと飲みすぎなんじゃ…」
【ハク】
「大丈夫です…っ!つか!これ、おかわり…っ!」
【店主】
「ええ?まだ飲むんですかい…」
【ハク】
「俺は…っ、客なんだぞ~!?金払ってんだぞ~!」
【店主】
「わ、わかりましたよ。………ちっ、ったく…しようがねえな……」
【ハク】
「もういいよ……どうにでもなれ…………!」
散々飲んだ後、俺は繁華街を無気力な状態で歩いていた。
千鳥足でよろよろしていた俺を、通行人が避けて通っていく。
【ハク】
(そりゃそうだ、かかわりたくないよな……はは……)
【ハク】
(どうにでもなればいいんだよ………)
店の看板に派手にぶつかったり、ガードレールにもたれかかったりしながら、俺はとめどなく歩く。
行くあてなんてどこもなかった。
でもナツのいる家には帰りたくなくて…………。
【ハク】
(どこか……なにか……ないかな)
夜でもネオンの光で明るい繁華街…行くところには不自由しない。
どこかに行きたいけど、どこに行きたいわけでもない……。
今の俺の心を埋めてくれるものがあればいいのに……でも、そんなものは見つからなくて………。
【通行人1】
「なんだよ、この酔っ払い!」
【ハク】
「うっ!」
よろけた拍子に通行人にぶつかる。
ドン、と軽く押されただけで、泥酔していた俺はガードレール脇に停められていた自転車の群れに突っ込んだ。
【ハク】
「いって…ぇ……」
ぶつけた身体が痛い。起き上がるのがしんどい。
どうせならこのままここで眠ってしまおうか――――そんなことを考えていたときだった。
【???】
「あれぇ?久しぶりだねぇ?なに、こんなところでおねんねしてるの?」
【ハク】
「え……?」
突然、俺の目の前に男が一人、立ち止まった。
多分、俺と同じくらいの年齢の男だ。
ソイツは俺に手を差し伸べると、立つように促してきた。
仕方なくその手を取った俺は、だるい身体を奮い立たせる。
【???】
「なぁ、暇なんでしょ?暇だよねぇ、こんなとこで一人でチャリにつっこんでんだもんなぁ。これからどっか行かない?」
【ハク】
「どっか、って…」
【ハク】
(そもそもお前、誰だよ?会っていきなりどっか行こうとか……ナンパかよ…)
【ハク】
(俺、男だぞ……)
その男は、勝手に俺の肩に手をまわしてきた。
なんというか、馴れ馴れしい。
それでも泥酔していた俺は、何の気なしに、その男が行く方に一緒に歩いていた。
どうにでもなれと思っていたし、だったらこの男についていっても同じか
……なんて思っていた。
【???】
「それにしてもさっきから他人行儀だなぁ」
【???】
「もしかして…俺のこと忘れちゃった?」
【ハク】
「は…?何言ってんだ……さっき会ったばっかりだろ」
【???】
「あれれ?本当に覚えてないんだ。さびしいなぁ。俺だよ、俺」
【???】
「ホラ、高校時代同じクラスだった黒木。黒木だよ。覚えてないかなぁ…………ハク?」
【ハク】
「あ…っ」
俺はハッとした。
黒木―――――黒木忠生。
高校時代の仲間で、俺のことを唯一「ハク」と呼ぶヤツ―――。
【ハク】
「黒木…お前、あの黒木か?」
【黒木】
「そうだよ!あ~やっと思い出してくれた?」
【黒木】
「ハクはあの頃と全然かわらないね…」
【ハク】
「そ…っか。そうだったんだ」
だから最初からあんなに慣れ慣れしかったのか……
俺はやっと納得すると、一気に安心感を覚えた。
どうにでもなれと思っていたとはいえ、今日出会ったばかりのやつと、昔の馴染みのやつとでは、ワケが違う。
【黒木】
「この先に車停めてあんだよ。車出すからどっか行こうぜ」
【ハク】
「ああ、わかった」
俺は、疑うこともなく黒木に誘導されるがまま、路駐してあった黒いワンボックスカーに乗り込んだ。
どこに向かうつもりなのかな?くらいにしか思っていなかった。
そして、安心してドアをしめた…………その瞬間。
【ハク】
「うっ……!?」
俺は突然口を塞がれて、意識を失った…………。
続く…
