clap
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「私、フリーザさんを探してたんです。
フリーザさんこそ水浸しでどうしたんですか?」
「血で汚れてしまったので、三途の川でちょっと遠泳を」
た、タフだなあ……
というか三途の川でフリーザさんが泳いでたら、怖くて死人がこっちに来れないんじゃないかな。
「ところで***さん、私になにかご用ですか?
まあ別に、用がなくても私はいつでもあなたに」
あ、そうだ。
これを渡しに来たんだった。
うわ、なんか緊張してきた。どーしよ。
「あのー……聞いてました?」
「ご、ごめんなさい……ちょっと緊張してて……あの、バレンタインのあの……あれ、受け取ってください……!」
うう、照れてしどろもどろになってしまった。情けない。
けどフリーザさんは、おや まあ、と嬉しそうな声をあげて、差し出したボックスを受け取ってくれた。
「あ……ありがとうございます、とっても嬉しいです」
ちょっと頬を赤らめて、嬉しそうに。
それを見ていると、こんな彼を見られるのは私だけの特権かもって錯覚しちゃう。
「開けてみてもよろしいですか?」
ここで?
もう少し落ち着いた場所で……って思ったけど、そんなところ、地獄にあんまりないし……
けど、そわそわしながら返事を待つフリーザさんを見ていると、そんなことどうでもよくなってしまった。
「ど、どうぞ……」
「では遠慮なく」
ぺり、とシールを剥がしてティラミスを取り出したフリーザさんは、顔を綻ばせた。
「ティラミスですか……!」
「はい……えと、甘いものはあんまり好きじゃないかと思って、お砂糖は控えめにしたんですが」
「***さんが作ったんですね。
あなたが作ったものなら甘かろうが辛かろうが、なんだっていただきますよ」
フリーザさんはティラミスを箱に戻して大事そうに抱え直した。
よかった、喜んでもらえて……
「あの……変な質問なんですけど」
こほん、と咳払いをして もじもじするフリーザさん。
変な質問……ってなんだろう。
「なな、なんですか?」
「……こ……これは、『本命』ってことで……いいんですよね?」
「は、はい! もちろんでひゅ!!」
舞い上がりすぎて噛んだ。最悪。
「そうですか……」
彼はニヤリと笑った。
……なんだか邪悪な微笑みに見えるのは気のせい?
「では***さん、これは『両想い』ということで……早速 式を挙げようではありませんか!」
「はい? 『式』?」
式? 計算式? な訳ないよね。
「結婚『式』に決まってるじゃないですか!
さあ行きますよ、いただいたティラミスはウエディングケーキにいたしましょう。
まずは花嫁衣装の調達です!」
「待って待って!!」
展開が早すぎる!
ティラミスを私に押し付けて、私を抱えて飛び上がるフリーザさん。
こんな強引な人だっけ!?
というかフリーザさんがさっき言ってた……
「『両想い』……ってことは、」
「はい、私も***さんのこと愛していますよ」
「あ、あい……っ!?」
私『も』!?
私『は』そこまで言った覚えはない!!
けど、でも……そんなこと、憧れのフリーザさんに言ってもらえるなんて。
「***さんは?
私のこと、そこまで好きじゃありませんか?」
「そうじゃないです! そうじゃないんです!!」
私だって好きだけど……そんな、言えない……!
だってだって、フリーザさんも好いてくれてるなんて思ってもみなかったんだもん!!
「だったら……***、言ってよ。
ボクのこと、『愛してる』って」
「~~~っ!!」
ずい、と近づいてきた顔に、普段とは違う甘えたような口調に、心臓が止まりそうになる。
……私だって、フリーザさんを慕うこの気持ちを伝えたい。
でも、私にはそんな甘いセリフなんてまだ言えそうにない、から。
ちゅっ
……と、彼の頬に軽くキスする。
今はこれで、どうか。
「……!!!」
「……あ、あの、フリーザさん?」
その頬を真っ赤にして、目を見開いたままフリーズするフリーザさん。
なんかマズいことしちゃったかな……
「フリーザさん?」
「……ぼ、ボクは……」
それからわなわなと震えだして。
「ボクはなんて可愛らしい花嫁をもらってしまったんだあああああ!!」
「ほああ!?」
ぎゅーんとスピードを上げてフリーザさんはどこかへ飛んでいく。
息できないし、目も開けられない。
……けど、ちらりと見えたフリーザさんの顔はとっても嬉しそうで。
彼がいいならまぁいいか、なんて私は思ってしまった。
.