clap
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
あとは生クリームをちょっとだけ絞って……と。
……よし、美味しそう。
これでメインの準備はオッケー。
あとは、包むだけ。
チョコレートの魔法
ラッピングなんてあの子には必要ないかもしれないけど、見た目も大切だし。
ちょっと張り切って包んじゃおっかな。
確か火の谷の近くのスーパーにバレンタインの特設コーナーができてたし、行ってみよう。
彼もまだ寝てるはずだし、すぐに帰って来れば暴れることもないだろう。
「ブウ~……行ってくるね……」
そろりとドアを開ける。
と。
「……ギ?」
「!? ……お、オッス!」
どこへ行く? と言いたそうなブウが目の前に立っていた。
あんまり驚いたもんだから、つい誰かの挨拶パクっちゃったよ。
「アギギ! クアッ!!」
「ごめんごめん、ひとりにしないから!
どこにも行かないよ!」
ちっちゃいのに怒ると ものすごい迫力があるから、それに気押されて後ずさる。
なんとか宥めるとブウは にかっと笑った。
……ラッピングは諦めよう。
「今日はバレンタインって日でね、好きな男の子にチョコレートをあげる日なんだよ」
「グギ?」
首を傾げて自分を指差すブウ。
そうだよ、と言ってあげると嬉しそうに にこにこと笑いだした。
「ふふー……そんなブウのために、チョコレートプリンを作ってみました!」
「ギギャギャッ!!」
「さあ、座って座って!」
ダイニングにブウを誘導して椅子に座らせる。
冷やしていたプリンを取り出して、スプーンを添えて彼の目の前に置く。
「ウギャギャ、ガアア」
プリンと私を交互に指差して、首を傾げる。
言いたいことはたぶん、
「一緒に食べたいの?」
「ギャギャア!」
あ、正解みたい。
出会った頃より意思の疎通もできてきたなぁ。
「ブウのために作ったんだけど……
まあいっか、一緒に食べよ!」
いただきます、と一緒に手を合わせる。
たぶん彼のそれには意味はなくって、ただの私の真似なんだろうけど。
ぱくりと一口、すくったプリンを食べたブウは ぱちっと目を見開いた。
「ウギャギャギャアッ!
ウオッホッホッホッホォオーーー!!
……オ?」
「ちょ……ブウ!?」
興奮気味にドラミングを披露した、かと思うと勢い余って椅子ごと後ろに倒れていったブウ。
けど、なにごともなかったかのように起き上がって、ぱくぱくとプリンを食べていく。
「だ、大丈夫? ブウ……」
「ギイィッ!
グギャギャ、ギャアアッ!」
「え、なになに?」
なんて言ったんだろ。
喜んでくれてるのはわかるけど……なにが言いたいのかまではわからない。
ちょっとは わかるようになったと思ったんだけどなぁ。
……やっぱりブウと……
「話せたらいいのになぁ……」
「ギ……」
「あ、違うの! ごめん、なんでもない、なんでもないから!!」
言っちゃった、うわ、どうしよう。
つい口に出してしまった。
別に、今のままでも私は満足なのに。
ブウは椅子から飛び降りて隣に立つ。
私の頭を掴んだかと思うと私のおでこと自分のおでこを……?
「ふおおっ!?」
ごちん、というよりも『ゴシャアッ』みたいなぶつけ方でくっつける。
な、なんという石頭。
死んでなかったら死んでた。
……って意味わかんないね、うん。
目の前のブウの顔がチカチカする……
「ご、ごめんね、怒らないで……」
「シーッ!」
ぶつけてくっつけたまま目を閉じて、ブウは動かない。
一体どうしたんだろう。
『……***』
「!?」
……い、今のは……もしかして?
『アりガト、ダイすき』
目を開けたブウは、驚く私を見てニヤリと笑って離れた。
やっぱりブウだったんだ!
もしかして『テレパシー』ってやつ!?
「す、すごいじゃないブウッ!! もっかいやって! もっかい言って!」
前のめりにアンコールをお願いしても、ブウは意地悪そうに笑ってチッチッチ、と指を振るだけ。
「いじわる!」
「グエッ!!」
ぎゅうっと抱きしめると苦しそうな声を出したが、それでも私の背中に手を回して ぽんぽんと優しく叩いてくれた。
「でも、私も大好き……」
やんちゃでちょっと意地悪だけど、そんなところも可愛いブウ。
やっぱり喋れなくてもいい。
私が君を識っていけばいいんだから。
「グギャアッ!」
.