[本編] 藍建 仁 編
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【藍建】
「ハク……くん……?」
【ハク】
「藍建さん……俺、仕事が見つかってからも藍建さんと一緒にいたい」
【ハク】
「ずっとここに、藍建さんといたい……」
そう、藍建さんの目を見て訴える。
すると、握った手が一回だけぎゅっと握り返された。
【ハク】
「藍建さん……?」
【藍建】
「好きにしろ……」
そう言ったきり、藍建さんは寝返りをうってそっぽを向いてしまう。
だが言葉の意味を理解した俺は、その背中を後ろから抱き締めた。
【ハク】
「藍建さん!」
【藍建】
「な、なんだよ……!」
【ハク】
「俺、もう一回したい」
【藍建】
「はぁ!?俺はもうおっさんだから、無理……っん」
そんな可愛くないことを言う藍建さんの顔を、無理やり振り向かせて唇を奪った。
【ハク】
「……っは、ねぇ、藍建さん……」
【藍建】
「わ、わかったよっ……!」
顔を赤らめる藍建さんを、俺はもう一度おいしく頂いた。
こうして、俺は期間限定の居候ではなく、本格的に藍建さんとの生活を始めた……。
結局、前の会社での俺の横領の罪は濡れ衣だったということが明らかになったが、当の会社は既に存在しなかった。
なんでも、俺が元いた会社はその後事業に失敗し、俺が解雇されてしばらくした頃に倒産したということだ。
結果的にだが、俺は沈みかかった船から上手く逃れたということになる。
そしてこれは藍建さんから聞いたことだが、ナツに唆されて俺を陥れた上司も会社の倒産と同時に姿をくらまし、
今も行方不明らしい。
ナツはと言うと、あの逮捕劇の後、初犯ということもあって保釈金を支払って釈放されたらしい。
あんなに俺に執着していたナツが既に世に出ているということは少し怖いが、今のところナツからの接触はない。
ナツは警察に逮捕されたことで会社の社長としての地位は失ってしまったが、
近ごろまた新たなビジネスを生みだし、経営者としての再スタートを成功させらしい。
既にビジネス誌のインタビューも受けているようで、たまたま見かけた雑誌にナツの姿を見かけた。
なんというか、ナツらしいといえばナツらしい。
また、黒木の俺に対する執着心があんなにも強いとは思わなかった。
今でもバルコニーでの一件を思い出すと体が震えることもある。
黒木は……俺の家を放火した罪で服役することになった。
藍建さんの話だと黒木は至って真面目に服役しており、
何故あんな事をしてしまったのか周りが不思議がるほどだそうだ。
また、幸いにもあの火事で亡くなった人はおらず、
今の通り模範囚として過ごせば5年ほどで出所できるだろうと聞いている。
リュウは……俺の予想した通り、ヤクザ家業になっていた。
そして、どうやら俺と再会した際に話したアパート放火の犯人を自分なりに探していたらしい。
その結果、ナツと黒木に行き付き、あの日ナツの家に現れたのだという。
良い報告としては、あの事件以来、リュウと俺は再び普通の友人としてつるむようになった。
月に一度くらいのペースで仕事終わりに飲みに行ったりする関係を続けている。
……今のリュウがヤクザだったとしても、俺の前で見せる顔は昔から知っているリュウのままだ。
藍建さんもあの事件以来、刑事という仕事に誇りが蘇ったそうで、日夜張り切って働いている。
ついこの間は勤務態度を認められて表彰もされたと、賞状を見せてもらった。
一度諦めた道でも、また一歩ずつ前に進んでいる……そんな藍建さんを見ていると、俺までうれしくなるほどだ。
藍建さんは今日も朝早くから、張込だと言って家を出て行った。
そして俺自身のことだが、ナツの会社を退職し、新しい会社に勤め始めた。
もちろん、今も変わらず藍建さんと同居生活をしている。
転職してからの毎日は忙しいが、藍建さんと過ごし、たまにリュウと食事をしたりする毎日はとても充実している。
あの事件が嘘のように至って平和な日々だから、あんなことがあったことを時折忘れてしまうほどだ。
思えば、きっかけはバーだったように思う。
高校時代の友人を名乗る人物からの手紙で向かったバーでは知り合いに会うことはできなかったが、藍建さんに出会えた。
今でもあの手紙を出した人物はわかっていない。
だが、もう俺は迷うことなく生きてゆける。
