[期間限定イベント"2人のバレンタインmini"] 黒木 忠生 編
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2月14日といえばバレンタインデー。
俺はこの日にあまり縁がない。
去年のバレンタインデーといえば、前に勤めていた会社で、女性社員からもらったチョコぐらいだ。
もちろん義理チョコだと思うのだが。
だか、今年。現在、絶賛就職活動中の俺は特にもらう予定があるわけでもない。
それでもコンビニやデパートを訪れると大々的に宣伝されているバレンタインの広告を見ると、ちょっと切なくなる。
【ハク】
(まぁわかってはいるけど…)
俺は、バレンタインデーを自分には関わりのないイベントとして、無関心を装っていた。
そんなバレンタインデーの当日の朝だった。
俺宛に一通の手紙が届く。
【ハク】
(ん…なんだこれ?)
手紙の表にも中にも、差出人は書いておらず、
中にには『今年のバレンタインデーに貴方を頂きます』とだけ書かれたカードが入っていた。
【ハク】
(どういうことだ…)
俺は考えられる限りの情報を思い浮かべ、思考を張り巡らせる。
わざわざ手紙を送ってきたということは…
【ハク】
(まさか犯行予告!?)
内容ともう一つ…腑に落ちない点がある。
それは…-
会社をクビになって、黒木と再会した日に、自分の住んでいたアパートが火事になり、
それ以来黒木の部屋に世話になっているんだけど…
そのことを知っているのは数少ない。
【ハク】
(俺が黒木の家に世話になっていることを知っているのは…)
高校時代の先輩の赤屋と赤屋が所属している組の人間…
家が火事になった時にお世話になった刑事の藍建さん…
あとはバーの和久井さん…ぐらいか…。
いずれにしても自分の状況を知っていて、この手紙を送ったことには間違いはない。
俺は改めてカードに書かれた文字を見返す。
『今年のバレンタインデーに貴方を頂きます』
普通に考えたら悪戯にしか過ぎないが、過去の例もある。
【ハク】
(用心しとくことに越したことはないか…)
【ハク】
(一応黒木にも連絡した方がいいかな…)
そう思った俺は、朝から出かけている黒木へメールで手紙の内容を送ってみることにした。
【ハク】
『実は…さっき手紙が届いたんだけどさ、気になることが書いてあったんだよ』
【黒木】
『ふーん、どんなことが書いてあったの?』
黒木からの返信は早かった。
【ハク】
『「今年のバレンタインデーに貴方を頂きます」って…』
その返事に対して、手紙の内容をそのまま書き連ねる。
【黒木】
『そっか』
【ハク】
(そっかって…心配してくれないのかよ…)
黒木の返信があまりにもそっけなく、俺は少し不安になる。
ふとついでに、黒木に心当たりがあるかどうかをメールで訪ねてみる。
【ハク】
『黒木、心当たりあったりする?』
【黒木】
『いやないけど…』
…何か歯切れが悪い気がする。
【ハク】
『…けどなんだよ!』
【黒木】
『…なんでもない』
【黒木】
『あ、俺今日遅くなるから、夕飯一緒に食えないや。なんか適当に食べておいて』
【ハク】
『…わかった』
どうやら黒木にも心当たりはないらしいが、うまくはぐらかされた気もする。
どっちにしろ、差出人は不明のままで、ますます謎は深まるばかりだ。
宛名のない手紙といえば、黒木と最初に出会ったきっかけもそうだっけ?
