[本編] 桃島 光彦 編
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―――開店前、クラブに集まったホストたちは皆そわそわしていた。
今日からこのクラブでは『イベント』が始まるからだ―――。
【緑川】
「というわけで、以前から知らせてあった通り、今日からダーツイベントやります」
【緑川】
「……そういえばユキはイベントって初めてだよな。説明しておこうか」
【ハク】
「はい、お願いします!」
【緑川】
「簡単に言うと、1週間通してポイントをたくさん集めた人が勝ち……って感じのゲームイベント」
【緑川】
「今回はダーツだから、お客さんに1本1万円で矢を買ってもらう」
【ハク】
「1回1万円……!?」
【緑川】
「ダーツ自体のポイントは関係ないから、全然できなくても普通に楽しんでもらえればOK」
【緑川】
「競うのは……こっち」
緑川さんがダーツの矢を意味ありげに見せてくれた。
【緑川】
「期間内にこの矢をお客さんに何本買ってもらえたかで競うんだ」
【ハク】
「じゃあ……たくさん買ってもらえれば勝ち、ってことですか」
【緑川】
「もちろん通常の売り上げにも換算されるけど」
【緑川】
「イベント中はこのダーツ1回につき、チケットが一枚ホストに進呈される」
【桃島】
「チケット1枚につき3,000円バック。まあチップって考えてもらえればわかりやすいだろ」
【桃島】
「このチケットは次のランキングにダイレクトに影響する」
【緑川】
「バックもあるって思えば、けっこう頑張れるだろ」
【ハク】
「はい……そう、ですね……」
【ハク】
(すごいな……あれ1本投げるのに1万!?)
【ハク】
(本当……お金ってあるところにはあるんだなぁ……)
その金額で簡単なダーツセットぐらい買えてしまいそうなものだが、お客の目的もそこではないのだろう。
【緑川】
「ってわけで、イベントは大々的に告知もしてるし、お客様もいつもより足しげく通ってくれるし」
【緑川】
「気合い入れていこーね」
【桃島】
「はいっ」
【ハク】
「はいっ!」
【ハク】
(初めてのイベント……頑張ろう!)
【ハク】
(でも、常連のマダムは今週来られないって言ってたな……)
【ハク】
(まあ、俺には矢追さんがいるし)
相変わらずオネエの矢追さんは足しげく通ってくれていた。
変わらず高いオーダーを入れ続けてくれていて、俺の売り上げも安定して上がっている。
【ハク】
(矢追さんって何してる人なんだろう……まあ、プライベートの詮索は厳禁だけど)
【ハク】
(週に3……4回は来てくれてるもんな……1回10万としたって……)
単純計算でもそうとうな金を俺に落としてくれていることになる。
【ハク】
(俺にそんな魅力、あるのかな……)
そんな風に考え事をしていたら、桃島さんに話しかけられた。
【桃島】
「今回は強敵サンがいるからねー。俺も営業頑張らないと」
【ハク】
「えっ……俺のことですか?」
【桃島】
「あんだけガッチリ客掴んでんだもん、当たり前でしょ」
【ハク】
「そう……ですか」
【緑川】
「ユキの存在はいい刺激になってる」
【緑川】
「ホストにはお客を思う心さえあれば、歴なんか関係ないって証明されたようなものだから」
【ハク】
「緑川さん……!」
【ハク】
(……そうだよな。自分で自分のことを信じないと、ホストの皆さんにも、矢追さんにも失礼だ)
【ハク】
(イベント、頑張ろう!)
【矢追】
「ユキくん、いるかしら?」
今日も矢追さんはホストクラブにやってきてくれた。
【桃島】
「お待ちしてました、矢追様。ユキ、今呼んで来ますよ」
【矢追】
「あっ、いたいた。ユキく~ん!」
【ハク】
「矢追さん! いらっしゃいませ」
【桃島】
「ユキもあなたに会いたがってましたから」
【矢追】
「アラッ、嬉しいこと言ってくれるじゃな~い」
【桃島】
「実は今日からイベントなんスよ」
【矢追】
「イベント?」
【ハク】
「ダーツイベントです。お客様もホストも楽しんでもらえますので是非」
ダーツに関して、客に矢を買ってもらう方法はいくつかあると思う。
たとえば、ダーツが得意でかっこよく投げることができれば、何度も見たいと客は矢をたくさん買ってくれる。
【ハク】
(でも……俺はダーツなんかやったことないし)
【矢追】
「まあ、……ユキくんはダーツ、お得意なの?」
【ハク】
「それが、全然」
だから俺はあえて素直にこう言うことで……一か八か、矢追さんの反応を見ることにする。
【矢追】
「あら、そうなの」
【矢追】
「じゃあ……失敗してもいいようにたくさん買ってあげないとね」
【ハク】
「本当ですか!? ありがとうございます!」
【矢追】
「……ふふっ。ユキくんのためだもの。奮発ぐらいさせてちょうだい」
【ハク】
(成功したっ!)
