[本編] 赤屋 竜次 編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
【ハク】
「ちょ……そこまで迷惑かけらんないって」
リュウが携帯を取り出し、このままでは本当に話が実現してしまいそうだったので慌てて手を振って制する。
【ハク】
「リュウのおかげでだいぶ元気になったし」
ほら、と笑って固辞する。
もうだいぶ笑えるようにもなった。
リュウだって黒木のことはもう心配ないって言ってたんだし、大丈夫だ。
それでもリュウは、心配そうな表情を隠さない。
結局、今日のところは俺が折れて職業安定所に行くのは先延ばしになった。
【赤屋】
「じゃあ俺は仕事に行くが……まだ一人で外に出るなんて言うなよ」
【ハク】
「わかったって。いってらっしゃい」
【赤屋】
「……いってきます」
いつもの挨拶をしてリュウは玄関を出て行った。
実を言うと、俺はまだ一人での外出をリュウに許されていない。
近場のスーパーですら、リュウと一緒でやっと買い物に行けるのだ。
【ハク】
(まぁ、リュウが車出してくれるほうが沢山買い物できて助かるんだけど)
【ハク】
(……職業安定所はさすがにまだ早かったか)
このままではネクタイの結び方すら忘れてしまいそうだ。
あとでスーツでも着てみるかな、と思いながら、俺は残っていたコーヒーを飲みほした。
【ハク】
「……さてと、家事でもしますか」
腕まくりをして立ち上がったときに、何か震えるような物音が聞こえる。
【ハク】
(……なんだ?)
滅多に鳴らない俺の携帯のバイブ音だと気づいたのは、その音が終わってからだった。
慌てて画面を覗き込むと、新着メール一通の文字。
【ハク】
(めずらしいな、誰からだろう)
差出人は知らないメールアドレスからで、件名はない。
何やらファイルが添付されていた。
とりあえず俺はメールを開いてみる。
『今日の夜、港にある倉庫へ、一人で来い。
もし来なかったら、お前のお楽しみの動画や画像がどうなるかわかってるよな?
俺のハクへ
愛をこめて』
本文を読んだ瞬間、体中に悪寒が走った。
【ハク】
(黒木だ……)
名前は書かれていないが、確信的にそう感じた。
今日はよく晴れていて心地良い陽気だというのに、背中にダラダラと冷たい汗が伝って止まらない。
怖いが確かめないわけにもいかず、俺は震える手で添付されていた動画の再生ボタンを押した。
『あっ!は……あ……』
『あ、あっ……やぁ……んっ』
【ハク】
「っ……!」
大音量で再生されたものに、思わず携帯を取り落す。
それは、俺があられもない姿で嬌声をあげている姿だった。
床に落ちてもなお、声をあげている。
【ハク】
(間違いない……)
【ハク】
(確かにこれはあのとき、モニターの中にいた俺の一人だ……)
【ハク】
(なぜ……?確か、ビデオカメラはすべてリュウが処分してくれたはずなのに……)
目の前が真っ暗になった気がした。
また、あの日常に戻らなければならないと告げられたようで、パニックに陥りそうになる。
それだけは…嫌だ…。
もう、あの環境には戻りたくない。
その環境への嫌悪感と共に黒木への恐怖が蘇ってくる――。
【ハク】
「いやだ…ぁぁあああああああ」
俺は完全に取り乱しかけていた。
そんなとき、ふと目の前のコップが目に入る。
リュウと同居すると決まったとき、二人で買いに行ったコップだ。
【ハク】
(そ、そうだ…)
【ハク】
(リュウに言わないと……)
【ハク】
(リュウなら、きっとなんとかしてくれる)
【ハク】
(俺のこと、守ってくれる……)
自分に言い聞かせながら、俺はなんとかリュウの携帯に電話をかけた。
【赤屋】
『はいもしもし。……ハクか、どうした』
【ハク】
「リュウ、仕事中に悪い。実は、今さっき黒木からメールが……」
数コールのち、電話口で聞こえるリュウの声にほっとするのも束の間、俺はリュウに黒木からメールが来たことを教える。
【赤屋】
『なんだと!?』
リュウは電話越しでも激怒してるのがわかるほど、声を荒げる。
【赤屋】
『ハク、すぐに部屋に戻って、絶対にそこから出るな。いいか』
【ハク】
「うん……」
【赤屋】
『お前は何も心配しなくていい。すべての始末は俺が付ける』
【ハク】
「……わかった」
その言葉に俺はがくがくと震えながら頷く。
リュウとの通話が終わると、もう既に黒木に監視されているようで怖かった。
電話で言われたとおりに、震える足に言うことをきかせて寝室へ入る。
なんだかとても寒く、ベッドの上で毛布を頭からかぶった。
それでも震えは止まらない。
【ハク】
(早く帰ってきて……リュウ……)
枕を抱えてどうにかやり過ごそうとしていると、再び携帯が震える。
リュウからの連絡かと思って飛びつくと、それは先ほどのメールと同じ差出人からだった。
また添付ファイルが付いている。
【ハク】
(…………!)
