[本編] 緑川 彰一 編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
俺は怪我をするのも構わず破片だらけの床に手をついて、立ち上がった。
【桃島】
「ハッ? 『命令』だっつってんじゃん」
そう言って桃島さんは俺の服を掴んでぐっと引く。
バランスを崩した俺はまた床に転びそうになったけれど、桃島さんが服を引いているせいでそれは免れた。
【ハク】
「なっ……」
【桃島】
「脱がないんだったら脱がしてやるよ」
【ハク】
「えっ!?」
そう言うと桃島さんは俺のワイシャツを引きちぎるように剥ぎ取り、上半身を剥き出しにされてしまう。
【ハク】
「ちょっ……! 桃島さん!何するんですか!」
【桃島】
「アンタには少し、礼儀ってモノを教えないとね」
そう言って桃島さんが俺の手首をつかんだ。
【ハク】
「礼儀って……そんな! いい加減に!」
桃島さんの手から逃れようともがいていると、ガン! と反対側の手がキッチンの壁に当たった。
【桃島】
「暴れんなって」
【ハク】
「暴れますよ!」
【緑川】
「何やってるんだ!」
そこに現れたのは……もう帰ったはずの緑川さんだった。
【ハク】
「緑川さん……!」
【桃島】
「なんでっ……! もう、帰ったはずじゃっ……!」
【緑川】
「……物騒な音がしたから戻ってきたんだよ」
そう言ってため息をつく緑川さん。
【ハク】
(助かった……!)
緑川さんの登場に呆然としていた桃島さんは俺から手を離す。
【緑川】
「さて……と」
緑川さんはキッチンの惨状に目をやった。
【緑川】
「とんでもないことになってるけど……これは何? モモ」
【桃島】
「っ……!」
桃島さんが緑川さんから視線を逸らす。
【緑川】
「聞いてるんだけど」
【桃島】
「……見ればわかるでしょう?」
【緑川】
「グラスが割れてることとシャンパンがぶちまけられてることしかわからないよ」
【桃島】
「見た通りですよ」
【緑川】
「見たままじゃわからないから聞いてるの」
【緑川】
「俺だって……むやみにモモを疑いたいわけじゃないんだ」
【緑川】
「見たまま判断したら困るのは……モモだろう?」
【桃島】
「……ハッ」
緑川さんの言葉に、桃島さんは鼻で笑う。
【桃島】
「別に、ホストの縦社会を教えてただけですし」
【緑川】
「……」
緑川さんは何も言わない。
【桃島】
「だって! おかしいでしょう!?」
【緑川】
「……何が」
【桃島】
「どうしてユキは緑川さんと同棲してるんですか!?」
『同棲』なんてものじゃない。
俺はどう考えても『居候』レベルなのに、桃島さんがガチガチに俺のことを敵対視していることがわかる。
【緑川】
「同棲って……部屋がないから住んでもらってるだけだろう?」
【桃島】
「それがおかしいっつってんですよ!」
【桃島】
「こんな出会ったばっかりの……どこの馬の骨かわかんないやつを部屋に上げて!」
【桃島】
「ただの新人ホストなのに褒めそやして、可愛がって!!」
吐き捨てるように桃島さんは言う。
けれど緑川さんは……まったく態度を変えない。
【緑川】
「……ユキはうまくやってるんだから褒めるのは当然のことだろう?」
【緑川】
「それに……モモが新人の頃だって、俺は『同じように褒めてた』はずだけど?」
【桃島】
「っ……!」
そう言われて、桃島さんがショックを受けているのがわかった。
【緑川】
「確かにモモはあっという間にナンバー2に上り詰めた」
【緑川】
「それだけの実力があったと思う」
【緑川】
「でも、モモほどじゃなくたってユキにも実力はある」
【緑川】
「……逸脱したことはしてないつもりだけど」
【桃島】
「それがっ! ……腹立つって言ってんですよ!」
桃島さんは厨房のカウンターテーブルの上にドン! と拳を叩きつける。
振動でグラスが落ち、ガシャーン! と派手な音が鳴り響いた。
そして桃島さんの拳にも……血が滲んでいる。
【ハク】
「!」
【ハク】
(桃島さんっ……)
桃島さんが俺を疎んでいるのは……きっと緑川さん絡みなのだろう。
俺はどうすることもできなくて、何も言えないままその場に立ち尽くす。
【緑川】
「モモ」
【桃島】
「アンタには!」
【ハク】
「!」
緑川さんの呼びかけを遮るように桃島さんが俺に怒鳴る。
【桃島】
「家族も愛してくれる人も、全部いるんだろ」
【ハク】
「えっ……」
【桃島】
「家と会社がなくなったぐらいで何だよ、初めてだからどうにもできなかっただけで」
【桃島】
「別にアンタみたいな人ならやっていけるだろっ」
【ハク】
「桃島さん……?」
【桃島】
「なんでそんなアンタが緑川さんのそばにいるんだよ!」
【桃島】
「ハッ? 『命令』だっつってんじゃん」
そう言って桃島さんは俺の服を掴んでぐっと引く。
バランスを崩した俺はまた床に転びそうになったけれど、桃島さんが服を引いているせいでそれは免れた。
【ハク】
「なっ……」
【桃島】
「脱がないんだったら脱がしてやるよ」
【ハク】
「えっ!?」
そう言うと桃島さんは俺のワイシャツを引きちぎるように剥ぎ取り、上半身を剥き出しにされてしまう。
【ハク】
「ちょっ……! 桃島さん!何するんですか!」
【桃島】
「アンタには少し、礼儀ってモノを教えないとね」
そう言って桃島さんが俺の手首をつかんだ。
【ハク】
「礼儀って……そんな! いい加減に!」
桃島さんの手から逃れようともがいていると、ガン! と反対側の手がキッチンの壁に当たった。
【桃島】
「暴れんなって」
【ハク】
「暴れますよ!」
【緑川】
「何やってるんだ!」
そこに現れたのは……もう帰ったはずの緑川さんだった。
【ハク】
「緑川さん……!」
【桃島】
「なんでっ……! もう、帰ったはずじゃっ……!」
【緑川】
「……物騒な音がしたから戻ってきたんだよ」
そう言ってため息をつく緑川さん。
【ハク】
(助かった……!)
