[本編] 赤屋 竜次 編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
【二年生1】
「は?じゃねぇよ、生意気だなオラ」
【二年生3】
「ハッ、ちょっと痛い目見せてやろうか、ああ?」
三人の中でも一番体格の良い奴にダン!と階段室の壁に押し付けられる。
【ハク】
(うわぁ……なんか、さすがにヤバいな……)
そう思ったところだった。
【赤屋】
「…………」
ギイ……と屋上のドアを開けて現れたのがリュウだった。
【二年生2】
「あぁ、なんだよお前は……」
【赤屋】
「……うるせぇ」
【二年生2】
「うっ……!」
【二年生1】
「いきなり何しやがる!!」
三人に囲まれている俺を見て状況を察したのか、噛んでいたガムを吐き出すといきなり二年生に殴りかかった。
そのまま、あっと言う間に二年生三人をボコボコにする。
【二年生1】
「が……は……」
【ハク】
(す……すごい、一人で三人相手に……!)
【二年生2】
「テ、テメー覚えてろよ!グッ……」
最後の一人にとどめを刺すと、つまらなさそうな顔をしてこちらを向いた。目が、合う。
【ハク】
「あ、あの……」
【赤屋】
「…………」
そのときは、俺を一瞥しただけで、さっさと屋上から出て行ってしまった。
リュウがこのことで職員室に呼び出され、先生には全部一人で勝手にやったと言ったことを知ったのは、後の事だ。
翌日、俺は名前もクラスも知らないその人にお礼を言いたくて、唯一の手がかりである屋上へと足を運んだ。
その日俺が屋上へ行くと他の人の姿はなく、一人リュウだけが手すりにもたれて外を眺めていた。
【ハク】
「あの……」
【赤屋】
「ああ、お前か……」
リュウは俺のことを覚えていたようだった。
【ハク】
「えっと、昨日はありがとう……」
【ハク】
「あのさ、先生に俺のこと言わなかったんだって?」
【赤屋】
「……別に」
【赤屋】
「…あいつらが気に食わなかっただけだ」
視線を反らしてぶっきらぼうに呟く姿に優しさが見え隠れしていて、
強面の外見に似合わず少し可愛いなんて思ったのは内緒だ。
それ以来、屋上で授業をサボると必ずと言っていいほど顔を合わせるようになった。
自然と放課後にもつるむような仲になり、
いつしか「リュウ」「ハク」と呼び合うようになったのだ。
【ハク】
(あのときから、俺はリュウに助けられてばっかりなんだな……)
ぼーっと、流れる景色を見ながら昔のことを思い出していた。
ついこの間のことだと思っていたのに、いつのまにか十年以上も前になってしまった。
【赤屋】
「……痛む場所や、違和感を感じる場所はあるか」
リュウが車を走らせながら俺に問いかける。
【赤屋】
「放っておくとまずいことになる」
そうは言っても、ろくにベッドから降りることもなく無理な体勢を取らされ続けたせいで全身のあちこちが痛む。
黒木に打たれたのも、一度や二度ではない。
【ハク】
「……全身痛くて、何もかも分からない」
思わず、八つ当たりのようにぶつけてしまった。
【赤屋】
「っ……何をされた」
【赤屋】
「言える範囲で良いから、言ってみろ」
リュウの顔から表情が消える。
その顔が少し怖くて、俺は口を開いた。
【ハク】
「……あそこに来たときからずっと、手錠嵌められて、吊るされて、さ……」
【ハク】
「その、口でとか、後ろに突っ込まれたり、とか」
