[本編] 桃島 光彦 編
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―――マンションを出ると、雨が降っていた。
俺は桃島さんとタクシーで寮に戻ることになった。
【桃島】
「……」
腰をかばいようやく歩く俺と、何も言わない桃島さん。
タクシーの中は終始無言だった。
タクシーを降りて……俺はひとつだけ、桃島さんに聞こうと思った。
【ハク】
「……なんで、したんですか」
【桃島】
「……」
【ハク】
「なんでしたんですか、答えてください、桃島さん!」
【桃島】
「……」
桃島さんは、答えなかった。
【ハク】
「桃島さん!」
俺は叫ぶように、彼の名を呼んだ。
【桃島】
「……俺だって……」
【桃島】
「俺だって、こんな形で抱きたくなかった」
【ハク】
「……!」
桃島さんの表情が、全てを表していた。
【ハク】
(俺だって……わかってる……)
桃島さんは俺をレイプする前、香月さんに俺の借金が帳消しになるかどうか確認していた。
【ハク】
(きっと……俺のため、だったんだ……)
そうわかっていても、涙が止まらなかった。
【桃島】
「……俺は」
【ハク】
「……え?」
【桃島】
「俺は……ハクさんの前から、消えるよ」
【ハク】
「えっ……!?」
そう言って……桃島さんは降りしきる雨の中、どこかへ消えて行った。
俺は追わなかった。
けれど……
姿が見えなくなるまで、ずっと桃島さんのことを見つめていた―――。
【ハク】
「いらっしゃいませ!」
【緑川】
「ユキ、久々のご指名だな」
【ハク】
「はい、頑張ります!」
―――その後。
俺はまだ、ホストクラブで働いていた。
桃島さんは、あの日……帰ってこなかった。
そしてあの日から、桃島さんの姿を見た人は誰もいない。
【緑川】
「……寮はどうだ?」
【ハク】
「……ひとり部屋は、寂しいです」
【緑川】
「新人入ったらユキの部屋に入れるよ」
【ハク】
「お願いします」
【緑川】
「そうしたらユキもようやく先輩だな」
あのことがあって、本当にツケは帳消しになったらしい。
今はまだまだ下っ端ホストだが、どうにか俺もホストとしてやっていくことが出来ている。
【緑川】
「……どこ、行ったんだろうな」
【ハク】
「……」
……桃島さんの行方を、誰も、緑川さんですら知らないまま―――。
桃島さんのいない日々が、ずっと続いていた……。
完
俺は桃島さんとタクシーで寮に戻ることになった。
【桃島】
「……」
腰をかばいようやく歩く俺と、何も言わない桃島さん。
タクシーの中は終始無言だった。
タクシーを降りて……俺はひとつだけ、桃島さんに聞こうと思った。
【ハク】
「……なんで、したんですか」
【桃島】
「……」
【ハク】
「なんでしたんですか、答えてください、桃島さん!」
【桃島】
「……」
桃島さんは、答えなかった。
【ハク】
「桃島さん!」
俺は叫ぶように、彼の名を呼んだ。
【桃島】
「……俺だって……」
【桃島】
「俺だって、こんな形で抱きたくなかった」
【ハク】
「……!」
桃島さんの表情が、全てを表していた。
【ハク】
(俺だって……わかってる……)
桃島さんは俺をレイプする前、香月さんに俺の借金が帳消しになるかどうか確認していた。
【ハク】
(きっと……俺のため、だったんだ……)
そうわかっていても、涙が止まらなかった。
【桃島】
「……俺は」
【ハク】
「……え?」
【桃島】
「俺は……ハクさんの前から、消えるよ」
【ハク】
「えっ……!?」
そう言って……桃島さんは降りしきる雨の中、どこかへ消えて行った。
俺は追わなかった。
けれど……
姿が見えなくなるまで、ずっと桃島さんのことを見つめていた―――。
【ハク】
「いらっしゃいませ!」
【緑川】
「ユキ、久々のご指名だな」
【ハク】
「はい、頑張ります!」
―――その後。
俺はまだ、ホストクラブで働いていた。
桃島さんは、あの日……帰ってこなかった。
そしてあの日から、桃島さんの姿を見た人は誰もいない。
【緑川】
「……寮はどうだ?」
【ハク】
「……ひとり部屋は、寂しいです」
【緑川】
「新人入ったらユキの部屋に入れるよ」
【ハク】
「お願いします」
【緑川】
「そうしたらユキもようやく先輩だな」
あのことがあって、本当にツケは帳消しになったらしい。
今はまだまだ下っ端ホストだが、どうにか俺もホストとしてやっていくことが出来ている。
【緑川】
「……どこ、行ったんだろうな」
【ハク】
「……」
……桃島さんの行方を、誰も、緑川さんですら知らないまま―――。
桃島さんのいない日々が、ずっと続いていた……。
完