【ハク】
「男性用……！？そんなものまであるのかよ……」

【赤屋】
「……久しぶりにハクのメイド姿が見たい」

【ハク】
「っ……、ば、馬鹿！」

そう言われて、俺は高校の文化祭を思い出す。
俺のクラスの出し物は、女装メイド喫茶。俺はメイド役で、リュウにもばっちり女装姿を見られてしまったのだ。

【ハク】
「やだよ、こんな……しかも人前でなんて、二度とやらない！絶対着ないからな！」

【ハク】
「これ……俺、これにするから！」

俺は勢いで目についたコウモリの衣装とマントを掴む。
結局そのまま、それを購入することにした。

【赤屋】
「メイド姿のハク、見たかったのにな……」

【ハク】
「……いい加減、諦めてくれよ」

リュウは俺が会計を済ませた後も、しきりに残念がっていた……。

そして、今日はハロウィンパーティ当日だ。
俺とリュウは仮装パレードに参加することになっている。
そしてハロウィンパーティに参加する久々津組の人と一緒に会場に向かうため、一旦久々津組へと集合した。
組の玄関前では、久々津さんが皆を送り出している。

【久々津】
「それでは皆、しっかり頼むぞ」

【組員】
「はい！！」

組長である久々津さんの挨拶が済むと、俺たちはハロウィンのパレードに参加するためにそれぞれの仮装に着替えた。
パレードに参加するのは俺とリュウ、そして水野さんだ。他の皆さんは裏方を手伝ったりするらしい。

【赤屋】
「ハク、準備できたか？」

リュウは血まみれのゾンビの扮装だ。
先日の俺のリアクションがよっぽど良かったのか、マンションで見た時より血糊は控えめだ。

【ハク】
「うん……こんな感じでいいのかな」

俺はこの前リュウと一緒にデパートで買ったコウモリ男だ。

【水野】
「バッチリっすよ！それじゃ、行きましょうか」

水野さんはドラキュラの格好をしているが、あまり怖くないところが彼らしい。
そして俺たちはその格好でパレードの出発地点である商店街へと向かった。