俺は黒木に呼び出された時の手紙を思い出した。
確かあの手紙も差出人は不明だった。
【ハク】
(指定された場所に行ったら、黒木が来たんだっけ…)
ついこないだの事なのに、すごく昔の事のように思い出される。
それもこれも、日々いろんな事が起こっている証拠なのか。
【ハク】
(あまり深く考えすぎてもよくないな…)
そう思った俺は、昼ご飯を買いに近くのコンビニまで足を運ぶ事にした。
【コンビニ店員】
「いらっしゃいませ!」
俺がコンビニに入ると、威勢のいい店員の声で迎えられる。
訪れた駅前のコンビニは丁度昼の時間なのか、サラリーマンやOL達でにぎわっていた。
ふとレジの方に目をやると、至る所でバレンタインイベントを盛り上げているポップが見える。
レジに並ぶ人達をよくよく見てみるとそれぞれ弁当やおにぎり、パンといった食材の他についでなのかチョコレートを買う女性も少なくはなかった。
【ハク】
(ここもバレンタイン一色か…)
俺はそのにぎわいとは関係なさそうに弁当の棚を物色し始めるが、棚を見て愕然とする。
普段訪れる時間だったらこの棚に弁当を所狭しと置いてあるのだが、今日は勝手が違った。
もうすでに3種類の弁当が残っているだけだったのだ。
その3種類の中でどれにしようか悩んでいる間にも、横から伸びてきた手に、目の前の弁当が取られていく。
【ハク】
(まいったなぁ…何食べようかな…)
俺は、最後の一つが残っていた唐揚げ弁当に手を伸ばした時、ほぼ同時に同じ弁当に手を伸ばした人の手と俺の手が重なる。
【ハク】
「あっ…」
驚きが思わず声となる。
その手の主を確かめようと顔を振りかえると、そこには某場所で不本意な再会果たした赤屋の姿があった。
【赤屋】
「うわ!」
当然赤屋も俺の顔を見て驚く。
顔を見合わせたまま二人はしばらく、動きが止まる。
【ハク】
「…………」
【赤屋】
「…………」
意外にも先に口を開いたのは赤屋だった。
【赤屋】「あれから…げ…元気にしてるのか…?」
【ハク】「あ…ああ」
俺は若干、緊張した口調で答える。
【ハク】「赤屋は…昼飯?」
【赤屋】「あ、ああ。この近くの現場で働いててな」
平常心を装っているが、若干動揺しているのがわかる。
【ハク】
「そ…そうか」
俺はそっけなく返答をした。
赤屋は…仮にも俺をさらった奴らの仲間なわけで、そんな相手に対して愛想笑いができるわけもなかった。
【ハク】
「あ…コレやるよ」
そう言って俺は赤屋唐揚げ弁当を渡す。
赤屋は一瞬驚いた顔で受け取れないと首を横に振るが、それでもいいと俺が手でアクションすると、
少し会釈をして弁当を受け取った。
その時俺は、今朝送られてきた手紙の事を思い出した。
今、俺が黒木の家にお世話になっていることを知っている人物の一人である赤屋。
そこで俺は、その手紙の事を単刀直入に赤屋に聞いてみることにした。
【ハク】
「なぁ赤屋…。俺宛に手紙なんて出してないよな」
俺はさりげない感を演出しつつ赤屋に訪ねると赤屋は
【赤屋】
「手紙…?なんだそりゃ?」
キョトンとした表情で俺を見るその顔つきからは、赤屋が言った言葉が嘘だとは思えなかった。
【ハク】
「そっか…。今の話は忘れてくれ」
そう言って俺はその場を立ち去ろうとした時だった。
俺はこの日にあまり縁がない。
去年のバレンタインデーといえば、前に勤めていた会社で、女性社員からもらったチョコぐらいだ。
もちろん義理チョコだと思うのだが。
だか、今年。現在、絶賛就職活動中の俺は特にもらう予定があるわけでもない。
それでもコンビニやデパートを訪れると大々的に宣伝されているバレンタインの広告を見ると、ちょっと切なくなる。
【ハク】
(まぁわかってはいるけど…)
俺は、バレンタインデーを自分には関わりのないイベントとして、無関心を装っていた。
そんなバレンタインデーの当日の朝だった。
俺宛に一通の手紙が届く。
【ハク】
(ん…なんだこれ?)
手紙の表にも中にも、差出人は書いておらず、
中にには『今年のバレンタインデーに貴方を頂きます』とだけ書かれたカードが入っていた。
【ハク】
(どういうことだ…)
俺は考えられる限りの情報を思い浮かべ、思考を張り巡らせる。
わざわざ手紙を送ってきたということは…
【ハク】
(まさか犯行予告!?)
内容ともう一つ…腑に落ちない点がある。
それは…-
会社をクビになって、黒木と再会した日に、自分の住んでいたアパートが火事になり、
それ以来黒木の部屋に世話になっているんだけど…
そのことを知っているのは数少ない。
【ハク】
(俺が黒木の家に世話になっていることを知っているのは…)
高校時代の先輩の赤屋と赤屋が所属している組の人間…
家が火事になった時にお世話になった刑事の藍建さん…
あとはバーの和久井さん…ぐらいか…。
いずれにしても自分の状況を知っていて、この手紙を送ったことには間違いはない。
俺は改めてカードに書かれた文字を見返す。
『今年のバレンタインデーに貴方を頂きます』
普通に考えたら悪戯にしか過ぎないが、過去の例もある。
【ハク】
(用心しとくことに越したことはないか…)
【ハク】
(一応黒木にも連絡した方がいいかな…)
そう思った俺は、朝から出かけている黒木へメールで手紙の内容を送ってみることにした。
【ハク】
『実は…さっき手紙が届いたんだけどさ、気になることが書いてあったんだよ』
【黒木】
『ふーん、どんなことが書いてあったの?』
黒木からの返信は早かった。
【ハク】
『「今年のバレンタインデーに貴方を頂きます」って…』
その返事に対して、手紙の内容をそのまま書き連ねる。
【黒木】
『そっか』
【ハク】
(そっかって…心配してくれないのかよ…)
黒木の返信があまりにもそっけなく、俺は少し不安になる。
ふとついでに、黒木に心当たりがあるかどうかをメールで訪ねてみる。
【ハク】
『黒木、心当たりあったりする?』
【黒木】
『いやないけど…』
…何か歯切れが悪い気がする。
【ハク】
『…けどなんだよ!』
【黒木】
『…なんでもない』
【黒木】
『あ、俺今日遅くなるから、夕飯一緒に食えないや。なんか適当に食べておいて』
【ハク】
『…わかった』
どうやら黒木にも心当たりはないらしいが、うまくはぐらかされた気もする。
どっちにしろ、差出人は不明のままで、ますます謎は深まるばかりだ。
宛名のない手紙といえば、黒木と最初に出会ったきっかけもそうだっけ?
