[本編] 銀 夏生 編
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ナツが出張に出かけてから、ナツ曰く社長代理の俺は忙しい毎日を過ごしていた。
とにかく、朝から晩まで忙しい。
社長が出張で不在といっても、来客はいつもと変わらないぐらい訪れる。
書類だって山積みになる状態だ。
【ハク】
(ナツにしかできない仕事を抜かせば、普通に考えて2倍の仕事量だもんな…)
俺は、黙々と仕事こなした。
とにかく忙しなくバタバタと最初の2日間が過ぎていく。
忙しかったけれど、これといったトラブルも起こらず、俺は内心ホッとしていた。
【ハク】
(最後まで平穏無事でありますように……と)
これであと1日切り抜ければ、ナツが帰ってくる――
そう思っていた……のだが。
残念なことに、それは3日目の昼に起こった。
以前、ナツ――社長を訪ねてきた、藍建という刑事……
あの刑事がまた社長を訪ねてやってきたのだ。
【ハク】
「すみません。社長は不在で……明日にならないと戻りません」
【藍建】
「あぁ、良いんです良いんです!今日はその…ハクさん、あなたに用があったもんで」
【ハク】
「は……おれ、ですか?」
【藍建】
「そうです、そうです!」
【ハク】
(俺に用って……一体何だ?)
全く心当たりがない……。
けれど、来訪者が俺に用があるというのだから、応対しないわけにはいかない。
俺は応接スペースで、藍建刑事の対応をすることになった。
【ハク】
(にしても……)
俺は応接スペースに藍建刑事を誘導すると、お茶を出して、正面の席に腰を下ろす。
【ハク】
(うっ…こうやって正面で対峙することになると、何ていうか……やりづらい…かも)
【ハク】
(この前のこと…どうしても思い出しちゃうよな……)
――この間、盗み聞きしてしまった、トイレでの一件。
ナツと藍建刑事があの狭い個室で重なりあっていたこと…………。
【ハク】
(だ、だめだ…マトモに顔を見れない…っ)
俺は、思わず伏せ目がちになってしまう。
来客対応する秘書とは思えないそんな態度の俺に、藍建刑事は何でもなさそうに話を切り出してきた。
【藍建】
「いやぁ、わざわざお呼び立てしてすみません、ハクさん」
【ハク】
「は、はい…」
藍建刑事は、頭をぽりぽりとかきながら、いかにもすまなそうな顔をして声をかけてくる。
なんというか、良い人そうな感じはする。
それでも俺は、やはりあのトイレでの一件が頭から離れなくて、ドギマギとしていた。
【藍建】
「で、早速なんですがね、この書類を確認していただきたいんですけど……」
【ハク】
「書類?」
藍建刑事が差し出してきた書類を確認すると、それはどうやら会社に関する書類だった。
ナツじゃなく俺でも分かる内容だ。
だから藍建刑事は俺に用があると言ったのか……
俺はようやく納得した。
これでも一応、周囲にとっての俺は社長秘書だからな……。
【ハク】
「これは……ちょっと待ってて下さいね」
そう言うと俺は、対応するファイルを棚から持ってきて照らし合わせた。
【ハク】
「あー、これだこれだ」
【藍建】
「お手を煩わせてすみませんね…」
【藍建】
「あと、こっちの書類の確認もお願いします」
藍建刑事はそう言うと、さらに追加の書類を俺に手渡した。
【ハク】
「ええと――――…………ん?」
何枚か綴られた書類をぺらぺらとめくっていた俺は、その書類に紛れて、1枚の写真がひらりと床に落ちたことに気づいた。
【ハク】
「藍建さん、何か写真が………」
【ハク】
(あ…れ………なんだ、これ………?)
慌ててその写真を拾い上げて、ふと目にした瞬間――――。
【ハク】
「こ、これは……」
俺は、愕然とした。
そこには、信じられない光景が写し出されていた――――。
【ハク】
「…な、なんで………?」
その写真に写っていたのは――――。
ナツと………俺が以前勤めていた会社の、上司。
【ハク】
(嘘…だろ……?)
俺は、その写真を良く見ようと顔を近づけた。
本当にその二人なのか、信じられなくて。いや、信じたくなくて………。
でも、その瞬間、藍建刑事が俺の手からサッとその写真を取りあげた。
見ると、まずいっ、といった表情を浮かべている。
【藍建】
「ああっと…!すみませんね…」
【藍建】
「この写真は無記名で警察に投書された写真なんだけど、何かあるのかと思って社長に見てもらおうと思ってたんだ」
【ハク】
「そ、そうなんですか……」
何かって…………一体、何だよ?
