[本編] 藍建 仁 編
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【黒木】
「やっと、見つけた……」
【黒木】
「ハク、こんなところにいたんだ……久しぶりだね」
【ハク】
(黒木……!?)
ナツがインターフォン越しに藍建さんとやり取りをしている間に、
俺が寝かされているベッドルームには黒木が入ってきた。
その顔には、にやにやとした笑いを張り付けている。
先ほどの会話を聞いているため、その笑顔を見ると背筋に悪寒が走った。
しかし、笑っていたかと思うと、不意に眉間に皺を寄せて端正なその顔を歪める。
【黒木】
「しかし、玄関に来てるヤツ……警察か。面倒だな」
黒木は何かをパンツのポケットから取り出すと、チャキチャキと音を立てて弄び始める。
【ハク】
(バタフライナイフ……!)
黒木は器用に片手で刃の開閉を繰り返す。
だが、遊ぶと言うよりは苛立ちを表している様子だ。
【黒木】
「ハク、ちょっとじっとしててね」
そう断って俺の体を押さえたかと思うと、脚を縛っていた縄がナイフで切り落とされた。
だが、両腕の拘束と猿轡はそのまま、黒木は俺の腕を掴んですたすたと歩き出す。
【ハク】
(どこへ……)
【ハク】
「……っ!」
【黒木】
「ハク?」
無言で縛られたままの俺の腕を引く黒木に、俺は怖くなって立ち止まる。
俺が頭を振って歩くのを拒否すると、黒木はナイフを今度は俺の方へ向けてきた。
【黒木】
「ハク……俺は銀とは違うから、ハクに酷いことはしたくないんだよ」
【黒木】
「だから、ね?ハク。俺に逆らわないで……」
【ハク】
「…………」
懇願するような口調だが、黒木はナイフを躊躇なく俺に向けてくる。
刃物を突きつけられると、俺は従うしかなかった。
ましてや俺は現在、両腕を縛られていて体の自由も利かない身だ。
そのまま黒木に誘導された先は、部屋のバルコニーだった。
【ハク】
(くろ…き?何をするつもりなんだ…?)
その行動の意図が読めなくて俺はさらに困惑してしまう。
そんな時、真っ先に頭に浮かんだのは、藍建さんの姿だった。
【ハク】
(藍建さん……!)
俺は、インターフォン越しに聞いた藍建さんの声を思った……。
ナツがインターフォン越しに藍建さんの応対をしている間に、
俺は黒木にナイフを突きつけられ、バルコニーに連れて来られた。
柵ぎりぎりのところに立たされ、すぐ横にはナイフを構えた黒木……。
依然として口には猿轡、腕は縛られたままだ。
【銀】
「黒木、何をしている……やめろ!」
【ハク】
「……!」
そのとき、応対を終えたナツが事態に気付き、ベッドルームに入ってきた。
【黒木】
「近づくな!」
【銀】
「くっ……」
だが、ナイフを向けた黒木に睨まれ、バルコニーまでは入って来られない。
【黒木】
「……どうせもうじき警察が来て、アンタは終わりだ」
【銀】
「おい……」
【黒木】
「でも、俺は捕まらない……」
バルコニーの柵はそれほど高いものではない。
元々柵の際に立たされていた俺だが、黒木がじりじりと後ずさりして来て、
今やあと一歩押されたら落ちてしまうという位置にいた。
脇腹に低い柵が食い込み、上半身が外へと乗り出してしまう。
ちらりと外の景色を目の端にとらえると、血の気が引いた。
【ハク】
(こんな高さ……落ちたら助からない……!)
