[期間限定イベント"ハロウィンナイト"] 黒木 忠生 編
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【ハク】
(まあ試着室をのぞかれる心配はせずに済んだわけだけど……)
【ハク】
(本当に大丈夫なんだろうな……?)
俺はそんな一抹の不安を抱いたものの、当日にはすっかり忘れていたのだった。
とうとう待ちに待ったハロウィンパーティー当日。
俺と黒木は招待状と衣装を手に、指定された場所へと向かった。
約一時間で着いたそこは―――都内の高級ホテル。
【ハク】
「ここのホテルが会場?」
【黒木】
「そう。ここの最上階にあるホールだって」
【ハク】
「へえ…。にしてもここって高級ホテルだろ。ちょっと緊張しちゃうな」
【黒木】
「そう?」
【ハク】
「そりゃ、黒木は慣れてるかもしれないけどさ」
【ハク】
(……とかいって)
【ハク】
(俺も何度か黒木の仕事についてきてるからな……)
【ハク】
(最近こういう豪華なチャンスに良く恵まれてるっていうか……まあ慣れはしないんだけど)
俺達はエレベーターに乗り、会場のある最上階へと向かう。
――チン……
目的の階に着くと、蝶ネクタイをつけたスタッフらしき人物が笑顔で近付いてきた。
【スタッフ】
「ようこそいらっしゃいました。招待状を拝見いたします」
【黒木】
「お願いします」
【スタッフ】
「取材の黒木様…と……」
【黒木】
「ああ、すみません。隣にいるのは助手です」
【スタッフ】
「お連れ様一名様でいらっしゃいますね。畏まりました」
【スタッフ】
「それでは、控室までご案内いたします」
【スタッフ】
「控室で衣装にお着替えになられましたら、パーティ会場まで直接お越しください」
スタッフに案内された控室は、普通のホテルの一室だった。
さすがは高級ホテル、スイートとまではいかないまでも高級感が漂っている。
【ハク】
「ふう…焦った。なんだよ黒木、最初から俺も大丈夫ってことじゃなかったのか?」
【黒木】
「だから、大丈夫だったでしょ?」
【ハク】
「いや、結果的にはそうなったけどさ……」
【黒木】
「そんなことより早く衣装に着替えようよ。パーティ開始の時間も迫ってるしね」
【ハク】
「あっ、そうか。そうだよな…!」
【ハク】
「ええっと…じゃあまず黒木のバンパイアの衣装…っと。はい、黒木」
【黒木】
「ありがと。じゃあ、ハクの衣装はコレね」
【ハク】
「うん、ありが…………」
【ハク】
「とう…っ!?」
【ハク】
「ちょ、ちょ、ちょっと!なんだよこれええ!?」
【黒木】
「何って、衣装だよ。ハ・ク・の」
俺は目が点になって叫んだ。
なぜって俺が黒木に渡されたその衣装は―――……
【ハク】
「こ、こ、これ、メイド服じゃないかよ…っ!!」
【黒木】
「うん。そうだけど?」
黒木が手渡してきたのは、正真正銘、メイド服だった。
ふりふりレースが何重にもなったエプロンに、ひらひらのスカート……
―――――ありえない………
【ハク】
「いやいや、意味が分からないから!俺、こんなの着れないぞ!」
【黒木】
「えぇ?なんで??」
【ハク】
「だって、こんな恥ずかしい格好できるわけ…!」
【黒木】
「大丈夫だって、ハク。これぐらいの衣装、着てる人いっぱいいるから」
【ハク】
「そんなこと言われたって…!」
【黒木】
「それにさ、考えてもみてよ。ハロウィンだよ?みんな楽しんで仮装してるんだよ?誰もハクのことだけオカシイなんて思わないよ」
【ハク】
「そ、それはまあ……」
【黒木】
「カボチャのオバケだって魔女だっているんだよ?」
【ハク】
「う、うん……」
【黒木】
「狼男だって怪人三十面相だっているんだよ?」
【ハク】
「う、うん……」
【黒木】
「オケラだってアメンボだっているんだよ?」
【ハク】
「それはさすがにいないんじゃ……」
【黒木】
「そんな中でハクだけ仮装しなかったらどうなると思う?」
【ハク】
「えっと……………浮く、かも」
【黒木】
「あったりー!」
【黒木】
「つまり、仮装しないで参加する方がよっぽど恥ずかしいってコト。それでもまだ着ないって言う?」
【ハク】
「うぅ……」
【黒木】
「じゃあ、決定だね」
【ハク】
「ちょっと待てよ!俺、まだ着るなんて一言も言ってないし…!」
【黒木】
「えぇ?じゃあハクは独りぼっちで恥ずかしい思いしたいの?」
【ハク】
「うっ…それは、その…」
【ハク】
「でも俺、やっぱりちょっと抵抗があるっていうか……」
【黒木】
「なんだよ、ハク。俺の希望はきいてくれないんだ?」
【ハク】
「え?」
【黒木】
「俺はハクの希望通りバンパイア着るのにさ。あーあ、せっかく楽しみたいと思って用意したのに…」
【ハク】
「ちょ…わ、わかったよ!わかったって…」
【ハク】
(本当はイヤだけど……でももう、仕方がないよな……)
俺はとうとう観念すると、溜息を吐きながらメイド服を抱きしめた。
そうだ、これはハロウィンパーティなんだ、怖いことなど何もない―――
そう心の中で念仏のように唱えながら………
【ハク】
「はあ…。分かったよ、もうメイド服着るよ……」
そして俺は、未知の領域へと足を一歩、踏み出したのだった。
(まあ試着室をのぞかれる心配はせずに済んだわけだけど……)
【ハク】
(本当に大丈夫なんだろうな……?)
