日ノ原 楓
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朝8時。執務室の前を通りかかると、物音がした。
―恐らく音の主は日ノ原だろう。理由は解っている。
ガチャリ
【日ノ原】
「わっ」
【万里】
「日ノ原か、早いな……」
【日ノ原】
「…なんだよ……、今忙しいんだから後にしてく」
【万里】
「ああ―探し物をしているんだろう。これのことじゃないか?」
日ノ原は俺が見せたモノ―日ノ原の携帯、を視界にいれるなり、顔をサっと青くする。
【万里】
「お前の携帯―小野寺のメールがいくつか保護されているな」
【日ノ原】
「なっ……何で……中身……!!」
【万里】
「そればかりか―小野寺の写真も嫌に多い気がするが……」
【日ノ原】
「かえせ!!返せよ……!!」
【万里】
「はは、日ノ原……お前、解り易い奴だな…。そんなに読まれ易いお前がエースとはな―」
【日ノ原】
「う…るさい……!お前……それ、どこで見つけたんだ…?!」
【万里】
「昨日、お前が落としていったんだぞ?持ち主を特定する為に仕方なく中を開いたまでだ」
【日ノ原】
「…ロックかけてた、のに……、何で……」
【万里】
「適当にパスをいれたら解除されたんでな」
【日ノ原】
「そんな…………!」
当然そんなエスパーのような芸当は出来ない。―御園に頼んで解除してもらったのだ。
【万里】
「お前がそういう嗜好だったとはなぁ…、叶わぬ恋ってやつか?―美しいな」
【日ノ原】
「やめろ……!そんなんじゃねぇ、よ…っ」
【万里】
「しかし小野寺は…あれで女にモテるんじゃないか?今だって女がいるはずだ」
【日ノ原】
「だから……!そういうんじゃねぇって……龍にぃは…俺の兄貴みたいなもんだ、から…」
【万里】
「兄貴?いつかは結婚でもして家庭を持てば、お前の事なんかかまっていられないだろう」
【日ノ原】
「………………っ…だから、なんだよ…それが、普通だろ……っ」
日ノ原は明らかに動揺していた。
恐らく日ノ原の感情は―、恋、と呼ぶ程生々しいものではなく、
もっと家族愛的なものに違いないのだが。
家庭を壊すまいとやっきになって支えているコイツにとって
小野寺は唯一安らぎの…甘えられる場所なんだろう。
それが―いつか失われてしまうかもしれない、という恐怖が根底にあり、自身を追い詰めている。
【万里】
「どうした?日ノ原…顔色が悪いぞ?」
【日ノ原】
「べ……つに…っ、……………」
【万里】
「しかし、お前の容姿なら―小野寺が女のように扱ってくれるかもしれないぞ?」
【日ノ原】
「……っ!お前……何なんだよ…!俺はそんなこと望んでないって…」
【万里】
「小野寺が女ではなく自分だけを見たら……、」
【万里】
「自分の元に帰ってきたら…と、想像したことはないのか?」
【日ノ原】
「……ねぇよ!気持ち悪ぃこと言いやがって…」
【万里】
「小野寺だってお前を可愛いと思ってるだろうさ―」
【万里】
「お前の為にわざわざ屋敷まで来たぐらいだからな」
【日ノ原】
「……!」
【万里】
「お前が男でなければ―、惚れ抜いて、大声でプロポーズでもしかねない勢いだ」
【日ノ原】
「………知るかよ」
【万里】
「残念だったなぁ…日ノ原。男に生まれたばっかりに…」
【日ノ原】
「ふざけんな!俺はプロ野球選手になるんだ……!男に生まれてなきゃ出来ない事だっ…!」
【万里】
「プロ野球選手になって―金を返して―お前の家族は幸せになって…」
【万里】
「その頃はちょうど小野寺も結婚している年齢だろう」
【万里】
「お前も―、そうか、女を捕まえて家庭を作ればいい。充実したいい人生だな―、日ノ原」
【日ノ原】
「………………っっ」
考えたくもない将来をチラつかされ、日ノ原は辛そうにうつむく。
【万里】
「日ノ原…?そんなに悲しそうな顔をするな…お前にだってチャンスはあるぞ」
【日ノ原】
「はぁ……!?!」
【万里】
「お前は幸いにもその容姿がある―」
【万里】
「着飾ってみれば、あるいは女よりも美しいかもしれないぞ」
【日ノ原】
「…ばっかじゃねえの。そんな事なんで俺が」
【万里】
「お前の真の望みを俺が見い出してやってるんだろう?」
【万里】
「そうだ―ちょうど大きめのメイド服があったな…着てみせろ」
【日ノ原】
「てめぇ…!人の話聞いてんのかよ…!」
【万里】
「聞いているさ。だから、お前の為に着てみろと言っている」