俺は動揺を隠せなかった。嫌な緊張感が全身を襲う。
【ハク】
(どうして、元上司とナツが一緒にいるんだ?まさか……知り合い……?)
―――まさか。そんなはずないだろう。
そう思いはするものの、さっき見えた写真はどう考えてもあの二人だった。
あの二人が、何か話している写真……。
知り合いでなければ一緒にいるはずがないだろう。
でも……じゃあナツは、俺がクビになったことを最初から知っていたのか……?
【ハク】
(まさかな……そんなはず…………でも……)
俺の中で、謎は深まるばかりだった。
考えても考えても答えなど出てこない。
だからか、嫌な想像ばかりが頭をうごめいてしまう。
そんな俺に、藍建刑事が声をかけてくる。そういえば書類を確認している最中だったのだ。
【藍建】
「ま、とりあえずこのことは置いておいて…。ええっと、書類の確認終わりましたね?」
【ハク】
「あ…は、はい……」
【藍建】
「じゃあ、どうも。突然お邪魔しちゃってすみませんでした。今日はこれで…」
【ハク】
「はい、どうも……」
藍建は俺から書類を受け取ると、何でもなさそうに部屋から出て行った。
俺はその後ろ姿を見送った後も、その場からなかなか動けなかった。
【ハク】
(何とか藍建刑事の対応はできたけど………)
でも、動揺は最後までおさまらなかった。
どうしてもあの写真のことが気になって仕方ない………。
【ハク】
「…………俺が会社をクビになったあの日………」
あの日、ポストに旧友からの手紙が届いていて……それはナツからのものだった。
【ハク】
「あの日……どうせ会社もクビになって行くあても無いし、友達の近況も気になるしって思って……ナツに会うことを決めたんだっけ……」
でも、思えばあれは、随分と絶妙なタイミングじゃなかったか……?
【ハク】
(酔った俺は冗談半分でナツの会社で雇ってくれって言って……ナツはそれをOKして…………結局俺は、問題なく仕事ができてる……)
俺は、藍建刑事の残して行ったお茶を片づけながら、考え込んでいた。
この偶然の重なりについて……いや、違うのかもしれない……。
本当にあれはすべて偶然だったのか?
とにかく、朝から晩まで忙しい。
社長が出張で不在といっても、来客はいつもと変わらないぐらい訪れる。
書類だって山積みになる状態だ。
【ハク】
(ナツにしかできない仕事を抜かせば、普通に考えて2倍の仕事量だもんな…)
俺は、黙々と仕事こなした。
とにかく忙しなくバタバタと最初の2日間が過ぎていく。
忙しかったけれど、これといったトラブルも起こらず、俺は内心ホッとしていた。
【ハク】
(最後まで平穏無事でありますように……と)
これであと1日切り抜ければ、ナツが帰ってくる――
そう思っていた……のだが。
残念なことに、それは3日目の昼に起こった。
以前、ナツ――社長を訪ねてきた、藍建という刑事……
あの刑事がまた社長を訪ねてやってきたのだ。
【ハク】
「すみません。社長は不在で……明日にならないと戻りません」
【藍建】
「あぁ、良いんです良いんです!今日はその…ハクさん、あなたに用があったもんで」
【ハク】
「は……おれ、ですか?」
【藍建】
「そうです、そうです!」
【ハク】
(俺に用って……一体何だ?)
