[本編] 緑川 彰一 編
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【ハク】
(……あ、笑った)
その緑川さんの笑顔は、久々に見た『本当の笑顔』だった気がした―――。
先ほどのめちゃくちゃな顛末は……俺が考えたものだ。
【ハク】
「香月のところに行きましょう、緑川さん」
【緑川】
「えっ? どうして……」
【ハク】
「俺がお金を持っていきます」
【緑川】
「ユキが5000万を? 無理だろう」
【ハク】
「無理です」
【緑川】
「……? じゃあどうして」
【ハク】
「香月を煽って、写真を撒いてもらうためです」
【緑川】
「そんなことをしたら!」
【ハク】
「いいんです。だって緑川さんはもう……実家家から出て、こっちにちゃんと居場所があるんです」
ここに緑川さんがいたから、俺は緑川さんと出会えて……助けてもらって。
そしてこうやって、本当の緑川さんを知ることができた。
【ハク】
「今回のことだって元はご両親のとばっちりを受けてるわけですから」
【ハク】
「……本当のことを、ご両親に知ってもらいましょう」
【緑川】
「ユキ……!」
【ハク】
「自ら行って暴露したら、緑川さんの肩身は狭くなっちゃうかもしれません。でも」
【ハク】
「ここでお金を渡しても、香月は何度でも脅しをかけてくるはずです」
【ハク】
「もしかしたらどちらからもお金を取ろうとして、結局緑川の本家にもゆすりを仕掛けに行くかもしれない」
【緑川】
「それは……」
【ハク】
「家を守るためにも、緑川さん自身を守るためにも、自分からご両親に話した方がいいと思うんです」
【ハク】
「緑川さんの本当のこと、今やってることも、本当の気持ちも、全部話しましょう」
【緑川】
「……!」
【ハク】
「……じゃないと緑川さんの笑顔は、いつまでも偽物のままです」
【緑川】
「ユキ……」
【ハク】
「俺だって……みんなだって」
【ハク】
「緑川さんが形だけじゃなく、心から笑ってくれた方が嬉しいに決まってます」
俺の、まごうことなき本音。
【緑川】
「心から……」
【ハク】
「緑川さんは緑川家の長男である前に、一人の人間です、ショウさんです」
【ハク】
「その一人の気持ちは、家柄よりも何よりも大事にされるべきだって俺は思います」
【ハク】
「……違いますか?」
【緑川】
「……そんなこと、考えたこともなかった」
【ハク】
「じゃあ俺と一緒にやりましょう」
【ハク】
「緑川さんの、本当の笑顔……取り戻すために」
【緑川】
「……!!」
【緑川】
「……何年振りだろう、ここに来たのは」
【ハク】
「……香月のやつ、早いですね」
緑川さんの実家の塀に、何やらべたべたとチラシのようなものが貼り付けられていた。
それは全部……緑川さんが店で働いている写真、それから、俺を抱きしめたときの……。
【緑川】
「子供じみた嫌がらせだな」
【ハク】
「テープのあとがあります。誰かが剥がして……また貼ったんでしょう」
【緑川】
「……」
つまり、緑川さんの家族の誰かがすでにこのチラシを見て……
剥がしたということだ。
【ハク】
「……行きましょう、緑川さん」
【緑川】
「待って、ユキ」
【ハク】
「どうかしましたか?」
【緑川】
「……まだ、会う自信がない。……インターホン越しでいいかな」
【ハク】
「わかりました。緑川さんのしたいようにしましょう」
【ハク】
「俺は後ろで待ってます」
【緑川】
「あぁ」
そう言うと緑川さんはひとりでインターホンまで歩いて行き……ゆっくり、ボタンを押した。
【緑川の母】
「……どちらさまですか」
【緑川】
「……彰一です」
【緑川の母】
「……! お父さん、彰一がっ」
【緑川の父】
「……っ……」
インターホン越しでも、家の中がばたついていることがわかる。
緑川さんもかなり……緊張していた。
【緑川】
「……迷惑かけてすみません、あと、いなくなって……戻ってこなかったことも」
【緑川の母】
「待って、今玄関を」
【緑川】
「このままでいいです!」
緑川さんはきっぱりそう言った。
【緑川の母】
「彰一……」
【緑川】
「チラシ、ご覧になったでしょう? あれは事実です」
【緑川】
「今俺はホストをやっていて……夜の世界で働いています」
【緑川の母】
「あなたっ……」
【緑川の父】
「……」
【緑川】
「突然家を飛び出して行って、緑川の名前に泥を塗ったことは、本当に申し訳ないと思っています」
【緑川】
「でも……あのときの僕は、壊れていました」
【緑川の母】
「……!」
