[本編] 桃島 光彦 編
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【フロント】
「ユキさん、ご指名です」
【ハク】
「はいっ、今行きます!」
【ハク】
(―――俺もすっかりホストだなぁ……)
そう思いながらお客様を出迎える。
【女性客】
「あーらぁ、ユキちゃん。待っててくれたのね!」
【ハク】
「お待ちしていました。今日もお話ししてくださいね!」
今日は前回ヘルプで入ったマダムのお客様が、初めて俺に指名を入れてくれたのだ。
【女性客】
「もう、可愛いんだからっ」
【ハク】
「そんなことないです。俺なんかよりあなたの方がずっと可愛らしいです」
【女性客】
「きゃっ……もう、ユキちゃんってば何なのぉ!」
そんな俺のことを、後ろから見ているふたり。
【桃島】
「……」
【緑川】
「彼……結構いい感じじゃない?」
【桃島】
「指名もらっちゃうとかホント……ラッキーっつーか……」
【緑川】
「実力なんでしょ、あれが」
【桃島】
「実力かもしれないっスけど……」
お客様を奥のソファにご案内して、ドリンクメニューを差し出す。
【ハク】
「本日のおすすめカクテルは当クラブオリジナル、『アップルサンセット』です」
【女性客】
「あら、りんごのカクテル?」
【ハク】
「はい!」
【女性客】
「ショート? ロング?」
すると女性は、カクテルについてさらに突っ込んだ質問をしてきた。
【ハク】
「へ?」
【女性客】
「りんごはシャーベット? それとも温めたもの?」
【ハク】
「え、えっと……」
【ハク】
(やばい、なんだっけ……!?)
日替わりになる酒の名前を覚えるのに必死で、どんなカクテルかすっかり頭から抜けてしまった。
【ハク】
「え、っと……」
【ハク】
(なんだっけ、思い出せ……!)
だが、カクテルの見本写真さえ思い出せない。
【女性客】
「……もしかして覚えてらっしゃらないの?」
【女性客】
「あたしに薦めたカクテルなのに?」
【ハク】
「えっと、その……」
【ハク】
(やばい……これはクレームになる……!)
【ハク】
(初指名なのに、やらかしたっ……)
焦っているせいか、じんわり脂汗をかいてしまう。マダムが俺のことを睨んでいる気さえした。
【ハク】
「申し訳ありません……」
【女性客】
「あら、そんなものを薦めたの?」
【ハク】
「違っ……! その……お客様のことを考えていたら……忘れてしまって……」
【女性客】
「……!」
俺のその言葉に、女性は頬を染めた。
【ハク】
(あれ……? もしかして、助かった……?)
【ハク】
(指名が取れて浮かれてたせいだけど……もしかして別の意味に取られた?)
【女性客】
「いいわ、それ……ちょうだい。あなたの分もよ。あたしと飲んだら忘れないでしょう?」
【ハク】
「あ、ありがとうございます! もちろん、忘れないです!」
【ハク】
(良かった……! 何とか切り抜けられた……)
【桃島】
「あんなの、アリなんスか?」
【緑川】
「お説教が必要だね。……でも、彼はあのくらいの方がいいのかもね」
【桃島】
「天然キャラとかずるいですよ。俺、必死で酒覚えたのに」
【緑川】
「こらこら、嫉妬しないの。テル」
【桃島】
「……はい……」
【ハク】
「いかがですか? サンセットのお味は」
【女性客】
「うん……若いころ、亡くなった主人と見た素敵な夕日を思い起こさせるわ」
【ハク】
「それは良かったです」
【女性客】
「ねえ、あたし……あなたの男らしいところ、見てみたいわ」
【ハク】
「男らしいところ……ですか?」
【女性客】
「お酒……お強いんでしょう?」
【ハク】
(来たっ……)
よくあるこのフリ。
酒の弱い俺には鬼門だった。
……今までは。
【ハク】
「そんなことないですよ……」
【ハク】
「こんなに飲んだら真っ赤になっちゃいます」
【女性客】
「本当にぃ?」
【ハク】
「見てみますか?」
そう言って俺はグラスを一気に煽った。
……けれど、顔は赤くならないし、頭もくらくらしない。
【女性客】
「やっぱり強いんじゃない」
【ハク】
「そんなことないですよ」
【ハク】
(実はこれ、ジンジャー・エールなんだよね……)
あの時以来、酒でトラブルは起こすまいと誓った。
ドリンカーさんに頼んで、俺の飲み物は全部ノンアルコールにしてもらっている。
