[本編] 桃島 光彦 編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
【緑川】
「テル……、ユキ……」
店に戻ると、俺たちの帰りをホストたちみんなで待っていてくれた。
もちろん……緑川さんも。
【緑川】
「……おかえり」
【桃島】
「……すみませんでした」
【ハク】
「遅くなってすみません、桃島さんを見失っちゃって」
【緑川】
「ううん、店は回せてるし、大丈夫」
【桃島】
「……すみません……」
桃島さんは緑川さんに向かってもう一度謝った。
【緑川】
「まあ、営業時間中のサボリ、ってことでペナルティ」
【緑川】
「今週の売り上げ、10万アップ。……できるよね、モモなら」
【桃島】
「緑川さん……!」
【緑川】
「じゃあ、持ち場に戻って」
【緑川】
「……テル、戻ってきてくれてありがとう」
【桃島】
「……!」
【ハク】
(緑川さん、桃島さんに対して優しくなってる)
【ハク】
(桃島さんのこと、許してるんだよね……?)
じゃあさっき冷たくしたのはなんだったのか。
そんなに緑川さんを怒らせたのかな……? と、不思議に思わなくもなかった。
……が、とりあえず店と桃島さんの心に再びの平穏が訪れたことが、俺にとっても嬉しかった。
―――桃島さんはあれから、変わらずに人気ホストとして働いている。
課された10万のノルマはナンバー2の桃島さんにとってはあってないようなもの。
緑川さんもあれきり桃島さんに冷たく当たることはなかった。
【ハク】
「……あれ……」
すっかり夜型生活になってしまったため、朝日が昇っている時間は眠くて仕方がない。
けれどその日目覚めたのは……
桃島さんがそんな時間に出かける支度をしていたからだ。
【ハク】
「桃島さん、どこへ……」
【桃島】
「……よぉ、起きてんのか」
目をこすりながら尋ねたが、桃島さんは質問に答えなかった。
【ハク】
「まさか……香月さんのところへ?」
桃島さんの薄暗い表情からそれを読み取った俺は、桃島さんにそう問いかける。
【桃島】
「……」
【ハク】
(何も言わないってことは……そうなのか……)
―――そうだ。
桃島さんと香月さんの仲は……まだ切れていない……。
【ハク】
「もう……香月さんの所へ行くの、やめませんか?」
【桃島】
「……借金、どうすんだよ」
【桃島】
「それこそ俺が今度は売り飛ばされたって文句言えないぐらいの額なんだぞ」
【ハク】
「でも桃島さんならホストとしての売り上げもあるし!」
【桃島】
「……」
【ハク】
(そうか……緑川さんへの気持ちをばらすって香月さんに脅されてるんだっけ……)
桃島さんの気持ちを思うと、何も言えなくなってしまう。
【桃島】
「……見ないふりして送り出せよ」
【ハク】
「そんなの……できません!」
【桃島】
「やめたくても、やめられないんだよ」
【桃島】
「……そんなもんだ」
【ハク】
「そんな……」
すると、寮の部屋のチャイムが鳴る。
【桃島】
「―――来た。お前は寝てろ」
【ハク】
「桃島さんっ!」
【水野】
「コンニチハー、お迎えに上がりました、桃島さん」
【桃島】
「……あぁ」
【水野】
「ほんっと、借金終わったらオレと付き合って欲しいですよ」
【水野】
「桃島さん、マジで美形。超好み」
【水野】
「香月さんが手放さない理由もわかるなー」
【桃島】
「理由は借金だ」
【水野】
「桃島さん……?」
冷たく言い放った桃島さんに、水野さんは動揺している。
【桃島】
「……それ以外の理由なんてない。こっちにはもちろん、向こうにもだ」
【水野】
「……スイマセン」
ドアが静かに閉まり、俺はひとりきりの部屋で……
香月さんを抱きに行く桃島さんを見送ってしまった。
【ハク】
(桃島さん……これから香月さんのことを……)
そう思うと心臓のあたりがもやもやした。
うまく言い表せないけれど、苛々して、気分が悪くて、腹が立った。
【ハク】
(桃島さんにそんなこと、してほしくない……)
【新人ホスト】
「おはようございます、ハクさん」
【ハク】
「あぁ、おはよう」
【ハク】
「今日、3日目? 頑張ってね」
【新人ホスト】
「はい!」
ホスト業界は一見楽しそうに見えるけれど、人の出入りの激しい業界でもある。
俺がホストになってまだそんなに経っていないけれど、辞めていくホストはたくさんいた。
そして緑川さんがスカウトしてきた新人も、三日前から店に来ている。
【新人ホスト】
「あの……ユキさん」
【ハク】
「どうした? 何か悩み?」
【新人ホスト】
「悩みってワケじゃないんですけど……ちょっと噂を聞いて」
【ハク】
「噂?」
【新人ホスト】
「オレ……スカウトしてくれた緑川さんのこと尊敬してるんです」
【ハク】
「うん」
「テル……、ユキ……」
店に戻ると、俺たちの帰りをホストたちみんなで待っていてくれた。
もちろん……緑川さんも。
【緑川】
「……おかえり」
【桃島】
「……すみませんでした」
【ハク】
「遅くなってすみません、桃島さんを見失っちゃって」
【緑川】
「ううん、店は回せてるし、大丈夫」
【桃島】
「……すみません……」
桃島さんは緑川さんに向かってもう一度謝った。
【緑川】
「まあ、営業時間中のサボリ、ってことでペナルティ」
【緑川】
「今週の売り上げ、10万アップ。……できるよね、モモなら」
【桃島】
「緑川さん……!」
【緑川】
「じゃあ、持ち場に戻って」
【緑川】
「……テル、戻ってきてくれてありがとう」
【桃島】
「……!」
【ハク】
(緑川さん、桃島さんに対して優しくなってる)
【ハク】
(桃島さんのこと、許してるんだよね……?)