俺は黒木に呼び出された時の手紙を思い出した。
確かあの手紙も差出人は不明だった。
【ハク】
(指定された場所に行ったら、黒木が来たんだっけ…)
ついこないだの事なのに、すごく昔の事のように思い出される。
それもこれも、日々いろんな事が起こっている証拠なのか。
【ハク】
(あまり深く考えすぎてもよくないな…)
そう思った俺は、昼ご飯を買いに近くのコンビニまで足を運ぶ事にした。
【コンビニ店員】
「いらっしゃいませ!」
俺がコンビニに入ると、威勢のいい店員の声で迎えられる。
訪れた駅前のコンビニは丁度昼の時間なのか、サラリーマンやOL達でにぎわっていた。
ふとレジの方に目をやると、至る所でバレンタインイベントを盛り上げているポップが見える。
レジに並ぶ人達をよくよく見てみるとそれぞれ弁当やおにぎり、パンといった食材の他についでなのかチョコレートを買う女性も少なくはなかった。
【ハク】
(ここもバレンタイン一色か…)
俺はそのにぎわいとは関係なさそうに弁当の棚を物色し始めるが、棚を見て愕然とする。
普段訪れる時間だったらこの棚に弁当を所狭しと置いてあるのだが、今日は勝手が違った。
もうすでに3種類の弁当が残っているだけだったのだ。
その3種類の中でどれにしようか悩んでいる間にも、横から伸びてきた手に、目の前の弁当が取られていく。
【ハク】
(まいったなぁ…何食べようかな…)
俺は、最後の一つが残っていた唐揚げ弁当に手を伸ばした時、ほぼ同時に同じ弁当に手を伸ばした人の手と俺の手が重なる。
【ハク】
「あっ…」
驚きが思わず声となる。
その手の主を確かめようと顔を振りかえると、そこには某場所で不本意な再会果たした赤屋の姿があった。
【赤屋】
「うわ!」
当然赤屋も俺の顔を見て驚く。
顔を見合わせたまま二人はしばらく、動きが止まる。
【ハク】
「…………」
【赤屋】
「…………」
意外にも先に口を開いたのは赤屋だった。
【赤屋】「あれから…げ…元気にしてるのか…?」
【ハク】「あ…ああ」
俺は若干、緊張した口調で答える。
【ハク】「赤屋は…昼飯?」
【赤屋】「あ、ああ。この近くの現場で働いててな」
平常心を装っているが、若干動揺しているのがわかる。
【ハク】
「そ…そうか」
俺はそっけなく返答をした。
赤屋は…仮にも俺をさらった奴らの仲間なわけで、そんな相手に対して愛想笑いができるわけもなかった。
【ハク】
「あ…コレやるよ」
そう言って俺は赤屋唐揚げ弁当を渡す。
赤屋は一瞬驚いた顔で受け取れないと首を横に振るが、それでもいいと俺が手でアクションすると、
少し会釈をして弁当を受け取った。
その時俺は、今朝送られてきた手紙の事を思い出した。
今、俺が黒木の家にお世話になっていることを知っている人物の一人である赤屋。
そこで俺は、その手紙の事を単刀直入に赤屋に聞いてみることにした。
【ハク】
「なぁ赤屋…。俺宛に手紙なんて出してないよな」
俺はさりげない感を演出しつつ赤屋に訪ねると赤屋は
【赤屋】
「手紙…?なんだそりゃ?」
キョトンとした表情で俺を見るその顔つきからは、赤屋が言った言葉が嘘だとは思えなかった。
【ハク】
「そっか…。今の話は忘れてくれ」
そう言って俺はその場を立ち去ろうとした時だった。
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