[本編] 桃島 光彦 編
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【ハク】
「矢追さん! 今日もご指名、ありがとうございます!」
また矢追さんが店を訪れてくれていた。
【矢追】
「見たわよォ、なに、ユキくんナンバー5入りしたの? すごいじゃなぁい!」
【ハク】
「矢追さんのおかげです。いつも……いいもの頼んでいただいて」
【矢追】
「あらァ、アタシはユキくんとおいしいお酒が飲みたいだけよ」
【ハク】
「でも、本当に矢追さんのおかげで……」
【ハク】
「俺も頑張るんで、これからもよろしくお願いします!」
【矢追】
「こちらこそ。……じゃあ今日はお祝いね、フルーツは盛り合わせにしましょ」
【ハク】
「ありがとうございます!」
【ハク】
(なんか……嬉しいな)
ここのところ、会社であんなことがあって、騙されて、家もなくなって……。
ホストになってから……、もちろん桃島さんや緑川さんは優しかった。
けれど、どこかで気を張りながら生きていたような気がする。
【ハク】
(こんな風に純粋に喜びを感じられるのって、久しぶりな気がする)
ホストなんて全然向いていないと思っていたけれど……。
【ハク】
(俺の接客で喜んでくれる人がいるんだ)
【ハク】
(俺も頑張らないと……ホストとして成長して行かなきゃ!)
【矢追】
「今日はね、アタシ、パチンコで勝ったのよ」
【矢追】
「だからお祝いも兼ねて大奮発しちゃうわァ~」
【ハク】
「ありがとうございます、矢追さん、俺、矢追さんといると幸せです」
本音をそう言うと、矢追さんも喜んでくれた。
【矢追】
「……その笑顔のために、アタシも頑張ってるのよ」
【ハク】
(ふぅ、今日も頑張ったな)
寮に戻り、一息つく。
指名を入れてもらって、特に矢追さんには高いものばかり頼んでもらって。
自分のドリンクはちゃっかりノンアルコール。
おかげで体調も悪くならず、気持ちに余裕も出てきた。
時計を見れば、午前4時。
ミーティングを終え、掃除をしてから店を出るとどうしてもこの時間になってしまう。
【ハク】
「……そういえば、桃島さん、まだ……」
桃島さんが帰っていないことに気付く。
最初は気を使ってくれていたのか、一緒に寮まで帰ってきていた。
でもこの頃は寮に帰る前にどこかに寄っているらしく、ばらばらに帰っている。
【ハク】
(桃島さん……起きたあと部屋にいないこともあったな……)
どこかにでかけているのだろうか?
【ハク】
「……ん?」
すると、寮の外からエンジン音が聞こえる。
こんな時間に出入りするのはほとんど同業者だけだ。
【ハク】
「桃島さんが帰ってきたのかも……」
そう思い窓から外を見る。
【水野】
「桃島さん、ほんっとキレイな顔してますよねー」
【桃島】
「……」
【水野】
「黙りこくんないでくださいってば。俺、いつも桃島さんに会えるの楽しみにしてんスよ?」
【桃島】
「……うるせぇ」
【水野】
「そんな愛想ない顔しないでくださいってば」
【桃島】
「……」
【香月】
「ヤス、帰るぞ」
【水野】
「あっ、香月さん、お待たせしています!」
【香月】
「ヤスも物好きだな、……そんな野良犬が可愛いのかよ?」
【水野】
「香月さんこそですよ」
【桃島】
「……」
【香月】
「そんな顔をする権利はないはずだけどな?」
【桃島】
「……顔まであんたに許可取んのかよ」
【香月】
「いや。……そんなことしたら面白くねえからな」
そう言って何やら高そうなスーツを着た男とその運転手らしき男は去って行った。
【桃島】
「……」
桃島さんは何も言わないまま、寮の前で立ち尽くしていた。
【ハク】
(なんだろう、あれ。それに……誰なんだろう、あの人たち)
ただならぬ雰囲気だった。
知り合いでもないし、ちゃんとした格好をしているのに……桃島さんへの態度が妙に不快だ。
【ハク】
(桃島さん……あんな人たちと、何を……?)
