[本編] 桃島 光彦 編
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―――後悔先に立たず。
よく言ったものだ。
俺は結局ツケにして行方をくらました客を見つけることが出来ず……。
ついに本部のお偉い方が、うちのクラブを訪ねてくることになってしまった―――。
【香月】
「ユキ……ハク 白ってお前か?」
【ハク】
「は、はいっ……!」
現れた男は白いスーツ姿で、その佇まいだけでただならぬ人物であることがわかる。
【ハク】
「……っ……」
返事はしたものの、何を言っていいかわからない。
沈黙が訪れる―――俺がしばらく震えながら待っていると、相手の男がゆっくりと口を開いた。
【香月】
「俺は香月。……ここの経営者だ」
【ハク】
(経営者……!)
経営者が出てくるほどの事態を俺は起こしてしまったのだろうか。
ごくりと唾を飲みこむ。
【香月】
「ツケた客に逃げられたそうじゃねえか」
【ハク】
「すっすみません……俺も……わからなくって……!」
【香月】
「お前みたいな新人の分際でそもそもツケの客取ろうなんて」
【香月】
「考えが甘いんだよ!」
―――ガン! と香月が足元のローテーブルを蹴った。
【ハク】
「ひっ……!」
【香月】
「……まあ、お前には考えてもらいたいことがいろいろとあるしな」
【香月】
「どう落とし前付けるか考えろ」
【ハク】
「落とし前……」
目の前の男はどうみてもヤクザだ。
【ハク】
(ホストとかヤクザの落とし前って……どうすれば……!?)
じっとりと冷や汗がシャツに染みていく。
【香月】
「ほら、何か言えよ? なあ?」
【ハク】
「っ……!」
【ハク】
(どうしよう……!)
……すると、その時。
【赤屋】
「香月さん!」
【香月】
「……赤屋か。どうしたんだ、こんなところに来て」
【赤屋】
「実は急ぎで香月さんに見てもらいたい書類があって……」
俺は目の前の光景が信じられなかった。
【ハク】
「リ……リュウ……!?」
【赤屋】
「え? ……ハク!?」
【ハク】
「どうしてここに……!?」
そこにいたのは、かつて同じ高校に通っていた……
赤屋竜次だった。
【香月】
「……赤屋、知り合いか?」
【赤屋】
「はい、あの、昔……ちょっと」
【香月】
「……ふうん」
【赤屋】
「それよりお前の方こそだよ。ここはうちの組がやってるホストクラブだぞ?」
【赤屋】
「まさか……ハクがホスト!?」
【ハク】
「えっと……その、うん……いろいろ事情があって……」
【赤屋】
「お前そういうのやりそうに見えなかったけどな」
【ハク】
(赤屋だってまさかヤクザの一味になってるなんて思わなかったよ!)
そう思ったけれど、さすがに香月さんの前では言うことが出来なかった。
【香月】
「……仕方ない。じゃあ今回は処分はなし……」
【香月】
「その代わり、給料からツケ分を天引きさせてもらう」
【香月】
「赤屋のよしみということにしておいてやろう」
【香月】
「……感謝するんだな」
【ハク】
「あ、ありがとうございます!」
【赤屋】
「……なんだかわかんねえけど、頑張れよ、ハク」
【ハク】
「ありがとう、赤屋」
―――とりあえず最大のピンチは切り抜けることが出来た。
……しかし、あれごときで逃れられると思ったら大間違いだったのだ。
【緑川】
「……ユキ。まあ、仕方ないことだけど……それにしたって売上落ちすぎだよ」
【緑川】
「もうちょっと頑張って」
【ハク】
「はい……」
そもそも俺のような新人ホストに指名客が付いているということ自体、異常なことだった。
ツケにしたあの日から矢追さんは一度たりとて店に訪れるはずもなく……。
俺の悲壮な顔を見た数人の指名客も別のベテランホストに指名が流れてしまった。
【桃島】
「ハクさーん、ヘルプついてもらえる?」
【ハク】
「あっ、ありがとうございます、桃島さん……」
【桃島】
「……辛気臭いカオしないでって。……客の前は笑顔で、でしょ?」
俺は桃島さんにこう答えた。
【ハク】
「できるだけ頑張ります」
【桃島】
「……ったく」
俺はお情けで桃島さんのヘルプに入る程度。
売上は激減。
ただでさえ少ない売上から毎日ツケの分を引かれてしまえば……
俺の収入は本当にわずかなものとなってしまった。
(ナンバー5とか、桃島さんを抜いたとか……今じゃ幻みたいだ)
俺の写真は隅に飾られ、緑川さんや桃島さんと位置を比べるのも差し出がましい。
―――そして、数日後。
【緑川】
「……本当にこういう事を言うのは心苦しいんだけど……」
【ハク】
「期限切れって……!?」
【緑川】
「香月さんから送られてきた天引き契約書に、期間が設けられていてね……」
1週間以内にツケの分を全額返金しなければ、罰則を科す……と緑川さんに説明された。
【ハク】
「そんな……無理に決まってます!」
よく言ったものだ。
俺は結局ツケにして行方をくらました客を見つけることが出来ず……。
ついに本部のお偉い方が、うちのクラブを訪ねてくることになってしまった―――。
【香月】
「ユキ……ハク 白ってお前か?」
【ハク】
「は、はいっ……!」
現れた男は白いスーツ姿で、その佇まいだけでただならぬ人物であることがわかる。
【ハク】
「……っ……」
返事はしたものの、何を言っていいかわからない。
沈黙が訪れる―――俺がしばらく震えながら待っていると、相手の男がゆっくりと口を開いた。
【香月】
「俺は香月。……ここの経営者だ」
【ハク】
(経営者……!)