俺を苦しめていた檻はいつのまにか消えてしまったようだった……。
終
「ハク……くん……?」
【ハク】
「藍建さん……俺、仕事が見つかってからも藍建さんと一緒にいたい」
【ハク】
「ずっとここに、藍建さんといたい……」
そう、藍建さんの目を見て訴える。
すると、握った手が一回だけぎゅっと握り返された。
【ハク】
「藍建さん……?」
【藍建】
「好きにしろ……」
そう言ったきり、藍建さんは寝返りをうってそっぽを向いてしまう。
だが言葉の意味を理解した俺は、その背中を後ろから抱き締めた。
【ハク】
「藍建さん!」
【藍建】
「な、なんだよ……!」
【ハク】
「俺、もう一回したい」
【藍建】
「はぁ!?俺はもうおっさんだから、無理……っん」
そんな可愛くないことを言う藍建さんの顔を、無理やり振り向かせて唇を奪った。
【ハク】
「……っは、ねぇ、藍建さん……」
【藍建】
「わ、わかったよっ……!」
顔を赤らめる藍建さんを、俺はもう一度おいしく頂いた。
こうして、俺は期間限定の居候ではなく、本格的に藍建さんとの生活を始めた……。
結局、前の会社での俺の横領の罪は濡れ衣だったということが明らかになったが、当の会社は既に存在しなかった。
なんでも、俺が元いた会社はその後事業に失敗し、俺が解雇されてしばらくした頃に倒産したということだ。
結果的にだが、俺は沈みかかった船から上手く逃れたということになる。
そしてこれは藍建さんから聞いたことだが、ナツに唆されて俺を陥れた上司も会社の倒産と同時に姿をくらまし、
今も行方不明らしい。
ナツはと言うと、あの逮捕劇の後、初犯ということもあって保釈金を支払って釈放されたらしい。
あんなに俺に執着していたナツが既に世に出ているということは少し怖いが、今のところナツからの接触はない。
ナツは警察に逮捕されたことで会社の社長としての地位は失ってしまったが、
近ごろまた新たなビジネスを生みだし、経営者としての再スタートを成功させらしい。
既にビジネス誌のインタビューも受けているようで、たまたま見かけた雑誌にナツの姿を見かけた。
なんというか、ナツらしいといえばナツらしい。
また、黒木の俺に対する執着心があんなにも強いとは思わなかった。
今でもバルコニーでの一件を思い出すと体が震えることもある。
黒木は……俺の家を放火した罪で服役することになった。
藍建さんの話だと黒木は至って真面目に服役しており、
何故あんな事をしてしまったのか周りが不思議がるほどだそうだ。
また、幸いにもあの火事で亡くなった人はおらず、
今の通り模範囚として過ごせば5年ほどで出所できるだろうと聞いている。
リュウは……俺の予想した通り、ヤクザ家業になっていた。
そして、どうやら俺と再会した際に話したアパート放火の犯人を自分なりに探していたらしい。
その結果、ナツと黒木に行き付き、あの日ナツの家に現れたのだという。
良い報告としては、あの事件以来、リュウと俺は再び普通の友人としてつるむようになった。
月に一度くらいのペースで仕事終わりに飲みに行ったりする関係を続けている。
……今のリュウがヤクザだったとしても、俺の前で見せる顔は昔から知っているリュウのままだ。
藍建さんもあの事件以来、刑事という仕事に誇りが蘇ったそうで、日夜張り切って働いている。
ついこの間は勤務態度を認められて表彰もされたと、賞状を見せてもらった。
一度諦めた道でも、また一歩ずつ前に進んでいる……そんな藍建さんを見ていると、俺までうれしくなるほどだ。
藍建さんは今日も朝早くから、張込だと言って家を出て行った。
そして俺自身のことだが、ナツの会社を退職し、新しい会社に勤め始めた。
もちろん、今も変わらず藍建さんと同居生活をしている。
転職してからの毎日は忙しいが、藍建さんと過ごし、たまにリュウと食事をしたりする毎日はとても充実している。
あの事件が嘘のように至って平和な日々だから、あんなことがあったことを時折忘れてしまうほどだ。
思えば、きっかけはバーだったように思う。
高校時代の友人を名乗る人物からの手紙で向かったバーでは知り合いに会うことはできなかったが、藍建さんに出会えた。
今でもあの手紙を出した人物はわかっていない。
だが、もう俺は迷うことなく生きてゆける。
俺を苦しめていた檻はいつのまにか消えてしまったようだった……。
終