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誰だって服従させて、なんだって思い通りになった、してきたはずだった。
こいつだってそうだった。
……はずなのに。
絆された冷酷
「あー!クウラ様ーー!!」
能天気に俺を呼ぶ馬鹿でかい声。
あいつしかいない。
俺の頭痛の種、***だ。
「なんだ、騒々しい」
振り向けばそこには馬鹿みたいに笑う***がいた。
「クウラ様ってば、ほんっとーに無愛想ですよねぇ。
ニコッとでも笑ってくれたらいいのに、鉄仮面なんだから」
「言いたいことはそれだけか、消えろ」
「いっだああああい!!!」
ころころと笑う***の腰を尾で叩きつけてやる。
……もちろん、加減はしているつもりだ。
「乙女に向かって手をあげるなんて最低ですよ、クウラ様!!」
「手ではない、尾だ。
それに貴様は乙女でもないだろうが」
ふん、と素知らぬ振りをして自室に向かい再び歩き出す。
そうだ、***は乙女ではないな。
「クウラ様の馬鹿!もう知らない!!」
「そうか、それは困ったな」
振り返って止めの破壊光線。
わかってる、あいつはしっかり躱すだろう。
「あっぶなー!!……もう!
嫁入り前の身体に傷がついたらどーしてくれるんですか!?」
どーしたもこーしたも俺には関係ない。
歩を緩めない俺と喚く***を見てドーレとサウザーは苦笑している。
***も懲りないな、とでも言いたげな表情だ。
あいつは……ネイズに八つ当たりする元気があるようだし大丈夫だろう。
……あぁ、腹が立つ。
ようやく自室に到着。
唯一、俺が落ち着ける場所だ。
「……」
そうだ、俺は誰だって服従させて、なんだって思い通りになったし、してきたんだ。
あいつだって最初はそうだった。
……だが、あいつの能天気な声を聞くたびに、馬鹿みたいな笑顔を見るたびに、
どんどん***にほだされていくのがわかった。
この、宇宙最強の俺がだ。
俺だって***に微笑みかけてみたい。
消えろなんてもちろん嘘だ。
腰をこの尾で叩きつけるのではなく、この腕で抱いてやりたい。
俺の命令を受け、多くの星を破壊し、大量虐殺を行なったお前はもう乙女と呼ぶにふさわしくはないだろう。
知らない、なんて言われて困ったのは本当だ。
行方を眩まされて、嫁入り前の身体に傷をつけられたら如何するつもりだ?
……冗談じゃない。
何処の誰が***を傷つけようと関係ない。
その傷の責任はこの俺が取ってやる。
全宇宙を探してでも、お前を見つけ出してやろう。
これだけはドーレにもサウザーにも、ネイズにも任せられない。
……それにしても腹が立つ。
俺があいつごときにほだされていることにも、***自身がそれを解っていることにも。
あいつのせいで今日も頭が痛い。
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