【ハク】
(どうしよう……リュウが来るまで待っていようか……)
一瞬考えたが、俺はメールを読むことにした。まずは添付ファイルを確認しなければ、リュウにも見せられない。
『俺のハクへ
もしかして来ないつもりかもしれないけど、それなら今夜は赤屋相手にハク主演のゲイビデオの上映会といこう。
次回作の主演はそうだな……赤屋に決めた。
見た目もその筋のお客さんに受けそうだし、誰かさんとの毎晩の行為で慣れてるらしいからね。
それじゃ今夜、待っているよ』
添付ファイルは二つ、一つは倉庫への地図。
もう一つは……よだれを垂らしながら黒木に奉仕している俺の画像だった。
俺は寒気に加えて吐き気を催し、トイレに駆け込む。
【ハク】
「ぅえっ……げほ、ぇほっ……」
便器を抱きかかえるようにして嘔吐きながら二通目のメールの意味を考える。
【ハク】
(次回作……赤屋……?)
【ハク】
(黒木のやつ、今度はリュウをあんな目に遭わせる気か……!?)
困っていた俺に手を差し延べ、ずっと親切にしてくれたリュウを、俺のせいで危険な目に遭わせるわけにはいかない。
ましてや、あんな生き地獄には、絶対リュウを行かせない……!
【ハク】
(俺が言うとおりにすれば、リュウは危険な目に遭わずに済む……)
その思いで俺は携帯を握りしめると、外へと飛び出した。
空はもう夕焼けの色だ。陽が沈み、やがて夜になる。
【ハク】
(間に合わなかったら、リュウが危ない……)
俺はそのまま、死に物狂いで指定された倉庫へと向かった。
【ハク】
「ここ……だよな」
メールに添付された地図を頼りに、俺は黒木に指定された倉庫に辿り着いた。
その頃にはすっかり陽も沈み、メールの指定通りの夜の時間だ。
きょろきょろと辺りを見回しても人影はない。
【ハク】
(だとすると、この中……か)
俺は赤屋を信じて待った。
続く…
「ちょ……そこまで迷惑かけらんないって」
リュウが携帯を取り出し、このままでは本当に話が実現してしまいそうだったので慌てて手を振って制する。
【ハク】
「リュウのおかげでだいぶ元気になったし」
ほら、と笑って固辞する。
もうだいぶ笑えるようにもなった。
リュウだって黒木のことはもう心配ないって言ってたんだし、大丈夫だ。
それでもリュウは、心配そうな表情を隠さない。
結局、今日のところは俺が折れて職業安定所に行くのは先延ばしになった。
【赤屋】
「じゃあ俺は仕事に行くが……まだ一人で外に出るなんて言うなよ」
【ハク】
「わかったって。いってらっしゃい」
【赤屋】
「……いってきます」
いつもの挨拶をしてリュウは玄関を出て行った。
実を言うと、俺はまだ一人での外出をリュウに許されていない。
近場のスーパーですら、リュウと一緒でやっと買い物に行けるのだ。
【ハク】
(まぁ、リュウが車出してくれるほうが沢山買い物できて助かるんだけど)
【ハク】
(……職業安定所はさすがにまだ早かったか)
このままではネクタイの結び方すら忘れてしまいそうだ。
あとでスーツでも着てみるかな、と思いながら、俺は残っていたコーヒーを飲みほした。
【ハク】
「……さてと、家事でもしますか」
腕まくりをして立ち上がったときに、何か震えるような物音が聞こえる。
【ハク】
(……なんだ?)
滅多に鳴らない俺の携帯のバイブ音だと気づいたのは、その音が終わってからだった。
慌てて画面を覗き込むと、新着メール一通の文字。
【ハク】
(めずらしいな、誰からだろう)
差出人は知らないメールアドレスからで、件名はない。
何やらファイルが添付されていた。
とりあえず俺はメールを開いてみる。
『今日の夜、港にある倉庫へ、一人で来い。
もし来なかったら、お前のお楽しみの動画や画像がどうなるかわかってるよな?