経営者が出てくるほどの事態を俺は起こしてしまったのだろうか。
ごくりと唾を飲みこむ。
【香月】
「ツケた客に逃げられたそうじゃねえか」
【ハク】
「すっすみません……俺も……わからなくって……!」
【香月】
「お前みたいな新人の分際でそもそもツケの客取ろうなんて」
【香月】
「考えが甘いんだよ!」
―――ガン! と香月が足元のローテーブルを蹴った。
【ハク】
「ひっ……!」
【香月】
「……まあ、お前には考えてもらいたいことがいろいろとあるしな」
【香月】
「どう落とし前付けるか考えろ」
【ハク】
「落とし前……」
目の前の男はどうみてもヤクザだ。
【ハク】
(ホストとかヤクザの落とし前って……どうすれば……!?)
じっとりと冷や汗がシャツに染みていく。
【香月】
「ほら、何か言えよ? なあ?」
【ハク】
「っ……!」
【ハク】
(どうしよう……!)
……すると、その時。
【赤屋】
「香月さん!」
【香月】
「……赤屋か。どうしたんだ、こんなところに来て」
【赤屋】
「実は急ぎで香月さんに見てもらいたい書類があって……」
俺は目の前の光景が信じられなかった。
【ハク】
「リ……リュウ……!?」
【赤屋】
「え? ……ハク!?」
【ハク】
「どうしてここに……!?」
そこにいたのは、かつて同じ高校に通っていた……
赤屋竜次だった。
【香月】
「……赤屋、知り合いか?」
【赤屋】
「はい、あの、昔……ちょっと」
【香月】
「……ふうん」
【赤屋】
「それよりお前の方こそだよ。ここはうちの組がやってるホストクラブだぞ?」
【赤屋】
「まさか……ハクがホスト!?」
【ハク】
「えっと……その、うん……いろいろ事情があって……」
【赤屋】
「お前そういうのやりそうに見えなかったけどな」
【ハク】
(赤屋だってまさかヤクザの一味になってるなんて思わなかったよ!)
そう思ったけれど、さすがに香月さんの前では言うことが出来なかった。
【香月】
「……仕方ない。じゃあ今回は処分はなし……」
【香月】
「その代わり、給料からツケ分を天引きさせてもらう」
【香月】
「赤屋のよしみということにしておいてやろう」
【香月】
「……感謝するんだな」
【ハク】
「あ、ありがとうございます!」
【赤屋】
「……なんだかわかんねえけど、頑張れよ、ハク」
【ハク】
「ありがとう、赤屋」
―――とりあえず最大のピンチは切り抜けることが出来た。
……しかし、あれごときで逃れられると思ったら大間違いだったのだ。
【緑川】
「……ユキ。まあ、仕方ないことだけど……それにしたって売上落ちすぎだよ」
【緑川】
「もうちょっと頑張って」
【ハク】
「はい……」
そもそも俺のような新人ホストに指名客が付いているということ自体、異常なことだった。
ツケにしたあの日から矢追さんは一度たりとて店に訪れるはずもなく……。
俺の悲壮な顔を見た数人の指名客も別のベテランホストに指名が流れてしまった。
【桃島】
「ハクさーん、ヘルプついてもらえる?」
【ハク】
「あっ、ありがとうございます、桃島さん……」
【桃島】
「……辛気臭いカオしないでって。……客の前は笑顔で、でしょ?」
俺は桃島さんにこう答えた。
【ハク】
「できるだけ頑張ります」
【桃島】
「……ったく」
俺はお情けで桃島さんのヘルプに入る程度。
売上は激減。
ただでさえ少ない売上から毎日ツケの分を引かれてしまえば……
俺の収入は本当にわずかなものとなってしまった。
(ナンバー5とか、桃島さんを抜いたとか……今じゃ幻みたいだ)
俺の写真は隅に飾られ、緑川さんや桃島さんと位置を比べるのも差し出がましい。
―――そして、数日後。
【緑川】
「……本当にこういう事を言うのは心苦しいんだけど……」
【ハク】
「期限切れって……!?」
【緑川】
「香月さんから送られてきた天引き契約書に、期間が設けられていてね……」
1週間以内にツケの分を全額返金しなければ、罰則を科す……と緑川さんに説明された。
【ハク】
「そんな……無理に決まってます!」