【ハク】
(……やっと、ホストらしくなってきたって感じかな……)
「ユキさん、ご指名です」
【ハク】
「はいっ、今行きます!」
【ハク】
(―――俺もすっかりホストだなぁ……)
そう思いながらお客様を出迎える。
【女性客】
「あーらぁ、ユキちゃん。待っててくれたのね!」
【ハク】
「お待ちしていました。今日もお話ししてくださいね!」
今日は前回ヘルプで入ったマダムのお客様が、初めて俺に指名を入れてくれたのだ。
【女性客】
「もう、可愛いんだからっ」
【ハク】
「そんなことないです。俺なんかよりあなたの方がずっと可愛らしいです」
【女性客】
「きゃっ……もう、ユキちゃんってば何なのぉ!」
そんな俺のことを、後ろから見ているふたり。
【桃島】
「……」
【緑川】
「彼……結構いい感じじゃない?」
【桃島】
「指名もらっちゃうとかホント……ラッキーっつーか……」
【緑川】
「実力なんでしょ、あれが」
【桃島】
「実力かもしれないっスけど……」
お客様を奥のソファにご案内して、ドリンクメニューを差し出す。
【ハク】
「本日のおすすめカクテルは当クラブオリジナル、『アップルサンセット』です」
【女性客】
「あら、りんごのカクテル?」
【ハク】
「はい!」
【女性客】
「ショート? ロング?」
すると女性は、カクテルについてさらに突っ込んだ質問をしてきた。
【ハク】
「へ?」
【女性客】
「りんごはシャーベット? それとも温めたもの?」
【ハク】
「え、えっと……」
【ハク】
(やばい、なんだっけ……!?)
日替わりになる酒の名前を覚えるのに必死で、どんなカクテルかすっかり頭から抜けてしまった。
【ハク】
「え、っと……」
【ハク】
(なんだっけ、思い出せ……!)
だが、カクテルの見本写真さえ思い出せない。
【女性客】
「……もしかして覚えてらっしゃらないの?」
【女性客】
「あたしに薦めたカクテルなのに?」
【ハク】
「えっと、その……」
【ハク】
(やばい……これはクレームになる……!)
【ハク】
(初指名なのに、やらかしたっ……)
焦っているせいか、じんわり脂汗をかいてしまう。マダムが俺のことを睨んでいる気さえした。
【ハク】
「申し訳ありません……」
【女性客】
「あら、そんなものを薦めたの?」
【ハク】
「違っ……! その……お客様のことを考えていたら……忘れてしまって……」
【女性客】
「……!」
俺のその言葉に、女性は頬を染めた。
【ハク】
(あれ……? もしかして、助かった……?)
【ハク】
(指名が取れて浮かれてたせいだけど……もしかして別の意味に取られた?)
【女性客】
「いいわ、それ……ちょうだい。あなたの分もよ。あたしと飲んだら忘れないでしょう?」
【ハク】
「あ、ありがとうございます! もちろん、忘れないです!」
【ハク】
(良かった……! 何とか切り抜けられた……)
【桃島】
「あんなの、アリなんスか?」
【緑川】
「お説教が必要だね。……でも、彼はあのくらいの方がいいのかもね」
【桃島】
「天然キャラとかずるいですよ。俺、必死で酒覚えたのに」
【緑川】
「こらこら、嫉妬しないの。テル」
【桃島】
「……はい……」
【ハク】
「いかがですか? サンセットのお味は」
【女性客】
「うん……若いころ、亡くなった主人と見た素敵な夕日を思い起こさせるわ」
【ハク】
「それは良かったです」
【女性客】
「ねえ、あたし……あなたの男らしいところ、見てみたいわ」
【ハク】
「男らしいところ……ですか?」
【女性客】
「お酒……お強いんでしょう?」
【ハク】
(来たっ……)
よくあるこのフリ。
酒の弱い俺には鬼門だった。
……今までは。
【ハク】
「そんなことないですよ……」
【ハク】
「こんなに飲んだら真っ赤になっちゃいます」
【女性客】
「本当にぃ?」
【ハク】
「見てみますか?」
そう言って俺はグラスを一気に煽った。
……けれど、顔は赤くならないし、頭もくらくらしない。
【女性客】
「やっぱり強いんじゃない」
【ハク】
「そんなことないですよ」
【ハク】
(実はこれ、ジンジャー・エールなんだよね……)
あの時以来、酒でトラブルは起こすまいと誓った。
ドリンカーさんに頼んで、俺の飲み物は全部ノンアルコールにしてもらっている。
【ハク】
(……やっと、ホストらしくなってきたって感じかな……)