[本編] 藍建 仁 編
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【ハク】
「あの……よろしくお願いします」
これから俺はナツとの親しい関係のことは忘れて、雇い主と従業員という関係に徹しようと決めていた。
そして、そのつもりでナツに向かって頭を下げる。
だが、それをナツは良く思わなかったらしい。
【銀】
「よせ、無理に敬語を使わなくて良い」
【ハク】
「でも……」
【銀】
「オレが良いと言ったら良いんだ」
ナツの口調が厳しいものになり、俺は思わず頷いてしまう。
【ハク】
「うん……」
【銀】
「……それでいい」
敬語から普段の口調に戻すと、ナツは満足したように頷いた。
【銀】
「それでは、ハクに働いてもらう部署は秘書に案内させる」
【銀】
「何かわからないことがあったらそいつに聞くと良い」
【ハク】
「わ、わかった」
【銀】
「……ハク、期待してるぞ」
そう言ってナツがどこかに電話をかけると、内線だったらしくすぐに秘書の方が顔を見せた。
秘書の方に連れられて、俺は社長室を後にする。
結局、その日はそれきりナツの顔を見ることはなかった。
その後、ナツの秘書の方に案内された場所は、社長直轄の企画開発部だった。
幸いなことに、俺は前の会社でも商品開発を担当していて、この仕事には馴染みがある。
簡単に説明を受けた業務内容にも、多少のやり方の差はあるが大きな違いはなさそうだ。
その日さっそく業務を始めた俺だが、大した問題も起こさずにこなすことができた。
こうして俺は、銀の会社で働くことになったのだ。
そして会社にも慣れたと思ったある日、俺は思いがけない事実を知ることになる。
俺がナツの会社に勤め始めて一週間ほど経った。
最初は社長の知り合いということでよそよそしかった部署の人たちとも、徐々に馴染めて来た頃だ。
前職とほぼ同じ業務ということもあり、仕事もなんなくこなしている……
と、自分では思う。
そんな、平和なある日のことだった。
そのとき俺は、ちょうど簡単な打ち合わせを終えて会議室から自分のオフィスに戻ろうとした時だ。
【ハク】
(打ち合わせが入ってほとんど休憩取れなかったな……)
【ハク】
(缶コーヒーでも買って一服するか)
【ハク】
(……ん?)
俺が自動販売機のある休憩スペースに向かおうとしたとき、会議室に思いがけない人が入っていくのを見た。
【藍建】
「…………」
【ハク】
(あれ、藍建さんだ……なんでうちの会社に居るんだろう)
そして、不思議なのはそれだけではなかった。
【銀】
「…………」
藍建さんに続いて会議室に入って行ったのは、この会社の社長である、ナツ……だ。
【ハク】
(ナツまで……)
【ハク】
(……どうして?)
そこで初めて俺の頭に、ナツと再会した日にナツのことを見つめ続けていた藍建さんのことがよぎる。
……まるで、片思いでもしてるみたいな瞳だった。
確か、藍建さんに俺とナツの関係を尋ねられたのもその日のことだ。
藍建さんとナツの関係については「ちょっとね」という言葉でお茶を濁され、
今日まで特に訊く機会もなかった。
もちろん、ナツにそのことを尋ねたこともない。
【ハク】
(たしか…隣の会議室は……空き室だ)
【ハク】
(盗み聞きはよくないとはわっかっているけど…)
胸がドキドキと早鐘を打つ。
どうしても湧き上がる好奇心を抑えきれない。
俺は二人の入った部屋の隣が空き室であることを確認すると、迷わずそこに飛び込んだ。
万が一誰かに見つかっても、休憩を取り損ねたので休んでいたという言い訳もたつだろう。
しんと静まった誰もいない会議室。
俺はそこで一人、2人が入った会議室方の壁に耳を当てると、
そこから聞こえてきたのは……
俺が想像もしていないやり取りだった。
続く…
「あの……よろしくお願いします」
これから俺はナツとの親しい関係のことは忘れて、雇い主と従業員という関係に徹しようと決めていた。
そして、そのつもりでナツに向かって頭を下げる。
だが、それをナツは良く思わなかったらしい。
【銀】
「よせ、無理に敬語を使わなくて良い」
【ハク】
「でも……」
【銀】
「オレが良いと言ったら良いんだ」
ナツの口調が厳しいものになり、俺は思わず頷いてしまう。
【ハク】
「うん……」
【銀】
「……それでいい」
敬語から普段の口調に戻すと、ナツは満足したように頷いた。
【銀】
「それでは、ハクに働いてもらう部署は秘書に案内させる」
【銀】
「何かわからないことがあったらそいつに聞くと良い」
【ハク】
「わ、わかった」
【銀】
「……ハク、期待してるぞ」
そう言ってナツがどこかに電話をかけると、内線だったらしくすぐに秘書の方が顔を見せた。
秘書の方に連れられて、俺は社長室を後にする。
結局、その日はそれきりナツの顔を見ることはなかった。
その後、ナツの秘書の方に案内された場所は、社長直轄の企画開発部だった。
幸いなことに、俺は前の会社でも商品開発を担当していて、この仕事には馴染みがある。
簡単に説明を受けた業務内容にも、多少のやり方の差はあるが大きな違いはなさそうだ。
その日さっそく業務を始めた俺だが、大した問題も起こさずにこなすことができた。
こうして俺は、銀の会社で働くことになったのだ。
そして会社にも慣れたと思ったある日、俺は思いがけない事実を知ることになる。
俺がナツの会社に勤め始めて一週間ほど経った。
最初は社長の知り合いということでよそよそしかった部署の人たちとも、徐々に馴染めて来た頃だ。
前職とほぼ同じ業務ということもあり、仕事もなんなくこなしている……
と、自分では思う。
そんな、平和なある日のことだった。
そのとき俺は、ちょうど簡単な打ち合わせを終えて会議室から自分のオフィスに戻ろうとした時だ。
【ハク】
(打ち合わせが入ってほとんど休憩取れなかったな……)
【ハク】
(缶コーヒーでも買って一服するか)
【ハク】
(……ん?)
俺が自動販売機のある休憩スペースに向かおうとしたとき、会議室に思いがけない人が入っていくのを見た。
【藍建】
「…………」
【ハク】
(あれ、藍建さんだ……なんでうちの会社に居るんだろう)
そして、不思議なのはそれだけではなかった。
【銀】
「…………」
藍建さんに続いて会議室に入って行ったのは、この会社の社長である、ナツ……だ。
【ハク】
(ナツまで……)
【ハク】
(……どうして?)
そこで初めて俺の頭に、ナツと再会した日にナツのことを見つめ続けていた藍建さんのことがよぎる。
……まるで、片思いでもしてるみたいな瞳だった。
確か、藍建さんに俺とナツの関係を尋ねられたのもその日のことだ。
藍建さんとナツの関係については「ちょっとね」という言葉でお茶を濁され、
今日まで特に訊く機会もなかった。
もちろん、ナツにそのことを尋ねたこともない。
【ハク】
(たしか…隣の会議室は……空き室だ)
【ハク】
(盗み聞きはよくないとはわっかっているけど…)
胸がドキドキと早鐘を打つ。
どうしても湧き上がる好奇心を抑えきれない。
俺は二人の入った部屋の隣が空き室であることを確認すると、迷わずそこに飛び込んだ。
万が一誰かに見つかっても、休憩を取り損ねたので休んでいたという言い訳もたつだろう。
しんと静まった誰もいない会議室。
俺はそこで一人、2人が入った会議室方の壁に耳を当てると、
そこから聞こえてきたのは……
俺が想像もしていないやり取りだった。
続く…