[本編] 桃島 光彦 編
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―――あれから、数日後……。
【赤屋】
「どうも、……ハク、じゃなかった。ユキ……いますか?」
【ハク】
「リュウ!」
【ハク】
「どうしたんだよ、珍しいじゃん」
【赤屋】
「いや、コトの報告に……と思ってさ」
【赤屋】
「まだ桃島さんって人、入院してるんだろ?」
【ハク】
「うん……」
【赤屋】
「えっと……お前を指名って形にすれば、お前と飲みながら話ができるのか?」
【ハク】
「えっ? できるけど……いいの?」
【赤屋】
「ああ。たまにはいいだろ?」
俺はリュウに指名を入れてもらい、端のテーブルでふたりで飲むことになった。
【赤屋】
「緊張するな」
【ハク】
「あはは、あの頃の俺と中身は変わってないよ」
【赤屋】
「まさかハクがホストだなんて……本当、当時からは想像つかないよ」
【ハク】
「まあね……」
思い出話もそこそこに、赤屋はあの日の事件の後に起きたことを話してくれた。
【赤屋】
「……桃島さんって人には、香月が本当に悪いことをした」
【ハク】
「香月…さん……どうなったの?」
【赤屋】
「立場とか全部失くした形になる」
【赤屋】
「……実は…」
【赤屋】
「桃島さんの借金肩代わりしたのも、実はそんなに大きな額じゃなかったらしい」
【ハク】
「えっ、そうなの!?」
【赤屋】
「ああ」
【赤屋】
「……あんな風に香月と関係を結ばなくても、桃島さんなら簡単に稼いで返せたはずの額だ」
【赤屋】
「肩代わりするって言い出した時から……」
【赤屋】
「どうやら香月は桃島さんに惚れてたみたいだからな」
【ハク】
「そうだったんだ……」
【赤屋】
「どっちにしろもう桃島さんは完全に自由の身」
【赤屋】
「勝手にあんなことを年単位でやってた香月はしばらく外に出してもらえない」
【赤屋】
「監視役が付いてるから……」
【赤屋】
「桃島さんに香月から連絡が来ることは二度とないと思うよ」
【ハク】
「そうなんだ、良かった……」
【赤屋】
「ところで桃島さんの状態は?」
【ハク】
「幸い、傷は浅かったみたい」
【赤屋】
「そうなんだ、良かったな」
【ハク】
「うん」
【赤屋】
「あの日のお客さんとか……大丈夫だったか?」
【ハク】
「やっぱりあの日からお見えになってないお客さんもいるよ」
【ハク】
「でも……」
【ハク】
「桃島さんが復帰したら連絡くださいって言ってくださってるお客さんもいる」
【赤屋】
「そうか。迷惑かけちまったけど……」
【赤屋】
「こんな言い方したらアレだが、良かったな」
【ハク】
「うん」
赤屋の口からはっきりと、桃島さんが香月さんの呪縛から解かれたことを聞き、ほっとする。
1週間後には桃島さんも退院し、ホストクラブに戻ってくることが決まった。
―――桃島さんにも、店にも、
本当の意味で平和が訪れたのだ―――。
【桃島】
「お久しぶりです。……その節は大変、ご迷惑をおかけしました」
復帰初日の開店前ミーティングで、桃島さんは皆に向かって頭を下げた。
【緑川】
「……というわけで、テル……モモも戻ってきたことだし」
【緑川】
「今日からまた、お客さんを幸せにできる接客を心がけて、頑張ろう」
【ハク】
「はい!」
休んでいたからと言って桃島さんの接客能力が落ちるわけもない。
ナンバー2の“モモ”は健在で、ようやく前と同じ日常が戻ってきたかに思えた……。
―――その日。
仕事が終わったあと、控室に緑川さんと桃島さんがいるのに気付く。
【ハク】
(あれ……ふたり、何の話してるんだろ)
【ハク】
(もしかして、緑川さん……)
あのこと、実行しようとしているのかもしれない……。
悪いとは思いながらも聞き耳を立てる。
【桃島】
「緑川さん、今日泊まりに行ってもいーっスか?」
【桃島】
「病み上がりの俺に優しくしてくださいよ」
【緑川】
「……」
何も答えないどころか、視線さえ向けない緑川さん。
【桃島】
「シカトしないでくださいってば」
そう言って桃島さんは緑川さんにまとわりつくようにぺたぺた触れている。
……香月さんのことがなくなって、全部緑川さんに知られて。
俺には桃島さんが開き直ってアプローチを仕掛けているように見えた。
【緑川】
「……」
【桃島】
「お願いですよ、“先輩”」
その呼び名で桃島さんが呼んだ途端、緑川さんの眉がぎりりと吊り上がった。
【緑川】
「……そろそろ、限界なんだよね」
【桃島】
「は? 限界って……何のコト……」
【緑川】
「お前のことだよ」
【桃島】
