[本編] 赤屋 竜次 編
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【ハク】
「そんな……俺の方こそ、不用心で……すまない」
リュウは俺のこと助けてくれたのに、逆に謝らせてしまった。
それも、勝手に飛び出した俺のことをこんなに必死で探してくれたのに……。
本当はちゃんと謝って、お礼が言いたかった。
だが、俺の口はぱくぱくとするばかりで言葉にならない。
【ハク】
「……………」
【赤屋】
「……ハクは何も悪くない」
申し訳ない気持ちで俯くと、リュウは慈しむように俺の頭を撫でた。
……リュウの腕の中は心地よく、安心する。
【赤屋】
「もう、寝ろ」
【ハク】
「………………」
【ハク】
「リュウ……」
そう言って離れようとするリュウに、思わず名残り惜しそうな声が出てしまう。
【赤屋】
「仕方ないな……ほら、一緒に寝るぞ」
リュウは再び俺を抱きかかえると、ベッドに運んだ。
【赤屋】
「…ずっと。…ずっとそばにいてやるからな」
そう言って俺の横に横たわると、俺が寝付くまでずっとそばにいてくれた。
その夜は、二人でお互いを守るように寄り添って眠りについた。
俺にとっては何日か振り訪れた、平和な夜だった。
翌朝、俺はリュウの部屋のベッドで目覚めた。
久しぶりによく眠れた気がする。
充分な睡眠のおかげで身体はぽかぽかと暖かく、あまりの気持ち良さに俺は起き上がることができずにまた枕に顔を埋めた。
【ハク】
(枕……リュウの匂いがする……)
朝の光が差し込む寝室は、昨日まで寝かされていたカメラとモニターに囲まれた場所とは違う。
思わず俺は自分の頬を片手でつねってみた。
【ハク】
「痛い……」
感じた痛みに、夢ではないことがわかって安堵する。
さっきまでの幸せな気持ちが嘘のように、心細さを感じた。
まるで、誰もいない世界に一人で取り残されたような気分だ。
そこに、部屋のドアが開く。
【ハク】
「っ……」
思わず俺はびくっと身体を竦ませたが、入ってきたのはリュウだった。
【赤屋】
「ハク、起きてたのか」
【赤屋】
「朝飯買ってきたぞ」
リュウは、手に持っていたコンビニ袋を目線のあたりまで持ち上げて笑った。
その笑顔に俺は安堵する。
【赤屋】
「食えそうなもん、あるか?」
【ハク】
「う、うん……」
リュウはベッドサイドに膝をつき、袋の中身をひろげる。
コンビニ袋は大きく、中身は普通のコンビニ弁当や菓子パンから、お粥やうどん、カップ麺など大量だった。
飲み物も、お茶にスポーツ飲料、100%ジュースなど……とても食べきれる量ではない。
冷蔵庫に入れておけば大丈夫だろうか。
その中で俺は、一番食べられそうだったレトルトタイプの玉子粥を示す。
【赤屋】
「これだな。よし、支度してくるから待ってろ」
笑顔で立ち上がろうとするリュウの裾を、思わず掴んでしまう。
【ハク】
「あ……」
そんな子供っぽい動作にも、リュウは優しく微笑んだ。
【赤屋】
「……どうした、ハク」
再び、リュウは小さい子にするみたいにしゃがんで目線を合わせてくる。
【ハク】
「リュウ、リュウ……」
【赤屋】
「ハク……」
慈しむような表情のリュウと改めて向かい合うと、途端に我慢できずに涙があふれた。
【ハク】
「目が、覚めたら……リュウがいなくて……」
【ハク】
「それで……ひ、ぐっ……」
涙の理由を、自分でも上手く説明できない。
鼻の奥がつんとする。
涙は次から次へと零れて止まらない。
しゃくりあげるばかりの俺を、リュウはすべて理解するように優しく包み込んだ。
【赤屋】
「黙って出かけてすまなかった。……心細かったろ」
ヨシヨシと愛おしそうに頭を撫でられるのが気持ち良くて、俺は自分からもリュウの手に頭を擦りつける。
昨日から、リュウはまるで魔法みたいに俺を安心させてくれる……。
【ハク】
「リュウ、もう出かけない?ここにいる?」
【赤屋】
「ああ……もうどこにもいかないから」
ギュッともう一度だけ俺のことを強く、でも優しく抱き締めて額をコツンと合わせる。
気付けばもう涙も止まっていた。
【赤屋】
「だから飯、食え」
額同士が離れるといつもの無口で不器用なリュウに戻る。
