[本編] 桃島 光彦 編
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【ハク】
「あれ……どこに行っちゃったんだ……」
桃島さんの後を追いかけてすぐに店を出たはずなのに、見失ってしまった。
【ハク】
(桃島さん……)
……桃島さんが出て言った理由はなんとなくわかる。
【ハク】
(緑川さんに否定されるようなことを言われたから……)
俺の対応があれだけ褒められるものだったかは正直なところわからない。
緑川さんの、桃島さんに対する当てつけのように感じられた。
【ハク】
(緑川さんもなんであんなこと言ったんだ……)
桃島さんの気持ちを知っているから、あの言葉はすごく苦しいものだったとわかる。
【ハク】
(緑川さんは知らないかもしれないけど……)
こんな風になってしまったのはいつからなんだろう。
【ハク】
(あの時……桃島さんを呼び出して緑川さんは何の話をしたんだろう?)
そんなことを考えながら、きょろきょろ辺りを見回して桃島さんを探す。
【ハク】
(桃島さん、いない……)
そして俺は―――彼を探すのに必死で、確認せずに路地を曲がってしまった。
―――ドンッ!
【ハク】
「わぁっ! ごめんなさいっ!」
即座に謝る。
向こうから角を曲がってきた人に肩がぶつかってしまった。
【チンピラ1】
「何だよ、テメーどこ見て歩いてんだ!」
【ハク】
「すみません、よく見ていなくて……」
【チンピラ2】
「あァ!? 謝罪がよく聞こえねェよ!」
【ハク】
(しまった……タチが悪いのにつかまっちゃったな……)
ぶつかったのは、だらしなくスーツを着ている悪ぶったチンピラだ。
ガタイばかり大きくて……
この手の人間は何かにかこつけて慰謝料と称した金を巻き上げるまで引いてくれない。
【ハク】
「本当に……すみません……」
【チンピラ1】
「てめえの謝罪ってのはその程度なのかよ!?」
【ハク】
(やばい……どうしよう……)
お金を払ってさっさと桃島さん探しに戻りたい。
時間が経てば経つほど桃島さんは遠ざかっていく。
【ハク】
(払っちゃおうかな……)
そう思い内ポケットの財布に手をかけた、―――その時。
【赤屋】
「おい、何やってんだよ」
【チンピラ1】
「あっ、赤屋さん! チッス!」
【赤屋】
「チッスじゃねえよこんなところで……って、ハク!?」
【ハク】
「赤屋……!」
そこに現れたのは、この間偶然再会した、かつての同級生、赤屋だった。
【赤屋】
「なんでここに……」
【赤屋】
「って、お前らハク脅してんのか!?」
【チンピラ1】
「すみませっ……まさか赤屋さんのお友達とはつゆ知らず!」
【チンピラ2】
「赤屋さん、俺たち仕事あるんで失礼しますッ!」
チンピラたちは赤屋にヘコヘコしながら、俺の前を去って行った。
【赤屋】
「……ったく、これだからチンピラ風情は困るんだ」
【ハク】
「ありがとう……助けてもらっちゃって……」
【赤屋】
「いや、こっちこそすまん。うちのシマのヤツらが」
【ハク】
「シマ……」
この間といい、今日のことといい……。
【ハク】
(赤屋……本当にヤクザなんだな……)
【赤屋】
「俺の顔を立てて、今回は許してもらえないか?」
【ハク】
「あっ、それはいいんだ。俺もよく見てなくて……」
【赤屋】
「いやいや、ケンカ売ったこっちが悪ぃんだし。今度お詫びさせてくれよ」
【ハク】
「いや、そんな……」
【ハク】
(……待てよ、赤屋はヤクザでこの辺に詳しいなら、もしかしたら……)
桃島さんに関する情報も持っているかもしれない。
【ハク】
「じゃあさ、赤屋。ひとつ聞いてもいいかな」
【赤屋】
「何だよ?」
【ハク】
「お前もこないだ見たと思うんだけど……うちのホストの人がいなくなったんだ」
【赤屋】
「ホスト? 誰だよ」
【ハク】
「桃島さんっていう人で……」
【赤屋】
「あぁ、ナンバー2のモモって人か? 組で噂になってるから見たことあるよ」
【赤屋】
「すげえ美人のオトコだよな? あの人……いなくなったのか?」
【ハク】
「さっきちょっと揉めて、出ていっちゃったんだ」
【ハク】
「心当たりとかないかな……?」
顔さえわかれば桃島さんは目立つ方だし、リュウから何か聞ければラッキーだと思う。
【赤屋】
「心当たりかー……あ」
【ハク】
「あるのか!?」
【赤屋】
「みかじめせしめに行くバーで何回か見たことあるな」
【ハク】
「それってどこ!?」
【赤屋】
「必死だな、ハク」
リュウに指摘されて、こんな風になっている自分に驚く。
【ハク】
「いや、その……お世話になってる先輩だから、気になって」
【赤屋】
「お前がそんな風に誰かに必死になってるところって初めて見た気がする」
【赤屋】
「ホストになってるし……お前、変わったよな?」
【ハク】
「そ、そうかな……」
【赤屋】
「……ま、それだけの何かがあったんだろうけど」
【赤屋】
「モモって人を見かけるバーは商店街の奥のお茶屋の地下だ」
【ハク】
「ああ、あのバー……!」
赤屋に教えてもらったバーは、俺が緑川さんにスカウトされたバーだった。
「あれ……どこに行っちゃったんだ……」
桃島さんの後を追いかけてすぐに店を出たはずなのに、見失ってしまった。
【ハク】
(桃島さん……)
……桃島さんが出て言った理由はなんとなくわかる。
【ハク】
(緑川さんに否定されるようなことを言われたから……)
俺の対応があれだけ褒められるものだったかは正直なところわからない。
緑川さんの、桃島さんに対する当てつけのように感じられた。
【ハク】
(緑川さんもなんであんなこと言ったんだ……)
桃島さんの気持ちを知っているから、あの言葉はすごく苦しいものだったとわかる。
【ハク】
(緑川さんは知らないかもしれないけど……)
こんな風になってしまったのはいつからなんだろう。
【ハク】
(あの時……桃島さんを呼び出して緑川さんは何の話をしたんだろう?)