緑川さんの登場に呆然としていた桃島さんは俺から手を離す。
【緑川】
「さて……と」
緑川さんはキッチンの惨状に目をやった。
【緑川】
「とんでもないことになってるけど……これは何? モモ」
【桃島】
「っ……!」
桃島さんが緑川さんから視線を逸らす。
【緑川】
「聞いてるんだけど」
【桃島】
「……見ればわかるでしょう?」
【緑川】
「グラスが割れてることとシャンパンがぶちまけられてることしかわからないよ」
【桃島】
「見た通りですよ」
【緑川】
「見たままじゃわからないから聞いてるの」
【緑川】
「俺だって……むやみにモモを疑いたいわけじゃないんだ」
【緑川】
「見たまま判断したら困るのは……モモだろう?」
【桃島】
「……ハッ」
緑川さんの言葉に、桃島さんは鼻で笑う。
【桃島】
「別に、ホストの縦社会を教えてただけですし」
【緑川】
「……」
緑川さんは何も言わない。
【桃島】
「だって! おかしいでしょう!?」
【緑川】
「……何が」
【桃島】
「どうしてユキは緑川さんと同棲してるんですか!?」
『同棲』なんてものじゃない。
俺はどう考えても『居候』レベルなのに、桃島さんがガチガチに俺のことを敵対視していることがわかる。
【緑川】
「同棲って……部屋がないから住んでもらってるだけだろう?」
【桃島】
「それがおかしいっつってんですよ!」
【桃島】
「こんな出会ったばっかりの……どこの馬の骨かわかんないやつを部屋に上げて!」
【桃島】
「ただの新人ホストなのに褒めそやして、可愛がって!!」
吐き捨てるように桃島さんは言う。
けれど緑川さんは……まったく態度を変えない。
【緑川】
「……ユキはうまくやってるんだから褒めるのは当然のことだろう?」
【緑川】
「それに……モモが新人の頃だって、俺は『同じように褒めてた』はずだけど?」
【桃島】
「っ……!」
そう言われて、桃島さんがショックを受けているのがわかった。
【緑川】
「確かにモモはあっという間にナンバー2に上り詰めた」
【緑川】
「それだけの実力があったと思う」
【緑川】
「でも、モモほどじゃなくたってユキにも実力はある」
【緑川】
「……逸脱したことはしてないつもりだけど」
【桃島】
「それがっ! ……腹立つって言ってんですよ!」
桃島さんは厨房のカウンターテーブルの上にドン! と拳を叩きつける。
振動でグラスが落ち、ガシャーン! と派手な音が鳴り響いた。
そして桃島さんの拳にも……血が滲んでいる。
【ハク】
「!」
【ハク】
(桃島さんっ……)
桃島さんが俺を疎んでいるのは……きっと緑川さん絡みなのだろう。
俺はどうすることもできなくて、何も言えないままその場に立ち尽くす。
【緑川】
「モモ」
【桃島】
「アンタには!」
【ハク】
「!」
緑川さんの呼びかけを遮るように桃島さんが俺に怒鳴る。
【桃島】
「家族も愛してくれる人も、全部いるんだろ」
【ハク】
「えっ……」
【桃島】
「家と会社がなくなったぐらいで何だよ、初めてだからどうにもできなかっただけで」
【桃島】
「別にアンタみたいな人ならやっていけるだろっ」
【ハク】
「桃島さん……?」
【桃島】
「なんでそんなアンタが緑川さんのそばにいるんだよ!」