【日ノ原】
「着るわけねぇえだろ!誰が―そんなオカマみたいなこと…っ」
【万里】
「日ノ原―先ほどから大目に見ていたが、我慢の限界だな。」
【万里】
「誰に向かって口を聞いている?」
【日ノ原】
「………………っっ」
日ノ原はびくっ!と肩を震わせる。大分上下関係がカラダに染みついてきたようだ。
【万里】
「お前は―お前の家族は誰によって生かされてるんだ。言ってみろ」
【日ノ原】
「………っ、……です……」
【万里】
「もっとはっきり―、俺に聞こえるように言え」
【日ノ原】
「………………!」
【日ノ原】
「………ご主人、様、です……」
【万里】
「―そうだ、日ノ原……解ってるじゃないか。こっちへ来い」
【万里】
「ああ…日ノ原……やはり似合う。」
【日ノ原】
「…………!」
【万里】
「はは、可愛いぞ……どう見てもメイドだ」
日ノ原は心底嫌そうに下を向き、俺と目を合わせようとしない。
【万里】
「顔をあげろ、日ノ原」
【日ノ原】
「………っぅう……っ」
【万里】
「ふふ……」
日ノ原の整った瞳、長いまつ毛をゆっくりと鑑賞する。
【万里】
「日ノ原……男とうまくコミュニケーションとれるよう、練習するぞ。」
【万里】
「私のこといっぱい苛めて下さいませ…って言ってみろ」
【日ノ原】
「ッなんだよそれ……―ばかじゃねぇの……」
【万里】
「日ノ原…俺はお前の為を思って言ってるんだぞ?まだ解らないのか?」
【日ノ原】
「…………」
【万里】
「早くしろ。お前に選択の余地はない」
【日ノ原】
「………てめぇ…!ぶっ殺して…やる……!」
【万里】
「ふん?楽しみなことだ」
【日ノ原】
「く、そ…………!!!」
【万里】
「早くしろ」
【日ノ原】
「……っ、わ、…たし、こと……………てくださ……」
【万里】
「日ノ原…それじゃ全然駄目だ。もう一度。」
【日ノ原】
「っ私、のこと…いっぱ…い…いじめて…ください…ま、せ…!」
【万里】
「ふっ…はははは!」
【万里】
「…こんなに可愛い女―他にいないぞ。イイ子だな、楓は…」
【日ノ原】
「…………っ」
恥ずかしそうに絞り出される声。
なんて可哀そうで可愛い日ノ原。―俺は口の端をあげながらその頭を撫でてやった―。
fin
―恐らく音の主は日ノ原だろう。理由は解っている。
ガチャリ
【日ノ原】
「わっ」
【万里】
「日ノ原か、早いな……」
【日ノ原】
「…なんだよ……、今忙しいんだから後にしてく」
【万里】
「ああ―探し物をしているんだろう。これのことじゃないか?」
日ノ原は俺が見せたモノ―日ノ原の携帯、を視界にいれるなり、顔をサっと青くする。
【万里】
「お前の携帯―小野寺のメールがいくつか保護されているな」
【日ノ原】
「なっ……何で……中身……!!」
【万里】
「そればかりか―小野寺の写真も嫌に多い気がするが……」
【日ノ原】
「かえせ!!返せよ……!!」
【万里】
「はは、日ノ原……お前、解り易い奴だな…。そんなに読まれ易いお前がエースとはな―」
【日ノ原】
「う…るさい……!お前……それ、どこで見つけたんだ…?!」
【万里】
「昨日、お前が落としていったんだぞ?持ち主を特定する為に仕方なく中を開いたまでだ」
【日ノ原】
「…ロックかけてた、のに……、何で……」
【万里】
「適当にパスをいれたら解除されたんでな」
【日ノ原】
「そんな…………!」
当然そんなエスパーのような芸当は出来ない。―御園に頼んで解除してもらったのだ。
【万里】
「お前がそういう嗜好だったとはなぁ…、叶わぬ恋ってやつか?―美しいな」
【日ノ原】
「やめろ……!そんなんじゃねぇ、よ…っ」
【万里】
「しかし小野寺は…あれで女にモテるんじゃないか?今だって女がいるはずだ」
【日ノ原】
「だから……!そういうんじゃねぇって……龍にぃは…俺の兄貴みたいなもんだ、から…」
【万里】
「兄貴?いつかは結婚でもして家庭を持てば、お前の事なんかかまっていられないだろう」
【日ノ原】
「………………っ…だから、なんだよ…それが、普通だろ……っ」
日ノ原は明らかに動揺していた。
恐らく日ノ原の感情は―、恋、と呼ぶ程生々しいものではなく、
もっと家族愛的なものに違いないのだが。
家庭を壊すまいとやっきになって支えているコイツにとって
小野寺は唯一安らぎの…甘えられる場所なんだろう。
それが―いつか失われてしまうかもしれない、という恐怖が根底にあり、自身を追い詰めている。
