[本編] 赤屋 竜次 編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
【ハク】
「ここ……だよな」
メールに添付された地図を頼りに、俺は黒木に指定された倉庫に辿り着いた。
その頃にはすっかり陽も沈み、メールの指定通りの夜の時間だ。
きょろきょろと辺りを見回すと、まぶしいライトを光らせて走ってきた車が目に留まる。
【ハク】
(あれ、リュウの車だ……なんでこんなところに……?)
眺めていると車からリュウが降りてきて、組のものと思われる人もわらわらと倉庫の回りに集まってくる。
とくに身を隠すこともなく突っ立っていた俺は、あっさりリュウに見つかった。
【赤屋】
「ハク!」
リュウは俺の姿を認めると、大股に近づいてきた。
どう見ても怒っている。顔が、怖い……。
【ハク】
「……リュウ」
【赤屋】
「バカ野郎!部屋から出るなって言ったろうが……なんでこんなとこまで来たんだ!」
【ハク】
「だって……あれからメール、また来て……黒木が今度はリュウに酷いことするって……」
俺が長身のリュウを見上げてそう言えば、額に手を当て、リュウは溜息を吐く。
【赤屋】
「とにかく、この問題はウチの組で解決するから安心しろ」
強い口調で言われて、俺は思わず頷く。
その後、絶対外に出るなと言い含められたうえで、俺は倉庫のそばに停めたリュウの車の中で待つことになった。
危険を感じたらそのまま走らせて逃げろとも……
ペーパードライバーなんだけどな、俺。
映画のような緊迫した雰囲気の中、リュウの合図でリュウと部下の人たちは倉庫へ強行突入する。
……俺だけが一人除け者だった。
リュウたちが倉庫に突入してしばらくすると、三人の男たちが捕えられて出てきた。
見知らぬスーツ姿の柄の悪そうな男が二人と、残りの一人が黒木だった。
【ハク】
「……っ」
俺は思わず息を呑む。だが、その姿は俺の知っている黒木とはあまりにかけ離れていた。
それも、引き摺られるように歩く黒木はボロボロで、端正な造りのはずの顔は腫れあがっている。
まるで生きているか死んでいるかもわからないくらいの半殺し状態だった。
その様子に驚いて、思わず俺は車から出てしまう。
【黒木】
「ハク……!」
すると俺に気付いたのか、黒木はうれしそうに微笑んだ。
ぞわりと全身が粟立つ。
【黒木】
「俺のハク……憶えているかい?……忘れるはずがないよなぁ」
【黒木】
「ハク……キミとの蜜月は俺の人生で一番幸せなひとときだったよ……」
顔を腫らして血を流しながらもクスクスと笑ってそんなことをのたまう異常さに、俺は言葉を失くす。
【ハク】
「あ……ぁ……」
【赤屋】
「っ、……黒木ィ!」
しかし拳を握った振り上げるリュウを見て、俺は駆け出した。
【ハク】
(リュウがこんなやつのために、手を汚すことなんて、ない……)
俺はリュウの拳に両腕で縋りつき、ぎゅっと目を瞑ってふるふると首を振る。
【赤屋】
「ハク……」
【赤屋】
「……もういい、行け」
リュウは部下に指示を出して黒木たちの連行を任せると、俺を強い力で抱き寄せた。
【黒木】
「ハク……俺はまたキミを迎えに行くよ……何度でも、ハク……」
強面でガタイの良いリュウの部下の人たちに引っ張られながらも、俺の方を向いて声をかける。
狂ったような黒木のその声がずっとこだまする気がして、俺はリュウの逞しい胸に身を寄せた。
【赤屋】
「あいつのことは、俺が忘れさせてやる」
【ハク】
「……リュウ」
リュウは俺を抱き締める腕に力を込める。
……リュウにそう言われると、俺は不思議と安心することができた。
その後、リュウの指示で倉庫を隅から隅まで洗った結果、データが入っていそうなパソコンやメディアなどが発見され、それらはすべて目の前で処分された。
今度こそ、俺は黒木から解放されたのだ……。
ほっとしてリュウを見上げると、リュウはそれを見て俺の肩を抱く。
ぽんぽんと宥めるように軽く叩かれると、もう終わったのだということを実感することができた。
【赤屋】
「……帰るぞ」
【ハク】
「うん……」
リュウに促され車の助手席に乗ると、リュウも運転席に乗り込んだ。
この場所も、もうすっかり俺の定位置だ。
そして車は人気のない港から、街の中へと走る。まだ街のネオンの輝く時間だった。
「ここ……だよな」
メールに添付された地図を頼りに、俺は黒木に指定された倉庫に辿り着いた。
その頃にはすっかり陽も沈み、メールの指定通りの夜の時間だ。
きょろきょろと辺りを見回すと、まぶしいライトを光らせて走ってきた車が目に留まる。
【ハク】
(あれ、リュウの車だ……なんでこんなところに……?)
