[本編] 緑川 彰一 編
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マンションに戻ってきて、緑川さんは一刻も早く身体を洗いたかったのか、シャワーを浴びに行ってしまった。
バスルームから出てきて、着替えを終えた緑川さんにお茶を淹れる。
【緑川】
「……ありがとう、ユキ」
【ハク】
「いえ……」
【緑川】
「……ごめんね」
【ハク】
「……大丈夫ですか?」
【緑川】
「俺はね。……そんなことよりユキを巻き込んだことが申し訳なくて」
そう言って自嘲的な笑みを見せる緑川さんの顔を見ているのは、とてもつらかった。
【ハク】
(どうしてそんな……無理して……)
【ハク】
「あの、緑川さん」
【緑川】
「何?」
【ハク】
「どうして……笑ってるんですか」
【緑川】
「……!」
【ハク】
「無理して笑ってるのを見るのは俺もつらいです」
【ハク】
「俺以外も、店のみんなも、お客さんも……」
【ハク】
「ホストだから笑わなきゃいけないの、わかってます」
【ハク】
「緑川さんの笑顔には魅力があります、だからナンバー1になれたんだと思います」
【ハク】
「でも、だからって……いつもそんな、笑ってなくたって……」
【緑川】
「ユキ……」
【ハク】
「無理して笑うこと、ないです。ここには俺しかいないんだし……」
【ハク】
「むしろこんな状況で笑ってるなんておかしいですよ」
【ハク】
「本当の気持ち、隠さないで下さい」
【緑川】
「……」
【ハク】
「緑川さん?」
【緑川】
「……本当の気持ちで笑ってるよ」
【ハク】
「緑川さんっ!」
【緑川】
「違うよ、ユキ」
怒鳴った俺の声を、緑川さんが制止する。
【緑川】
「……俺はね、笑うようにできてるんだ」
【ハク】
「……えっ……?」
【緑川】
「いつでも、どんなときでも、完璧に笑える」
【緑川】
「生まれたときからそうやって……両親に、しつけられてきたから」
【ハク】
「……!」
【ハク】
(……もしかして……)
【ハク】
(緑川さんは、家族と何か……あったんじゃないかな……)
聞いた限りでは勘当されているらしいし、もちろんトラブルはあったのだろう。
でもただの揉め事程度ではここまでならないはずだし、ヤクザの法外な要求だって呑むはずがない。
【ハク】
「あの……緑川さん……」
【緑川】
「ここまで来たら話すよ」
【ハク】
「!」
【緑川】
「誰にも話したことない、俺の家族のこと。それから俺がホストやってる理由」
【ハク】
「……俺が聞いて、いいんですか?」
【緑川】
「ここまで巻き込んじゃったんだから、聞いてもらうよ」
【緑川】
「ユキのことも、こんな風に巻き込むつもりじゃなかったんだけど……」
【緑川】
「さっき、追いかけてきてくれたの嬉しかったから」
【ハク】
「それはっ……」
【緑川】
「それにユキになら話せる気がする」
【ハク】
「いいんですか、その……相手が俺で」
【緑川】
「うん。……だってユキに降りかかった不幸は、ユキのせいじゃないことばかりでしょ?」
【ハク】
「…………」
遠因的には俺にも悪いところはあったんだろうが、確かに俺のせいで巻き込まれたことではない。
【ハク】
(っていうかその言い方だと、まるで緑川さん自身が悪いみたいな感じがするけど……)
【緑川】
「モモが俺のことをすごく想ってくれてるのはわかるけど、モモには話せないんだ」
【緑川】
「あいつは、俺に救いを求めてるから……」
【緑川】
「心に傷を負った人間同士が身を寄せ合っても、破滅の道に向かうしかない」
【緑川】
「ユキなら、そうならずに話せそうなんだ」
【緑川】
「俺の過去……少し長くなるかもしれないけど、付き合ってくれるかな」
【ハク】
「はい……」
緑川さんはぽつりぽつりと話し始めた。
【緑川】
「聞こえてたよね、俺、『緑川商事』の跡取りだったんだ。本家の長男」
【ハク】
「すごいじゃないですか」
『緑川商事』と言えば日本有数の大企業。
会長職や取締役、関連会社の経営などはすべて緑川一族が牛耳っていることでも知られている。
【緑川】
「うん、すごい家。……俺になんか、見合わないくらいね」
【ハク】
「……? どういうことですか?」
【緑川】
「立派な家にはね、立派じゃない人間はいらないんだ」
【ハク】
「!」
【緑川】
「たとえ立派じゃない、凡人に生まれたとしても、立派になるように教育される」
【緑川】
「朝起きたら笑顔であいさつ。だらしない姿なんか使用人に見せちゃいけない」
【緑川】
