[本編] 緑川 彰一 編
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【ハク】
「行きますよ、緑川さん」
【緑川】
「……いいの? 下手したらユキだって危ない目に……」
【ハク】
「いいんです」
【ハク】
「俺はたくさん、緑川さんに助けてもらいました」
【ハク】
「恩返しくらいさせてください」
【緑川】
「恩返しって……そんな……」
【ハク】
「それに、これで緑川さんが自由になれるなら安いもんですよ」
【ハク】
「行きますよ」
―――俺は香月さんの事務所のチャイムを押した。
【香月】
「……あ? なんだよお前ら」
【ハク】
「……香月さんにお願いがあって来ました」
【香月】
「お願い……?」
【香月】
「随分偉そうだなぁ」
【香月】
「ま、聞くだけ聞いてやってもいいが」
【ハク】
「この間の……」
【ハク】
「緑川さんの写真、それから、水野さんが撮った分も」
【ハク】
「データを売ってもらえませんか」
【香月】
「ハッ」
香月さんは俺のことを鼻で笑った。
【香月】
「5000万からさらにまけてくれって話なら受け付けねえが?」
【ハク】
「代金は……これです」
俺は茶封筒を取り出した。
……そこに入ってるのは、俺がホストになってから稼いだ額、全額だ。
【香月】
「バカにしてんのかぁ!?」
ガン! と香月が来客用であろうソファを蹴飛ばした。
【香月】
「テメェの5000万はこれっぽっちか!? あァ!?」
【ハク】
「……これしか用意できなかったんです」
【香月】
「テメェごときに用意しろなんて言ってねぇんだよ」
【香月】
「貧乏新米ホストに用はねぇ」
【香月】
「俺はそっちのナンバー1サマに言ってんだからな」
【ハク】
「……でも、これしか用意できないんです!」
俺はかたくなに言い張った。
【香月】
「何とか言えよ緑川ァ!」
香月さんの罵声が響き、緑川さんに殴りかかろうと掴みかかった。
そのタイミングを待ってたとばかりに俺はケータイを構え、緑川さんに掴みかかった香月をカメラにおさめた。
【香月】
「てめっ……!」
【ハク】
「殴ったらこれ、警察に持っていきますよ」
【香月】
「チッ……」
香月さんはしぶしぶ緑川さんから手を離した。
【緑川】
「…………」
【緑川】
「……撒けばいい」
【香月】
「ハッ?」
【緑川】
「……写真を全部、緑川の家に撒いたらいい」
【香月】
「……テメェ、言いやがったな」
【緑川】
「好きにしろ」
【緑川】
「その代わり……お前には一銭だって支払わない」
静かに緑川さんはそう言って、香月さんの事務所を出て行った。
【ハク】
「撒くんですね?」
【香月】
「あぁ! 本人もそう言ってることだしな」
【ハク】
「……じゃあそのお金は回収させてもらいます」
【ハク】
「どうぞ撒いてください」
【香月】
「……何言ってんだ、お前」
【ハク】
「……それでは」
俺は香月さんの質問に答えず、緑川さんの後を追って事務所を出て行った。
【ハク】
「言っちゃいましたね」
【緑川】
「うん」
【ハク】
「……良かったですか?」
【緑川】
「あぁ。……これで良かったんだ」
【ハク】
「俺がやらせたことですけど……俺もこれでいいんじゃないかなって思います」
【緑川】
「……あとは『御対面』してみてからだけどな」
【ハク】
「……緑川さんのご両親なら、わかってくれると思うんですけど」
【緑川】
「勘当して親子の縁も切られてるのに?」
緑川さんが自嘲的に言った。
【ハク】
「でも……緑川さん、優しいじゃないですか。俺みたいなのもまるごと受け止めてくれて……」
【ハク】
「緑川さんのご両親だって同じ血が流れてるんです」
【ハク】
「俺はいけると思いますけどね」
【緑川】
「ユキ……」
【ハク】
「それに、もしだめだったとしても平気です」
【緑川】
「……どうして?」
【ハク】
「だってあのお店が、緑川さんの城がありますし」
【緑川】
「……!」