そう思った時、俄かに複数の足音がこちらへ向かってくる。
ベッドルームのドアが開き、二人の人物が飛び込んできた。
【藍建】
「ハクくん!!」
【赤屋】
「ハク!!」
入ってきたのは藍建さんと、リュウだった。
俺の隣に立つ黒木、部屋とベランダの境にはナツ、そしてたった今入ってきたリュウと、藍建さん……。
全員が互いを牽制するように、場を沈黙が支配する。
言い様のない緊張感が漂い、一瞬が何秒にも、何分にも感じた。
……真っ先に動いたのは、藍建さんとリュウだった。
そのまま二人はバルコニーの方まで駆け込んでくる。
だが、藍建さんはバルコニーの入口で立ち止まった。
こちらを見つめる思わず彼と目が合う……。
【藍建】
「あ……」
……その目に一瞬陰りが見えた。
【ハク】
(あ……そうか、バルコニーだから……)
藍建さんは、ある事件以来、高所に立つと足が竦んで動けなくなってしまうと言っていた。
下が見えると駄目だとも……。
【藍建】
「…………っ」
【銀】
「おい、アンタ刑事だろ。何モタモタしてんだよ!」
【ハク】
(藍建さん……)
リュウに怒鳴られても藍建さんは動けない。
藍建さんは、そんな自分自身と戦っているように見えた。
だが黒木はそんなことには動じない。
他の三人にナイフを向けて牽制しながら、もう片方の手で俺の髪を撫でる。
【銀】
「ねぇ、ハク……こんな奴らに邪魔されるくらいなら、ここから飛んで一緒になろう……」
【ハク】
「…………っ!」
焦点の合っていないような、恍惚とした表情でそう語る黒木に全身が総毛立つ。
嫌だ……。
だが、逃げ出そうにも腕は拘束されたままで、黒木はナイフを持っている。
そして遂に黒木が俺を突き落とし、自身もバルコニーから飛び降りようとしたそのときだった。
【藍建】
「止せ……やめろ!!」
【黒木】
「ぐっ……」
【ハク】
「うっ……!」
黒木が横に突き飛ばされ、藍建さんの体が俺の体を抱き込んでバルコニーの床で受け身を取った。
同じタイミングでリュウが黒木の手からナイフを取り上げ、その手を後ろで捻り上げる。
【銀】
「…………」
ナツはただそれを、バルコニーの入口で茫然と見ていた……。
【黒木】
「離せ!俺はハクと……!」
【藍建】
「このやろ、大人しくしろ……ハク、怪我はないか」
ナイフがなければ、黒木もさすがにリュウには適わない。
それよりも俺は、ナイフを持った黒木に武器も持たずにぶつかって行った藍建さんが心配だった。
【ハク】
「俺は平気。それより藍建さんは……」
【藍建】
「オレも大丈夫だ。怪我もない」
【ハク】
「よかった……」
普通に起き上がった藍建さんに俺は安心する。
だが、藍建さんはそのままナツを睨みつけて口を開いた。
「やっと、見つけた……」
【黒木】
「ハク、こんなところにいたんだ……久しぶりだね」
【ハク】
(黒木……!?)
ナツがインターフォン越しに藍建さんとやり取りをしている間に、
俺が寝かされているベッドルームには黒木が入ってきた。
その顔には、にやにやとした笑いを張り付けている。
先ほどの会話を聞いているため、その笑顔を見ると背筋に悪寒が走った。
しかし、笑っていたかと思うと、不意に眉間に皺を寄せて端正なその顔を歪める。
【黒木】
「しかし、玄関に来てるヤツ……警察か。面倒だな」
黒木は何かをパンツのポケットから取り出すと、チャキチャキと音を立てて弄び始める。
【ハク】
(バタフライナイフ……!)
黒木は器用に片手で刃の開閉を繰り返す。
だが、遊ぶと言うよりは苛立ちを表している様子だ。
【黒木】
「ハク、ちょっとじっとしててね」
そう断って俺の体を押さえたかと思うと、脚を縛っていた縄がナイフで切り落とされた。
だが、両腕の拘束と猿轡はそのまま、黒木は俺の腕を掴んですたすたと歩き出す。
【ハク】
(どこへ……)
【ハク】
「……っ!」
【黒木】
「ハク?」
無言で縛られたままの俺の腕を引く黒木に、俺は怖くなって立ち止まる。
俺が頭を振って歩くのを拒否すると、黒木はナイフを今度は俺の方へ向けてきた。
【黒木】
「ハク……俺は銀とは違うから、ハクに酷いことはしたくないんだよ」
【黒木】
「だから、ね?ハク。俺に逆らわないで……」
【ハク】
「…………」
懇願するような口調だが、黒木はナイフを躊躇なく俺に向けてくる。
刃物を突きつけられると、俺は従うしかなかった。
ましてや俺は現在、両腕を縛られていて体の自由も利かない身だ。
そのまま黒木に誘導された先は、部屋のバルコニーだった。
【ハク】
(くろ…き?何をするつもりなんだ…?)
その行動の意図が読めなくて俺はさらに困惑してしまう。
そんな時、真っ先に頭に浮かんだのは、藍建さんの姿だった。
【ハク】
(藍建さん……!)