リュウが部屋から出て行くのを見送っても、もう寂しくなかった。
ぺたりと、先ほどまで触れあっていた額を触ってみれば今度は笑みが零れた。
【ハク】
「……ふふ」
こうして笑えるのも久しぶりだ。
しばらくすると、できあがったお粥を持ってリュウが部屋に入ってくる。
男二人のこの家にお盆なんてないから、お椀とスプーンだけを持って。
【赤屋】
「ほら、熱いぞ」
リュウの手からそれを受け取り、口に運ぶ。久々のまともな食事と言えるものだった。
【ハク】
「……おいしい!」
【赤屋】
「あのなぁ、レトルトだぞ」
【ハク】
「それでも美味しいよ。リュウ……本当に、ありがとう」
今度こそ、リュウを真っ直ぐ見ながら素直にお礼が言えた。
お礼を言われたリュウは、最初キョトンとした表情だったが、みるみるうちに顔が赤く染まる。
そんなリュウの顔をみた俺は、思わず笑顔をこぼした。
【赤屋】
「ば、馬鹿やろう!」
【赤屋】
「そういうことは元気になってから言え!」
やっぱりこういう反応をしているリュウは、俺にはなぜか少し可愛く見えるから不思議だ。
普段はあんなにぶっきらぼう顔をしているのに。
また平穏な日々が戻ってきたと思っていた
―――――そう。
あのメールが届くまでは……。
あの悪夢から助け出されてから数日が経って、俺は精神的にも体力的にも快方に向かっていた。
この家に帰ってきたばかりの頃はリュウに世話を焼いてもらってばかりだったけど、もう俺のメインの仕事である家事も担当している。
そろそろ職探しの方も再開しようかというところだ。
【ハク】
「でさ、そろそろ職業安定所とか行こうかなって思って」
朝食後のコーヒーを飲んでいる時間に、リュウにそれとなく言ってみた。
近頃、リュウは自分からは言わないがどうやら出勤時間を遅らせているらしい。
俺のためだと思うと申し訳ない反面、嬉しかった。
【赤屋】
「……一人でか?組のヤツ付けるから、連れてけ」
リュウは顔をしかめる。俺が一人ででかけることに、リュウは慎重だ。
俺のことを心配してくれているのはわかるが、いくらなんでも大袈裟だと思う。
【赤屋】
「邪魔にはならないようにさせる。だから……」
「そんな……俺の方こそ、不用心で……すまない」
リュウは俺のこと助けてくれたのに、逆に謝らせてしまった。
それも、勝手に飛び出した俺のことをこんなに必死で探してくれたのに……。
本当はちゃんと謝って、お礼が言いたかった。
だが、俺の口はぱくぱくとするばかりで言葉にならない。
【ハク】
「……………」
【赤屋】
「……ハクは何も悪くない」
申し訳ない気持ちで俯くと、リュウは慈しむように俺の頭を撫でた。
……リュウの腕の中は心地よく、安心する。
【赤屋】
「もう、寝ろ」
【ハク】
「………………」
【ハク】
「リュウ……」
そう言って離れようとするリュウに、思わず名残り惜しそうな声が出てしまう。
【赤屋】
「仕方ないな……ほら、一緒に寝るぞ」
リュウは再び俺を抱きかかえると、ベッドに運んだ。
【赤屋】
「…ずっと。…ずっとそばにいてやるからな」
そう言って俺の横に横たわると、俺が寝付くまでずっとそばにいてくれた。
その夜は、二人でお互いを守るように寄り添って眠りについた。
俺にとっては何日か振り訪れた、平和な夜だった。
翌朝、俺はリュウの部屋のベッドで目覚めた。
久しぶりによく眠れた気がする。
充分な睡眠のおかげで身体はぽかぽかと暖かく、あまりの気持ち良さに俺は起き上がることができずにまた枕に顔を埋めた。
【ハク】
(枕……リュウの匂いがする……)
朝の光が差し込む寝室は、昨日まで寝かされていたカメラとモニターに囲まれた場所とは違う。
思わず俺は自分の頬を片手でつねってみた。
【ハク】
「痛い……」
感じた痛みに、夢ではないことがわかって安堵する。
さっきまでの幸せな気持ちが嘘のように、心細さを感じた。
まるで、誰もいない世界に一人で取り残されたような気分だ。
そこに、部屋のドアが開く。
【ハク】
「っ……」
思わず俺はびくっと身体を竦ませたが、入ってきたのはリュウだった。
【赤屋】
「ハク、起きてたのか」
【赤屋】
「朝飯買ってきたぞ」
