[本編] 桃島 光彦 編
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【緑川】
「ちょっとは冷静になったか?」
【桃島】
「……っ……」
俺は緑川さんに言い返せなくて、それがちょっと悔しくて話題を変えてやった。
【桃島】
「……っていうか、アンタもホストなワケ?」
【桃島】
「それともスカウトしてきたってことはオーナー?」
【緑川】
「まさか。俺はホストだよ。接客業って言ってもらえると嬉しいな」
【桃島】
「ホストってのは本当に儲かるんだね、アンタ、いくつか知らないけど相当稼いでるよね?」
【桃島】
「女騙して金巻き上げて、何が接客業だよ」
【桃島】
「イイ人ぶってんじゃねぇよ」
【緑川】
「イイ人ぶってなんかいないよ」
【緑川】
「お金巻き上げてるんじゃなくて、対価を頂いてるって言ってほしいな」
【緑川】
「それに、稼いでるのは……まあ、自慢するわけじゃないけど」
【緑川】
「俺、いわゆるナンバー1ってヤツだから指名料なんかもそれなりにね」
【桃島】
「ナンバー1……!?」
やっぱりそういうので業績を上げられるのってカッコよくて頭もイイ人なんだ。
緑川さんを見て痛いほど実感したよ。
だから……俺はさらに憎まれ口を叩いた。
【桃島】
「……最低じゃん。どんだけの女騙してんだよ」
【緑川】
「最低?」
【桃島】
「ああ、最低な仕事だって言ってんだよ」
【緑川】
「……それは聞き捨てならないな」
【桃島】
「本当のことを言っただけだろ?」
【緑川】
「じゃあその最低な仕事もできないお前は何?」
【桃島】
「なっ……!」
【緑川】
「死にたいなんて言って、どんな人間でも最低限こなしてる――」
【緑川】
「“生きる”って仕事すら放棄しようとしてるのに、さらに俺の誇りであるホストを悪く言うんだ?」
【緑川】
「最低の下って……何なんだろうね?」
緑川さんの言い方は明らかに俺を挑発しているものだった。
でも、売り言葉に買い言葉とはまさにこのことで……
俺は気づけば挑発に乗っていた。
【桃島】
「じゃあやってやるよ!」
【緑川】
「お、やっと言ってくれたね?」
【桃島】
「なんでたまたま会っただけのヤツにそこまで言われなきゃなんないんだよ」
【桃島】
「ホストぐらいなんだってんだよ」
【桃島】
「最低なんて言わせねえ」
【緑川】
「よく言ってくれた」
【緑川】
「じゃ、明日からうちの見習いで入ること」
【桃島】
「あ……」
気づいた時にはすでに遅かった。
俺は緑川さんに、ホストをやると言ってしまっていた。
【緑川】
「寮も手配しておくから、安心して」
【緑川】
「あ、でも寮に入れるのは明日からになるから……」
【緑川】
「今日はうちに泊まってもらおうかな」
【桃島】
「えっ……でも……」
【緑川】
「安心して。……帰るところ、ないんだろ?」
【緑川】
「帰りたくないのかもしれないけど……」
【桃島】
「……」
俺は答えられなかった。
所詮、こんなガキの言うことなんて緑川さんにはお見通しだったんだ……。
【緑川】
「よし、じゃあちょっと夕方まで寝かせて」
【緑川】
「実は俺、夜勤明けにテルのこと見つけちゃったのね」
【緑川】
「だから実を言うとすごく眠いんだ」
【桃島】
「それは……なんかすみません……」
【緑川】
「ううん。っていうか、テルも寝てないんでしょ?」
【緑川】
「確かあったはずだから。えーっと……はい」
緑川さんがクローゼットから出した枕を投げてくる。
【桃島】
「わっ。え……これ……」
【緑川】
「寝よう。とりあえず、寝て起きれば変わってることもあるし、何かしらひとつは良くなってるよ」
【緑川】
「これ、俺の信条なんだ」
【桃島】
「そう……なんスか」
【緑川】
「はい、じゃあ寝よう。おやすみ!」
【桃島】
「えっ、俺どこで寝れば……!?」
【緑川】
「あいにくベッドはひとつしかないんだ。でも広いよ?」
俺はそのまま、緑川さんのベッドでお世話になった。
男の人とひとつのベッドで、というのは気が引けないでもなかったけれど……。
でも緑川さんの隣はすごく安心できた。
俺はそのまま眠り……
そして起きたら、俺の人生は何かひとつくらい良くなっている気がした―――。
【緑川】
「緊張しなくていい。お客さんの方が緊張していることもあるしね」
【桃島】
「そんなこと言われても……!」
正直、俺はガチガチだった。
着たこともないような高いスーツに身を包んで、飲んだこともないような高い酒が並んでて。
ドリンクやフードの値段を知って俺の方が驚いた。
【桃島】
「世界が……違う……」
【緑川】
「同じだよ。昨日までテルが生きてきた世界も、今日のここも、同じ」
【緑川】
「ただちょっと、……そうだね、ここにはたくさんの希望がある」
【緑川】
「さ、行こうか。最初はヘルプだし、俺がずっと近くにいるから、多少の失敗ぐらいフォローできる」
