【赤屋】
「俺だけしか見ないから……な？」

【ハク】「……ううっ」

リュウは懇願するような声を出す。
俺は……これには弱いが…コレばっかりは譲れない。

【ハク】
「ダメって言ったらダメ！」

【赤屋】
「……」

どうしてもダメだと言い張るとリュウは拗ねたのか、そのまま寝室に向かいベッドへと潜り込んでしまった。

【ハク】
「リュウ……？」

俺もリュウを追いかけるようにして寝室に向かうと、すでに着替えて背を向けているリュウの姿が見える。
そのリュウに寄り添うようにベッドに入っても、リュウはこちらを向いてくれない。

【ハク】
「なぁ…リュウ、機嫌直してくれよ…」

そう声をかけると肝心のリュウは疲れていたのだろう。
すっかり寝息を立てて眠ってしまっていた。

【ハク】
「なんだ…寝ちゃったのか…」

俺はホッと胸をなでおろすと、そのままベッド出て、先ほどリュウが差し出したメイド服を見返す。

【ハク】
（流石にこれは着られないよな……）

【ハク】
（リュウは似合うって言ってたけど……）

自分が着た姿を想像してみるものの、やはりしっくりとはこない。

【ハク】
（自分だけなら…恥ずかしくない……か）

そう言って俺は、リュウが用意してくれたメイド服に袖を通してみることにした。
サイズは計ったようにピッタリ。

【ハク】
（足元がスースーする…）

スカートのせいか、足元がやけに気になる。
とりあえず自分の姿を見るために鏡の前に立ってみる。

【ハク】
（これ…似合ってるのか？）

鏡の中ににはメイド服を着た俺の姿が映っていた。
まじまじと自分の姿を見てみるが、自分ではとてもカワイイとは思えない。

【ハク】
（……なんか、高校の時とはずいぶん違う気がする……）

【ハク】
（……あたりまえか）

【ハク】
（まぁでもこれでリュウが喜んでくれるなら…）

【ハク】
（1度だけ着てあげてもいいかな…）

俺は、着ていたメイド服を脱ぎながらそんなことを考えていた。

期間限定イベント
「ハロウィンナイト」
赤屋 竜次編　END