「父親と母親にも、朝食会で顔を合わせるんだけど……みんなお付きに囲まれててね」
【緑川】
「話すときは全部敬語。礼儀作法は徹底的に仕込まれたよ」
バスルームから出てきて、着替えを終えた緑川さんにお茶を淹れる。
【緑川】
「……ありがとう、ユキ」
【ハク】
「いえ……」
【緑川】
「……ごめんね」
【ハク】
「……大丈夫ですか?」
【緑川】
「俺はね。……そんなことよりユキを巻き込んだことが申し訳なくて」
そう言って自嘲的な笑みを見せる緑川さんの顔を見ているのは、とてもつらかった。
【ハク】
(どうしてそんな……無理して……)
【ハク】
「あの、緑川さん」
【緑川】
「何?」
【ハク】
「どうして……笑ってるんですか」
【緑川】
「……!」
【ハク】
「無理して笑ってるのを見るのは俺もつらいです」
【ハク】
「俺以外も、店のみんなも、お客さんも……」
【ハク】
「ホストだから笑わなきゃいけないの、わかってます」
【ハク】
「緑川さんの笑顔には魅力があります、だからナンバー1になれたんだと思います」
【ハク】
「でも、だからって……いつもそんな、笑ってなくたって……」
【緑川】
「ユキ……」
【ハク】
「無理して笑うこと、ないです。ここには俺しかいないんだし……」
【ハク】
「むしろこんな状況で笑ってるなんておかしいですよ」
【ハク】
「本当の気持ち、隠さないで下さい」
【緑川】
「……」
【ハク】
「緑川さん?」
【緑川】
「……本当の気持ちで笑ってるよ」
【ハク】
「緑川さんっ!」
【緑川】
「違うよ、ユキ」
怒鳴った俺の声を、緑川さんが制止する。
【緑川】
「……俺はね、笑うようにできてるんだ」
【ハク】
「……えっ……?」
【緑川】
「いつでも、どんなときでも、完璧に笑える」
【緑川】
「生まれたときからそうやって……両親に、しつけられてきたから」
【ハク】
「……!」
【ハク】
(……もしかして……)
【ハク】
(緑川さんは、家族と何か……あったんじゃないかな……)
聞いた限りでは勘当されているらしいし、もちろんトラブルはあったのだろう。
でもただの揉め事程度ではここまでならないはずだし、ヤクザの法外な要求だって呑むはずがない。
【ハク】
「あの……緑川さん……」
【緑川】
「ここまで来たら話すよ」
【ハク】
「!」
【緑川】
「誰にも話したことない、俺の家族のこと。それから俺がホストやってる理由」
【ハク】
「……俺が聞いて、いいんですか?」
【緑川】
「ここまで巻き込んじゃったんだから、聞いてもらうよ」
【緑川】
「ユキのことも、こんな風に巻き込むつもりじゃなかったんだけど……」
【緑川】
「さっき、追いかけてきてくれたの嬉しかったから」
【ハク】
「それはっ……」
【緑川】
「それにユキになら話せる気がする」
【ハク】
「いいんですか、その……相手が俺で」
【緑川】
「うん。……だってユキに降りかかった不幸は、ユキのせいじゃないことばかりでしょ?」
【ハク】
「…………」
遠因的には俺にも悪いところはあったんだろうが、確かに俺のせいで巻き込まれたことではない。
【ハク】
(っていうかその言い方だと、まるで緑川さん自身が悪いみたいな感じがするけど……)
【緑川】
「モモが俺のことをすごく想ってくれてるのはわかるけど、モモには話せないんだ」
【緑川】
「あいつは、俺に救いを求めてるから……」
【緑川】
「心に傷を負った人間同士が身を寄せ合っても、破滅の道に向かうしかない」
【緑川】
「ユキなら、そうならずに話せそうなんだ」
【緑川】
「俺の過去……少し長くなるかもしれないけど、付き合ってくれるかな」
【ハク】
「はい……」
緑川さんはぽつりぽつりと話し始めた。
【緑川】
「聞こえてたよね、俺、『緑川商事』の跡取りだったんだ。本家の長男」
【ハク】
「すごいじゃないですか」
『緑川商事』と言えば日本有数の大企業。
会長職や取締役、関連会社の経営などはすべて緑川一族が牛耳っていることでも知られている。
【緑川】
「うん、すごい家。……俺になんか、見合わないくらいね」
【ハク】
「……? どういうことですか?」
【緑川】
「立派な家にはね、立派じゃない人間はいらないんだ」
【ハク】
「!」
【緑川】
「たとえ立派じゃない、凡人に生まれたとしても、立派になるように教育される」
【緑川】
「朝起きたら笑顔であいさつ。だらしない姿なんか使用人に見せちゃいけない」
【緑川】
「父親と母親にも、朝食会で顔を合わせるんだけど……みんなお付きに囲まれててね」
【緑川】
「話すときは全部敬語。礼儀作法は徹底的に仕込まれたよ」