俺は、インターフォン越しに聞いた藍建さんの声を思った……。
ナツがインターフォン越しに藍建さんの応対をしている間に、
俺は黒木にナイフを突きつけられ、バルコニーに連れて来られた。
柵ぎりぎりのところに立たされ、すぐ横にはナイフを構えた黒木……。
依然として口には猿轡、腕は縛られたままだ。
【銀】
「黒木、何をしている……やめろ!」
【ハク】
「……!」
そのとき、応対を終えたナツが事態に気付き、ベッドルームに入ってきた。
【黒木】
「近づくな!」
【銀】
「くっ……」
だが、ナイフを向けた黒木に睨まれ、バルコニーまでは入って来られない。
【黒木】
「……どうせもうじき警察が来て、アンタは終わりだ」
【銀】
「おい……」
【黒木】
「でも、俺は捕まらない……」
バルコニーの柵はそれほど高いものではない。
元々柵の際に立たされていた俺だが、黒木がじりじりと後ずさりして来て、
今やあと一歩押されたら落ちてしまうという位置にいた。
脇腹に低い柵が食い込み、上半身が外へと乗り出してしまう。
ちらりと外の景色を目の端にとらえると、血の気が引いた。
【ハク】
(こんな高さ……落ちたら助からない……!)
そう思った時、俄かに複数の足音がこちらへ向かってくる。
ベッドルームのドアが開き、二人の人物が飛び込んできた。
【藍建】
「ハクくん!!」
【赤屋】
「ハク!!」
入ってきたのは藍建さんと、リュウだった。
俺の隣に立つ黒木、部屋とベランダの境にはナツ、そしてたった今入ってきたリュウと、藍建さん……。
全員が互いを牽制するように、場を沈黙が支配する。
言い様のない緊張感が漂い、一瞬が何秒にも、何分にも感じた。
……真っ先に動いたのは、藍建さんとリュウだった。
そのまま二人はバルコニーの方まで駆け込んでくる。
だが、藍建さんはバルコニーの入口で立ち止まった。
こちらを見つめる思わず彼と目が合う……。
【藍建】
「あ……」
……その目に一瞬陰りが見えた。
【ハク】
(あ……そうか、バルコニーだから……)
藍建さんは、ある事件以来、高所に立つと足が竦んで動けなくなってしまうと言っていた。
下が見えると駄目だとも……。
【藍建】
「…………っ」
【銀】
「おい、アンタ刑事だろ。何モタモタしてんだよ!」
【ハク】
(藍建さん……)
リュウに怒鳴られても藍建さんは動けない。
藍建さんは、そんな自分自身と戦っているように見えた。
だが黒木はそんなことには動じない。
他の三人にナイフを向けて牽制しながら、もう片方の手で俺の髪を撫でる。
【銀】
「ねぇ、ハク……こんな奴らに邪魔されるくらいなら、ここから飛んで一緒になろう……」
【ハク】
「…………っ!」
焦点の合っていないような、恍惚とした表情でそう語る黒木に全身が総毛立つ。
嫌だ……。
だが、逃げ出そうにも腕は拘束されたままで、黒木はナイフを持っている。
そして遂に黒木が俺を突き落とし、自身もバルコニーから飛び降りようとしたそのときだった。
【藍建】
「止せ……やめろ!!」
【黒木】
「ぐっ……」
【ハク】
「うっ……!」
黒木が横に突き飛ばされ、藍建さんの体が俺の体を抱き込んでバルコニーの床で受け身を取った。
同じタイミングでリュウが黒木の手からナイフを取り上げ、その手を後ろで捻り上げる。
【銀】
「…………」
ナツはただそれを、バルコニーの入口で茫然と見ていた……。
【黒木】
「離せ!俺はハクと……!」
【藍建】
「このやろ、大人しくしろ……ハク、怪我はないか」
ナイフがなければ、黒木もさすがにリュウには適わない。
それよりも俺は、ナイフを持った黒木に武器も持たずにぶつかって行った藍建さんが心配だった。
【ハク】
「俺は平気。それより藍建さんは……」
【藍建】
「オレも大丈夫だ。怪我もない」
【ハク】
「よかった……」
普通に起き上がった藍建さんに俺は安心する。
だが、藍建さんはそのままナツを睨みつけて口を開いた。