緑川さんの言葉に、インターホンの向こう側がはっとするのが伝わる。
俺も驚いた。
(……あ、笑った)
その緑川さんの笑顔は、久々に見た『本当の笑顔』だった気がした―――。
先ほどのめちゃくちゃな顛末は……俺が考えたものだ。
【ハク】
「香月のところに行きましょう、緑川さん」
【緑川】
「えっ? どうして……」
【ハク】
「俺がお金を持っていきます」
【緑川】
「ユキが5000万を? 無理だろう」
【ハク】
「無理です」
【緑川】
「……? じゃあどうして」
【ハク】
「香月を煽って、写真を撒いてもらうためです」
【緑川】
「そんなことをしたら!」
【ハク】
「いいんです。だって緑川さんはもう……実家家から出て、こっちにちゃんと居場所があるんです」
ここに緑川さんがいたから、俺は緑川さんと出会えて……助けてもらって。
そしてこうやって、本当の緑川さんを知ることができた。
【ハク】
「今回のことだって元はご両親のとばっちりを受けてるわけですから」
【ハク】
「……本当のことを、ご両親に知ってもらいましょう」
【緑川】
「ユキ……!」
【ハク】
「自ら行って暴露したら、緑川さんの肩身は狭くなっちゃうかもしれません。でも」
【ハク】
「ここでお金を渡しても、香月は何度でも脅しをかけてくるはずです」
【ハク】
「もしかしたらどちらからもお金を取ろうとして、結局緑川の本家にもゆすりを仕掛けに行くかもしれない」
【緑川】
「それは……」
【ハク】
「家を守るためにも、緑川さん自身を守るためにも、自分からご両親に話した方がいいと思うんです」
【ハク】
「緑川さんの本当のこと、今やってることも、本当の気持ちも、全部話しましょう」
【緑川】
「……!」
【ハク】
「……じゃないと緑川さんの笑顔は、いつまでも偽物のままです」
【緑川】
「ユキ……」
【ハク】
「俺だって……みんなだって」
【ハク】
「緑川さんが形だけじゃなく、心から笑ってくれた方が嬉しいに決まってます」
俺の、まごうことなき本音。
【緑川】
「心から……」
【ハク】
「緑川さんは緑川家の長男である前に、一人の人間です、ショウさんです」
【ハク】
「その一人の気持ちは、家柄よりも何よりも大事にされるべきだって俺は思います」
【ハク】
「……違いますか?」
【緑川】
「……そんなこと、考えたこともなかった」
【ハク】
「じゃあ俺と一緒にやりましょう」
【ハク】
「緑川さんの、本当の笑顔……取り戻すために」
【緑川】
「……!!」
【緑川】
「……何年振りだろう、ここに来たのは」
【ハク】
「……香月のやつ、早いですね」
緑川さんの実家の塀に、何やらべたべたとチラシのようなものが貼り付けられていた。
それは全部……緑川さんが店で働いている写真、それから、俺を抱きしめたときの……。
【緑川】
「子供じみた嫌がらせだな」
【ハク】
「テープのあとがあります。誰かが剥がして……また貼ったんでしょう」
【緑川】
「……」
つまり、緑川さんの家族の誰かがすでにこのチラシを見て……
剥がしたということだ。
【ハク】
「……行きましょう、緑川さん」
【緑川】
「待って、ユキ」
【ハク】
「どうかしましたか?」
【緑川】
「……まだ、会う自信がない。……インターホン越しでいいかな」
【ハク】
「わかりました。緑川さんのしたいようにしましょう」
【ハク】
「俺は後ろで待ってます」
【緑川】
「あぁ」
そう言うと緑川さんはひとりでインターホンまで歩いて行き……ゆっくり、ボタンを押した。
【緑川の母】
「……どちらさまですか」
【緑川】
「……彰一です」
【緑川の母】
「……! お父さん、彰一がっ」
【緑川の父】
「……っ……」
インターホン越しでも、家の中がばたついていることがわかる。
緑川さんもかなり……緊張していた。
【緑川】
「……迷惑かけてすみません、あと、いなくなって……戻ってこなかったことも」
【緑川の母】
「待って、今玄関を」
【緑川】
「このままでいいです!」
緑川さんはきっぱりそう言った。
【緑川の母】
「彰一……」
【緑川】
「チラシ、ご覧になったでしょう? あれは事実です」
【緑川】
「今俺はホストをやっていて……夜の世界で働いています」
【緑川の母】
「あなたっ……」
【緑川の父】
「……」
【緑川】
「突然家を飛び出して行って、緑川の名前に泥を塗ったことは、本当に申し訳ないと思っています」
【緑川】
「でも……あのときの僕は、壊れていました」
【緑川の母】
「……!」
緑川さんの言葉に、インターホンの向こう側がはっとするのが伝わる。
俺も驚いた。