俺はそんな一抹の不安を抱いたものの、当日にはすっかり忘れていたのだった。
とうとう待ちに待ったハロウィンパーティー当日。
俺と黒木は招待状と衣装を手に、指定された場所へと向かった。
約一時間で着いたそこは―――都内の高級ホテル。
【ハク】
「ここのホテルが会場?」
【黒木】
「そう。ここの最上階にあるホールだって」
【ハク】
「へえ…。にしてもここって高級ホテルだろ。ちょっと緊張しちゃうな」
【黒木】
「そう?」
【ハク】
「そりゃ、黒木は慣れてるかもしれないけどさ」
【ハク】
(……とかいって)
【ハク】
(俺も何度か黒木の仕事についてきてるからな……)
【ハク】
(最近こういう豪華なチャンスに良く恵まれてるっていうか……まあ慣れはしないんだけど)
俺達はエレベーターに乗り、会場のある最上階へと向かう。
――チン……
目的の階に着くと、蝶ネクタイをつけたスタッフらしき人物が笑顔で近付いてきた。
【スタッフ】
「ようこそいらっしゃいました。招待状を拝見いたします」
【黒木】
「お願いします」
【スタッフ】
「取材の黒木様…と……」
【黒木】
「ああ、すみません。隣にいるのは助手です」
【スタッフ】
「お連れ様一名様でいらっしゃいますね。畏まりました」
【スタッフ】
「それでは、控室までご案内いたします」
【スタッフ】
「控室で衣装にお着替えになられましたら、パーティ会場まで直接お越しください」
スタッフに案内された控室は、普通のホテルの一室だった。
さすがは高級ホテル、スイートとまではいかないまでも高級感が漂っている。
【ハク】
「ふう…焦った。なんだよ黒木、最初から俺も大丈夫ってことじゃなかったのか?」
【黒木】
「だから、大丈夫だったでしょ?」
【ハク】
「いや、結果的にはそうなったけどさ……」
【黒木】
「そんなことより早く衣装に着替えようよ。パーティ開始の時間も迫ってるしね」
【ハク】
「あっ、そうか。そうだよな…!」
【ハク】
「ええっと…じゃあまず黒木のバンパイアの衣装…っと。はい、黒木」
【黒木】
「ありがと。じゃあ、ハクの衣装はコレね」
【ハク】
「うん、ありが…………」
【ハク】
「とう…っ!?」
【ハク】
「ちょ、ちょ、ちょっと!なんだよこれええ!?」
【黒木】
「何って、衣装だよ。ハ・ク・の」
俺は目が点になって叫んだ。
なぜって俺が黒木に渡されたその衣装は―――……
【ハク】
「こ、こ、これ、メイド服じゃないかよ…っ!!」
【黒木】
「うん。そうだけど?」
黒木が手渡してきたのは、正真正銘、メイド服だった。
ふりふりレースが何重にもなったエプロンに、ひらひらのスカート……
―――――ありえない………
【ハク】
「いやいや、意味が分からないから!俺、こんなの着れないぞ!」
【黒木】
「えぇ?なんで??」
【ハク】
「だって、こんな恥ずかしい格好できるわけ…!」
【黒木】
「大丈夫だって、ハク。これぐらいの衣装、着てる人いっぱいいるから」
【ハク】
「そんなこと言われたって…!」
【黒木】
「それにさ、考えてもみてよ。ハロウィンだよ?みんな楽しんで仮装してるんだよ?誰もハクのことだけオカシイなんて思わないよ」
【ハク】
「そ、それはまあ……」
【黒木】
「カボチャのオバケだって魔女だっているんだよ?」
【ハク】
「う、うん……」
【黒木】
「狼男だって怪人三十面相だっているんだよ?」
【ハク】
「う、うん……」
【黒木】
「オケラだってアメンボだっているんだよ?」
【ハク】
「それはさすがにいないんじゃ……」
【黒木】
「そんな中でハクだけ仮装しなかったらどうなると思う?」
【ハク】
「えっと……………浮く、かも」
【黒木】
「あったりー!」
【黒木】
「つまり、仮装しないで参加する方がよっぽど恥ずかしいってコト。それでもまだ着ないって言う?」
【ハク】
「うぅ……」
【黒木】
「じゃあ、決定だね」
【ハク】
「ちょっと待てよ!俺、まだ着るなんて一言も言ってないし…!」
【黒木】
「えぇ?じゃあハクは独りぼっちで恥ずかしい思いしたいの?」
【ハク】
「うっ…それは、その…」
【ハク】
「でも俺、やっぱりちょっと抵抗があるっていうか……」
【黒木】
「なんだよ、ハク。俺の希望はきいてくれないんだ?」
【ハク】
「え?」
【黒木】
「俺はハクの希望通りバンパイア着るのにさ。あーあ、せっかく楽しみたいと思って用意したのに…」
【ハク】
「ちょ…わ、わかったよ!わかったって…」
【ハク】
(本当はイヤだけど……でももう、仕方がないよな……)
俺はとうとう観念すると、溜息を吐きながらメイド服を抱きしめた。
そうだ、これはハロウィンパーティなんだ、怖いことなど何もない―――
そう心の中で念仏のように唱えながら………
【ハク】
「はあ…。分かったよ、もうメイド服着るよ……」
そして俺は、未知の領域へと足を一歩、踏み出したのだった。