そんなことを考えながら、きょろきょろ辺りを見回して桃島さんを探す。
【ハク】
(桃島さん、いない……)
そして俺は―――彼を探すのに必死で、確認せずに路地を曲がってしまった。
―――ドンッ!
【ハク】
「わぁっ! ごめんなさいっ!」
即座に謝る。
向こうから角を曲がってきた人に肩がぶつかってしまった。
【チンピラ1】
「何だよ、テメーどこ見て歩いてんだ!」
【ハク】
「すみません、よく見ていなくて……」
【チンピラ2】
「あァ!? 謝罪がよく聞こえねェよ!」
【ハク】
(しまった……タチが悪いのにつかまっちゃったな……)
ぶつかったのは、だらしなくスーツを着ている悪ぶったチンピラだ。
ガタイばかり大きくて……
この手の人間は何かにかこつけて慰謝料と称した金を巻き上げるまで引いてくれない。
【ハク】
「本当に……すみません……」
【チンピラ1】
「てめえの謝罪ってのはその程度なのかよ!?」
【ハク】
(やばい……どうしよう……)
お金を払ってさっさと桃島さん探しに戻りたい。
時間が経てば経つほど桃島さんは遠ざかっていく。
【ハク】
(払っちゃおうかな……)
そう思い内ポケットの財布に手をかけた、―――その時。
【赤屋】
「おい、何やってんだよ」
【チンピラ1】
「あっ、赤屋さん! チッス!」
【赤屋】
「チッスじゃねえよこんなところで……って、ハク!?」
【ハク】
「赤屋……!」
そこに現れたのは、この間偶然再会した、かつての同級生、赤屋だった。
【赤屋】
「なんでここに……」
【赤屋】
「って、お前らハク脅してんのか!?」
【チンピラ1】
「すみませっ……まさか赤屋さんのお友達とはつゆ知らず!」
【チンピラ2】
「赤屋さん、俺たち仕事あるんで失礼しますッ!」
チンピラたちは赤屋にヘコヘコしながら、俺の前を去って行った。
【赤屋】
「……ったく、これだからチンピラ風情は困るんだ」
【ハク】
「ありがとう……助けてもらっちゃって……」
【赤屋】
「いや、こっちこそすまん。うちのシマのヤツらが」
【ハク】
「シマ……」
この間といい、今日のことといい……。
【ハク】
(赤屋……本当にヤクザなんだな……)
【赤屋】
「俺の顔を立てて、今回は許してもらえないか?」
【ハク】
「あっ、それはいいんだ。俺もよく見てなくて……」
【赤屋】
「いやいや、ケンカ売ったこっちが悪ぃんだし。今度お詫びさせてくれよ」
【ハク】
「いや、そんな……」
【ハク】
(……待てよ、赤屋はヤクザでこの辺に詳しいなら、もしかしたら……)
桃島さんに関する情報も持っているかもしれない。
【ハク】
「じゃあさ、赤屋。ひとつ聞いてもいいかな」
【赤屋】
「何だよ?」
【ハク】
「お前もこないだ見たと思うんだけど……うちのホストの人がいなくなったんだ」
【赤屋】
「ホスト? 誰だよ」
【ハク】
「桃島さんっていう人で……」
【赤屋】
「あぁ、ナンバー2のモモって人か? 組で噂になってるから見たことあるよ」
【赤屋】
「すげえ美人のオトコだよな? あの人……いなくなったのか?」
【ハク】
「さっきちょっと揉めて、出ていっちゃったんだ」
【ハク】
「心当たりとかないかな……?」
顔さえわかれば桃島さんは目立つ方だし、リュウから何か聞ければラッキーだと思う。
【赤屋】
「心当たりかー……あ」
【ハク】
「あるのか!?」
【赤屋】
「みかじめせしめに行くバーで何回か見たことあるな」
【ハク】
「それってどこ!?」
【赤屋】
「必死だな、ハク」
リュウに指摘されて、こんな風になっている自分に驚く。
【ハク】
「いや、その……お世話になってる先輩だから、気になって」
【赤屋】
「お前がそんな風に誰かに必死になってるところって初めて見た気がする」
【赤屋】
「ホストになってるし……お前、変わったよな?」
【ハク】
「そ、そうかな……」
【赤屋】
「……ま、それだけの何かがあったんだろうけど」
【赤屋】
「モモって人を見かけるバーは商店街の奥のお茶屋の地下だ」
【ハク】
「ああ、あのバー……!」
赤屋に教えてもらったバーは、俺が緑川さんにスカウトされたバーだった。