緑川さんは驚いたような表情を見せて……それから、ほっとしたように微笑んだ。
「行きますよ、緑川さん」
【緑川】
「……いいの? 下手したらユキだって危ない目に……」
【ハク】
「いいんです」
【ハク】
「俺はたくさん、緑川さんに助けてもらいました」
【ハク】
「恩返しくらいさせてください」
【緑川】
「恩返しって……そんな……」
【ハク】
「それに、これで緑川さんが自由になれるなら安いもんですよ」
【ハク】
「行きますよ」
―――俺は香月さんの事務所のチャイムを押した。
【香月】
「……あ? なんだよお前ら」
【ハク】
「……香月さんにお願いがあって来ました」
【香月】
「お願い……?」
【香月】
「随分偉そうだなぁ」
【香月】
「ま、聞くだけ聞いてやってもいいが」
【ハク】
「この間の……」
【ハク】
「緑川さんの写真、それから、水野さんが撮った分も」
【ハク】
「データを売ってもらえませんか」
【香月】
「ハッ」
香月さんは俺のことを鼻で笑った。
【香月】
「5000万からさらにまけてくれって話なら受け付けねえが?」
【ハク】
「代金は……これです」
俺は茶封筒を取り出した。
……そこに入ってるのは、俺がホストになってから稼いだ額、全額だ。
【香月】
「バカにしてんのかぁ!?」
ガン! と香月が来客用であろうソファを蹴飛ばした。
【香月】
「テメェの5000万はこれっぽっちか!? あァ!?」
【ハク】
「……これしか用意できなかったんです」
【香月】
「テメェごときに用意しろなんて言ってねぇんだよ」
【香月】
「貧乏新米ホストに用はねぇ」
【香月】
「俺はそっちのナンバー1サマに言ってんだからな」
【ハク】
「……でも、これしか用意できないんです!」
俺はかたくなに言い張った。
【香月】
「何とか言えよ緑川ァ!」
香月さんの罵声が響き、緑川さんに殴りかかろうと掴みかかった。
そのタイミングを待ってたとばかりに俺はケータイを構え、緑川さんに掴みかかった香月をカメラにおさめた。
【香月】
「てめっ……!」
【ハク】
「殴ったらこれ、警察に持っていきますよ」
【香月】
「チッ……」
香月さんはしぶしぶ緑川さんから手を離した。
【緑川】
「…………」
【緑川】
「……撒けばいい」
【香月】
「ハッ?」
【緑川】
「……写真を全部、緑川の家に撒いたらいい」
【香月】
「……テメェ、言いやがったな」
【緑川】
「好きにしろ」
【緑川】
「その代わり……お前には一銭だって支払わない」
静かに緑川さんはそう言って、香月さんの事務所を出て行った。
【ハク】
「撒くんですね?」
【香月】
「あぁ! 本人もそう言ってることだしな」
【ハク】
「……じゃあそのお金は回収させてもらいます」
【ハク】
「どうぞ撒いてください」
【香月】
「……何言ってんだ、お前」
【ハク】
「……それでは」
俺は香月さんの質問に答えず、緑川さんの後を追って事務所を出て行った。
【ハク】
「言っちゃいましたね」
【緑川】
「うん」
【ハク】
「……良かったですか?」
【緑川】
「あぁ。……これで良かったんだ」
【ハク】
「俺がやらせたことですけど……俺もこれでいいんじゃないかなって思います」
【緑川】
「……あとは『御対面』してみてからだけどな」
【ハク】
「……緑川さんのご両親なら、わかってくれると思うんですけど」
【緑川】
「勘当して親子の縁も切られてるのに?」
緑川さんが自嘲的に言った。
【ハク】
「でも……緑川さん、優しいじゃないですか。俺みたいなのもまるごと受け止めてくれて……」
【ハク】
「緑川さんのご両親だって同じ血が流れてるんです」
【ハク】
「俺はいけると思いますけどね」
【緑川】
「ユキ……」
【ハク】
「それに、もしだめだったとしても平気です」
【緑川】
「……どうして?」
【ハク】
「だってあのお店が、緑川さんの城がありますし」
【緑川】
「……!」
緑川さんは驚いたような表情を見せて……それから、ほっとしたように微笑んだ。