眺めていると車からリュウが降りてきて、組のものと思われる人もわらわらと倉庫の回りに集まってくる。
とくに身を隠すこともなく突っ立っていた俺は、あっさりリュウに見つかった。
【赤屋】
「ハク!」
リュウは俺の姿を認めると、大股に近づいてきた。
どう見ても怒っている。顔が、怖い……。
【ハク】
「……リュウ」
【赤屋】
「バカ野郎!部屋から出るなって言ったろうが……なんでこんなとこまで来たんだ!」
【ハク】
「だって……あれからメール、また来て……黒木が今度はリュウに酷いことするって……」
俺が長身のリュウを見上げてそう言えば、額に手を当て、リュウは溜息を吐く。
【赤屋】
「とにかく、この問題はウチの組で解決するから安心しろ」
強い口調で言われて、俺は思わず頷く。
その後、絶対外に出るなと言い含められたうえで、俺は倉庫のそばに停めたリュウの車の中で待つことになった。
危険を感じたらそのまま走らせて逃げろとも……
ペーパードライバーなんだけどな、俺。
映画のような緊迫した雰囲気の中、リュウの合図でリュウと部下の人たちは倉庫へ強行突入する。
……俺だけが一人除け者だった。
リュウたちが倉庫に突入してしばらくすると、三人の男たちが捕えられて出てきた。
見知らぬスーツ姿の柄の悪そうな男が二人と、残りの一人が黒木だった。
【ハク】
「……っ」
俺は思わず息を呑む。だが、その姿は俺の知っている黒木とはあまりにかけ離れていた。
それも、引き摺られるように歩く黒木はボロボロで、端正な造りのはずの顔は腫れあがっている。
まるで生きているか死んでいるかもわからないくらいの半殺し状態だった。
その様子に驚いて、思わず俺は車から出てしまう。
【黒木】
「ハク……!」
すると俺に気付いたのか、黒木はうれしそうに微笑んだ。
ぞわりと全身が粟立つ。
【黒木】
「俺のハク……憶えているかい?……忘れるはずがないよなぁ」
【黒木】
「ハク……キミとの蜜月は俺の人生で一番幸せなひとときだったよ……」
顔を腫らして血を流しながらもクスクスと笑ってそんなことをのたまう異常さに、俺は言葉を失くす。
【ハク】
「あ……ぁ……」
【赤屋】
「っ、……黒木ィ!」
しかし拳を握った振り上げるリュウを見て、俺は駆け出した。
【ハク】
(リュウがこんなやつのために、手を汚すことなんて、ない……)
俺はリュウの拳に両腕で縋りつき、ぎゅっと目を瞑ってふるふると首を振る。
【赤屋】
「ハク……」
【赤屋】
「……もういい、行け」
リュウは部下に指示を出して黒木たちの連行を任せると、俺を強い力で抱き寄せた。
【黒木】
「ハク……俺はまたキミを迎えに行くよ……何度でも、ハク……」
強面でガタイの良いリュウの部下の人たちに引っ張られながらも、俺の方を向いて声をかける。
狂ったような黒木のその声がずっとこだまする気がして、俺はリュウの逞しい胸に身を寄せた。
【赤屋】
「あいつのことは、俺が忘れさせてやる」
【ハク】
「……リュウ」
リュウは俺を抱き締める腕に力を込める。
……リュウにそう言われると、俺は不思議と安心することができた。
その後、リュウの指示で倉庫を隅から隅まで洗った結果、データが入っていそうなパソコンやメディアなどが発見され、それらはすべて目の前で処分された。
今度こそ、俺は黒木から解放されたのだ……。
ほっとしてリュウを見上げると、リュウはそれを見て俺の肩を抱く。
ぽんぽんと宥めるように軽く叩かれると、もう終わったのだということを実感することができた。
【赤屋】
「……帰るぞ」
【ハク】
「うん……」
リュウに促され車の助手席に乗ると、リュウも運転席に乗り込んだ。
この場所も、もうすっかり俺の定位置だ。
そして車は人気のない港から、街の中へと走る。まだ街のネオンの輝く時間だった。