[本編] 桃島 光彦 編
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―――ホストクラブで働き始めて数日。
やっとこのきらびやかな空間にも、真新しいスーツ姿の自分にも見慣れてきた。
【桃島】
「ってわけで、今日からハクさん、俺のヘルプ付かなくていいから」
【ハク】
「えっ、ひとりでお客さんに付くんですか?」
【桃島】
「そ。大丈夫だって。今のハクさんなら立派にちゃんとホストできてるし」
【ハク】
「でっ、でもまだ、いろいろ、わからないこととか……」
【桃島】
「だーいじょーうぶ。ってか、わからないことは聞いてよ」
【桃島】
「その微妙に頼りなさそうなところも、お客には魅力として映るからヘーキだって」
【ハク】
「そんな……」
【ハク】
(頼りなさそうなところがいいって……それってどうなんだ……)
桃島さんの褒め言葉に喜んでいいのか困りながら、店のオープン準備をする。
【桃島】
「俺とか……あ、ほら、今日は緑川さんもいるし。何かあったら呼べばいいって」
【桃島】
「緑川さんが入れば大抵のトラブルはなんとかなるしね」
【ハク】
「は、はい……」
【ハク】
(緑川さん、か……)
桃島さんが緑川さんの名前を出すと、この間のことを思い出してしまう。
【ハク】
(寝言言ったり、ぼんやり見てたり……)
【ハク】
(桃島さんは緑川さんのこと……)
【桃島】
「あ、お客来た」
考えているタイミングで、お客様が来てしまう。
【桃島】
「じゃー頑張って。大丈夫、ハクさんならいけるって」
【ハク】
「えっ、あ、はいっ……」
桃島さんに背中を押され、俺は初めてひとりでの接客に向かった。
【桃島】
「お疲れサマ。よくやれてたじゃん」
【ハク】
「桃島さん!」
【桃島】
「飲み過ぎてもなかったし、イイ感じに話せただろ」
【ハク】
「はい……桃島さんにいろいろ教えてもらったおかげです」
【桃島】
「謙虚だなぁ、ま、そーゆートコがカワイイのかもね」
【ハク】
「桃島さん……」
【桃島】
「じゃ俺、次指名入ってるから行くわ」
【ハク】
「行ってらっしゃい」
わざわざ俺のところに来て、初接客を終えた俺を褒めに来てくれた。
【ハク】
(ちょっと不愛想に見えるけど、こういう気遣いはすごいよなあ……さすがホスト)
【ハク】
「いらっしゃいませ」
次にやってきた客は、どうやら入口の写真を見て自分を指名してくれたらしい。
【ハク】
「ご指名ありがとうございます、ユキです」
「いらっしゃいませ、ようこそ。ユキのお手伝いをさせていただきます、ショウです」
【ハク】
(緑川さん!?)
【ハク】
(緑川さんがどうして俺なんかのヘルプに……!?)
この店では後輩ホストが先輩ホストのヘルプにつくのが一般的だ。
だから緑川さんのような人が一番下っ端の俺のヘルプに入るなんて普通はあり得ない。
【ハク】
「え、っと……どうして……」
【緑川】
「ちょっと事情があるんだ」
【緑川】
「……向こうのテルが心配だから、ここで様子を見させてほしい」
【ハク】
「桃島さん……?」
そっと耳打ちしてくる緑川さん。
振替って桃島さんのついているテーブルを見ると……
桃島さんは今まで見たこともないぐらい酔っていた。
【桃島】
「俺の! 酒! 飲めなくないっスよねぇ?」
【桃島】
「そうそう。ああ、頼んでもらえるんスかぁ?」
【桃島】
「じゃあ俺、フルーツ食べてえなー」
【ハク】
(どうしたんだ、あれ……)
あんな風に饒舌でヘラヘラしている桃島さん、今まで見たことない。
【緑川】
「……心配だろう?」
【ハク】
「桃島さん、どうしてあんな風に……」
【緑川】
「わからない。今まで酔うところすらあんまり見せないヤツなんだけど……」
もちろんお客様には心を込めた接客を心がけた。
―――が、俺も緑川さんも、後ろのテーブルから聞こえる桃島さんの妙に明るい声に気を取られていた。
【緑川】
「……さて、今日はこれで閉店だけど……」
店のクローズ前のミーティング。
緑川さんが明日の指名客を確認し終えた……が。
【桃島】
「お疲れサマです、緑川さん!」
【緑川】
「テル……お前、やばくないか?」
【桃島】
「ヤバくなんかないっスよー」
足取りもおぼつかない状態で、とても大丈夫には見えない。
【緑川】
「おい、……ユキ、テルを頼む」
【ハク】
「はいっ!」
【桃島】
「だから、ヘーキだって言ってるんじゃん。ハクさんもお節介だなぁー」
【ハク】
「どっちにしろ、帰る先は一緒ですから……」
【緑川】
「普段、こんな風になることはないんだけどね……」
俺は桃島さんと肩を組むようにして抱きかかえる。
【ハク】
「……きっと、桃島さんにも飲みたくなる日があるんじゃないですか」
【緑川】
「……まあ、店で羽目を外さなかっただけいいけどね」
【ハク】
「俺が送っていくんで安心してください」