「え? 俺……何が……」
明らかに怒っている緑川さんに、桃島さんは動揺している。
【赤屋】
「どうも、……ハク、じゃなかった。ユキ……いますか?」
【ハク】
「リュウ!」
【ハク】
「どうしたんだよ、珍しいじゃん」
【赤屋】
「いや、コトの報告に……と思ってさ」
【赤屋】
「まだ桃島さんって人、入院してるんだろ?」
【ハク】
「うん……」
【赤屋】
「えっと……お前を指名って形にすれば、お前と飲みながら話ができるのか?」
【ハク】
「えっ? できるけど……いいの?」
【赤屋】
「ああ。たまにはいいだろ?」
俺はリュウに指名を入れてもらい、端のテーブルでふたりで飲むことになった。
【赤屋】
「緊張するな」
【ハク】
「あはは、あの頃の俺と中身は変わってないよ」
【赤屋】
「まさかハクがホストだなんて……本当、当時からは想像つかないよ」
【ハク】
「まあね……」
思い出話もそこそこに、赤屋はあの日の事件の後に起きたことを話してくれた。
【赤屋】
「……桃島さんって人には、香月が本当に悪いことをした」
【ハク】
「香月…さん……どうなったの?」
【赤屋】
「立場とか全部失くした形になる」
【赤屋】
「……実は…」
【赤屋】
「桃島さんの借金肩代わりしたのも、実はそんなに大きな額じゃなかったらしい」
【ハク】
「えっ、そうなの!?」
【赤屋】
「ああ」
【赤屋】
「……あんな風に香月と関係を結ばなくても、桃島さんなら簡単に稼いで返せたはずの額だ」
【赤屋】
「肩代わりするって言い出した時から……」
【赤屋】
「どうやら香月は桃島さんに惚れてたみたいだからな」
【ハク】
「そうだったんだ……」
【赤屋】
「どっちにしろもう桃島さんは完全に自由の身」
【赤屋】
「勝手にあんなことを年単位でやってた香月はしばらく外に出してもらえない」
【赤屋】
「監視役が付いてるから……」
【赤屋】
「桃島さんに香月から連絡が来ることは二度とないと思うよ」
【ハク】
「そうなんだ、良かった……」
【赤屋】
「ところで桃島さんの状態は?」
【ハク】
「幸い、傷は浅かったみたい」
【赤屋】
「そうなんだ、良かったな」
【ハク】
「うん」
【赤屋】
「あの日のお客さんとか……大丈夫だったか?」
【ハク】
「やっぱりあの日からお見えになってないお客さんもいるよ」
【ハク】
「でも……」
【ハク】
「桃島さんが復帰したら連絡くださいって言ってくださってるお客さんもいる」
【赤屋】
「そうか。迷惑かけちまったけど……」
【赤屋】
「こんな言い方したらアレだが、良かったな」
【ハク】
「うん」
赤屋の口からはっきりと、桃島さんが香月さんの呪縛から解かれたことを聞き、ほっとする。
1週間後には桃島さんも退院し、ホストクラブに戻ってくることが決まった。
―――桃島さんにも、店にも、
本当の意味で平和が訪れたのだ―――。
【桃島】
「お久しぶりです。……その節は大変、ご迷惑をおかけしました」
復帰初日の開店前ミーティングで、桃島さんは皆に向かって頭を下げた。
【緑川】
「……というわけで、テル……モモも戻ってきたことだし」
【緑川】
「今日からまた、お客さんを幸せにできる接客を心がけて、頑張ろう」
【ハク】
「はい!」
休んでいたからと言って桃島さんの接客能力が落ちるわけもない。
ナンバー2の“モモ”は健在で、ようやく前と同じ日常が戻ってきたかに思えた……。
―――その日。
仕事が終わったあと、控室に緑川さんと桃島さんがいるのに気付く。
【ハク】
(あれ……ふたり、何の話してるんだろ)
【ハク】
(もしかして、緑川さん……)
あのこと、実行しようとしているのかもしれない……。
悪いとは思いながらも聞き耳を立てる。
【桃島】
「緑川さん、今日泊まりに行ってもいーっスか?」
【桃島】
「病み上がりの俺に優しくしてくださいよ」
【緑川】
「……」
何も答えないどころか、視線さえ向けない緑川さん。
【桃島】
「シカトしないでくださいってば」
そう言って桃島さんは緑川さんにまとわりつくようにぺたぺた触れている。
……香月さんのことがなくなって、全部緑川さんに知られて。
俺には桃島さんが開き直ってアプローチを仕掛けているように見えた。
【緑川】
「……」
【桃島】
「お願いですよ、“先輩”」
その呼び名で桃島さんが呼んだ途端、緑川さんの眉がぎりりと吊り上がった。
【緑川】
「……そろそろ、限界なんだよね」
【桃島】
「は? 限界って……何のコト……」
【緑川】
「お前のことだよ」
【桃島】
「え? 俺……何が……」
明らかに怒っている緑川さんに、桃島さんは動揺している。