俺のハクへ
愛をこめて』
本文を読んだ瞬間、体中に悪寒が走った。
【ハク】
(黒木だ……)
名前は書かれていないが、確信的にそう感じた。
今日はよく晴れていて心地良い陽気だというのに、背中にダラダラと冷たい汗が伝って止まらない。
怖いが確かめないわけにもいかず、俺は震える手で添付されていた動画の再生ボタンを押した。
『あっ!は……あ……』
『あ、あっ……やぁ……んっ』
【ハク】
「っ……!」
大音量で再生されたものに、思わず携帯を取り落す。
それは、俺があられもない姿で嬌声をあげている姿だった。
床に落ちてもなお、声をあげている。
【ハク】
(間違いない……)
【ハク】
(確かにこれはあのとき、モニターの中にいた俺の一人だ……)
【ハク】
(なぜ……?確か、ビデオカメラはすべてリュウが処分してくれたはずなのに……)
目の前が真っ暗になった気がした。
また、あの日常に戻らなければならないと告げられたようで、パニックに陥りそうになる。
それだけは…嫌だ…。
もう、あの環境には戻りたくない。
その環境への嫌悪感と共に黒木への恐怖が蘇ってくる――。
【ハク】
「いやだ…ぁぁあああああああ」
俺は完全に取り乱しかけていた。
そんなとき、ふと目の前のコップが目に入る。
リュウと同居すると決まったとき、二人で買いに行ったコップだ。
【ハク】
(そ、そうだ…)
【ハク】
(リュウに言わないと……)
【ハク】
(リュウなら、きっとなんとかしてくれる)
【ハク】
(俺のこと、守ってくれる……)
自分に言い聞かせながら、俺はなんとかリュウの携帯に電話をかけた。
【赤屋】
『はいもしもし。……ハクか、どうした』
【ハク】
「リュウ、仕事中に悪い。実は、今さっき黒木からメールが……」
数コールのち、電話口で聞こえるリュウの声にほっとするのも束の間、俺はリュウに黒木からメールが来たことを教える。
【赤屋】
『なんだと!?』
リュウは電話越しでも激怒してるのがわかるほど、声を荒げる。
【赤屋】
『ハク、すぐに部屋に戻って、絶対にそこから出るな。いいか』
【ハク】
「うん……」
【赤屋】
『お前は何も心配しなくていい。すべての始末は俺が付ける』
【ハク】
「……わかった」
その言葉に俺はがくがくと震えながら頷く。
リュウとの通話が終わると、もう既に黒木に監視されているようで怖かった。
電話で言われたとおりに、震える足に言うことをきかせて寝室へ入る。
なんだかとても寒く、ベッドの上で毛布を頭からかぶった。
それでも震えは止まらない。
【ハク】
(早く帰ってきて……リュウ……)
枕を抱えてどうにかやり過ごそうとしていると、再び携帯が震える。
リュウからの連絡かと思って飛びつくと、それは先ほどのメールと同じ差出人からだった。
また添付ファイルが付いている。
【ハク】
(…………!)
【ハク】
(どうしよう……リュウが来るまで待っていようか……)
一瞬考えたが、俺はメールを読むことにした。まずは添付ファイルを確認しなければ、リュウにも見せられない。
『俺のハクへ
もしかして来ないつもりかもしれないけど、それなら今夜は赤屋相手にハク主演のゲイビデオの上映会といこう。
次回作の主演はそうだな……赤屋に決めた。
見た目もその筋のお客さんに受けそうだし、誰かさんとの毎晩の行為で慣れてるらしいからね。
それじゃ今夜、待っているよ』
添付ファイルは二つ、一つは倉庫への地図。
もう一つは……よだれを垂らしながら黒木に奉仕している俺の画像だった。
俺は寒気に加えて吐き気を催し、トイレに駆け込む。
【ハク】
「ぅえっ……げほ、ぇほっ……」
便器を抱きかかえるようにして嘔吐きながら二通目のメールの意味を考える。
【ハク】
(次回作……赤屋……?)
【ハク】
(黒木のやつ、今度はリュウをあんな目に遭わせる気か……!?)
困っていた俺に手を差し延べ、ずっと親切にしてくれたリュウを、俺のせいで危険な目に遭わせるわけにはいかない。
ましてや、あんな生き地獄には、絶対リュウを行かせない……!
【ハク】
(俺が言うとおりにすれば、リュウは危険な目に遭わずに済む……)
その思いで俺は携帯を握りしめると、外へと飛び出した。
空はもう夕焼けの色だ。陽が沈み、やがて夜になる。
【ハク】
(間に合わなかったら、リュウが危ない……)
俺はそのまま、死に物狂いで指定された倉庫へと向かった。
【ハク】
「ここ……だよな」
メールに添付された地図を頼りに、俺は黒木に指定された倉庫に辿り着いた。
その頃にはすっかり陽も沈み、メールの指定通りの夜の時間だ。
きょろきょろと辺りを見回しても人影はない。
【ハク】
(だとすると、この中……か)
俺は赤屋を信じて待った。
続く…