【万里】
「どうした?日ノ原…顔色が悪いぞ?」
【日ノ原】
「べ……つに…っ、……………」
【万里】
「しかし、お前の容姿なら―小野寺が女のように扱ってくれるかもしれないぞ?」
【日ノ原】
「……っ!お前……何なんだよ…!俺はそんなこと望んでないって…」
【万里】
「小野寺が女ではなく自分だけを見たら……、」
【万里】
「自分の元に帰ってきたら…と、想像したことはないのか?」
【日ノ原】
「……ねぇよ!気持ち悪ぃこと言いやがって…」
【万里】
「小野寺だってお前を可愛いと思ってるだろうさ―」
【万里】
「お前の為にわざわざ屋敷まで来たぐらいだからな」
【日ノ原】
「……!」
【万里】
「お前が男でなければ―、惚れ抜いて、大声でプロポーズでもしかねない勢いだ」
【日ノ原】
「………知るかよ」
【万里】
「残念だったなぁ…日ノ原。男に生まれたばっかりに…」
【日ノ原】
「ふざけんな!俺はプロ野球選手になるんだ……!男に生まれてなきゃ出来ない事だっ…!」
【万里】
「プロ野球選手になって―金を返して―お前の家族は幸せになって…」
【万里】
「その頃はちょうど小野寺も結婚している年齢だろう」
【万里】
「お前も―、そうか、女を捕まえて家庭を作ればいい。充実したいい人生だな―、日ノ原」
【日ノ原】
「………………っっ」
考えたくもない将来をチラつかされ、日ノ原は辛そうにうつむく。
【万里】
「日ノ原…?そんなに悲しそうな顔をするな…お前にだってチャンスはあるぞ」
【日ノ原】
「はぁ……!?!」
【万里】
「お前は幸いにもその容姿がある―」
【万里】
「着飾ってみれば、あるいは女よりも美しいかもしれないぞ」
【日ノ原】
「…ばっかじゃねえの。そんな事なんで俺が」
【万里】
「お前の真の望みを俺が見い出してやってるんだろう?」
【万里】
「そうだ―ちょうど大きめのメイド服があったな…着てみせろ」
【日ノ原】
「てめぇ…!人の話聞いてんのかよ…!」
【万里】
「聞いているさ。だから、お前の為に着てみろと言っている」
【日ノ原】
「着るわけねぇえだろ!誰が―そんなオカマみたいなこと…っ」
【万里】
「日ノ原―先ほどから大目に見ていたが、我慢の限界だな。」
【万里】
「誰に向かって口を聞いている?」
【日ノ原】
「………………っっ」
日ノ原はびくっ!と肩を震わせる。大分上下関係がカラダに染みついてきたようだ。
【万里】
「お前は―お前の家族は誰によって生かされてるんだ。言ってみろ」
【日ノ原】
「………っ、……です……」
【万里】
「もっとはっきり―、俺に聞こえるように言え」
【日ノ原】
「………………!」
【日ノ原】
「………ご主人、様、です……」
【万里】
「―そうだ、日ノ原……解ってるじゃないか。こっちへ来い」
【万里】
「ああ…日ノ原……やはり似合う。」
【日ノ原】
「…………!」
【万里】
「はは、可愛いぞ……どう見てもメイドだ」
日ノ原は心底嫌そうに下を向き、俺と目を合わせようとしない。
【万里】
「顔をあげろ、日ノ原」
【日ノ原】
「………っぅう……っ」
【万里】
「ふふ……」
日ノ原の整った瞳、長いまつ毛をゆっくりと鑑賞する。
【万里】
「日ノ原……男とうまくコミュニケーションとれるよう、練習するぞ。」
【万里】
「私のこといっぱい苛めて下さいませ…って言ってみろ」
【日ノ原】
「ッなんだよそれ……―ばかじゃねぇの……」
【万里】
「日ノ原…俺はお前の為を思って言ってるんだぞ?まだ解らないのか?」
【日ノ原】
「…………」
【万里】
「早くしろ。お前に選択の余地はない」
【日ノ原】
「………てめぇ…!ぶっ殺して…やる……!」
【万里】
「ふん?楽しみなことだ」
【日ノ原】
「く、そ…………!!!」
【万里】
「早くしろ」
【日ノ原】
「……っ、わ、…たし、こと……………てくださ……」
【万里】
「日ノ原…それじゃ全然駄目だ。もう一度。」
【日ノ原】
「っ私、のこと…いっぱ…い…いじめて…ください…ま、せ…!」
【万里】
「ふっ…はははは!」
【万里】
「…こんなに可愛い女―他にいないぞ。イイ子だな、楓は…」
【日ノ原】
「…………っ」
恥ずかしそうに絞り出される声。
なんて可哀そうで可愛い日ノ原。―俺は口の端をあげながらその頭を撫でてやった―。
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