【ハク】
「上手にできないと、殴られたりもした……」
そのほかにも、洗いざらい、半ば自棄でぶちまけた。
誰かに吐き出してしまえば、楽になる気がした。
【赤屋】
「黒木のやつ、許さねえ……」
ダン!とリュウは力任せに車載の灰皿を殴る。その際、よっぽど強い力だったのか手から血が滲んだ。
【ハク】
「リュウ、手、血が……」
【赤屋】
「……こんなの、お前がされたことに比べればなんともねえ」
【赤屋】
「帰る前に、先に医者行くぞ」
【ハク】
「え、こんな時間に……」
車載のデジタル時計はどう見ても深夜の時間帯だ。
【ハク】
「それに、保険証もないし……」
【赤屋】
「平気だ……ヤミだから」
そう言うとリュウは逆方向にハンドルを切り、到着したのはリュウの知り合いだと言う医者のところだった。
そこでリュウの勧めもあり全身を診てもらい、幸い後遺症の残るほどの傷はないと言われてひとまず帰宅できることになった。
今度こそ、リュウのマンションに向かう車内。
【ハク】
「そういえば、リュウはなんで俺があの場所にいるってわかったんだ?」
ほっとして考える余裕も出てると、途端に疑問が浮かぶ。
【赤屋】
「お前がいなくなって二日間探し回ったら、怪しいワンボックスに乗り込んだってとこまで突き止めた」
【赤屋】
「ナンバーまで調べて徹底的に探して、あの場所がわかった」
【ハク】
「そう、なんだ……」
【赤屋】
「……もともと、あの繁華街はウチの組のシマなんだ」
【赤屋】
「それなのに、こんなにかかっちまった……すまない」
【ハク】
「そんなことない。……ありがとう、ほんと助かった」
車がリュウの家の前に着く。
入口からリュウの部屋の玄関までの距離を俺はすごく長く感じた。
リュウに支えられながらフラフラと歩き、なんとか部屋までたどり着く。
男二人の生活の場なので決してものは多くないが、俺の繋がれていたあんな部屋とは違う、
今の俺の「我が家」だった。
【赤屋】
「おかえり、ハク」
【ハク】
「あ……ぁ……」
安心すると同時に、今まで俺が如何に異様な場所にいたのかを自覚した。
視界を塞がれ、食べ物はすべて黒木の手から与えられる。
俺の生きる意味は黒木に抱かれることのみ……。
【ハク】
「や、黒木……やだ……」
両手で自分を抱き締めるようにして突然ガタガタと震えだした俺を、
リュウはそっとやさしく抱き締める。
【赤屋】
「助けるのが遅くなってすまない、本当に……」
【ハク】
「俺のほうこそ、不用心ですまなかった…」
続く…
「は?じゃねぇよ、生意気だなオラ」
【二年生3】
「ハッ、ちょっと痛い目見せてやろうか、ああ?」
三人の中でも一番体格の良い奴にダン!と階段室の壁に押し付けられる。
【ハク】
(うわぁ……なんか、さすがにヤバいな……)
そう思ったところだった。
【赤屋】
「…………」
ギイ……と屋上のドアを開けて現れたのがリュウだった。
【二年生2】
「あぁ、なんだよお前は……」
【赤屋】
「……うるせぇ」
【二年生2】
「うっ……!」
【二年生1】
「いきなり何しやがる!!」
三人に囲まれている俺を見て状況を察したのか、噛んでいたガムを吐き出すといきなり二年生に殴りかかった。
そのまま、あっと言う間に二年生三人をボコボコにする。
【二年生1】
「が……は……」
【ハク】
(す……すごい、一人で三人相手に……!)