全く心当たりがない……。
けれど、来訪者が俺に用があるというのだから、応対しないわけにはいかない。
俺は応接スペースで、藍建刑事の対応をすることになった。
【ハク】
(にしても……)
俺は応接スペースに藍建刑事を誘導すると、お茶を出して、正面の席に腰を下ろす。
【ハク】
(うっ…こうやって正面で対峙することになると、何ていうか……やりづらい…かも)
【ハク】
(この前のこと…どうしても思い出しちゃうよな……)
――この間、盗み聞きしてしまった、トイレでの一件。
ナツと藍建刑事があの狭い個室で重なりあっていたこと…………。
【ハク】
(だ、だめだ…マトモに顔を見れない…っ)
俺は、思わず伏せ目がちになってしまう。
来客対応する秘書とは思えないそんな態度の俺に、藍建刑事は何でもなさそうに話を切り出してきた。
【藍建】
「いやぁ、わざわざお呼び立てしてすみません、ハクさん」
【ハク】
「は、はい…」
藍建刑事は、頭をぽりぽりとかきながら、いかにもすまなそうな顔をして声をかけてくる。
なんというか、良い人そうな感じはする。
それでも俺は、やはりあのトイレでの一件が頭から離れなくて、ドギマギとしていた。
【藍建】
「で、早速なんですがね、この書類を確認していただきたいんですけど……」
【ハク】
「書類?」
藍建刑事が差し出してきた書類を確認すると、それはどうやら会社に関する書類だった。
ナツじゃなく俺でも分かる内容だ。
だから藍建刑事は俺に用があると言ったのか……
俺はようやく納得した。
これでも一応、周囲にとっての俺は社長秘書だからな……。
【ハク】
「これは……ちょっと待ってて下さいね」
そう言うと俺は、対応するファイルを棚から持ってきて照らし合わせた。
【ハク】
「あー、これだこれだ」
【藍建】
「お手を煩わせてすみませんね…」
【藍建】
「あと、こっちの書類の確認もお願いします」
藍建刑事はそう言うと、さらに追加の書類を俺に手渡した。
【ハク】
「ええと――――…………ん?」
何枚か綴られた書類をぺらぺらとめくっていた俺は、その書類に紛れて、1枚の写真がひらりと床に落ちたことに気づいた。
【ハク】
「藍建さん、何か写真が………」
【ハク】
(あ…れ………なんだ、これ………?)
慌ててその写真を拾い上げて、ふと目にした瞬間――――。
【ハク】
「こ、これは……」
俺は、愕然とした。
そこには、信じられない光景が写し出されていた――――。
【ハク】
「…な、なんで………?」
その写真に写っていたのは――――。
ナツと………俺が以前勤めていた会社の、上司。
【ハク】
(嘘…だろ……?)
俺は、その写真を良く見ようと顔を近づけた。
本当にその二人なのか、信じられなくて。いや、信じたくなくて………。
でも、その瞬間、藍建刑事が俺の手からサッとその写真を取りあげた。
見ると、まずいっ、といった表情を浮かべている。
【藍建】
「ああっと…!すみませんね…」
【藍建】
「この写真は無記名で警察に投書された写真なんだけど、何かあるのかと思って社長に見てもらおうと思ってたんだ」
【ハク】
「そ、そうなんですか……」
何かって…………一体、何だよ?
俺は動揺を隠せなかった。嫌な緊張感が全身を襲う。
【ハク】
(どうして、元上司とナツが一緒にいるんだ?まさか……知り合い……?)
―――まさか。そんなはずないだろう。
そう思いはするものの、さっき見えた写真はどう考えてもあの二人だった。
あの二人が、何か話している写真……。
知り合いでなければ一緒にいるはずがないだろう。
でも……じゃあナツは、俺がクビになったことを最初から知っていたのか……?
【ハク】
(まさかな……そんなはず…………でも……)
俺の中で、謎は深まるばかりだった。
考えても考えても答えなど出てこない。
だからか、嫌な想像ばかりが頭をうごめいてしまう。
そんな俺に、藍建刑事が声をかけてくる。そういえば書類を確認している最中だったのだ。
【藍建】
「ま、とりあえずこのことは置いておいて…。ええっと、書類の確認終わりましたね?」
【ハク】
「あ…は、はい……」
【藍建】
「じゃあ、どうも。突然お邪魔しちゃってすみませんでした。今日はこれで…」
【ハク】
「はい、どうも……」
藍建は俺から書類を受け取ると、何でもなさそうに部屋から出て行った。
俺はその後ろ姿を見送った後も、その場からなかなか動けなかった。
【ハク】
(何とか藍建刑事の対応はできたけど………)
でも、動揺は最後までおさまらなかった。
どうしてもあの写真のことが気になって仕方ない………。
【ハク】
「…………俺が会社をクビになったあの日………」
あの日、ポストに旧友からの手紙が届いていて……それはナツからのものだった。
【ハク】
「あの日……どうせ会社もクビになって行くあても無いし、友達の近況も気になるしって思って……ナツに会うことを決めたんだっけ……」
でも、思えばあれは、随分と絶妙なタイミングじゃなかったか……?
【ハク】
(酔った俺は冗談半分でナツの会社で雇ってくれって言って……ナツはそれをOKして…………結局俺は、問題なく仕事ができてる……)
俺は、藍建刑事の残して行ったお茶を片づけながら、考え込んでいた。
この偶然の重なりについて……いや、違うのかもしれない……。
本当にあれはすべて偶然だったのか?