【緑川】
「今からお前は『モモ』だ。お客様を幸せにする、素敵なホストだよ」
「ちょっとは冷静になったか?」
【桃島】
「……っ……」
俺は緑川さんに言い返せなくて、それがちょっと悔しくて話題を変えてやった。
【桃島】
「……っていうか、アンタもホストなワケ?」
【桃島】
「それともスカウトしてきたってことはオーナー?」
【緑川】
「まさか。俺はホストだよ。接客業って言ってもらえると嬉しいな」
【桃島】
「ホストってのは本当に儲かるんだね、アンタ、いくつか知らないけど相当稼いでるよね?」
【桃島】
「女騙して金巻き上げて、何が接客業だよ」
【桃島】
「イイ人ぶってんじゃねぇよ」
【緑川】
「イイ人ぶってなんかいないよ」
【緑川】
「お金巻き上げてるんじゃなくて、対価を頂いてるって言ってほしいな」
【緑川】
「それに、稼いでるのは……まあ、自慢するわけじゃないけど」
【緑川】
「俺、いわゆるナンバー1ってヤツだから指名料なんかもそれなりにね」
【桃島】
「ナンバー1……!?」
やっぱりそういうので業績を上げられるのってカッコよくて頭もイイ人なんだ。
緑川さんを見て痛いほど実感したよ。
だから……俺はさらに憎まれ口を叩いた。
【桃島】
「……最低じゃん。どんだけの女騙してんだよ」
【緑川】
「最低?」
【桃島】
「ああ、最低な仕事だって言ってんだよ」
【緑川】
「……それは聞き捨てならないな」
【桃島】
「本当のことを言っただけだろ?」
【緑川】
「じゃあその最低な仕事もできないお前は何?」
【桃島】
「なっ……!」
【緑川】
「死にたいなんて言って、どんな人間でも最低限こなしてる――」
【緑川】
「“生きる”って仕事すら放棄しようとしてるのに、さらに俺の誇りであるホストを悪く言うんだ?」
【緑川】
「最低の下って……何なんだろうね?」
緑川さんの言い方は明らかに俺を挑発しているものだった。
でも、売り言葉に買い言葉とはまさにこのことで……
俺は気づけば挑発に乗っていた。
【桃島】
「じゃあやってやるよ!」
【緑川】
「お、やっと言ってくれたね?」
【桃島】
「なんでたまたま会っただけのヤツにそこまで言われなきゃなんないんだよ」
【桃島】
「ホストぐらいなんだってんだよ」
【桃島】
「最低なんて言わせねえ」
【緑川】
「よく言ってくれた」
【緑川】
「じゃ、明日からうちの見習いで入ること」
【桃島】
「あ……」
気づいた時にはすでに遅かった。
俺は緑川さんに、ホストをやると言ってしまっていた。
【緑川】
「寮も手配しておくから、安心して」
【緑川】
「あ、でも寮に入れるのは明日からになるから……」
【緑川】
「今日はうちに泊まってもらおうかな」
【桃島】
「えっ……でも……」
【緑川】
「安心して。……帰るところ、ないんだろ?」
【緑川】
「帰りたくないのかもしれないけど……」
【桃島】
「……」
俺は答えられなかった。
所詮、こんなガキの言うことなんて緑川さんにはお見通しだったんだ……。
【緑川】
「よし、じゃあちょっと夕方まで寝かせて」
【緑川】
「実は俺、夜勤明けにテルのこと見つけちゃったのね」
【緑川】
「だから実を言うとすごく眠いんだ」
【桃島】
「それは……なんかすみません……」
【緑川】
「ううん。っていうか、テルも寝てないんでしょ?」
【緑川】
「確かあったはずだから。えーっと……はい」
緑川さんがクローゼットから出した枕を投げてくる。
【桃島】
「わっ。え……これ……」
【緑川】
「寝よう。とりあえず、寝て起きれば変わってることもあるし、何かしらひとつは良くなってるよ」
【緑川】
「これ、俺の信条なんだ」
【桃島】
「そう……なんスか」
【緑川】
「はい、じゃあ寝よう。おやすみ!」
【桃島】
「えっ、俺どこで寝れば……!?」
【緑川】
「あいにくベッドはひとつしかないんだ。でも広いよ?」
俺はそのまま、緑川さんのベッドでお世話になった。
男の人とひとつのベッドで、というのは気が引けないでもなかったけれど……。
でも緑川さんの隣はすごく安心できた。
俺はそのまま眠り……
そして起きたら、俺の人生は何かひとつくらい良くなっている気がした―――。
【緑川】
「緊張しなくていい。お客さんの方が緊張していることもあるしね」
【桃島】
「そんなこと言われても……!」
正直、俺はガチガチだった。
着たこともないような高いスーツに身を包んで、飲んだこともないような高い酒が並んでて。
ドリンクやフードの値段を知って俺の方が驚いた。
【桃島】
「世界が……違う……」
【緑川】
「同じだよ。昨日までテルが生きてきた世界も、今日のここも、同じ」
【緑川】
「ただちょっと、……そうだね、ここにはたくさんの希望がある」
【緑川】
「さ、行こうか。最初はヘルプだし、俺がずっと近くにいるから、多少の失敗ぐらいフォローできる」
【緑川】
「今からお前は『モモ』だ。お客様を幸せにする、素敵なホストだよ」