リュウは、手に持っていたコンビニ袋を目線のあたりまで持ち上げて笑った。
その笑顔に俺は安堵する。
【赤屋】
「食えそうなもん、あるか?」
【ハク】
「う、うん……」
リュウはベッドサイドに膝をつき、袋の中身をひろげる。
コンビニ袋は大きく、中身は普通のコンビニ弁当や菓子パンから、お粥やうどん、カップ麺など大量だった。
飲み物も、お茶にスポーツ飲料、100%ジュースなど……とても食べきれる量ではない。
冷蔵庫に入れておけば大丈夫だろうか。
その中で俺は、一番食べられそうだったレトルトタイプの玉子粥を示す。
【赤屋】
「これだな。よし、支度してくるから待ってろ」
笑顔で立ち上がろうとするリュウの裾を、思わず掴んでしまう。
【ハク】
「あ……」
そんな子供っぽい動作にも、リュウは優しく微笑んだ。
【赤屋】
「……どうした、ハク」
再び、リュウは小さい子にするみたいにしゃがんで目線を合わせてくる。
【ハク】
「リュウ、リュウ……」
【赤屋】
「ハク……」
慈しむような表情のリュウと改めて向かい合うと、途端に我慢できずに涙があふれた。
【ハク】
「目が、覚めたら……リュウがいなくて……」
【ハク】
「それで……ひ、ぐっ……」
涙の理由を、自分でも上手く説明できない。
鼻の奥がつんとする。
涙は次から次へと零れて止まらない。
しゃくりあげるばかりの俺を、リュウはすべて理解するように優しく包み込んだ。
【赤屋】
「黙って出かけてすまなかった。……心細かったろ」
ヨシヨシと愛おしそうに頭を撫でられるのが気持ち良くて、俺は自分からもリュウの手に頭を擦りつける。
昨日から、リュウはまるで魔法みたいに俺を安心させてくれる……。
【ハク】
「リュウ、もう出かけない?ここにいる?」
【赤屋】
「ああ……もうどこにもいかないから」
ギュッともう一度だけ俺のことを強く、でも優しく抱き締めて額をコツンと合わせる。
気付けばもう涙も止まっていた。
【赤屋】
「だから飯、食え」
額同士が離れるといつもの無口で不器用なリュウに戻る。
リュウが部屋から出て行くのを見送っても、もう寂しくなかった。
ぺたりと、先ほどまで触れあっていた額を触ってみれば今度は笑みが零れた。
【ハク】
「……ふふ」
こうして笑えるのも久しぶりだ。
しばらくすると、できあがったお粥を持ってリュウが部屋に入ってくる。
男二人のこの家にお盆なんてないから、お椀とスプーンだけを持って。
【赤屋】
「ほら、熱いぞ」
リュウの手からそれを受け取り、口に運ぶ。久々のまともな食事と言えるものだった。
【ハク】
「……おいしい!」
【赤屋】
「あのなぁ、レトルトだぞ」
【ハク】
「それでも美味しいよ。リュウ……本当に、ありがとう」
今度こそ、リュウを真っ直ぐ見ながら素直にお礼が言えた。
お礼を言われたリュウは、最初キョトンとした表情だったが、みるみるうちに顔が赤く染まる。
そんなリュウの顔をみた俺は、思わず笑顔をこぼした。
【赤屋】
「ば、馬鹿やろう!」
【赤屋】
「そういうことは元気になってから言え!」
やっぱりこういう反応をしているリュウは、俺にはなぜか少し可愛く見えるから不思議だ。
普段はあんなにぶっきらぼう顔をしているのに。
また平穏な日々が戻ってきたと思っていた
―――――そう。
あのメールが届くまでは……。
あの悪夢から助け出されてから数日が経って、俺は精神的にも体力的にも快方に向かっていた。
この家に帰ってきたばかりの頃はリュウに世話を焼いてもらってばかりだったけど、もう俺のメインの仕事である家事も担当している。
そろそろ職探しの方も再開しようかというところだ。
【ハク】
「でさ、そろそろ職業安定所とか行こうかなって思って」
朝食後のコーヒーを飲んでいる時間に、リュウにそれとなく言ってみた。
近頃、リュウは自分からは言わないがどうやら出勤時間を遅らせているらしい。
俺のためだと思うと申し訳ない反面、嬉しかった。
【赤屋】
「……一人でか?組のヤツ付けるから、連れてけ」
リュウは顔をしかめる。俺が一人ででかけることに、リュウは慎重だ。
俺のことを心配してくれているのはわかるが、いくらなんでも大袈裟だと思う。
【赤屋】
「邪魔にはならないようにさせる。だから……」