clap
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『今年』と言ってもいいのかはわからないが……今年も地獄に、およそ似つかわしくない日がやってきた。
ボックスに入れる前にもう一度、力作を眺める。
やっぱりオニの私が罪人に、だなんておかしいかなあ……
いらないって言われたらどうしよう。
死ねる。
チョコレートの魔法
透明なグラス越しに見える何層にも連なったクリームとスポンジ、そして上にはたっぷりのココアパウダー。
……そうそう、仕上げにミントの葉を乗せるの忘れてた。
思い出してよかった。
ほろ苦いけど優しい味の このティラミスは彼とそっくり、だと私は勝手に思ってる。
受け取ってくれるかな?
ボックスに収めて金色のシールで封をして、フォークを用意して。
あ、スプーンの方がいいかも。
どっちでもいいなんて言われると それはそれで間違いないんだけど、こんなくだらないことでも悩んでしまうくらい……ああ緊張する。
結局フォークもスプーンも持ってゆっくりと歩いていく。
誰かにぶつかって転けないように、落とさないように、慎重に。
「よー、***!」
「うわお 出た!!」
突然ドドリアさんが上から現れて、しゅたっと私の前に降り立つ。
「なんだよ、人をユーレイみてーに言いやがってよ」
すでにユーレイみたいなもんじゃん……
あーびっくりした。
ただでさえ恐いのに恐さ倍増。
「なんだそれ、バレンタインか?」
「うん、フリーザさんに渡すんだ!」
別にこれ自体がバレンタインってわけじゃないんだけど。
……というか。
「それ、どーしたの?」
ドドリアさんの手には よっつかいつつ ほどのカラフルな包み。
も、もしかして、もしかしなくても。
「ふふーん、モテるだろ?」
「おぎゃあ!?」
「変な音 出すなよ!」
意外。ドドリアさんってモテるんだ。
「この世の終わりだ」
「オニのくせに寝ぼけたこと言ってんじゃねえよ!
ったく困ったもんだぜ。
いやぁ、モテる男は辛いなおい!」
鼻高々に大笑いしながら去っていくドドリアさん。
モテる男ねぇ……
ってことは、ザーボンさんなんかダンボール箱 十箱分はあるんじゃないの?
だったら彼らの上司であるフリーザさんはそれ以上だったり……
はぁ、とため息をついてまた、とぼとぼ歩いていく。
……そりゃ『宇宙の帝王』だったんだから、仕方ないよね。
えっと……たしか、フリーザさんは今 血の池で責め苦を受けてるはずなんだけど。
……あれ、いない。終わったのかな?
「ねえ、フリーザさんは?」
血の池の番人である先輩オニに声をかけてみる。
せっかくのバレンタインだというのに彼はなんとなくイライラした感じで、それでも答えてくれた。
「フリーザはついさっき終わったオニ。
……それより***、いい加減 罪人に対して『さん』付けはやめるオニ。
それじゃあオニとしての威厳が」
「あの人たちは『別格』なの!」
長いお説教よりフリーザさん!
まだなにか言っているオニを無視してまた歩き出す。
さっき終わったってことは まだこのあたりにいるはず。
辺りを見回しながら歩いていると、地面に濡れた足跡。
たどっていけばその先には力なく歩いていくフリーザさんがいた。
「フリーザさん!」
「……おや、***……あ、いや、***さんじゃないですか。
どうしたんです、こんなところで」
声をかければ先ほどとはうって変わって、いつもの調子で答えたフリーザさん。
血の池地獄で責め苦を受けていたはずの彼はなぜか血じゃなくて水浸し。
どうしたんです、はこっちのセリフでもあるんだけど……
.
ボックスに入れる前にもう一度、力作を眺める。
やっぱりオニの私が罪人に、だなんておかしいかなあ……
いらないって言われたらどうしよう。
死ねる。
チョコレートの魔法
透明なグラス越しに見える何層にも連なったクリームとスポンジ、そして上にはたっぷりのココアパウダー。
……そうそう、仕上げにミントの葉を乗せるの忘れてた。
思い出してよかった。
ほろ苦いけど優しい味の このティラミスは彼とそっくり、だと私は勝手に思ってる。
受け取ってくれるかな?
ボックスに収めて金色のシールで封をして、フォークを用意して。
あ、スプーンの方がいいかも。
どっちでもいいなんて言われると それはそれで間違いないんだけど、こんなくだらないことでも悩んでしまうくらい……ああ緊張する。
結局フォークもスプーンも持ってゆっくりと歩いていく。
誰かにぶつかって転けないように、落とさないように、慎重に。
「よー、***!」
「うわお 出た!!」
突然ドドリアさんが上から現れて、しゅたっと私の前に降り立つ。
「なんだよ、人をユーレイみてーに言いやがってよ」
すでにユーレイみたいなもんじゃん……
あーびっくりした。
ただでさえ恐いのに恐さ倍増。
「なんだそれ、バレンタインか?」
「うん、フリーザさんに渡すんだ!」
別にこれ自体がバレンタインってわけじゃないんだけど。
……というか。
「それ、どーしたの?」
ドドリアさんの手には よっつかいつつ ほどのカラフルな包み。
も、もしかして、もしかしなくても。
「ふふーん、モテるだろ?」
「おぎゃあ!?」
「変な音 出すなよ!」
意外。ドドリアさんってモテるんだ。
「この世の終わりだ」
「オニのくせに寝ぼけたこと言ってんじゃねえよ!
ったく困ったもんだぜ。
いやぁ、モテる男は辛いなおい!」
鼻高々に大笑いしながら去っていくドドリアさん。
モテる男ねぇ……
ってことは、ザーボンさんなんかダンボール箱 十箱分はあるんじゃないの?
だったら彼らの上司であるフリーザさんはそれ以上だったり……
はぁ、とため息をついてまた、とぼとぼ歩いていく。
……そりゃ『宇宙の帝王』だったんだから、仕方ないよね。
えっと……たしか、フリーザさんは今 血の池で責め苦を受けてるはずなんだけど。
……あれ、いない。終わったのかな?
「ねえ、フリーザさんは?」
血の池の番人である先輩オニに声をかけてみる。
せっかくのバレンタインだというのに彼はなんとなくイライラした感じで、それでも答えてくれた。
「フリーザはついさっき終わったオニ。
……それより***、いい加減 罪人に対して『さん』付けはやめるオニ。
それじゃあオニとしての威厳が」
「あの人たちは『別格』なの!」
長いお説教よりフリーザさん!
まだなにか言っているオニを無視してまた歩き出す。
さっき終わったってことは まだこのあたりにいるはず。
辺りを見回しながら歩いていると、地面に濡れた足跡。
たどっていけばその先には力なく歩いていくフリーザさんがいた。
「フリーザさん!」
「……おや、***……あ、いや、***さんじゃないですか。
どうしたんです、こんなところで」
声をかければ先ほどとはうって変わって、いつもの調子で答えたフリーザさん。
血の池地獄で責め苦を受けていたはずの彼はなぜか血じゃなくて水浸し。
どうしたんです、はこっちのセリフでもあるんだけど……
.