続く…
「矢追さん! 今日もご指名、ありがとうございます!」
また矢追さんが店を訪れてくれていた。
【矢追】
「見たわよォ、なに、ユキくんナンバー5入りしたの? すごいじゃなぁい!」
【ハク】
「矢追さんのおかげです。いつも……いいもの頼んでいただいて」
【矢追】
「あらァ、アタシはユキくんとおいしいお酒が飲みたいだけよ」
【ハク】
「でも、本当に矢追さんのおかげで……」
【ハク】
「俺も頑張るんで、これからもよろしくお願いします!」
【矢追】
「こちらこそ。……じゃあ今日はお祝いね、フルーツは盛り合わせにしましょ」
【ハク】
「ありがとうございます!」
【ハク】
(なんか……嬉しいな)
ここのところ、会社であんなことがあって、騙されて、家もなくなって……。
ホストになってから……、もちろん桃島さんや緑川さんは優しかった。
けれど、どこかで気を張りながら生きていたような気がする。
【ハク】
(こんな風に純粋に喜びを感じられるのって、久しぶりな気がする)
ホストなんて全然向いていないと思っていたけれど……。
【ハク】
(俺の接客で喜んでくれる人がいるんだ)
【ハク】
(俺も頑張らないと……ホストとして成長して行かなきゃ!)
【矢追】
「今日はね、アタシ、パチンコで勝ったのよ」
【矢追】
「だからお祝いも兼ねて大奮発しちゃうわァ~」
【ハク】
「ありがとうございます、矢追さん、俺、矢追さんといると幸せです」
本音をそう言うと、矢追さんも喜んでくれた。
【矢追】
「……その笑顔のために、アタシも頑張ってるのよ」
【ハク】
(ふぅ、今日も頑張ったな)
寮に戻り、一息つく。
指名を入れてもらって、特に矢追さんには高いものばかり頼んでもらって。
自分のドリンクはちゃっかりノンアルコール。
おかげで体調も悪くならず、気持ちに余裕も出てきた。
時計を見れば、午前4時。
ミーティングを終え、掃除をしてから店を出るとどうしてもこの時間になってしまう。
【ハク】
「……そういえば、桃島さん、まだ……」
桃島さんが帰っていないことに気付く。
最初は気を使ってくれていたのか、一緒に寮まで帰ってきていた。
でもこの頃は寮に帰る前にどこかに寄っているらしく、ばらばらに帰っている。
【ハク】
(桃島さん……起きたあと部屋にいないこともあったな……)
どこかにでかけているのだろうか?
【ハク】
「……ん?」
すると、寮の外からエンジン音が聞こえる。
こんな時間に出入りするのはほとんど同業者だけだ。
【ハク】
「桃島さんが帰ってきたのかも……」
そう思い窓から外を見る。
【水野】
「桃島さん、ほんっとキレイな顔してますよねー」
【桃島】
「……」
【水野】
「黙りこくんないでくださいってば。俺、いつも桃島さんに会えるの楽しみにしてんスよ?」
【桃島】
「……うるせぇ」
【水野】
「そんな愛想ない顔しないでくださいってば」
【桃島】
「……」
【香月】
「ヤス、帰るぞ」
【水野】
「あっ、香月さん、お待たせしています!」
【香月】
「ヤスも物好きだな、……そんな野良犬が可愛いのかよ?」
【水野】
「香月さんこそですよ」
【桃島】
「……」
【香月】
「そんな顔をする権利はないはずだけどな?」
【桃島】
「……顔まであんたに許可取んのかよ」
【香月】
「いや。……そんなことしたら面白くねえからな」
そう言って何やら高そうなスーツを着た男とその運転手らしき男は去って行った。
【桃島】
「……」
桃島さんは何も言わないまま、寮の前で立ち尽くしていた。
【ハク】
(なんだろう、あれ。それに……誰なんだろう、あの人たち)
ただならぬ雰囲気だった。
知り合いでもないし、ちゃんとした格好をしているのに……桃島さんへの態度が妙に不快だ。
【ハク】
(桃島さん……あんな人たちと、何を……?)
続く…