【緑川】
「頼むよ」
【桃島】
「安心してくださいよぉ、緑川さん!」
やっとこのきらびやかな空間にも、真新しいスーツ姿の自分にも見慣れてきた。
【桃島】
「ってわけで、今日からハクさん、俺のヘルプ付かなくていいから」
【ハク】
「えっ、ひとりでお客さんに付くんですか?」
【桃島】
「そ。大丈夫だって。今のハクさんなら立派にちゃんとホストできてるし」
【ハク】
「でっ、でもまだ、いろいろ、わからないこととか……」
【桃島】
「だーいじょーうぶ。ってか、わからないことは聞いてよ」
【桃島】
「その微妙に頼りなさそうなところも、お客には魅力として映るからヘーキだって」
【ハク】
「そんな……」
【ハク】
(頼りなさそうなところがいいって……それってどうなんだ……)
桃島さんの褒め言葉に喜んでいいのか困りながら、店のオープン準備をする。
【桃島】
「俺とか……あ、ほら、今日は緑川さんもいるし。何かあったら呼べばいいって」
【桃島】
「緑川さんが入れば大抵のトラブルはなんとかなるしね」
【ハク】
「は、はい……」
【ハク】
(緑川さん、か……)
桃島さんが緑川さんの名前を出すと、この間のことを思い出してしまう。
【ハク】
(寝言言ったり、ぼんやり見てたり……)
【ハク】
(桃島さんは緑川さんのこと……)
【桃島】
「あ、お客来た」
考えているタイミングで、お客様が来てしまう。
【桃島】
「じゃー頑張って。大丈夫、ハクさんならいけるって」
【ハク】
「えっ、あ、はいっ……」
桃島さんに背中を押され、俺は初めてひとりでの接客に向かった。
【桃島】
「お疲れサマ。よくやれてたじゃん」
【ハク】
「桃島さん!」
【桃島】
「飲み過ぎてもなかったし、イイ感じに話せただろ」
【ハク】
「はい……桃島さんにいろいろ教えてもらったおかげです」
【桃島】
「謙虚だなぁ、ま、そーゆートコがカワイイのかもね」
【ハク】
「桃島さん……」
【桃島】
「じゃ俺、次指名入ってるから行くわ」
【ハク】
「行ってらっしゃい」
わざわざ俺のところに来て、初接客を終えた俺を褒めに来てくれた。
【ハク】
(ちょっと不愛想に見えるけど、こういう気遣いはすごいよなあ……さすがホスト)
【ハク】
「いらっしゃいませ」
次にやってきた客は、どうやら入口の写真を見て自分を指名してくれたらしい。
【ハク】
「ご指名ありがとうございます、ユキです」
「いらっしゃいませ、ようこそ。ユキのお手伝いをさせていただきます、ショウです」
【ハク】
(緑川さん!?)
【ハク】
(緑川さんがどうして俺なんかのヘルプに……!?)
この店では後輩ホストが先輩ホストのヘルプにつくのが一般的だ。
だから緑川さんのような人が一番下っ端の俺のヘルプに入るなんて普通はあり得ない。
【ハク】
「え、っと……どうして……」
【緑川】
「ちょっと事情があるんだ」
【緑川】
「……向こうのテルが心配だから、ここで様子を見させてほしい」
【ハク】
「桃島さん……?」
そっと耳打ちしてくる緑川さん。
振替って桃島さんのついているテーブルを見ると……
桃島さんは今まで見たこともないぐらい酔っていた。
【桃島】
「俺の! 酒! 飲めなくないっスよねぇ?」
【桃島】
「そうそう。ああ、頼んでもらえるんスかぁ?」
【桃島】
「じゃあ俺、フルーツ食べてえなー」
【ハク】
(どうしたんだ、あれ……)
あんな風に饒舌でヘラヘラしている桃島さん、今まで見たことない。
【緑川】
「……心配だろう?」
【ハク】
「桃島さん、どうしてあんな風に……」
【緑川】
「わからない。今まで酔うところすらあんまり見せないヤツなんだけど……」
もちろんお客様には心を込めた接客を心がけた。
―――が、俺も緑川さんも、後ろのテーブルから聞こえる桃島さんの妙に明るい声に気を取られていた。
【緑川】
「……さて、今日はこれで閉店だけど……」
店のクローズ前のミーティング。
緑川さんが明日の指名客を確認し終えた……が。
【桃島】
「お疲れサマです、緑川さん!」
【緑川】
「テル……お前、やばくないか?」
【桃島】
「ヤバくなんかないっスよー」
足取りもおぼつかない状態で、とても大丈夫には見えない。
【緑川】
「おい、……ユキ、テルを頼む」
【ハク】
「はいっ!」
【桃島】
「だから、ヘーキだって言ってるんじゃん。ハクさんもお節介だなぁー」
【ハク】
「どっちにしろ、帰る先は一緒ですから……」
【緑川】
「普段、こんな風になることはないんだけどね……」
俺は桃島さんと肩を組むようにして抱きかかえる。
【ハク】
「……きっと、桃島さんにも飲みたくなる日があるんじゃないですか」
【緑川】
「……まあ、店で羽目を外さなかっただけいいけどね」
【ハク】
「俺が送っていくんで安心してください」
【緑川】
「頼むよ」
【桃島】
「安心してくださいよぉ、緑川さん!」