【二年生2】
「テ、テメー覚えてろよ!グッ……」
最後の一人にとどめを刺すと、つまらなさそうな顔をしてこちらを向いた。目が、合う。
【ハク】
「あ、あの……」
【赤屋】
「…………」
そのときは、俺を一瞥しただけで、さっさと屋上から出て行ってしまった。
リュウがこのことで職員室に呼び出され、先生には全部一人で勝手にやったと言ったことを知ったのは、後の事だ。
翌日、俺は名前もクラスも知らないその人にお礼を言いたくて、唯一の手がかりである屋上へと足を運んだ。
その日俺が屋上へ行くと他の人の姿はなく、一人リュウだけが手すりにもたれて外を眺めていた。
【ハク】
「あの……」
【赤屋】
「ああ、お前か……」
リュウは俺のことを覚えていたようだった。
【ハク】
「えっと、昨日はありがとう……」
【ハク】
「あのさ、先生に俺のこと言わなかったんだって?」
【赤屋】
「……別に」
【赤屋】
「…あいつらが気に食わなかっただけだ」
視線を反らしてぶっきらぼうに呟く姿に優しさが見え隠れしていて、
強面の外見に似合わず少し可愛いなんて思ったのは内緒だ。
それ以来、屋上で授業をサボると必ずと言っていいほど顔を合わせるようになった。
自然と放課後にもつるむような仲になり、
いつしか「リュウ」「ハク」と呼び合うようになったのだ。
【ハク】
(あのときから、俺はリュウに助けられてばっかりなんだな……)
ぼーっと、流れる景色を見ながら昔のことを思い出していた。
ついこの間のことだと思っていたのに、いつのまにか十年以上も前になってしまった。
【赤屋】
「……痛む場所や、違和感を感じる場所はあるか」
リュウが車を走らせながら俺に問いかける。
【赤屋】
「放っておくとまずいことになる」
そうは言っても、ろくにベッドから降りることもなく無理な体勢を取らされ続けたせいで全身のあちこちが痛む。
黒木に打たれたのも、一度や二度ではない。
【ハク】
「……全身痛くて、何もかも分からない」
思わず、八つ当たりのようにぶつけてしまった。
【赤屋】
「っ……何をされた」
【赤屋】
「言える範囲で良いから、言ってみろ」
リュウの顔から表情が消える。
その顔が少し怖くて、俺は口を開いた。
【ハク】
「……あそこに来たときからずっと、手錠嵌められて、吊るされて、さ……」
【ハク】
「その、口でとか、後ろに突っ込まれたり、とか」
【ハク】
「上手にできないと、殴られたりもした……」
そのほかにも、洗いざらい、半ば自棄でぶちまけた。
誰かに吐き出してしまえば、楽になる気がした。
【赤屋】
「黒木のやつ、許さねえ……」
ダン!とリュウは力任せに車載の灰皿を殴る。その際、よっぽど強い力だったのか手から血が滲んだ。
【ハク】
「リュウ、手、血が……」
【赤屋】
「……こんなの、お前がされたことに比べればなんともねえ」
【赤屋】
「帰る前に、先に医者行くぞ」
【ハク】
「え、こんな時間に……」
車載のデジタル時計はどう見ても深夜の時間帯だ。
【ハク】
「それに、保険証もないし……」
【赤屋】
「平気だ……ヤミだから」
そう言うとリュウは逆方向にハンドルを切り、到着したのはリュウの知り合いだと言う医者のところだった。
そこでリュウの勧めもあり全身を診てもらい、幸い後遺症の残るほどの傷はないと言われてひとまず帰宅できることになった。
今度こそ、リュウのマンションに向かう車内。
【ハク】
「そういえば、リュウはなんで俺があの場所にいるってわかったんだ?」
ほっとして考える余裕も出てると、途端に疑問が浮かぶ。
【赤屋】
「お前がいなくなって二日間探し回ったら、怪しいワンボックスに乗り込んだってとこまで突き止めた」
【赤屋】
「ナンバーまで調べて徹底的に探して、あの場所がわかった」
【ハク】
「そう、なんだ……」
【赤屋】
「……もともと、あの繁華街はウチの組のシマなんだ」
【赤屋】
「それなのに、こんなにかかっちまった……すまない」
【ハク】
「そんなことない。……ありがとう、ほんと助かった」
車がリュウの家の前に着く。
入口からリュウの部屋の玄関までの距離を俺はすごく長く感じた。
リュウに支えられながらフラフラと歩き、なんとか部屋までたどり着く。
男二人の生活の場なので決してものは多くないが、俺の繋がれていたあんな部屋とは違う、
今の俺の「我が家」だった。
【赤屋】
「おかえり、ハク」
【ハク】
「あ……ぁ……」
安心すると同時に、今まで俺が如何に異様な場所にいたのかを自覚した。
視界を塞がれ、食べ物はすべて黒木の手から与えられる。
俺の生きる意味は黒木に抱かれることのみ……。
【ハク】
「や、黒木……やだ……」
両手で自分を抱き締めるようにして突然ガタガタと震えだした俺を、
リュウはそっとやさしく抱き締める。
【赤屋】
「助けるのが遅くなってすまない、本当に……」
【ハク】
「俺のほうこそ、不用心ですまなかった…」
続く…