矢追さんはまとめて20本、俺に矢を買ってくれた。
【桃島】
「……!」
【ハク】
「ありがたいですよね、俺のために」
さすがに金払いのいい矢追さんに、桃島さんも驚いていた。
抱えているお客さんの数が、緑川さんや桃島さんはケタが違う。
だから、俺のような新参ホストにとって本来イベントは結構キツいものだ。
だけど……。
【桃島】
「あれ……また買ってもらったの?」
今日からこのクラブでは『イベント』が始まるからだ―――。
【緑川】
「というわけで、以前から知らせてあった通り、今日からダーツイベントやります」
【緑川】
「……そういえばユキはイベントって初めてだよな。説明しておこうか」
【ハク】
「はい、お願いします!」
【緑川】
「簡単に言うと、1週間通してポイントをたくさん集めた人が勝ち……って感じのゲームイベント」
【緑川】
「今回はダーツだから、お客さんに1本1万円で矢を買ってもらう」
【ハク】
「1回1万円……!?」
【緑川】
「ダーツ自体のポイントは関係ないから、全然できなくても普通に楽しんでもらえればOK」
【緑川】
「競うのは……こっち」
緑川さんがダーツの矢を意味ありげに見せてくれた。
【緑川】
「期間内にこの矢をお客さんに何本買ってもらえたかで競うんだ」
【ハク】
「じゃあ……たくさん買ってもらえれば勝ち、ってことですか」
【緑川】
「もちろん通常の売り上げにも換算されるけど」
【緑川】
「イベント中はこのダーツ1回につき、チケットが一枚ホストに進呈される」
【桃島】
「チケット1枚につき3,000円バック。まあチップって考えてもらえればわかりやすいだろ」
【桃島】
「このチケットは次のランキングにダイレクトに影響する」
【緑川】
「バックもあるって思えば、けっこう頑張れるだろ」
【ハク】
「はい……そう、ですね……」
【ハク】
(すごいな……あれ1本投げるのに1万!?)
【ハク】
(本当……お金ってあるところにはあるんだなぁ……)
その金額で簡単なダーツセットぐらい買えてしまいそうなものだが、お客の目的もそこではないのだろう。
【緑川】
「ってわけで、イベントは大々的に告知もしてるし、お客様もいつもより足しげく通ってくれるし」
【緑川】
「気合い入れていこーね」
【桃島】
「はいっ」
【ハク】
「はいっ!」
【ハク】
(初めてのイベント……頑張ろう!)
【ハク】
(でも、常連のマダムは今週来られないって言ってたな……)
【ハク】
(まあ、俺には矢追さんがいるし)
相変わらずオネエの矢追さんは足しげく通ってくれていた。
変わらず高いオーダーを入れ続けてくれていて、俺の売り上げも安定して上がっている。
【ハク】
(矢追さんって何してる人なんだろう……まあ、プライベートの詮索は厳禁だけど)
【ハク】
(週に3……4回は来てくれてるもんな……1回10万としたって……)
単純計算でもそうとうな金を俺に落としてくれていることになる。
【ハク】
(俺にそんな魅力、あるのかな……)
そんな風に考え事をしていたら、桃島さんに話しかけられた。
【桃島】
「今回は強敵サンがいるからねー。俺も営業頑張らないと」
【ハク】
「えっ……俺のことですか?」
【桃島】
「あんだけガッチリ客掴んでんだもん、当たり前でしょ」
【ハク】
「そう……ですか」
【緑川】
「ユキの存在はいい刺激になってる」
【緑川】
「ホストにはお客を思う心さえあれば、歴なんか関係ないって証明されたようなものだから」
【ハク】
「緑川さん……!」
【ハク】
(……そうだよな。自分で自分のことを信じないと、ホストの皆さんにも、矢追さんにも失礼だ)
【ハク】
(イベント、頑張ろう!)
【矢追】
「ユキくん、いるかしら?」
今日も矢追さんはホストクラブにやってきてくれた。
【桃島】
「お待ちしてました、矢追様。ユキ、今呼んで来ますよ」
【矢追】
「あっ、いたいた。ユキく~ん!」
【ハク】
「矢追さん! いらっしゃいませ」
【桃島】
「ユキもあなたに会いたがってましたから」
【矢追】
「アラッ、嬉しいこと言ってくれるじゃな~い」
【桃島】
「実は今日からイベントなんスよ」
【矢追】
「イベント?」
【ハク】
「ダーツイベントです。お客様もホストも楽しんでもらえますので是非」
ダーツに関して、客に矢を買ってもらう方法はいくつかあると思う。
たとえば、ダーツが得意でかっこよく投げることができれば、何度も見たいと客は矢をたくさん買ってくれる。
【ハク】
(でも……俺はダーツなんかやったことないし)
【矢追】
「まあ、……ユキくんはダーツ、お得意なの?」
【ハク】
「それが、全然」
だから俺はあえて素直にこう言うことで……一か八か、矢追さんの反応を見ることにする。
【矢追】
「あら、そうなの」
【矢追】
「じゃあ……失敗してもいいようにたくさん買ってあげないとね」
【ハク】
「本当ですか!? ありがとうございます!」
【矢追】
「……ふふっ。ユキくんのためだもの。奮発ぐらいさせてちょうだい」
【ハク】
(成功したっ!)
矢追さんはまとめて20本、俺に矢を買ってくれた。
【桃島】
「……!」
【ハク】
「ありがたいですよね、俺のために」
さすがに金払いのいい矢追さんに、桃島さんも驚いていた。
抱えているお客さんの数が、緑川さんや桃島さんはケタが違う。
だから、俺のような新参ホストにとって本来イベントは結構キツいものだ。
だけど……。
【桃島】
「あれ……また買ってもらったの?」