じゃあさっき冷たくしたのはなんだったのか。
そんなに緑川さんを怒らせたのかな……? と、不思議に思わなくもなかった。
……が、とりあえず店と桃島さんの心に再びの平穏が訪れたことが、俺にとっても嬉しかった。
―――桃島さんはあれから、変わらずに人気ホストとして働いている。
課された10万のノルマはナンバー2の桃島さんにとってはあってないようなもの。
緑川さんもあれきり桃島さんに冷たく当たることはなかった。
【ハク】
「……あれ……」
すっかり夜型生活になってしまったため、朝日が昇っている時間は眠くて仕方がない。
けれどその日目覚めたのは……
桃島さんがそんな時間に出かける支度をしていたからだ。
【ハク】
「桃島さん、どこへ……」
【桃島】
「……よぉ、起きてんのか」
目をこすりながら尋ねたが、桃島さんは質問に答えなかった。
【ハク】
「まさか……香月さんのところへ?」
桃島さんの薄暗い表情からそれを読み取った俺は、桃島さんにそう問いかける。
【桃島】
「……」
【ハク】
(何も言わないってことは……そうなのか……)
―――そうだ。
桃島さんと香月さんの仲は……まだ切れていない……。
【ハク】
「もう……香月さんの所へ行くの、やめませんか?」
【桃島】
「……借金、どうすんだよ」
【桃島】
「それこそ俺が今度は売り飛ばされたって文句言えないぐらいの額なんだぞ」
【ハク】
「でも桃島さんならホストとしての売り上げもあるし!」
【桃島】
「……」
【ハク】
(そうか……緑川さんへの気持ちをばらすって香月さんに脅されてるんだっけ……)
桃島さんの気持ちを思うと、何も言えなくなってしまう。
【桃島】
「……見ないふりして送り出せよ」
【ハク】
「そんなの……できません!」
【桃島】
「やめたくても、やめられないんだよ」
【桃島】
「……そんなもんだ」
【ハク】
「そんな……」
すると、寮の部屋のチャイムが鳴る。
【桃島】
「―――来た。お前は寝てろ」
【ハク】
「桃島さんっ!」
【水野】
「コンニチハー、お迎えに上がりました、桃島さん」
【桃島】
「……あぁ」
【水野】
「ほんっと、借金終わったらオレと付き合って欲しいですよ」
【水野】
「桃島さん、マジで美形。超好み」
【水野】
「香月さんが手放さない理由もわかるなー」
【桃島】
「理由は借金だ」
【水野】
「桃島さん……?」
冷たく言い放った桃島さんに、水野さんは動揺している。
【桃島】
「……それ以外の理由なんてない。こっちにはもちろん、向こうにもだ」
【水野】
「……スイマセン」
ドアが静かに閉まり、俺はひとりきりの部屋で……
香月さんを抱きに行く桃島さんを見送ってしまった。
【ハク】
(桃島さん……これから香月さんのことを……)
そう思うと心臓のあたりがもやもやした。
うまく言い表せないけれど、苛々して、気分が悪くて、腹が立った。
【ハク】
(桃島さんにそんなこと、してほしくない……)
【新人ホスト】
「おはようございます、ハクさん」
【ハク】
「あぁ、おはよう」
【ハク】
「今日、3日目? 頑張ってね」
【新人ホスト】
「はい!」
ホスト業界は一見楽しそうに見えるけれど、人の出入りの激しい業界でもある。
俺がホストになってまだそんなに経っていないけれど、辞めていくホストはたくさんいた。
そして緑川さんがスカウトしてきた新人も、三日前から店に来ている。
【新人ホスト】
「あの……ユキさん」
【ハク】
「どうした? 何か悩み?」
【新人ホスト】
「悩みってワケじゃないんですけど……ちょっと噂を聞いて」
【ハク】
「噂?」
【新人ホスト】
「オレ……スカウトしてくれた緑川さんのこと尊敬してるんです」
【ハク】
「うん」